全クリエーターの願い。それは、「クリエイティブな作品を作りたい!」ですね?異論は認めませんないと思います。
しかし、この「クリエイティブ」とは、一体何なのでしょうか?
一体どうなれば、クリエイティブな作品になるのでしょうか?
個性的とか独創的みたいなイメージだけど、どうなればクリエイティブって言えるんだろう…
「クリエイティブ」の日本語訳は、「創造的な」です。一般的には、「まったく新しい何かを生み出すこと」を意味しているようです。
- 絵を描くことも
- 音楽を作ることも
- 商品を企画することも
- アプリを開発することも
- 建築物を建てることも
- 料理を作ることも
- 写真を撮ることも
クリエイティブな活動と言えますね。
きっとあなたも、何かクリエイティブな活動に従事していることでしょう。本サイトのターゲットであるハンドメイド作家も、もちろんクリエイティブな職種です。
でもきっとあなたは、「自分の作品はクリエイティブだ!」と胸を張って言える自信がない。そうではありませんか?
この記事では、「どうなった状態がクリエイティブと言えるのか?」を、徹底的に言語化してみました。抽象的な言葉なので、人の数だけ考え方があるでしょう。あくまでボク個人の解釈をお伝えします。
と言いつつ、世の中で「クリエイティブ」と言わている創造物を観察していると、これ以外に表現のしようがないように思う
もちろん、ただ言語化しただけでは芸がないので、あなたがクリエイティブな人間になるために必要なアクションも添えました。
クリエーターにとって、究極とも言えるテーマに一石を投じました。ぜひあなたの意見と照らし合わせながら、最後まで読んでみてくださいね。
*本記事では、本来の英単語の意味である「創造的な」という意味で、「クリエイティブ」を取り上げています。マーケティング文脈で用いられる、広告用バナーやポスターのデザインの話ではありません。あらかじめご理解の上でお読みください。
クリエイティブに「0→1」は存在しない
一般的には、「クリエイティブ=まったく新しい何かを生み出すこと」と考えられています。
が、これは見当違いもいいところ。
おっと、いきなり逆張りで来た!
地球が生まれてこのかた46億年で、人類はもっともクリエイティブな生物です。絶滅してしまった生物も含め、圧倒的にNo.1です。
しかしそんな人類でも、0から全く新しいアイデアを発想したことは、ただの1度もありません。
現存する人類の創造物を見れば、「0→1」が存在しないのは明白だよ
クリエイティブな発明は「0→1」か?
世界のあり方を変えた画期的な発明は、文句なしにクリエイティブと言えますね。
- エジソンの白熱電球
- ライト兄弟の動力飛行機
- AppleのiPhone
がクリエイティブな仕事であったことに、異論を持つ人はいないでしょう。
しかしこれらの発明は、彼らが0から生み出したアイデアによる発明ではありません。
ほー、その訳を聞いていこうかね
1879年10月19日、エジソンは白熱電球40時間の点灯に成功しました。初めて実用的な白熱電球が誕生した瞬間であり、同時に世界が変わった瞬間でもあります。
しかしエジソンの前に、何人もの科学者たちが、白熱電球の研究を行っていました。最初に電気を発光させられると発見したのは、イギリスのハンフリー・デービーという科学者です。
エジソンの主な業績は、「フィラメント(電球の光る部分)」を改良して、長時間光らせるようにしたこと。扇子からヒントを得て、フィラメントの素材に日本の竹を使ったエピソードがよく知られています。
そもそも電球という発明の前提になる、
- 電気を調達するための「発電機」の発明
- 電気を貯める「電池」の発明
- 「電気」という存在の発見
をした、さらに過去の研究者たちがいました。
先人達が何百年もかけてつないできたバトンを、ちょど良いタイミングで受け取ったのがエジソンだったというわけです。
エジソンの発明がクリエイティブであったことは、紛れもない事実です。しかしエジソンは1つとして、無から有を生み出してはいません。
先人達の研究を足がかりにし、既存のものをうまく組み合わせて、新しいアイデアとして再構成しただけです。でもそのプロセスこそが、クリエイティブなのです。
1903年に初めての動力飛行に成功したのはライト兄弟ですが、やはりその前に何人もの研究者がいました。さらに源流を辿れば、レオナルド・ダ・ヴィンチのオーニソプター(羽ばたき式飛行機)まで遡れるでしょう。
iPhoneも、元々あったiPodに、元々あった携帯電話をガッチャンコしただけです。iPodにはウォークマンという前身がありましたし、携帯電話にも固定電話という前身がありました。
どんなクリエイティブな発明も例外なく、過去のアイデアの再構成です。決して、「0→1」でないことがわかりますね。
ここは、何気にすっごく大事な話だよ!
