現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
マーケティングに、「リサーチ」は欠かせません。ハンドメイド作家も同様です。
こと「リサーチ」と聞くと、インターネットで競合を調べたり、SNSをチェックしたりすることだと思われがちです。
しかしこれは、大きな間違いです。
なんと…!みんな、インスタでリサーチがどうとか言ってるけど、違うの?
どんな作品を作るかの大まかな方針を決めるには、ネット上を徘徊する机上リサーチは必要です。でもそれだけではダメなのです。
机上リサーチには、決定的に「現場感」がありません。地に足つけて生きている国民を見ずに、雲の上で議論を交わしている政治家と同じ。まさに「机上の空論」なのです。
ボクはサラリーマン時代に、新規事業企画を経験しました。
机上リサーチから、どんなにキレイなプランを企画したところで、「ふーん」で終わり。「で、お客さんは買ってくれんの?」に、「YES」と答えなければ、企画は承認されません。
あなたの作品が売れるかどうかを知っているのは、「お客さん」だけ。お客さんに直接話しを聞く「ユーザーインタビュー」こそ、最強にして究極のリサーチ方法なのです。
しかし、ただ話しをすれば良いわけじゃありません。効果的な意見を引き出すための「インタビューのお作法」が必要です。
ビジネス最前線でユーザーインタビューの仕方を研究し、試行錯誤の末にたどり着いたノウハウです。その辺のハンドメイドコンサルさんには、決して書けない内容です。
いやー、この記事を見つけたあなたはラッキーだよ
あなたのライバル作家は、ユーザーインタビューなんてやってません。やり方も知りません。やろうとすら思っていません。
あなただけが、人知れず「売れる作品の秘密」にアクセスできるようになるのです。
かたや「雰囲気で作品を作る作家」と、「お客さんの勘所を熟知した作家」の比較ですからね。勝負になりませんよ。
*「インタビューは必要不可欠」みたいなノリで伝えましたが、実際には上級者向けの内容です。コンスタントに月数万円〜売れる作家さんが、次のステップに進むために読んでください。
インタビューの設定
まずは、インタビューを開催するにあたっての諸条件を確認していきましょう。
ターゲット以外のインタビューは時間のムダ
お客さんになり得ない人の意見は、全く意味がありません。もしあなたが女性向けアクセサリーを売る作家だったら、彼氏や旦那さんに話しを聞いても時間のムダです。
ボクも、作家さんから意見を求められる機会がチョコチョコあります。ビジネス目線でアドバイスはできますが、実際に売れるかどうかは、お客さんじゃないのでわかりません。
基本的には、
- あなたの作品を買ったことがある人
- あなたの作品を買おうか悩んでいる人
- あなたのフォロワー
に話しを聞きましょう。
より濃いファンほど、良いインタビュー対象になります。1番は、すでにあなたの作品を買ったことがある既存のお客さんですね。
ファンの話を聞く!募集は、インスタからしようかな!
インタビューは原則1対1
インタビューには、
- グループインタビュー
1人のインタビュアーが、複数人に同時にインタビューする - デプスインタビュー
1対1のインタビュー
があります。
が、グループインタビューはやる意味がありません。
グループインタビューの問題点
- 1人に深掘りして話しを聞けないので、終始浅い話しか聞けない
- 他の参加者がいる中で、素直な気持ちをしゃべりづらい
- 前の回答に、後ろの人の回答が影響を受ける(←これは致命的)
世間で行われている無意味なグループインタビュー
インタビューの代行会社に依頼すると、大抵グループインタビューになります。
5-6人が小部屋に集められて、半円形の机に着席します。インタビュアーは中心に座り、参加者に順繰りに質問していきます。
尺は2時間くらい。クライアントは、マジックミラー越しにその様子を観察します。
なぜグループインタビュー形式が主流かと言えば、時間の節約になるからです。
とりあえず複数人の話を聞けるので、クライアントの担当者は、「〜という反応でした!」と社内報告できます。儀式として1回やって、それでOKってことにするのです。
ちなみに、これで1回100万円くらいします。
グループインタビューってクソなんだな
なんと生産性のないことか…!
