現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
ハンドメイド販売で、お客さんとの距離感をどのくらいに保てば良いのか悩みますよね。馴れ馴れしいのはイヤだけど、そっけないとお客さんが離れていってしまいます。
また、売り手と買い手の「上下関係」も気になるところではないでしょうか?
「お客様は神様」なんて言葉がありますが、それで消耗するのも何か違う気がします。
接客マニュアルがあるわけじゃないから、さじ加減が難しい!
ボクの奥さんは専業ハンドメイド作家です。日々相談しながら、お客さんとの距離感や関係をチューニングしています。
ちなみにボク自身は、サラリーマン時代に10年近く営業をやっていました。少なくとも3,000人は接してると思います。お客さんとの良い距離感の作り方は得意中の得意。
でもホントは他人と話すのがメチャクチャ苦手で、電話をかけるのに手が震えるような人間です。天性の才能ではなく、処世術として身につけた距離感の作り方です。
と言っても、別に難しいテクニックは必要なくて、単にどういう心がけで接すかだけ。
この記事では、ボク自身の営業経験と、奥さんのハンドメイド販売のサポートをしてきた経験から、「ハンドメイド作家とお客さんのベストな関係」を解説しています。
作品はちゃんと売れるけど、作家自身は消耗せず、私生活にも踏み込ませない。そういう関係性の作り方です。
長くハンドメイド活動を続けて行きたい人は、ぜひ読んでみてください!
仲が良いほどよく売れる原則
突然ですが、マーケター必読書の1冊になっている『影響力の武器』という本をご存知でしょうか?
相手の心を操って、「Yes」と言わせる6大原則が紹介されています。
その1つが「好意の原則」です。「好きな相手のお願いは断れない」という、単純明快な原則です。
つまりこういうこと。
お客さんと距離が近く、仲が良いほど、商品がカンタンに売れるようになるのです。
BTSが売れた理由の1つも、ライブ配信でお客さんとの距離を近づけていたからと言われています。
また一般論として、単価が高い商品ほど、お客さんとの距離を詰める戦略が有効です。
営業マンも、太いお得意さんとはプライベートで飲みに行ったりもします。ホストやキャバクラもそうですし、投資サービスなんかもそうですね。デート商法のような詐欺まがいなやり方もあります。
距離を詰めやすいのは個人ビジネスの強み
規模が大きいビジネスほど、人くさいやり取りがしづらくなります。コールセンターやマクドナルドの接客は、人によって対応に温度差があっては困りますよね。
だからマニュアルで均質な対応を取らざるを得ません。丁寧だけど人間性のない対応になってしまうので、お客さんと仲良くなることは難しいでしょう。
一方で、ハンドメイド作家のような個人のビジネスは、自分だけの判断でお客さんとの接し方をコントロールできます。
お客さんと近い距離感で話せるのは、ハンドメイド作家が切れる強力なカード。生かさない手はありません。
コミュニケーションも商品の一部
仲が良い相手から買おうとするのは、男女で共通する心理です。ただより売り手との関係性が購入につながりやすいのは女性です。
男性の買い物は、原則コスパを重視します。コスパさえ良ければ、対応がイマイチでも目を瞑ります。逆に対応で好感が持てても、それだけを理由に購入することはありません。
一方で女性の買い物は、商品に加え、購入に至るまでのコミュニケーションなども評価する傾向があります。女性にとっては、購入までの流れも商品の一部なのです。
心地よいコミュニケーションは、それだけでその作家から買う理由になります。逆にどんなに作品が気に入っても、コミュニケーションで気分を害せば絶対に買いません。
ボクの母が、どこぞのハンドメイド作家から立て続けに作品を買ったことがありました。
「なんでまた買ったの?」と聞いたら、「やり取りが気持ち良かったから」と言われました。
正直、男のボクには全く理解できませんでしたが。
ハンドメイドのお客さんは、9割が女性。お客さんとの近い距離感が、売上に影響しやすいビジネスだと知っておいてください。
ハンドメイド作家とお客さんのベストな距離感とは?