クリエイティブなキャラクターは「0→1」か?
次に、世界的に有名なキャラクターを例に考えてみましょう。
世界で1番有名なキャラクターは、「ミッキーマウス」ですね。最高にクリエイティブな存在であることは、誰の目にも疑いないでしょう。
ミッキーマウスは、ネズミがモチーフなので、完全に0から生み出されたキャラクターではありません。また動物の擬人化という手法も、鳥獣戯画や古代の神話へ遡れます。
想像上の生き物も、全て既存の動物の掛け合わせです。
みんなが大好きな「龍」は、
- 角は鹿
- 頭は駱駝(らくだ)
- 目は鬼
- 項(うなじ)は蛇
- 腹は蜃(みずち)
- 鱗(うろこ)は魚
- 爪は鷹
- 掌(たなごころ)は虎
- 耳は牛
を合成した想像上の生き物です。この中の「鬼」と「みずち」も想像上の生き物で、やはり実際の動物を合成してできています。
余談ですが、古代の中国では、大河川の氾濫を「龍が暴れている」と表現しました。荒ぶる龍(河川の氾濫)を抑えることができる者が、古代中国の王の原点です。だから伝統的な王様の装束には、龍が描かれたのです。
「ユニコーン」も「ケルベロス」も既存の動物をモチーフにしています。「ポケモン」も、実際の動物や既存の想像上の生き物から着想を得ています。
どんなにクリエイティブなキャラクターもまた、「0→1」でないのです。
確かに、全く新しいキャラクターっていないね!
全てのアイデアは原始時代まで遡れる
あなたの身の回りにある全てのもの、
- スマホも
- 冷蔵庫も
- 車も
- マンガも
- 財布も
- ダウンコートも
過去のアイデアから着想を得た創造物です。
どんなクリエイティブなアイデアも、必ず過去にその源流を見ることができます。
そして、参考となった過去のアイデアは、さらに過去のアイデアから着想を得ています。そのさらに過去のアイデアは、さらにさらに過去の…と、延々遡っていけます。
物理的なモノは全て、原始人が石を砕いて作った「石器」まで遡れるでしょう。絵画は全て、「ラスコー洞窟の壁画」までその源流を遡ることができるでしょう。
ラスコー洞窟の壁画とは?
フランスのモンティニャックにあるラスコー洞窟に描かれた、先史時代の壁画。2万年前のヨーロッパに住んでいた人類(クロマニヨン人)が残したもの。何百もの馬・山羊・羊・野牛・鹿・かもしか・人間などが描かれている。現存する世界最古の美術作品と言われている。
最終的には自然へ、そして…
どんなクリエイティブなアイデアでも、源流を辿っていけば、最後は自然界に行き着きます。
- ダヴィンチが飛行機の着想を得たのは、鳥
- 電球の電気は、自然の産物
- 石器は、自然界の石そのもの
- ラスコーの壁画に書かれていたのは、牛などの動物達
人間が0から生み出したアイデアは存在しません。ということは必然的に、すべてのアイデアの原点は、元々人間の周りにあったもの、つまり自然に行き着くわけですね。
そして自然界にある全ての物質は、「原子」からできています。水は、「水素原子」と「酸素原子」によって成り立っていますね。
全ての原子は、「陽子」と「中性子」と「電子」という、さらに小さい粒の組み合わせでできています。水素も、酸素も、鉄も、金も、バラしたら同じ粒です。
空も、海も、大地も、鳥も、あなたも、分解したら全く同じ粒になる。正真正銘まったく同じ粒、その組み合わせが変わるだけで、この世界の全てが構成されているのです。
一体どこに、「0→1」なんて存在するんでしょう?