「2時間のグループインタビュー」よりも、「1時間のデプスインタビュー×2回」の方が、10倍は有意義です。
インタビューは絶対に、1on1のデプスインタビューを選んでください。
質問事項は事前に用意しておく
聞きたい質問はあらかじめ用意してください。完全アドリブはNGです。
ただし、ボクの経験上、全く予定通りにインタビューが進行することは、あまり多くありません。
大抵は、インタビューの流れで興味深い話が出てきて、アドリブで深掘り質問するシーンが出てきます。横道に逸れたところに、深い洞察が隠れていたりするものです。
質問項目はキッチリ作っておくものの、当日の進行は流れに身を任せましょう。
尺は1時間がキホン
1対1のデプスインタビューだと、尺は1時間が相場です。
聞きたいことを列挙していくと、1時間でも足りないことがほとんど。とはいえ、1対1で2時間とか拘束してしまうと負担も大きいので、1時間前後で収めるのが良いですね。
逆に30分とかで終わってしまうとしたら、
- 質問項目の準備が不足している
- 相手がターゲットじゃなくて、話が膨らまない
のどちらかです。
謝礼はどうする?
企業では、3,000〜5,000円程度の謝礼を出すのが一般的だと思います。
絶対に払わなきゃいけないわけではありませんが、あなたの都合で他人を拘束するわけですから、何かを差し上げるのがマナーでしょう。
ハンドメイド作家の場合、お客さんも作家さんと話してみたかったりします。時給程度の気持ちとして、1,000〜2,000円で十分かと思います。
300円とか500円とかだと、逆に失礼だもんな
現金をあげるのはちょっと面倒なので、アマゾンギフトを送る方法がオススメ。
または、ちょっとした作品を進呈する方法もあるかもしれません。物理的なモノを渡すので、オンラインだと面倒ですが。
オススメのインタビューツールは?
この時代ですから、インタビューはWEB面談が主流です。個人的には、Google Workspace(Googleの有料版)がオススメ。
- あらかじめ設定した時間枠から予約をとってもらう
- 当日、GoogleカレンダーからMeet(ウェブ会議)を開く
- 録画したら、動画ファイルが自動的にDriveに格納される
と一連の流れが、とってもスムーズにできるんです!
今は英語のみだけど、文字起こしも対応してるよ!
将来には日本語対応してくれるはず…!
どうしても無料でやる場合は、メッセージやメールで日程調整して、無料のMeetで面談すれば良いでしょう。録画はできませんが。
録画機能はぜひ欲しい
メモをとりながらだと、どうしてもインタビューに集中できません。メモを取っている時間、相手を待たせることすらあります。
そんなわけで、いつでも見返せるように録画機能が欲しいですね。
無料で使えるWEB会議のサービスはいくつかありますが、録画機能は原則有料版のみ。ここは、お金を払ってしかるべきポイントかと。
インタビューで聞き出したいこと
では、実際にインタビューで「何を聞くべきか」についても触れていきましょう。
- あなたの作品を買ってくれた人
- または、これから買う見込みが強い人
を対象としたインタビューを想定しています。
あなたの売り方や作品の用途によって、細かい内容は変わってきます。しかしどんなインタビューであっても、ここで挙げる質問は聞いておきたいですね。
何のために、その作品を買った(買う)のか?
これが、1番聞きたいです。
- 何のために買ったのか?
- 買った先に、お客さんはどんな理想を期待しているのか?
マーケティングでは、その商品を使うことでお客さんが得る理想の未来を、「ベネフィット」と呼びます。
そう。聞きたいのは、この「ベネフィット」なんだ!
アクセサリーであれば、
- 身につけてどんな気持ちになりたいのか?
- どんな雰囲気の自分になりたいのか?
- 見た人に、何て褒めて欲しいか?
- 誰に見せたいか?