ただし、距離が近すぎると、それはそれでストレスですね。お客さんに家族や恋人のことを知られるのも、抵抗ある人が多いと思います。
単価が高いビジネスや常連客だけを相手にするビジネスなら、近い距離感を受け入れる選択肢もあります。
しかしハンドメイド作家は、単価は高くても数万円で、接する人数もそこそこ多い。気軽に連絡されても困ってしまうので、どのお客さんも距離が近いと消耗してしまいます。
ボクも人見知りの陰キャだから、馴れ馴れしいのはすっごく苦手
「友達の友達」がちょうどいい距離感
ハンドメイド作家とお客さんのベストな距離感は、ズバリ「友達の友達」です。
「わたしの高校の後輩がさ、〇〇(あなたの名前)の作品を買いたいんだって。話聞いてもらってもいいかな?」と紹介された人くらいの距離感です。
- ある程度近い距離感で話せるものの、
- 初対面でタメ口を聞くほどではない。
- 機会があればまた話すこともあるが、
- 特に用がなければお互いにコンタクトは取らない。
こういう関係です。
この距離感なら、お客さんが何人に増えても負担にならず、ストレスも溜まりません。
ギャルみたいに最初から0距離に詰めてくるイメージじゃなくて、大人のお付き合いをしている友達の友達ってイメージね
うんうん、わかるよ!
確かに絶妙な距離感かも!
もし距離を詰めてこられたら?
お客さんからすると、お気に入りの作家は、自分のセンスを理解してくれる同士のような存在。中には作家と仲良くなりたくて、積極的に絡んでくるお客さんもいるでしょう。
私生活で、自分のセンスとドンピシャでハマる人なんて早々出会いません。だから推しの作家のセンスにシンパシーを感じて、近づきたくなっちゃうわけです。
ウチはそういうお客さんに遭遇したことないけど、来たらちょっと怖いなぁ…
ただ熱心なお客さんだし、悪意があるわけでもない。即ブロックするのもちょっと違う
気にならない人は、そのまま受け入れちゃった方が売上は上がります。馴れ馴れしいのが苦手な人は、距離感を調整しましょう。
距離を詰めてくるお客さんを傷つけずに間を空けるには、次の2つを意識するのがオススメ。
きっちり目に敬語を使う
本来は砕けた敬語を使って距離を詰めるのが定石ですが、距離を詰めてくる相手には硬めの敬語を使って間を空けましょう。
敬語を使っているだけなので、失礼にならないのがミソです。
こちらから話を広げない
相手から話を振らたら、「そうなんですね」と話を広げないように反応してください。相槌するだけみたいなイメージです。
こちらから質問でもして話を広げてしまうと、相手は嬉しくなってドンドン近づいてきます。逆にこちらの反応が薄ければ、あまり面白くないので話が続かなくなります。
お客様は神様ではない
「お客様は神様」という言葉は、「お店はお客さんの言うことを聞いて当然」というニュアンスで使われることが多いですよね。
実はこれは誤用。お客さんが「上」で、お店は「下」という上下関係を説いた言葉ではありません。
作家とお客さんは対等
売り手であるハンドメイド作家とお客さんは、完全に対等な関係です。上下関係はありません。
お客さんが「あなたから買わない自由」があるように、こちらも「そのお客さんに売らない自由」があります。
お客さんは「わたしに買ってもらえなきゃ困るでしょ?」っと思ってるかもしれませんが、お客さんだって、欲しい作品を売ってもらわなきゃ困るわけです。
上から来る人はお客さんじゃない
あなたにとっての本当のお客さんは、あなたの作品を、あなたが売っている値段で欲しいと思ってくれる人だけです。
度がすぎる値下げや仕様変更を要求する人は、もはやお客さんですらありません。
例えばあなたは素材にこだわり、他にはない独特のデザインの作品を売っていたとしましょう。
にも関わらず、工場生産された安い商品と同じ金額に下げろと言ってくる人は、もうお客さんではないのです。
お客さんじゃない人の要求なので、当然応じる必要はありません。
フツーに断ってOKです。思い悩む必要もありません。
売り手と買い手は、対等な姿勢で接するのがルール。上から来るような無礼な人は客じゃないよ!