あー、確かにそういうことになるね
では、その粒々は、一体どこから現れたのでしょう?
現時点で人類がたどり着いている見解から言えば、「ビッグバン」から生じたということになっています。
そういう意味では、真の意味で「0→1」と言えるのは、138億年前に突如として宇宙が誕生した「ビッグバン」の瞬間ただ一つだけです。
宇宙誕生の瞬間を「1」として、現在までに数えきれない桁数が積み上がっているでしょう。ちょっと見当もつかないような、文字通りの天文学的な数字です。
宇宙が、地球が、自然が、そして人間が、これまで積み上げてきた膨大な数字に、「1」を加える。これが、あなたにできるクリエイティブな仕事なのです。
ちょっと哲学的な感じになっちゃったけど、ぼくはそう解釈しているよ
クリエイティブとは、「過去のアイデアの掛け合わせにより、新たにニーズを満たすこと」である
前置きが長くなりましたね。そろそろ答えに移りましょう。
ここまでで、クリエイティブなアイデアは全て、既存のアイデアの掛け合わせであるとわかりましたね。もちろん掛け合わさってできたアイデアは、過去にない斬新なアイデアである必要があります。
しかし、それだけでは足りません。
新しい音楽がクリエイティブと評価されるのは、その新しい音色が心地よいと感じるからですね。ただ奇抜に音を組み合わせただけでは、雑音にしかなりません。
雑音をクリエイティブと評価する人はいないでしょう。
「過去のアイデアの掛け合わせた新しいアイデア」と「それにより新たなニーズを満たす」が、セットになっていることが、クリエイティブの条件なのです。
ジ・アンサー!これがこの記事の結論だ!
料理ができないボクが、日本料理とカナダ料理とエジプト料理を組み合わせて、奇怪な創作料理をしたとしましょう。
きっと誰も、ボクの料理をクリエイティブとは評価しませんね。
料理である以上は、味はある程度良くないといけないでしょう。その上で、何かしらの点で、既存の料理より優れていなければなりません。
味も1つの基準になりますが、味だけとは限りません。手軽さだったり、栄養価が高かったりすれば、それはそれでクリエイティブと言えます。
カップラーメンを発明した安藤百福は間違いなくクリエイティブでした。
ボクが愛用している、そこそこ美味しい完全栄養食を開発したBASEFOODも、なかなかクリエイティブだと思います。
要するに、そのアイデアで誰かが喜んでくれなければ、その仕事はクリエイティブとは評価されません。
既存のアイデアと同じレベルの喜びしか与えないなら、誰も新たに喜んでくれる人はいませんね?
だから、既存のアイデアが満たしていない、新たなニーズを満たすアイデアでなければ、クリエイティブとは言えないのです。
「アイデアの掛け合わせで、新たなニーズを満たせ!」っと(メモメモ)
過去に白熱電球の研究者は何人もいたのに、一般に知られているのはエジソンだけです。白熱電球の発明の栄光は、ほぼエジソンただ1人に向けられています。
それはエジソンが、初めて実用的な白熱電球を完成させて、初めて人々のニーズに応えたからに他なりません。電球をビジネス化した最初の人物がエジソンだったのです。
iPhone以前には、ブラックベリーというスマホが市場を独占していました。ブラックベリーは、PCメールが使えるビジネス用スマホといったところです。
しかし大衆が求めていたのは、手のひらに収まるパソコンでした。初めて大衆のニーズに応えたスマホは、iPhoneの方だったのです。
ブラックベリーもクリエイティブな商品だったけど、iPhoneのクリエイティブさには敵わないね
だから「元祖スマホ=iPhone」ってイメージになっちゃんたんだ!
