現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
多くのハンドメイド作家は、「この作品、ちゃんと売れるかなぁ…」と不安になりながら、日々創作活動をされていると思います。
ひょっとすると、あなたもその1人でしょうか?
でも見る人が見ると、その作品が売れるか売れないかは、一目見ただけで大体わかってしまうんですね。
えー!!そうなの!
うん。100%じゃないけど、だいたいわかるよ
ボクは、専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングをサポートしています。
その中で、「うーん、これは多分売れないんじゃないかな?」と言った作品がいくつかあります。奥さんは自信満々だったので、「そこまで言うなら…」と販売したところ、やっぱり1つも売れませんでした。
逆に、「あ、これ多分売れるからテコ入れしよう!」と言った作品は、実際に大ヒット作品になりました。
なぜ販売する前から結果が見えていたのか?
ボクがセンスの良い目を持っているわけでも、頭が良いわけでもありません。
ポイントがあるんです。そこを見れば、売れるかor売れないが大体わかってしまうポイントが。
それが「ニーズ」と「ウォンツ」です。この両方を満たした作品は、高い確率で売れます。
この記事を読めば、作品が売れるか売れないか判別できるようになります。精度100%とは言いませんが、売れる作品を作れる確率は、格段に上がるでしょう。
絶対損はさせないから、ぜひ最後まで読んでみて!
きっと目からウロコが落ちるはず!
知っておきたい「ニーズ」と「ウォンツ」
「ニーズ(needs)」も「ウォンツ(wants)」も、英単語の意味はだいたい同じ。「必要とする」や「欲しい」という意味です。
しかしマーケティングにおいては、両者を別ものとして捉えます。売れる商品は、最低限どちらかを満たしています。
先に言ってしまうと、本記事の結論は「両方を満たせ!」だよ
まずはニーズとウォンツの違いを、感覚的に理解するところからスタートしましょう。
ニーズ商品とは?
ニーズ商品は、それがないと生活や仕事に支障が出る商品のことです。
「ニーズ=必要性」という解釈です。
ニーズ商品の例
- 米、塩やしょうゆなどの食料品
- 電気、ガス、スマホなどの生活インフラ
- 衣服、下着などの衣料品
- トイレットペーパーや石鹸などの消耗品
- 家具、家電
- 子供が学校で使う制服やノートなど
- 仕事用のカバン、名刺入れ
- (男性なら)スーツ
- (女性なら)化粧品
不況だろうがリストラされようが、必要なものは必要。何とかやりくりして買わざるを得ない。それがニーズ商品です。
駅で配っているチラシって99%受け取らないですよね?チラシにはニーズもウォンツもないから、受け取る理由がないんです。
そこでチラシを受け取ってもらうためにニーズを持たせたのが、ポケットティッシュや夏に配っているうちわというわけです。
ウォンツ商品とは?
ウォンツ商品とは、それがなくても生活に支障はないけど、欲しくなってしまう商品のことです。
「ウォンツ=欲求」という解釈です。
ウォンツ商品の例
- 外食
- レジャー
- 宝石、腕時計
- 高級車などの高級〇〇
- キャラクターグッズ
- コレクターグッズ
- アート作品、インテリア
総称すれば「嗜好品」あるいは「ライフスタイル商品」ですね。
「単車(バイク)を欲しがる男子高校生」を想像してみてください。
実家の車を使わせてもらうでもなく、使い勝手の良いスクーターでもなく、値が張る割に不便な単車を、1年間もバイトして買うわけです。
それはなぜか?その活力はどこから湧いてくるのか?
カンタンです。カッコいいから。それだけです。「単車に乗っているカッケー俺」に、心がときめいちゃったわけです。
この感覚が、まさにウォンツ。純度の高いウォンツは、「憧れ」に近いニュアンスを持っています。
ウォンツ商品は、その時々の懐事情によって需要に差が出ます。不景気だと、売れ行きが悪くなります。
とはいえ現代日本は、戦後間もなかった頃のような貧しい社会ではありません。どんなに不景気でも、ほとんどの日本人が何かしらのウォンツ商品を購入しています。
ニーズとウォンツを隔てるものの正体
ニーズとウォンツの感覚的な違いは、十分に理解してもらえたのではないでしょうか。
この章では、より本質的にニーズとウォンツの違いを掴んでいきましょう。
ここで紹介したいのが、「マズローの5段階の欲求」です。
心理学者のアブラハム・マズローは、人間の根源的な欲求を5段階に分類しました。
欲求の段階 | 欲求の中身 |
---|---|
①生理的欲求 | 食欲や睡眠欲などの生命維持に関する欲求 |
②安全の欲求 | 身の安全や身分の安定への欲求 |
③所属と愛の欲求 | 他人とのつながりを求める欲求 |
④承認の欲求 | 自尊心や他人からの評価を求める欲求 |
⑤自己実現の欲求 | 自分らしさや、自分のやりたいことを追求したいと考える欲求 |
人間は、低次の欲求から優先して満たしていきます。そして低次の欲求がある程度満たされると、次の段階にシフトしていきます。
紛らわしいのですが、この5段階の欲求は、「欲求=ウォンツ」の意味ではありません。もっと根深い、人間のあらゆる行動の動機になる本能のようなものです。
ん?わかるような、わからないような…?