などを聞きましょう。
結局のところ、あなたが売っているのは作品そのものではなく、作品がもたらすベネフィットです。お客さんがお金を払ってまで欲しいのは、ベネフィットです。
お客さんが喉から手が出るほど欲しいベネフィットを知らずして、作品作りも何もあったもんじゃありません。
さらに上位の目的は?
「何のために買ったんですか?」と聞いて、
- 結婚式に使います
- 七五三に使います
- 友人に贈ります
と、端的に答えが返ってくるケースもあるでしょう。
結婚式に使うアイテムなんかは、聞くまでもないしね。それ以外にないっしょ
こういうときは、さらに上位の目的を深掘りして聞いていきます。
- 「結婚式」は、あなたにとってどんな意味を持つイベントなんでしょうか?
成功したら、あなたはどんな気持ちになりますか? - あなたが「七五三」に持っているイメージをお聞きしてもいいですか?
- 「贈り物」をした友人に、どんな気持ちになって欲しいですか?
その友人と、どんな間柄になることを望んでいますか?
といった具合です。
最終的には、相手の感情的な理由が聞けるまで深掘りしましょう。
ベネフィットは、最終的には感情面まで行き着く
ここまで聞けるから、インタビューは最強のリサーチ方法なんだ!
どうやって欲しい作品に辿り着いたか?
この質問は、相手に考えてもらう必要はありません。ただ過去の行動を遡って、教えてもらうだけです。
例えば、次のように、あなたの作品を知ったきっかけから購入までの経緯を遡って聞いていきます。
あなた「どこで、当店のリングピローを購入されたんでしょうか?」
相手「minneです」
あなた「なるほど。minneの中では、どうやって商品ページに辿り着いたんですか?」
相手「探したって言うか、あなたさんのプロフィールページをザーッと眺めて、気に入った色を選んだ感じですね」
あなた「ありがとうございます!わたしのプロフィールページには、どうやって行き着いたんでしょうか?」
相手「インスタです。インスタのプレ花アカウントが、あなたさんのリングピローをシェアしてて、いいなーって思ったんです」
あなた「へー、嬉しいですね。よかったら、そのプレ花アカウントと、きっかけになった投稿を教えてもらってもいいですか?」
相手「いいですよ!〇〇さんってアカウントです。で、(スマホを取り出して)この投稿で見つけました」
あなた「そのインスタ投稿は、わたしのアカウントにタグ付けかなんかされてたんですか?」
相手「いや、タグづけされてなくて、そのアカウントがフォローしているお花屋さんっぽいアカウントから探しました」
あなた「え!わざわざ探してくれたんですか!?」
相手「あ、はい笑 でも割とすぐに見つかって、あなたさんのプロフィールに出てたリングピローを見て、これだ!って」
あなた「それで、わたしのアカウントの販売ページのリンクからminneに飛んだって、ことですかね?」
相手「はい!そうです!」
こういった、お客さんが辿ってきた道筋を、マーケティング用語で「カスタマージャーニー」と呼ぶよ
Google検索から辿り着いた人もいるだろうし、家族や友人からの紹介もあり得るでしょう。辿ったカスタマージャーニーによって、布石を打つ場所が変わってきます。
上記の例だと、きっかけは「インスタのプレ花アカウント」でした。
- プレ花アカウントにフォローされるように、いいね回りしてみようか?
- 取引メッセージに、「シェアしていただく際は、タグ付けしていただけると嬉しいです!」と添えてみようか?
みたいに仮説を立てて、行動できます。
ここで意識したいのは、辿ってきた各ステップで、お客さんはどんな情報を見聞きしていたか?です。
どんな写真や、どんな説明や、どんな口コミによって、お客さんが次のステップに進んでいったのか。実際に、「お客さんを行動させた因子」を特定するのです。
もしお客さんが、SNSで投稿された個人の着画でビビッと来て、突き動かされていたとしたら?あなたも、同じような画像を準備すべきと分かりますね。
カスタマージャーニーを理解することで、どこをテコ入れすべきかは一目瞭然。闇雲ではなく、狙い澄ましたマーケティングアプローチができるようになるわけです。
アンケートでも、「どこでこの商品を知りましたか?」って質問が絶対にあるもんね!