クリエイティブではない仕事とは?
過去のアイデアを掛け合わせ、自分なりに再構成することで、誰かに新たな幸せを届ける。これがクリエイティブな仕事です。
逆にクリエイティブではない仕事とは、既存のアイデアをただ改善するだけの仕事です。
「女性を口説こうと思ったとき、ライバルがバラの花を10本贈ったら君は15本贈るのかい?」
Apple創業者スティーブ・ジョブズの言葉
ボクが胡蝶蘭を冷めた目で見る理由
胡蝶蘭は、品のある美しい花です。ボクが冷めた目で見ているのは、花自体ではなく、企業同士が脳死で胡蝶蘭を送り合う習慣の方です。
ボクがサラリーマン時代に勤めていた会社は、プロ野球チームを持っていました(これだけでどこだかバレそうな)。
野球チームが優勝すると、取引先が一斉に胡蝶蘭を贈ってくるんですね。そうすると、ロビーに何百という胡蝶蘭が並ぶんです。圧巻の光景でした。
でも、この光景を見るたびに、ボクの頭に1つの疑問がよぎっていました。
なんで、みんな同じ花を送ってくるのか?と。誕生日プレゼントが、全員同じだったらイヤじゃないですか?
予算が3万円か5万円か10万円かで、大きさが違うだけです。どんなに気持ちがこもっていても、3万円の胡蝶蘭は、10万円のそれより見劣りします。
こういう会社は、ビジネスも上手じゃないんだろうなと思いました。
でも、ごく限られた気の利いた会社は違うんですね、
Googleさんは、ウチのマスコットキャラクターをお花で描いたプレートを贈っていました。ロビーの一番目立つところに置かれて、みんなの目を惹いていました。
クリエイティブな会社は、花一つ贈るのでも違うんだなと、大いに感心したのを覚えています。
例えば、クリエイティブじゃない料理人は、こういう発想でメニューを考えます。
◾️クリエイティブじゃない料理人の発想
最高のトンカツを作れば、みんなが喜ぶはずだ!
最高の豚肉、最高のパン粉、最高の油、最高のキャベツ、最高のソース。
オールスターを集結させて、とびっきりのトンカツにしよう!
別に悪いことではありません。美味しいトンカツには需要がありますから。
でも、この仕事はクリエイティブではないですね。まさに、バラを10本贈ったライバルに対し、こっちは15本で応戦しようとする発想です。
いやー、こういう風に考えちゃうよなぁ
クリエイティブな料理人なら、こう考えます。
◾️クリエイティブな料理人の発想
そもそもトンカツに添えるのは、キャベツがベストなのか?実はエシャレットの方が合っているかも?
いや、豚肉よりも、ラム肉の方が合ってるかもしれないぞ?
ソースは、ホワイトソースが合うかもしれない!
「もはやそれ、トンカツじゃなくない?」と言われるかもしれません。
でもそれで良いのです。味を追求する料理人なら、味が良ければ正義。その結果、誰かが喜んでくれれば、それで良いのです。
もし世の中に「トンカツ定食」しかなかったら、「カツ丼」も「カツカレー」もクリエイティブな発想だよ
2つの道のどちらを選ぶか?
あなたの目の前には、2つの道があります。
- クリエイティブな仕事
既存のアイデアを掛け合わせ、新しいアイデアに昇華させる仕事 - クリエイティブじゃない仕事
既存のアイデアを改善する仕事
の2つです。
どちらを進んでも良いのですが、その違いをよく理解しておくと良いでしょう。
歴史に名を残すのは、「初代」と「歴代最高」だけ
室町幕府の将軍は15代まで続きましたが、広く知られているのは、
- 初代の「足利尊氏」
- 最盛期を迎えた3代目の「足利義満」
だけです。
初代というのは、無条件で歴史に名を残せます。みんなが知っている「源頼朝」も「徳川家康」も初代ですね。初代には、無条件にリスペクトが集まるのです。
一方で、後に続く人は、あまたいる競合を蹴落とさなければ、歴史に名を残すことができません。それでも、初代の威光には敵わないことがほとんどです。
美術史に出てくる人物も、新しい技法を大成させた開祖ばかりだよ
運慶・快慶とか千利休もそんな感じよね
お客さんが選ぶのは、「元祖」か「No.1」だけ
あなたは別に、「歴史に名を残したい」なんて思っていないでしょう。ボクもそんな風に思っていません(成功者になると、そう思うのかもしれませんが)。
しかし、お客さんはそういう目で見てくるのです。買いたいのは、「元祖」か「No.1」のどちらかなんです。
「つけ麺」の生みの親である、東池袋大勝軒の故 山岸一雄さんをご存知でしょうか?
