現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
あなたはハンドメイド作品の材料をどこから仕入れていますか?
趣味ならどこでどう仕入れてもいいんですが、仕事でやるなら守らなければならないルールがあります。
仕事でお客さんに売るなら、次の条件を全て満たさなければなりません。
- お客さんが満足するクオリティーを担保しなければならない
- 利益が残る価格で仕入れなければならない
- 継続的に仕入れができなければならない
1つでも満たさなければ、ビジネスは破綻します。あなたのハンドメイド活動は、仕事ではなくなるということです。
なんか怖いこと言ってる…
と言っても、秘密の裏ルートをから仕入れなければならないわけではありません。常連からの紹介が必要とか、個人はお断りなんてこともありません。
この記事で紹介する「仕入れの黄金のルール」さえ知っていれば、誰でも問題なく仕入れ先を選べます。
ハンドメイド作家の多くは、良くも悪くもクリエーター気質。最高の作品を仕上げることに全意識が向いて、ビジネスとして長期継続するという視点が欠けがちです。
そういうクリエーターの姿勢好きだけど、大事なものを守るには最低限のビジネス感覚が必要!
大事なものとはすなわち、
- あなたやあなたの家族の生活を守ること
- 大好きなハンドメイド活動を続けること
ですよね?
この記事で教えるのは、あなたの大事なものを守るために、最低限知っておきたいビジネスルールの1つです。
長く安定してハンドメイド作家として食べていきたい人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
材料仕入れの黄金のルール
さっそく、ハンドメイドの材料を仕入れる上で、守って欲しいルールを紹介します。
仕入れの黄金のルール
- 高品質素材を選ぶ
- 安定供給の品を選ぶ
- 問屋から卸価格で仕入れる
これさえ守ってもらえれば、どこで仕入れてもらっても大丈夫です。
ルール①:高品質な材料を選ぶ
あなたには、大きく分けて3つの選択肢があります。
- 「高品質」な材料を仕入れて、「高く」売る
- 「中品質」な材料を仕入れて、「中くらい」で売る
- 「低品質」な材料を仕入れて、「安く」売る
どのポジションでもビジネスは成立します。飲食店を想像するとわかりやすいでしょう。
さて、あなたはどれを選ぶべきでしょうか?
答えは、「①高品質で高く売る」です。
ハンドメイドは、どうしても制作数に限りがあります。
仮に1ヶ月を20営業日とし、1日に1個制作できるとしましょう。
そうすると、1ヶ月で製作できる作品数は20個ということになります。
この20個を売って生活することを考えてください。1個あたり1.5〜2万円で売らないとキツいですよね。
1日で作れる個数は、ジャンルにより異なる。あなたのケースに当てはめて考えてみてね
ファーストフードやファストファッションが、低単価でビジネスが成り立つのは、大量生産&大量販売できる体制があるからです。
しかし、売れる個数が少ないなら、高く売るしか選択肢がありません。個人の作家は、大企業のビジネスとは根本的に異なります。
ハンドメイド作家は、高い材料を仕入れて、高い値段をつけるのが自然でしょう?
100均はNG
というわけで、100均で材料を仕入れるなど言語道断です。
ボクの奥さんはフラワーアイテムを作っています。花材の仕入れは全て、プロが使う専門店から。100均なんて絶対に使いません。
ただし例外もあります。
- 作品のコアな材料じゃない
- どこで買っても品質に大差ない
なら、100均でも良いでしょう。
例えば、輪ゴムとか、小分けのビニール袋とか。
ルール②:問屋から卸価格で仕入れる
問屋から仕入れると、通常価格から30〜50%OFFの卸価格で仕入れることができます。
いずれも東京になりますが、
- 浅草橋
- 日暮里
- 御徒町
の問屋街が有名ですね。
ボクの奥さんはフラワーアイテム制作していて、花材を問屋から仕入れています。花材はけっこう値が張るので、卸価格で仕入れると、手元に残る利益が劇的に増えます。
材料費はさほどかからず、ほぼ「人件費=コスト」であれば、気にしなくてもOKです。でも普通は、材料費もコストの大部分を占めているのではないでしょうか?
ぶっちゃけると、正規の値段で仕入れてたらビジネスにならないよ!
赤字にはならないけど、生活費を稼ぐってなったら、卸値じゃないとキッツイよね
ハンドメイド作家が問屋で買うには?
