現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
ハンドメイド販売は、とにかくやることが多い!
小規模ながらも、ビジネスのほぼ全てが詰まっているので、やることは盛りだくさん。調べればいくらでもノウハウが出てきますが、果たして全部やりますか?
あれもこれもは、現実的にムリ!
「すべきこと」と「すべきでないこと」を見極めなければ、いくら時間があっても足りません。
売れている作家さんは、自然と
- 力を入れるべきポイント
- 力を抜くべきポイント
がわかるようになってきます。
また、「それはやっちゃダメ!」という地雷もあります。「初心者はやってしまいがちだけど、中級者以上は絶対にやらないこと」ってあるんですよね。
この記事では、専業ハンドメイド作家の奥さんが「決してやらないこと」を解説します。半分は、以前にやって痛い目にあってやめたことです。
ビジネス的な観点から、その理由も解説するよ!
この記事を読めば、周りのハンドメイド作家が、いかにムダな仕事をしているかわかってしまいます。右にならえでマネしてはいけませんよ。
ぜひあなたは間違ったルートを回避して、最短ルールを歩んでください!
自分が作りたい作品を作る
いきなり核心に迫る話をします。
ハンドメイドを始めたばかりの作家は、自分が作りたい作品を作り、全く売れなくて絶望します。うちの奥さんも完全にこのパターンでした。
あー、苦い思い出が蘇る…
売れている作家は、100%自分が作りたい作品を作ってはいません。ヤンチャな作品を作りたい衝動をいくらか抑えて、お客さんが欲しがる「商品」を作ります。
- 「作品」が目指すのは、自己表現・自己満足
- 「商品」が目指すのは、お客さんの満足
です。この違いを理解しましょう。
奈良の東大寺の宝物殿「正倉院」には、シルクロードから伝わった古代の宝物が収蔵されています。多くの収蔵品は、屏風や花瓶や水差しのように、実用的な形をしています。
当時、最高峰の技術と素材で作られた宝物でも、ただの絵やオブジェでは、時の権力者や富裕層の需要を満たせなかったのです。
美大出身の無名の画家が、キャンバスに描いた絵を誰が買うでしょう?
「あら、ステキな絵」と思ったとしても、キャンバスの絵画を飾るようなご家庭が日本にどれほどあるのでしょうか?
もし売りたければ、Tシャツやマグカップやエコバックにプリントすべきです。
作りたい作品を作って売れるのは、ネームバリューがある作家だけ。ここまで来ると、「アーティスト」と呼んだ方が適切でしょう。
名前だけで売れる一握りのアーティストになるまでは、「作品」よりも「商品」を意識して制作してください。
本サイトでは、作家に馴染みのある「作品」と呼んでいるけど、実際には「商品」を意識しよう!
浮利を追う
5大総合商社の1つ、住友商事の経営理念に「浮利(ふり)を追わず」があります。
「目先の利益に囚われて、軽率な商いは行わない」という意味です。逆に言えば、「長期の視座に立って、未来につながる商いをやっていこう」という意味でもあります。
「浮利=浮ついた利益」、一過性のトレンドビジネスを揶揄する言葉だね
これはちょうど、「学生のテスト勉強へ態度」とよく似ています。
テスト直前になると、友達の伝手を使ってノートをコピーさせてもらい、一夜漬けの暗記でテストを乗り切る人が一定数います。
その場限りの効果はあるので、ボチボチ悪くない点数は取れます。
しかしテストが終われば、頭からスッと抜けていきます。これを毎期繰り返しているので、素の学力は一向に上がりません。いずれは、授業に追いつけなくなる日が来るでしょう。
一方で真面目な生徒は、日頃の授業をちゃんと受けて、予習復習をしています。
学んだ内容が頭に焼き付いていくので、学力は積み重なっていきます。だから毎度のテスト勉強に苦労せずとも、ずっと成績上位をキープできるわけです。
これは、わかりやすい 笑
ビジネスの話に戻しましょう。
身近な例でいえば、
- コロナ禍に乗じてマスクを売る
- タピオカ屋を開く
- TikTokで踊ってみる
といった、トレンドには乗らないということです。
こういった短期のトレンドは、実力以上にインプレッション(注目)が集まります。「儲かるか、儲からないか」で言えば、儲かります。
しかし、トレンドが去ってしまえば、売上は消え、次のビジネスにお客さんを引き継げることもありません。