「ラーメン」でもなく、「ざるそば」でもなく、「つけ麺」というメニューを考案した山岸さんは、紛れもなくクリエイティブだったと言えるでしょう。
山岸一雄さんは、つけ麺の世界では神のような存在です。お笑いの世界で言えば、松本人志さんのような、圧倒的なリスペクトを受ける存在でした。
ただ正直なところ、後になってみれば、東池袋大勝軒がメチャクチャ美味いかというと、そうでもありません。普通に美味しいかなって感じです。
後に続く弟子や孫弟子のお店の方が、ぶっちゃけ美味しいです(世間の評価としても)。どんな世界でも、後に続く人の方が優れているのが普通ですから。
でも、やっぱり元祖の味を求める人は多いんですね。東池袋大勝軒は、いつだって多くのお客さんで賑わっています。
しかし後に続くつけ麺屋さんは、純粋に弱肉強食の世界です。元祖の東池袋大勝軒より美味しくても、潰れてしまったお店は数知れません。
あなたがクリエイティブな仕事を成して、その世界の元祖になれれば、あなたの活動は常にリスペクトを浴びることになります。いつもお客さんが絶えないでしょう。
しかし、既存のアイデアを改善する非クリエイティブな仕事をしている限り、リスペクトを浴びるのはNo.1だけです。苦しい競争の世界に身を置かなければなりません。
大谷翔平さんや藤井聡太さんのように、その他全員を力でねじ伏せるだけの力を持っているなら、No.1を目指す道も開かれています。しかしそれは、あまりに険しい茨の道。
一見すると、既存のアイデアを改善する仕事の方が近道に見えるかもしれません。しかし実際には、脳に汗をかいて考えたクリエイティブな仕事の方が、ずっと成功に近いのです。
ここは急がば回れ!もっと脳みそに汗をかこう!
クリエイティブになりたい人に送りたい言葉
ボクには、大事にしている座右の銘があります。
クリエイティブを体現する言葉
- 温故知新
- 巨人の肩の上に立つ
- 守破離
どれも、クリエイティブな発想をするために、メチャクチャ大事なエッセンスが詰め込まれています。
実のところこの3つの言葉は、本質的には同じことを言っているよ!
温故知新
「温故知新」は、古代中国の思想家である孔子の書『論語』に出てくる言葉です。「 故(ふる)きを温(たず) ね、新しきを知る」という意味です。
先人が残してきた昔のことをよく研究して、そこから現在に使える新しい発想を得よう。ということですね。
既に解説してきた通り、全ての新しいアイデアは、過去のアイデアの再構成です。「温故知新」の4文字は、このことをよく表していると思いませんか?
おぉ、確かにそのまんまだ!
よく新しい物好きの人は、最新のテクノロジーばかりに目が入って、歴史のような過去には興味がないと言います。こういう人は、テクノロジーに使われるだけで、クリエイティブな仕事は成せません。
本当に未来を作っていくクリエイティブな人は、過去のことをよく学んでいます。先人が残してくれた素晴らしいアイデアを、現代の文脈で再構成しているんです。
アイデアが豊富な人は、絶対に歴史を勉強しているよ!例外はない!