ただ粘着されると後々ツラいので、跡を濁さないよう丁寧にお断りしましょう。
また、無理難題を言うお客さんは、基本的に民度が低いです。そういう人を相手にすると、時間も精神も持っていかれるのでシャットアウトしないとやってられません。
「買わせてくれてありがとう」→「どういたしまして」
日本一有名なマーケターの神田昌典氏は、「お客さんに『買わせてくれてありがとう』と言われて、『どういたしまして』と答える関係」がちょうど良いと語っています。
両者は対等な関係ではあるものの、売り手が「売ってあげている」というニュアンスが強めに出ています。
お客さん:「ステキ!こんな作品はあなたからしか買えません!」
あなた:「じゃあウチのルールに従ってもらえますね?値段はこれで構わないですね?」
お客さん:「はい、もちろんです!だから買わせてください!」
という関係に持っていかないと、競合との価格勝負になってしまい、作品の単価を上げられません。
究極的には、久兵衛やすきやばし次郎(どちらも超高級寿司屋)とお客さんのような関係だね
こう言うと、物凄く上から目線に聞こえてしまいますが、そうではありません。
作家はお客さんを最大限に尊重し、お客さんの理想を叶えるために作品を提供します。そんな作家の理念に共感し、納得できるお客さんとだけお付き合いするという話です。
もし安い作品になびくお客さんがいたら、
「あ、そちらで満足なんですね」
「じゃあそれでいいんじゃないですか?」
「違いに価値を感じないなら、ウチのお客さんじゃないので」
と言える(実際には言わないけど)ような立場を目指してください。
こうなるためには、「お客さんが喉から手が出るほど欲しい作品を、あなただけが売っている」という状況を作る必要があります。要は、差別化された作品作りができていないとダメということですね。
もちろんお客さんに横柄な態度をとっていいって話じゃないよ
買ってもらったらちゃんと「ありがとうございます」って言ってね
おけ!ベースは対等な関係だもんね!
やっぱりお客様は神様なのか?
売り手と買い手は平等なので、お客さんのわがままに対応する必要はありません。「お客様は神様」は、そういう意味の言葉ではないんですね。
この章では、「お客様は神様」の本当の意味について触れておこうと思います。
ちょっとした余談だけど、理解できるとビジネスセンスがアップするよ!
1番エラいのはお客さん
ビジネスで、1番エラいのは誰だと思いますか?
これだとちょっと抽象的なので、言い換えましょう。ビジネスの意思決定において、誰の意見がもっとも尊重されると思いますか?
社長?いや会長とか?
ちょっとビジネスに詳しい人は、「株主」って答えるかもね
答えは「お客さん」です。ハッキリ言って、上司よりも社長よりも、お客さんの方がずっとエラいです。
社員の給料を払っているのは、上司でも社長でもなく、お客さんの財布です。直接的であれ間接的であれ、お客さんのためにならない商品やプロジェクトは存続できません。
目の前にいる1人のわがままな客の言うことを聞く必要はありませんが、お客さんの集合体が望む方へ、常に事業のベクトルを向けなければなりません。
お客さんにベクトルが向かなくなったら、その会社はもうおしまい。「(お客さんに向かないで)どこ向いて仕事してるの?」って話です。
サラリーマンは気づいていない人が多いですが、根っからの商売人や創業社長はこの事実が骨身に染みています。
本心から「お客様は神様」と思っていて、それは敬虔なクリスチャンがイエスを信じる気持ちと同じくらい確信に満ちています。だから自然と口から出てしまうのです。
「お客様は神様」ってのは、売り手のビジネス哲学なんだよね
お客さんがわがままを振りかざすための言葉じゃないんだよ
なるほどー。そういう意味の話だったんだねぇ
まとめ
今回は、売れ始めると気になる「お客さんとの距離感や関係」の話をしてみたよ
変なお客さんに捕まっちゃうと、負のスパイラルにハマりそう
かと言って、距離を取りすぎると売れないからね。さじ加減が大事!
この記事のまとめです。
お客さんとのベストな距離感
- 距離感は近いほど売れやすくなる
- 距離を縮めやすいのはハンドメイド作家の強み
- ちょうど良い距離感は「友達の友達」
目指すべきお客さんとの関係
- 売り手と買い手は対等な関係
- 過度な要求をする人はお客さんじゃないので、断ってOK
- 目指すべきは、「買わせてくれてありがとう」「どういたしまして」の関係
この意識でお客さんと接すれば、きちんと売上を上げられつつ、消耗せずに済みます。
ハンドメイドをビジネスとして長く続けていくために、ぜひ意識してみてくださいね!
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