読み進めれば何となくわかるから、今は深く考えないで大丈夫だよ
ニーズ商品は「機能」を満たす
まずは、生命を維持するための低次の欲求が優先されます。
そのため衣食住のような、物理的に身を守るモノを求めます。これがニーズ商品なんですね。
- 「生理的欲求」を満たすトイレットペーパー
- 「安全の欲求」を満たす電気やガス
低次の欲求は、ある程度満たされれば満足します。隣人より多くの電気を欲しがる人も、ラグジュアリーなトイレットペーパーを求める人もいませんよね。
ニーズ商品の本質は「機能」にあります。
トイレットペーパーは、お尻を拭く機能にお金を払っています。ちゃんと拭けて、肌が痛くならなければ、それ以上の機能は求めません。
ニーズ商品は、「機能」に対してお金を払っている!
人が求める機能には、必要十分なラインがあります。それ以上のオーバースペックには価値がありません。
そのため、ニーズ商品の値段には天井があり、高くは売れません。
ウォンツ商品は「心」を満たす
低次の欲求がある程度満たされると、生活に不自由しなくなります。物理的に身を守る機能は十分に揃っているので、これ以上モノは必要ありません。
では次に満たそうとするのは何でしょうか?
そう、心ですね。高次の「承認欲求」と「自己実現の欲求」は、心を満たすための欲求です。
- 移動するために1,000万円のレクサスはいりません
- 時間を確認するために100万円のロレックスはいりません
つまりウォンツ商品は、機能を買っているわけではないのです。機能はおまけ。なんなら、絵画や宝石には機能すらありません。
本質的には、ウォンツ商品を消費することで満たされる「心」を買っているんです。
ウォンツ商品は、「精神的な充足感」に対してお金を払っているんだ!
不思議なもので、心の欲求には終わりがありません。永遠に求め続けてしまう根深い欲求です。
だから、心を満たすウォンツ商品は、金額に天井がありません。ゆえに、高い値段でも売れてしまうのです。
ニーズ商品とウォンツ商品の中間
ニーズ商品ともウォンツ商品とも言い切れない、中間に位置する商品も存在します。
5段階の真ん中に位置する「所属と愛の欲求」を満たす商品です。
- 結婚指輪
- 子供へのクリスマスプレゼント
- 〇〇祝いで贈るギフト
などのように、「自分以外の他人と良好な関係を保つための商品」がこれにあたります。
子供へのクリスマスプレゼントは、別になくても生命に危機は及びません。
しかし親にとっては、義務感に近いものがあります。生活に困っていても、自分の買い物は我慢しても、何とか捻出したいもの。ここはニーズ商品っぽいところです。
ただプレゼントを買う親が求めているのは、子供の喜ぶ笑顔。満たしているのは心です。ここはウォンツ商品っぽいニュアンスがありますね。
ニーズ商品に近い強制力があるけど、普通のニーズ商品よりも高額で売れるケースが多いね
あれ?それって美味しいってこと?
ぶっちゃけ美味しいジャンルだね!
ニーズもウォンツもあるから
4象限のマトリックスで分析しよう!
商品を、ニーズとウォンツの有無によって4パターンに分けられます。
この4パターンの当てはまり具合で、その商品が売れるか売れないかが大体わかってしまいます。
「ニーズ◯ / ウォンツ◯」→いますぐ高く売れる
ここまでの話を聞いていて、勘の良い人は気づいたかもしれません。
「洋服って、必要最低限なニーズ商品であると同時に、嗜好性のあるウォンツ商品でもあるよね?」と。
まさにその通り。ニーズとウォンツは、同時に満たすこともできるのです。相反するわけではありません。
元々生活に必要な商品を、デザインで差別化させたり、ラグジュアリー化させているわけです。スーツや化粧品やカバンもそう。外食や車もそうです。住宅もそうですね。
地方住まいや仕事で使う人なら、車は必要だから何かしら買うわけです。ただせっかくなら良い車が買いたい。こういう心の動きです。
ニーズとウォンツの両方を満たした商品は、売れます。しかも高く売れます。
ハンドメイド作家が狙うべきは、まさにここ!
なるほどー!わかりやすい!