巨人の肩の上に立つ
「巨人の肩の上に立つ」は、科学の世界で古くから親しまれてきた言葉です。
「私が遠くを見ることができたとしたら、それは巨人の肩に乗ったからです」
アイザック・ニュートンが知人に宛てた手紙
1人の人間が背伸びをしても、遠くの風景は見えません。しかし巨人の肩の上に乗れば、下にいる巨人よりも少しだけ遠くを見渡せるようになります。
「巨人」とは、偉大な先人達が残してきた先行研究の比喩表現。先人達が苦労の末に辿り着いたゴール地点が、後世を生きる人間のスタートラインになります。
こうやって科学の世界は、少しずつ、しかし着実に発展してきました。これが、「巨人の肩の上に立つ」ということです。
エジソンもライト兄弟も、先人達の研究を足がかりにして、偉大な発明を成しました。
科学だけではありません。ビジネスもアートも、人類の発展の全ては、先人達から脈々と受け継がれてきたバトンリレーの集大成です。
そして、集大成を成せるのは、過去からバトンを受け取った者だけ。つまり巨人の肩に立ち、先人のありがたい教えから学んだ人達だけなのです。
さっきの「温故知新」とよく似た意味だね!
Googleの論文検索サービス「Google Scholar」のトップページには、この言葉が書かれているよ!ボクはその心意気が大好きだ!
守破離
「守破離」は、「温故知新」や「巨人の肩の上に立つ」を、実践するためのステップを教えてくれる言葉です。
本来は、武道や茶道の修行のプロセスを3段階で表した言葉でしたが、ビジネスの世界でもよく使われています。大元は、茶の湯の大家である千利休の言葉のようです。
- ステップ①:守
基本を忠実に学び、守って(真似て)、基本となる型をマスターする - ステップ②:破
自分なりに工夫したり、他の流派の教えも学びながら、既存の型を破る(発展させる) - ステップ③:離
これまで培った基本の型・自分なりに発展させた型から離れ、独自の新しい型として大成させる
たった3文字で、これほど美しく真理を表した言葉は、他に思い当たりません。
日本語の素晴らしさに感嘆しちゃう!
守
「守」のステージである最初は、本を読んだり学校に通ったりして、現時点で正解とされている手法を学びます。その業界の「普通」をマスターするわけです。
現時点での正解とは、直近の過去の正解を学ぶことですから、このニュアンスは、「温故知新」と「巨人の肩の上に立つ」にも現れていますね。
破
「破」のステージは、ファッションで言うところの「外し」のニュアンスに近いものがあります。
あなたの中で、「こうしたらもっと良くなるのでは?」と思う「外し」で、より洗練させていくわけです。
お客さんは、教科書通りの「普通」に心は動かされません。「外し」によって、心が動かされるのです。効果的に働いた「外し」は、重要な差別化ポイントになってきます。
ここで絶対に理解しておきたいのは、「普通」がわかっているからこそ、「外し」ができるようになるという事実。
「普通」をわきまえない「外し」は、ただのデタラメ。雑音にすぎません。効果的な「外し」ができるようになるために、先だって「普通」を学ばなければならないのです。
はえ〜、言われてみると確かにそうだね!
全体の調和を維持しながら外しを入れるのって、経験者にしかできないもん!
「守」をサボって、一足飛びに「破」には辿り着けないよ!
離
「守」のステージで、世間一般の正解を学びました。「破」のステージで、そこに外しを加えて改善できることを、身をもって経験しました。
その集大成が、「離」のステージです。世間一般の正解(普通のやり方)から離れ、これまでの研鑽から発見した新しい正解を、独自の型として再構成します。
「あなた流」「あなた派」「あなた式」「あなたスタイル」、呼び方はなんでも構いません。新しい型を大成させ、あなたがその型の創始者になるのです。
深えぇ!3文字にここまでの意味が込められてるのか!