ここで疑問になるのが、「はたして一般の個人でも、問屋で買わせてもらえるのか?」ですね。
結論を先に言うと、答えは「YES」です。
問屋には、次の2タイプがあります。
- そもそも業者しか購入できない
- 個人も購入できるが、卸価格は業者のみ
どちらも共通しているのが、無条件に卸価格は適用してくれないということ。これは当たり前の話で、一般のお客さんにまで安売りしてしまっては、市場価格が崩れてしまうからです。
そのため卸価格で仕入れるには、問屋さんに、「あなたも一業者である」と認めてもらわなければなりません。
業者として認定されるためアイデア
- 屋号の名刺を作る
- 一定の売上を作る
- ホームページを持つ
- 法人化する
確実なのは法人化しておくこと。法人化しておき、なおかつ社長の名刺を出せば、大抵はOKが出ます。ちゃんと活動が見えれば、規模の大小はほぼ問題になりません。
法人化していなくても業者認定してくれはしますが、その場合は販売ページやホームページなどで、活動実態をキッチリ示す必要があるでしょう。
うちが使っている花材問屋は、「法人なら即OK」「法人以外はホームページ必須」だったね
条件はその問屋さんのポリシー次第なので、確認してみてね
ルール③:安定供給の品を選ぶ
材料が安定供給されているかどうかは、ビジネスの継続性に必要不可欠な要素です。
普通のメーカーは神経質になるくらい気にしていますが、個人の作家には見逃されがちなんですよね。
一般的にメーカーのは、1社しか生産していない材料は避けます。その1社が潰れたり、ディスコン(廃盤や生産中止)を決定した瞬間に、完成品が作れなくなるからです。
完成品が作れなければ、販売できない!
ビジネスには死活問題だ!
このメーカーが生き残るために身につけた処世術は、ハンドメイド作家も見習うべきでしょう。
- 有名メーカーの定番商品だけを仕入れる
- 複数の販売店が取り扱っている商品を仕入れる
を徹底しましょう。
安定供給に難あり材料の特徴とは?
一概に言い切れませんが、次のような材料は注意が必要です。
安定供給に難あり材料の特徴
- 限定品
→供給に難があると言っているようなもの - 特売品
→廃盤になる(またはもうなっている)可能性が高い - 輸入品
→海外の都合に左右され、コントロールも交渉もできない - 新作
→一概にダメではないが、定番化するまではリスクあり
例えば、特売で安い材料に飛びついて、2度と手に入らなかったらどうなるでしょう?
また同じような材料を探さなければなりませんね。その手間にかかる時間もコストにカウントすべきでしょう。
継続的に手に入ることは、安いことよりも、優先順位が高いのです。
輸入品を使うケースが正当化されるケース
ただし、輸入品を仕入れることが強みになるケースが存在します。
例えば、洋裁やバッグのように、布地を使う作家さんです。
「日暮里のトマト」は有名な生地屋さんです。一見すると大量の生地を売っています。しかし商用可能でセンスの良い柄の生地は、案外と限られるかもしれません。
そうすると、ライバル作家と生地の柄が被るケースがどうしても起こってしまいます。多少カタチは違っても、柄が同じでは、差別化の観点で問題がありますね。
天然石を使う作家さんも、このパターンにハマるかもね
他の作家は知らないであろう海外業者から、独自に仕入れるルートを開拓することが正当化されるでしょう。安定した仕入れに難があったとしても。
このようなケースは、材料によって、完成形がある程度決まってしまうジャンルだけに起こる現象です。
刺繍作家や、ネイルチップ作家や、レジン作家には当てはまりません。なぜなら、作風の自由度が高いからです。
仕入れ時の3つの注意点
さて、お気に入りの仕入れ先が見つかったとして、喜び勇んで購入するのはちょっと待った!
重箱のスミをつつくようで申し訳ないんですが、次の点に注意しないと失敗します。
仕入れ時の注意点
- 先に作りたい作品のイメージを固める
- ネット購入は色やサイズに注意
- 初回は小ロットで
それぞれ解説します。
注意点①:先に作りたい作品のイメージを固める
仕入れのお店は、あなたにとってパラダイス。夢のような空間が広がっていることでしょう。あれもこれも輝いて見えます。
しかし、目に留まったものを無計画に買ってしまっては、使えない材料が山のように積まれるだけ。
お金と置き場所に困っていないなら、そういうどんぶり勘定的な買い方も良いでしょう。しかしあなたはきっと、そこまでの余裕はない。そうでしょう?