なお季節物など、タイミングを選ぶ商品もあります。
モンクレールのダウンは、ウォンツを満たすラグジュアリーアイテムです。冬が近づくとニーズがあるので売れますが、夏はニーズがないので売れづらいでしょう。
「ニーズ◯ / ウォンツ×」→安くしか売れない
ニーズだけを満たした商品は、必要なので売れはします。
ただし用さえ足せればOKなので、基本的に高く売れません。見た目のデザインによって差別化できるわけでもなく、ただただ機能だけで品定めされます。
難病の医薬品など例外的に高い値段がつくこともケースもありますが、基本的にはトイレットペーパーのように安い方へ流れていきます。
ニーズ商品は機能に値段がつくから、機能性がバツグンに高ければ高く売れるかもしれないけど…
ハンドメイドで機能性を追求するのは現実的じゃないな…
「ニーズ× / ウォンツ◯」→いますぐ売れない
生活には必要ない、純粋に精神だけを満たす商品です。絵画や宝石などが該当します。
昔はスーツを着る仕事に腕時計は必須でしたが、その風潮もすっかり廃れましたね。今や腕時計もニーズがないウォンツ商品になりました。
当然ながら購入の優先順位は、
- 生活必需品であるニーズ商品
- ニーズとウォンツの両方を満たす商品
- 純粋なウォンツ商品
です。ウォンツだけを満たす商品は、必要性がないので1番最後。
ロレックスよりもレクサスの方が優先順位は高い
だって車は、必要な人には必要だから
色々買っても、まだ懐に余裕がある人だけが買っていくわけか
「いますぐ買ってもらえない」は、ビジネスにとってかなり痛いです。
いつか買ってくれるなら良いですが、永遠に「高嶺の花」で終わってしまうことも少なくありません。いつしか欲しかったことすら忘れてしまうかも。
これが純粋なウォンツ商品の弱点なんですね。バカみたいに利幅が取れるブランドでもない限り、この領域では商売が成り立ちません。
有名なアート作家になれたら、ここで商売しても良いかもね
「ニーズ× / ウォンツ×」→売れない
ニーズもウォンツもない商品は、河原の石ころと同じ。誰も欲しがりません。
駅で配られているチラシは、石ころを同じだから受け取らないのです。
こんな商品をあえて作る人はいないでしょう
特に説明はいらないね
ハンドメイド作品で「ニーズ」と「ウォンツ」を満たすには?
奥さんとハンドメイドイベントへ遊びに行くと、「ニーズ」か「ウォンツ」のどちらか一方しか満たしていない作品をよく見ます。
そういう作品を見ると思わず、
「あ〜、あの作品は多分売れないだろうね。すごく上手なのにもったいない」
と、小声でつぶやしてしまいます。
こうなってはいけません。
ここが肝心どころ。ハンドメイド作品で、「ニーズ」と「ウォンツ」の両方を満たすための方法を解説します。
早く教えて〜!
「ニーズ」を満たすジャンル選定
「ウォンツは満たしているけど、ニーズがない」
これが、ハンドメイド作家が犯す典型的な間違えです。
ボクの奥さんは、フラワーアイテムを作る作家です。最初に作った作品が、「子供用の花かんむり」でした。
本人は会心の出来と自信満々。確かに見た目は良かったです。公園で子供に被らせたら、他所のママさんに「あれ、かわいい〜!」なんて言われてましたね。
でも、1個も売れませんでした。
そりゃそうですよね。だって、花かんむりは生活に必要ないでしょ?
もし着実に売れる作品を作りたければ、必ず必要性のあるジャンルを選んでください。
先日、「どんぐり共和国(ジブリのキャラクターショップ)」に立ち寄ったときのこと。「トトロのカラビナ」に目を奪われました。
ボクは、バックパックにカラビナをつけて、携帯用消毒剤なんかを引っ掛けています。ボクにとって、カラビナは必要性のある商品ジャンルです。
もしただのぬいぐるみやキーホルダーだったら、欲しいとは思いません。ボクにとって必要なカラビナの形をしていたから、欲しいと思ったのです。
絵画やオブジェでは、どんなに出来栄えが良くても「まぁ、ステキ」と言われるだけ。なかなか手に取ってもらえません。
- 「絵」を売りたいなら、
「Tシャツ」や「エコバック」や「スマホケース」にしてください。 - 「オブジェ」を売りたいなら、
「ブックスタンド」や「ティッシュカバー」にしてください。
ちなみに奥さんの最初のヒット作品は、リングピローでした。
リングピローも生活に必要ないだろって?
いえいえ、リングピローは結婚式の必須アイテムですよ?
ニーズを見極める質問
ホントは企業秘密にしておきたいのですが、目安をコッソリお教えしましょう。
- 火事で持ち物全てが焼けてしまった後で、買い直すものか?
- その作品を使用するシーンは、それなくして成立しないものか?