クリエイティブな人間を作る4つの習慣
では総仕上げとして、あなたがクリエイティブな仕事をするために必要なアクションをお伝えしましょう。
これは一朝一夕でどうにかなるものじゃないので、習慣として継続していく必要があります。この積み重ねが、あなたをクリエイティブな人間に変えていきます。
①2つ以上のスペシャリティを持つ
1つのスペシャリティ(専門性)だけだと、掛け合わせるアイデアに限界があります。そのスペシャリティ一本だと、どうしてもガチンコ勝負になってしまいがちです。
大谷翔平さんや藤井聡太さんほどの地力があるなら、ガチンコ勝負でも良いのですが、常人は一本槍ではどうしても天井が見えてしまいます。
そこで、2つ以上のスペシャリティを持っていれば、掛け合わせて新しいアイデアを作りやすくなります。
例えば、板谷波山という陶芸家は、「陶芸」と「彫刻」と「絵画」に造詣がありました。おそらく波山は、どのスキルを取っても、1番というわけではなかったと思います。
しかし組み合わせると、彼にしかできないクリエイティブな仕事になりました。重要文化財の「葆光彩磁珍果文花瓶」は、ちょっと尋常ではない凄みを感じます。
私の場合、1つは長年やってきたお花だね
あと1つはどうしよう?
②歴史を学ぶ
ここで言う歴史は、日本史とか世界史ではありません(こういうザ・歴史を学ぶのも、色々と良いことありますが)。
あなたが取り組んでいる業界の歴史をよく知っておこうということです。
歴史を学べば、先人達が試行錯誤の末にたどり着いた技法や表現方法を、一瞬のうちに理解できます。先人よりずっと短い時間で習得できるでしょう。
過去の優れたアイデアは、新しいアイデアの源泉です。学ばない手はありませんね?
③優れた作品をたくさん鑑賞する
あなたの属する業界に関係なく、優れた作品をたくさん鑑賞すべきでしょう。
むしろ、あなたの業界が普段参考にしていないところに、素晴らしい掛け合わせのアイデアが眠っているものです。
- 美術館に行く
- 映画館に映画を見にいく
- 若者の間で流行っているものをキャッチする
- 高級な飲食店に行ってみる
- オシャレな街を散歩してみる
などなど。
ベタに人気があるものを鑑賞するのも大事です。ウケているものには、ウケる理由があります。「君の名は」を見たり、Adoさんの曲を聞いたりしなきゃいけないですね。
日頃から優れたものに触れておき、アイデアの引き出しをストックしておくイメージです。そうすれば、あなたの脳は自然とクリエイティブになっていきます。
ボク自身も反省が多いんだけど、意識しないとこういう機会はやってこないんだよね
④優れたアイデアを書き留めておく
日頃から優れたアイデアに触れるだけでも有益ですが、メモしていかないとドンドン忘れていってしまうんですね。
- これ、きれい!
- これ、面白い!
- これ、上手いやり方だな!
と思ったら、その瞬間に書き留めて、自分だけのアイデア帳を作りましょう。
テキストだと「Google Keep」にメモしていくのが、今のところ1番使いやすいですね。
ビジュアルなら「Pinterest」がオススメ。気に入った画像を保存して、自分だけのスクラップ帳が作れます。一応SNSの一種ではあるのですが、非公開設定も可能です。
最後に
本サイトは、本来はハンドメイド作家向けの情報を発信をしていますが、今回は全クリエーターに向けた内容を書いてみました。
長年仕事に対して思っていたことや、ボクの座右の銘なんかを絡めて、いつか言語化したいと思っていました。そうして筆を取ったのが、この記事です。
この記事が、あなたに新しい視点を届けられたなら、ボクはクリエイティブな仕事ができたことになりますね。何の発見もなかったのなら、ボクはまだまだということです。
実際のところ、この記事を読んだからといって、いきなりクリエイティブになれるわけではありません。ネタがわかったところで、そうカンタンな話ではありませんね。
しかし、知っていると知らないのとでは、この先の歩み方がずいぶん変わってくるでしょう。知らないままだと、一生かかってもクリエイティブな人間にはなれないかもしれません。
ただ「クリエイティブ」の定義は、人によって異なります。ボクの意見に、膝を打って賛成してくれる人もいれば、それは違うと首を傾げている人もいるでしょう。
他の意見があれば、ぜひ教えてくださいね。
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