- まずは、お客さんが欲しがる作品を考える
- 次に、どんな作品でお客さんのニーズを満たすか考える
- そして、その作品に必要な材料にあたりをつける
- そうした上で、材料を仕入れる
という順番です。
なお、どんな材料が買えるかをチェックした上で、作品を考えるパターンもあると思います。それならいきなり買わずに、店をグルッと見て回ってください。
注意点②:ネット購入は色やサイズに注意
ネットで購入する場合は、スクリーン上では色味が異なって見えることがあります。
複数サイトで複数の画像を確認して、実際の色味をチェックしましょう(結局複数サイトで、メーカー提供の同じ画像を使っているケースも多いんですが…)。
また直に見ていないので、画像からだとサイズ感が掴みにくいところがあります。
寸法をチェックし、手元で定規やメジャーで確認しましょう。
住んでいる場所によっては困難なことは承知だけど、やっぱり実際にお店に足を運んで買うのがオススメかな
注意点③:初回は小ロットで
お店で見たときは、おしゃれでジャストフィットだった洋服のはずなのに、家に帰って合わせてみたら、なんだかイメージと違う。
こんな経験、ありませんか?
あるある!不思議だよね
お店だと頭おかしくなってんのかな?
ハンドメイドの材料も同じ。お店でワクワクしながら買っても、いざ制作で使おうとしたら、なんかイメージと違うということがあります。
- サイズが合わない
- 穴にピッタリはまらない
といった、物理的にNGが発覚するケースもあります。
まずは少量だけ購入し、ちゃんと使える材料であることを確認しましょう。
たくさん買った方が割引がかかってお得だったとしても、1発目は我慢してください。たくさん買って、使い道がなかったらキツいでしょう?
お客さんに素材の違いをアピールせよ!
ここまでは、他にも解説してくれる人はいるでしょう。
しかし、この材料仕入れの話には続きがあるのです。とっても重要だけど、誰も話してくれないビジネスの根幹に関わる話です。
お客さんは材料なんてどうでもいい
実は、お客さんは材料なんてどうでも良いと思っています。
「高い材料を買えって言ったじゃないか!矛盾してるぞ!」と言われそうですね。でも間違ってはいません。
お客さんが求めているのは、素材そのものではなく、素材がもたらしてくれる理想の未来の方。マーケティングでは、この理想の未来のことを「ベネフィット」と呼びます。
高級レストランのお客さんは、高価な食材を求めているのではなく、高価食材がもたらしてくれる「美味しい」という 「ベネフィット」を求めているんです。
それって、何か違うの?
大違いだよ!言葉遊びでもなんでもない!
ボクの奥さんはフラワーアイテムで作品を作っています。花材には、本物のお花であるプリザーブドフラワーやドライフラワーもあれば、作り物の造花もあります。
両者に優劣があるわけではありません。どちらがお客さんにとって都合が良いかは、ケースバイケースです。
本物のお花 | 造花 |
---|---|
プリザーブドフラワーやドライフラワーなど | プラスチックや布でできた人工のお花 |
本物のお花なので、至近距離でみても美しい | 至近距離だと粗が映るが、遠目では本物と見分けられない |
繊細で崩れやすい | 丈夫で、多少振っても崩れない |
持ちは1〜3年程度 | 持ちは5〜10年程度 |
イベント事や至近距離で鑑賞するシーンなら、本物のお花であるプリザーブドフラワーやドライフラワーが向いています。
お店などに飾るなら、丈夫で長持ちする造花の方が都合が良いです。また子供が持つシーンも造花が安心だったりします。
でもお客さんは、「本物のお花が良い」とか「造花が良い」とか思っていないんですね。素材なんて、これっぽっちも気にしていません。
- 結婚式をより華やかにしたい
- メンテナンス不要で長くお店に飾りたい
- 子供が振り回したり落としたりしても大丈夫
といったベネフィットを叶えてくれるかどうかだけが、関心ごとなのです。
ボクが「高い材料を買え!」と言っているのは、高い材料ほど、美しかったり、丈夫だったりして、お客さんにより大きなベネフィットをもたらすから。
大事なのは、値段の高さではなく、お客さんにもたらすベネフィット。ここは履き違えないようにしてください。
お客さんは違いなんてわからない
お客さんは、基本的に素人です。もしプロだったら自分で作れるんですから、わざわざあなたからは買わないはずです。
「芸能人格付けチェック」を見たことがある人はわかるでしょう。Gacktさんを除き、ほとんどの素人は素材の違いなどわかりません。
いつも高いレストランで食べているお金持ちも、実のところ高級店とスーパーの寿司の違いがわからないのです。
この事実は真摯に受け入れよう!
素材の違いを説明せよ!
プロフェッショナルな作家さんにありがちなのが、「違いがわからない人は買わなくて良い」というストロングスタイルです。
しかしすでに述べた通り、お客さんは素材の違いなんてわかりません。そんな上から目線では、あなたの作品はただ高いだけで、いつまで経っても売れません。
大事なのは、違いがわからないお客さんに、違いを懇切丁寧に教えてあげることです。ビジネスっぽく言えば、「お客さんを教育する」のです。
お客さんは、あなたの作品を単体で見ても、それが良いか悪いか判断できません。しかし見るべきポイントを教えてもらい、他と見比べれば、その違いを理解します。
- 「材料」:なんという名前の素材を使っていて、
- 「メリット」:それはどんなスゴい特徴があって、
- 「ベネフィット」:お客さんにどんなハッピーを届けられるのか
を熱烈にアピールしましょう。
比べてみて!