他に候補に上がった作品は?
お客さんが悩んだ他の選択肢は、あなたの本当のライバルということになります。あなたがライバルとして意識していようがいまいが、現に競合しています。
競合を知ると、次のパターンのどちらかになるでしょう。
- 確かによく似た作風・作品に見える
- 作家目線で見ると、全然似てないし、正直比べられるのはあまり嬉しくない
確かに、「これと私の作品が、比べられてんの?」って思うときあるわ
もし競合とよく似ているなら、作品をもっと差別化する必要があるでしょう。ほんの一振りでも、あなたらしいスパイスで違いを出したいです。
意外とありがちなのが、「え?こんなショボい作品と比べられてたの?」という事実。明らかにクオリティに差があっても、素人のお客さんには違いがわからないんですね。
見る目のないお客さんが悪いのではなく、クオリティの違いを伝えきれていない商品ページの問題です。文章や画像で、明確な違いをアピールすべきです。
他の作品でなく、その作品を選んだ理由は?
お客さんが悩んだ挙句に、最終的にあなたの作品を選んだ理由。それは、あなたの真の「差別化ポイント」です。
あなたが自覚しているか否かはさておき、お客さんは、あなたの作品の「そこ」に、もっとも大きな価値を見出したんです。
ひょっとすると、お客さんはこんな風に答えるかもね
他の作品も悪くはなかったんですけど、あなたさんのアクセサリーの「自然な和」の雰囲気が良かったんですよね。
他の作家さんって、なんとなく「コテコテの和風」というか、外国人が好きそうな感じの雰囲気なんですよね。鶴とか竹とか、具体的なモチーフがあったり。
コテコテしてると、ちょっと目立ちすぎて、服と合わなかったりするんですよね。和装のときはいいけど、洋服だとちょっと合わないかなーって。
でも、あなたさんの作品って、どれも自然なんですよね。具体的なモチーフとかはないけど、色合いだけで「和」を感じさせてくれるみたいな。
見出した差別化ポイントは、当然伸ばすべきですね。あなたの強みですから。
伸ばすだけでなく、積極的にお客さんに伝える努力も忘れずに。
即決だったか?悩んだか?
「即決 or 悩んだか?」の質問(厳密には、その先の理由)からは、有益な洞察が得られます。
「即決」の場合
答えが「即決」だったとしたら、1発で他を蹴落とせたわけですから、
- そもそも、比較対象がなく、選択肢はあなたの作品1択だった
- 比較対象はあったものの、何かの点で、あなたがずば抜けて優れていた
のどちらかです。
その理由は、お客さんが重視している差別化ポイントになってきます。
「作品自体の特徴」かもしれませんが、「納期が早い」や「メッセージのやり取りが丁寧だったから」など、ちょっと意外な答えが返ってくるかもしれません。
ここはお客さんの勘所なわけだから、意識して伸ばすべきポイントだ!
「悩んだ末の購入」だった場合
もし、即決できず、「悩んだ末の購入」だった場合は、
- ライバル作品の方が、優れているポイントがある
- あなたの作品に、最重要ではないものの、ウィークポイントがある
のどちらかです。
「悩んだポイントは、どんな点だったんでしょうか?」と聞いてみてください。
「デザインはあなたさんの方が好きだったんですけど、他の作品は丈夫さをアピールしてて、最後まで悩んだんですよね」
と、回答が返ってくるかもしれません。
商品ページで触れていないだけで、あなたの作品も気にするほどデリケートじゃないかもしれません。ならば、安心させる説明を加えれば、お客さんを悩ませずに済みます。
もしお客さんの言う通り、本当に繊細でデリケート作品だったのなら、強度を上げる工夫を施しても良いでしょう。
あなたの作風がブレてしまっては本末転倒ですが、もし軸をブラさずに改善できる箇所なら、改善に着手しましょう。
他の誰かに意見を求めたか?