の、どちらかが「YES」ならニーズありと見込めます。
アクセサリーは役に立たないので、本来はニーズ商品ではありません。
しかし火事で持ち物が全焼しても、女性はいくつかのアクセサリーを買い直すでしょう。それはもう必需品ということです。であるならニーズありと判断できます。
シンプルだけど、めっちゃ使えるノウハウだから覚えておいて!
おっけー!
なおこの質問は、万人の答えが「YES」である必要はありません。あなたのお客さんが「YES」と答えてくれれば、それでOKです。
家に仏壇があるお客さんなら仏花は必要ですし、カメラ好きのお客さんならカメラストラップは必需品です。他の人の要否は関係ありません。
「ウォンツ」を満たすデザイン
ハンドメイド作品で、「ウォンツ」を全く満たしていないケースは少ない印象です。
もちろん人によって趣味嗜好が異なるので、刺さる人・刺さらない人はいます。
しかし作家本人は、心がときめくような作品を作っているはずです。「ウォンツ」が全く意識されていないケースは少ないでしょう。
もしあるとすれば、3Dプリンターで作ったアイデア商品などでしょうか。
使い勝手の良いオリジナルのスマホスタンドは、確かに欲しくなるかもしれません。
しかし、ただプラスチックや木材で出力した何かに、心は動かされません。機能性に対して1,000円かそこらは払っても、5,000円や1万円を払う人はいないでしょう。
ウォンツで心が動かされるのは、
- (ステータスとしての)ラグジュアリー
- (お客さんにとって)自分らしいデザイン
のどちらかです。
ただハンドメイドの場合、ステータスとしてのラグジュアリーでは売りづらいですね。よほど箔のついた作家でない限り、ハイブランドのような付加価値はついていませんから。
狙うのは、「お客さんが理想とする、自分らしい自分」を体現できるデザインです。
「キレイ」や「かわいい」も重要ですが、それだけでは売れません。その先に「自分らしさ」を感じ取れない限り、お客さんの心は動きません。
「自分らしいデザイン」とは?
ぜひ思い返してみてください。
アパレルショップや雑貨屋で、「かわいいだけの商品」は何千回も目にしていると思います。でもそのほとんどは、足も止めずに素通りしていますよね?
逆に「どうしても欲しくて買ってしまった商品」もあったはずです。目が釘付けになり、思わず立ち止まってしまった。そんな商品です。
その違いは何でしょうか?
きっと、「どうしても欲しくて買ってしまった商品」には、グッと来る映像が浮かんでいたのではないでしょうか?
それを身につけたり、自宅に飾ったりしている映像が。その映像が、いかにも「あなたが理想とする自分らしいイメージ」だったのではないでしょうか?
モノ単体じゃなくて、自分が使っているシーンを思い浮かべてときめくもんね
でしょう?
この話はすっごく深いから、↓の解説記事も参考にしてね
まとめ
「ニーズ」と「ウォンツ」を見れば、売れるかどうかがわかっちゃう!
これスゴいノウハウじゃない?
シンプルだし、直感的に判断できそう!
ぶっちゃけこれ意識するだけでも、月10万くらいは売れちゃうかも?
この記事をまとめます。
ニーズ商品とは?
- 「ニーズ商品」は、生活する上で不可欠な商品
- 「ニーズ商品」は、機能を満たす商品。機能性に対してお金を払う
- 「ニーズ商品」は、高く売れない
ウォンツ商品とは?
- 「ウォンツ商品」は、生活に必須でないが、欲しくなってしまう商品
- 「ウォンツ商品」は、心を満たす商品。精神的な充足感に対してお金を払う
- 「ウォンツ商品」は、高く売れる
ハンドメイド作家が目指すべきは?
- 「ニーズ」と「ウォンツ」の両方を満たす作品を作るべし
- 必要性がある作品ジャンルを選ぶ。絵画やオブジェでは売れないので、Tシャツやブックスタンドのように需要のあるジャンルを選ぶ
- 「キレイ」や「かわいい」だけでなく、お客さんの自分らしさを体現するデザインを施す
あなたがすでに箔のついた一流作家として認知されているなら、必要性(ニーズ)がない作品でも売れるかもしれません。
しかし99%のハンドメイド作家は、その域には達していません。センスだけで売れるとは、決して思わないでください。
ぜひ売れている作家さんを観察してみましょう。彼ら彼女らの作品は、「ニーズ」と「ウォンツ」の両方を巧妙に満たしているはずです。
ボクの奥さんも、ここに気づくだけで売上を10倍に伸ばしました。それくらいインパクトがあります。最初の壁くらいは、カンタンに打破できるでしょう。
ぜひ作品作りで、「ニーズ」と「ウォンツ」を意識してみてください!
コメントを残す