- 「材料」:ウチが仕入れてる青森県大間のマグロは、
- 「メリット」:良質なエサを食べて育っているから、脂の質が違うんだ
- 「ベネフィット」:だから味が濃くて口の中でとろけるんだよ!
比べてみて!
- 「材料」:ウチが仕入れてる天然パールは、
- 「メリット」:国産で普通のパールよりも1.2倍も大きいんだ
- 「ベネフィット」:だから身につけたときの存在感が桁違いなんだよ!
比べてみて!
- 「材料」:ウチの財布で使っているコードバン革は、
- 「メリット」:厚さとハリが違うんだ
- 「ベネフィット」:だから丈夫で一生モノになるんだよ!
と言われれば、お客さんはあなたの優位性をちゃんと認めてくれます。
コツは、「数字」や「画像」で、違いを明確に示すこと。ハンドメイドは、ビジュアルが大事なので、画像で違いを見せるのが特に効きます。
ちゃんと素材の良さを伝えない限り、あなたがいくら材料費をかけていても、その魅力はお客さんに伝わりません。
逆に言えば、他の作家も同じように高品質な素材を使っていても、あなただけがその違いをキッチリアピールしているなら、お客さんはあなたから買いたいと思うのです。
果物とか野菜も、糖度〇〇%とか言ってるもんね!
花だったら、あえて100均でショボい花材を買ってくるんだよ
それで高品質な花材と並べて写真を取る。そうすれば違いが一目瞭然!
オススメの仕入れ先
最後に、汎用的に使える仕入れ先を紹介します。
ただあなたが本当に仕入れるべきお店は、あなたの作品ジャンルによって異なります。その業界にいないと知らないお店であるケースも多いでしょう。
あくまで一般的な仕入れ先と思って見てください。
実店舗仕入れ
- ユザワヤ:布、手芸、裁縫用品
- ドリーム:布、手芸、裁縫用品
- PARTS CLUB:アクセサリー用パーツ
- 貴和製作所:アクセサリー用パーツ
この辺りは、ハンドメイドに興味がある人ならみんな知っているかと思います。
ネット仕入れ
- NETSEA(ネッシー):ハンドメイド素材全般
- スーパーデリバリー:ハンドメイド素材全般
こちらは、いわゆる「卸サイト」と呼ばれるサービスです。
様々な業種の問屋さんが出店していて、言ってみれば「問屋版の楽天」みたいなものです。ハンドメイドだけでなく、ありとあらゆる品物が卸価格で購入できます。
気軽に問屋街に行けない地域に住んでいる人には、メチャクチャ便利ですね。
「あ、これも卸で買えるんだ!」という発見があるので、いつも通っているお店にはない、意外な出会いもあるでしょう。覗くだけでも価値ありです。
ただし入会審査があります。個人でも、活動実態が分かれば問題なくパスできると思います。minneやcreemaのようなプラットフォームだけでも通りました。
わたしは直で問屋に買い行くけど、卸サイトもちょこちょこ見てるよ!
まとめ
今回はちょっと変化球。プロ志向の仕入のルールを解説したよ!
色々あるけどさぁ、やっぱ卸価格で買えるのが美味しいよねー!
半額とかウマすぎる!
あとは見逃されがちだけど、継続的に調達できる定番品を仕入れるのも重要だよ!
この記事をまとめます。
仕入れのルール
- 高品質な材料を選ぶ
ハンドメイドは高く売るのが鉄則。ならば高く売れる材料を仕入れるべし - 問屋から卸価格で仕入れる
30〜50%OFFで買えるので、手元に残る利益が段違い - 安定供給の品を選ぶ
継続的に仕入れられなければ、作品を販売できなくなる
仕入れる時の注意点
- 先に作りたい作品のイメージを固める
- ネット購入は色やサイズに注意
- 初回は小ロットで
お客さんに材料の良さを伝えよう
- お客さんは素人なので、素材の良し悪しは見分けがつかない
- 「違いがわからない人は客じゃない」と突っぱねると、買ってくれる人がいなくなる
- 数字や画像で素材の違いをハッキリ示して、お客さんを教育すべし
これさえ分かっていれば完璧です!
あとは、あなたのセンスで材料を仕入れて、ステキな作品を作ってくださいね!
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