購入に際して、「お客さんが自分だけの判断だけではなく、誰かに意見を求めたか?」も聞けると良いですね。
その「誰か」は、家族やパートナーであることが多いでしょう。
- インテリアや家具
- 食器類
- 贈り物
- 子供用
- 結婚式などのイベントに使うアイテム
などは、家族やパートナーにも影響する買い物です。自分だけの判断ではなく、相手の意見を求めることもあるでしょう。
なるほど!意外と、自分だけで判断してない買い物ってあるかもね!
意見を求めた相手が、どんな反応をしていたかも聞いておきたいです。
例えば、奥さんは「デザイン重視」で家具を選ぼうとしていたかもしれませんが、旦那さんは「機能重視」で選びたかったかもしれません。
奥さんが最初に提案した家具は、旦那さんから「最低限の機能性を満たしていない」と却下され、実際に購入したのは2番目の候補というケースもあるでしょう。
複数人の意見によって購入の意思決定がなされている場合、目の前にいるインタビュー相手の意見だけでは不十分です。
上記の例であれば、
- 旦那さんが「最低限満たして欲しかった機能」とは、どのレベルのものだったのか?
- 奥さんと旦那さんはそれぞれ、どこは妥協できて、どこは妥協できなかったのか?
- 奥さんと旦那さんの、双方の理想はなんだったのか?
といった質問を投げ掛けたいですね。
これらの質問の答えから、奥さんと旦那さんの双方が、よりハッピーになれる作品のカタチを考えましょう。
ベストな値頃感は?
ボクが見聞きしてきた経験上、多くの作家は作品を安くしすぎています。逆に高すぎるケースは、滅多にありません。
現在、あなたの作品についている値段は、
- もっと高くても、売れる余地があるかもしれません
- むしろ、安すぎて不安を与えているかもしれません
あなたの作品の「ベストな値頃感」、つまり、「あなたの売上が最大になる値段設定」もまた、お客さんだけが知っています。
しかし、バカ正直に「いくらだったら買いますか?」と聞いても、ベストな値頃感は掴めません。値頃感のヒアリングには、妙技があるんですね。
次のように、4段階でヒアリングしましょう。
- 高すぎて買う気にならない値段
- 高くても買う気になる値段
- お買い得!と感じる値段
- 安すぎて品質が不安になる値段
②と③の間が、お客さんが買ってくれる価格帯です。
そして、②の高め寄りの値段が「ベストな値頃感」になります。
これはテクい…!
同じ目的のために買った別のアイテムはあるか?
これは、あなたが取り扱うべき「作品ラインナップ」のヒントを得るための質問です。
ときに、「カレールー」を買ったお客さんは、きっと「ジャガイモ」と「ニンジン」と「お肉(何肉かは家庭によるが)」も一緒に買っているはずですね。
カレールーだけ売っていて、ジャガイモもニンジンもお肉も売っていないお店があったとしたら?
「商機を逃している」と言わざるを得ないでしょう
あなたの作品を「カレールー」に見立てたとき、「ジャガイモ」や「ニンジン」や「お肉」のように、一緒に買われるアイテムはあるでしょうか?