浮利の稼ぎで食い繋ぎながら、次に儲かるトレンドを探すことになるでしょう。こういう、ニュアンス的には自転車操業っぽいビジネスを、延々と繰り返す人生です。
一方で、一過性のトレンドは避け、ずっと続く定番商品を売っている限り、あなたの評判は積み重なっていきます。未来のあなたは、もっと楽に売れるようなるでしょう。
検索アルゴリズムを追う
minneやCreemaなど、プラットフォームにはそれぞれの検索アルゴリズムがあります。
検索アルゴリズムに有利なアクションをすれば、キーワードで検索されたときの表示順位が上がります。閲覧数が増えるので、当然売上にはプラスの効果が期待できますね。
誰でも一度は、「アルゴリズムの穴を狙おう」と思ったのではないでしょうか?その気持ち、とってもわかります。
「なんか裏技があるんじゃない?」って思っちゃうよね
でも、そんな甘くはないのよ
しかし、検索アルゴリズムは日々変化するので、いくら追いかけてもキリがありません。1度攻略できても、アップデートされれば、それまでの努力は水の泡。
検索アルゴリズムとの付き合い方は、本来もっとシンプルです。プラットフォームもビジネスですから、目的は売上の最大化ですよね?
向こうは、売れる作品を上位に表示したいわけですから、
- お客さんが欲しがる作品を作る
- お客さんが求める情報をキッチリ掲載する
を意識すれば良いのです。
そう。本来すべき、当たり前のことを続けていくのが、未来永劫変わることのない検索アルゴリズム対策なのです。
そう言われると、やるべきことに集中できてスッキリするね!
なお検索アルゴリズム対策を、マーケティング用語で「SEO」と呼びます。ハンドメイド向けの「SEOはここまでやればOK」を解説した記事も用意しています。
競合ばかり意識する
孫氏の「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」は、あまりにも有名な言葉ですね。
マーケティングをちょっとかじると出てくる「3C分析」は、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の頭文字をとったもの。
誰もが、「競合分析が大事!」と口酸っぱく言ってきます。その意見に異論はありません。
しかし多くの人が、競合ばかりを気にし過ぎているように感じます。競合を上回る、あるいは出し抜くことばかりに、目がいってしまっているように感じるのです。
確かに、新しいジャンルの作品を作り始める前は、まず競合を観察します。
- 誰が売れているんだろう?
- どんな特徴がある作品が売れているんだろう?
- いくらくらいで売れているんだろう?
といったポイントを調査します。
- 自分に勝機があるのか?
- 勝つための道筋はどこか?
を確認するためには、事前の競合調査は欠かせません。
しかし、一度作品を公開したら、あとはお客さんとの対話です。
売れている作家ほど、競合を気にしません。自分とお客さんだけの、狭いクローズドな世界を突き進むことになります。
「どんな作品にすれば、お客さんは喜んでくれるのか?」これを考え続けるのです。そこに競合は関係ありません。
競合を気にしている間は、1人前のクリエーターとは呼べないでしょう。
なんかスパルタモード入った?
誰よりもお客さんを知っていることが、ビジネスにおける最大のアドバンテージなんだ。言いたかったのはそれだけだよ
セール/安売り
売れている作家は、作品を安売りしません。セールもしません。
ひょっとすると、今日の人気作家も、昔は安売りしていた時代があったかもしれません。しかし途中で気がつくのです。
「高く売らなきゃ、この先やっていけない」と。
そうそう!
「口座の残高が全然増えてない!」って気づくのよ
ハンドメイドは、作れる数に限りがあります。ちょっと売れれば、すぐに上限に達してしまうでしょう。
安く売っている限り、手元に利益が残りません。遅かれ早かれ、「飯を食っていくためには、単価を上げざるを得ない」という結論になるのです。
ハンドメイドは、典型的な「厚利少売」のビジネスです。「薄利多売」の反対です。
より高く、より少なく売ることが至上命題。安売りしている場合ではありません!
ほとんどの作家がつけている値段は安すぎる!
思いっきり背伸びした値段で売ってみて!
より多くのお客さんに売ろうとする
売れている作家は、不特定多数のお客さんに売ろうとはしません。「誰でもいいから買って欲しい」とは思っていません。
もしたくさんのお客さんを相手にすれば、メッセージのやり取りに発送に忙殺されることになるでしょう。
あなたは、仕入れ販売をするEC事業者ではありません。作品を作るクリエーターです。
クリエーターが事務作業に忙殺されていいわけがない!
また有象無象のお客さんを相手にすれば、あなたの作品に対して、さほど思い入れのないお客さんも紛れてきます。
そういう「望まぬお客さん」に売ってしまうと、クレームの種になります。満足度が下がり、微妙なクチコミも増えてきます。
コンビニやスーパーのように、大量に売るビジネスモデルなら有象無象のお客さんを相手にするのも正当化されます。「毒を食らわば皿まで」ですね。
しかしハンドメイドで売れる作品数には限りがあります。「望まぬお客さん」に売ってやる在庫などありません。
おぉ、強めに出たな
繰り返しになりますが、ハンドメイドは、「厚利少売」のビジネスです。より高く、より少なく売るのが正解です。
あなたの作品を愛してやまない、ごく限られた良いお客さんだけを相手にするべきです。
個別対応を受け付ける
たまに、物凄く要求が細かいお客さんに捕まることがあります。件数としては少数でも、1件の対応コストが甚大なので、基本相手にしてはいけません。
「当店の方針に従えないお客さまには売りません!」というスタンスでOKです。
というか、これが普通だからね
一般論として、民度の高い良いお客さんほど大らかです。商品を選別する目は厳しくとも、無茶な要求はしません。道理を弁えていますから。
細かい注文をつけてくる人ほど、民度が低いです。後々トラブルになりやすい傾向があるので、避ける方が得策でしょう。
オーダーメイドであっても、
- お客さんに選択させる部分
- 文句を言わせない部分
を線引きした方がいいですね。
例えば、素材や色は選んでもらうけど、形や仕上がりは作家側に一任する。それが嫌なら来なくて結構。くらいのスタンスで良いでしょう。
それでも喜んできているお客さんだけが、あなたが本当に相手にすべきお客さんなのですから。
SNSに全力投球する
メインの集客ルートになるSNSは、ハンドメイド作家が注力しなければならない仕事の1つです。頑張るほど、売上も上がっていくでしょう。
ただ、SNSにかかり切りになると、本来の制作活動に支障をきたします。どこまでSNSに労力を割くかは、実に悩ましい問題ですね。
1つ言えることは、ハンドメイド作家が飯を食っていくのに、何万フォロワーも必要ないということです。
1,000〜3,000でも十分売れるよ
まず、手がけるSNSプラットフォームは絞るべきでしょう。ハンドメイドとの相性を鑑みると、Instagramの一択です。
また、SNSを主戦場とするインフルエンサーのように、毎日何時間もSNSに費やす必要はありません。
正直なところ、伸びる投稿は、
- お役立ち情報
- 作り方レクチャー動画
辺りでしょう。
しかしこういった手の込んだ投稿は、準備が大変です。たまにはやったほうが良いですが、毎日は現実的じゃないと思います(外注するなら別ですが)。
あなたが、
- 「制作主体の作家になりたいのか」
- 「発信主体のインフルエンサーになりたいのか」
ハッキリさせる必要がありそうですね。
ちなみに「SNS」と言いましたが、「ブログ」や「YouTube」のような発信活動全般に言えることです。
もしハンドメイド作家として作品を作っていきたいなら、発信活動はほどほどのバランスを見極めてください。負担にならない運用方法を選びましょう。
SNSは超重要だから、そこだけは釘刺しとくよ
あくまで力の入れ具合の話ね
ラッピングに力を入れる
売れていない頃は、手当たり次第に打開策を探します。そうして行き着く先の一つが、ラッピングです。
多分あなたも薄々気づいていると思いますが、ラッピングでお客さんを呼び込めるなんてことはありません。
もちろん、(過剰包装にならない程度で)ラッピングがキレイなら、多少満足度は上がるでしょう。しかしその効果は、労力の割にはとっても小さいんです。
ラッピングは、費用対効果の低い、つまりコスパの悪い施策です。
そこに時間をかけるくらいなら、作品をブラッシュアップするなり、新作を考える時間に充てるべきでしょう。
ラッピングするなら、有料オプションで希望者だけに提供しよう
デフォルトで全員にラッピングなんて馬鹿げてる
おまけをつける
売れていない頃に行き着くもう一つの打開策が、おまけです。
- おまけをつければ、リピートしてくれるのでは?
- おまけをつければ、良いレビューを書いてれるのでは?
という下心から、サプライズのおまけを同梱するやり方ですね。
はい!やりました!(もうやめたけど!)
トイレットペーパーや缶ビールのような消耗品なら、おまけに釣られて買うこともあるでしょう。
しかし洋服やバッグのような「ライフスタイル商品」は、お客さんが抱く理想の自分像を実現したり、それによって他人から値踏みされたりするものです。
ハンドメイド作品も、ライフスタイル商品の一種。おまけで買ってもらえることは、絶対にありません。
加えて、おまけをもらえた人ともらえなかった人で、不公平感が出ます。もらえた人の満足度を上げる代わりに、それ以外の人の満足度を下げる結果になります。
おまけもラッピング同様に、コストの割にリターンが少ない施策なのです。
コアな素材に100均を使う
「材料費を抑えよう」という心がけは大切ですが、「安く済ませよう」と考えるのは大間違いです。
あなたが、こだわりの強いレストランのオーナーだったとしましょう。果たして、食材費をケチるでしょうか?他で節約しても、食材には妥協しないはずです。
ハンドメイド作家も全く同じ。コアになる素材を100円ショップで済ませるのは、素人が趣味でやること。プロがやることではありません。
ボクの奥さんはフラワーアイテムを制作していますが、花材に100円ショップを使ったことはありません。プロが使う高品質な花材を、専門店から仕入れています。
100均の花材なんて使うわけない!
一応プロだからさ!
妥協するところと妥協しないところは、きっちり線を引こう!
スマホで作業を終わらせようとする
もしあなたがインターネットメインで販売を行っているのであれば、あなたも歴としたネット自営業者です。
ネットビジネスでは、
- 販売プラットフォーム
- SNS
- 画像編集ソフト
- ブログ / メルマガ / メッセージアプリ
- 会計ソフト
- オンラインストレージ
など、さまざまなITツールを使いこなすことになるでしょう。
大抵のツールはスマホ対応しているでしょうが、スマホだけで完結させようとするのは考えもの。パソコンの方が、ずっと早く仕事ができるんですから。
スマホで仕事をするのは、「小さいまな板」で料理をするイメージです。チマチマとやりづらくってしょうがない。
必要な道具を揃えないというのは、「美容師が、家にある工作用のハサミで仕事する」と同じような話です。冷静に考えて、どうかと思いますよね?
これまでの人生でパソコンを触る機会がなかった人も多いと思います。ボクの奥さんもそうでしたから。でも今では、パソコンとスマホを上手に使い分けて作業しています。
ネット自営業者にとって、パソコンは必須アイテム。覚悟を決めて購入してください。
パソコンが必要として、オススメのモデルとかある?
古すぎなければ、大体どれでも大丈夫!
強いてオススメするなら、Macbook Airの現行モデル。初心者ほどMacが使いやすいし、上級者になってもやっぱりMacだしね
まとめ
やるべきじゃない仕事は間違いなくある
けど最初は見極めなんてできないよね
「絶対やるべし」って意見を見ちゃうとね
でも全部やるなんて不可能だよー
だから選別しなきゃならない
この記事がその助けになれば嬉しいな
この記事をまとめます。
ハンドメイド作家がやるべきでないこと
- 自分が作りたい作品を作る
- 浮利を追う
- 検索アルゴリズムを追う
- 競合ばかり意識する
- セール/安売り
- より多くのお客さんに売ろうとする
- 個別対応を受け付ける
- SNSに全力投球する
- ラッピングに力を入れる
- おまけをつける
- コアな素材に100均を使う
- スマホで作業を終わらせようとする
もしかしたら、中には半信半疑の内容もあったかもしれません。
しかしやってみると、「言われた通り、手を染めるべきじゃなかった…」と気づくことになるでしょう。実際に、ボクの奥さんは体験済みですから。
身に持って学ぶのも良い経験ですが、できることなら最初から避けて通った方が良いと思います。売れるために、なるべく最短ルートで進みたいですからね。
ぜひ騙されたと思って、実践(というより実践しないことを)してみてください!
コメントを残す