- 実家を出て新生活を始める人は、「平皿」と「深皿」と「茶碗」と「マグカップ」を買っていくかもしれません
- 部屋を書斎に作り替えたい人は、「デスク」と「チェア」と「本棚」を同じテイストで揃えたいと思っているかもしれません
- 結婚式を控えた新婦は、「リングピロー」と「両親贈呈用の花束」と「ウェルカムボード」も欲しいと思っています
同じ目的のために買われる商品が他にあれば、「クロスセル」のチャンスです。クロスセルとは、関連商品も一緒に売ることで、顧客単価をアップさせる手法のこと。
新規のお客さんを1人捕まえるのは、なかなかに大変です。もう1人お客さんを捕まえるよりも、目の前にいるお客さんに複数買ってもらう方が、よっぽどラクなんですね。
2人に5,000円ずつ買ってもらうよりも、1人に1万円買ってもらう方がラクなんだよ
だから、「同じ目的の別商品も揃えてクロスセル」と(メモメモ)
インタビューのテクニック
続いて、インタビューを進行する上でのテクニックを伝授します。
知っておくと、インタビューがスムーズに進むだけでなく、相手の口から本音を引き出しやすくなります。
アイスブレイクから始める
インタビューを受ける相手は、おそらく緊張しているはず。いきなり、「早速ご質問なんですが」で始まってしまうと、口が滑らかになるまでに時間がかかります。
本題に入る前に、場の空気を和やかにするトークを「アイスブレイク」と呼びます。
まずは、手短(1〜3分程度)に、相手をリラックスさせるトークから始めましょう。
相手の人となりが、多少でもわかっている場合
- あなたのプライベートをちょっと晒す
- 相手との共通点に触れる
ができると、一気に距離が縮まって、場がリラックスします。
例えばフォロワーさんなどで、多少でも相手の人となりがわかる場合は、プライベートでの共通点を話しましょう。
地元が一緒だと、「どこ中?」で盛り上がるでしょ?
アレと同じよ
相手の人となりが「わかっている場合」の会話例
あなた「〇〇さん、本日は、お忙しい中時間を割いていただきありがとうございますー!」
相手「あ、いえいえ」
あなた「今後の作品作りのヒントが欲しくて、フォロワーさんにお声がけさせていただいたんです」
相手「あ、はい」
あなた「ちなみになんですけど、〇〇さんのアイコンって、飼ってらっしゃるワンちゃんですか?」
相手「そうなんです!ウチで飼ってるトイプードルです!」
あなた「めっちゃカワイイですねー!ウチは実家でネコ飼ってたんですけど、今マンションで飼えなくて」
相手「へぇー、どんなネコちゃん飼ってたんですか?」
あなた「雑種ですw」
相手「へぇー、そうなんですねぇ」
あなた「そうなんですよぉ、また飼いたいんですけどねぇ。(一瞬間を開けて)…じゃあ、ちょっと質問の方もさせていただきますね」
相手「あ、はい!お願いします!」
相手の人となりが、全くわからない場合
もし相手の人となりが全くわからない場合は、画面上から得た相手の情報に、不快感を与えないレベルで触れてみましょう。
- 「〇〇さんの髪の色、すごく素敵ですね!」
- 「後ろに置いてあるぬいぐるみって、ちいかわですか?」
- 「今日は、ご自宅からご参加ですかね?」
みたいな感じです。
どうしてもツッコミどころがないときは、無難に「気候」などの話になるでしょう。あんま面白くはないですけどね。
相手の人となりが「わかってない場合」の会話例
あなた「〇〇さん、本日は、お忙しい中時間を割いていただきありがとうございますー!」
相手「あ、いえいえ」
あなた「今後の作品作りのヒントが欲しくて、フォロワーさんにお声がけさせていただいたんです」
相手「あ、はい」
あなた「全然関係ないんですけど、わたし東京なんですけど、今日の気温35度でめっちゃくちゃ暑くて…。〇〇さんの方は、どうですか?」
相手「ウチは札幌なんですけど、ちょっと暑いかなくらいです。東京の人は大変ですよね」
あなた「あ、札幌なんですね!北海道って、夏どれくらいの暑さになるんですか?」
相手「んー、そうですね。まぁ暑くても30度くらいの日が多いですかね」
あなた「いいですねぇー、羨ましい!でも冬は雪で大変ですもんね」
相手「そうですね。慣れましたけど 笑」
あなた「ですよねぇ。(一瞬間を開けて)…じゃあ、ちょっと質問の方もさせていただきますね」
相手「あ、はい!お願いします!」
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
インタビューでの質問は、大きく次の2種類に分かれます。
オープンクエスチョン
「どう思いますか?」「どうしてですか?」のように、相手の回答に制限を設けず、自由に答えてもらう質問形式
5W1H(いつ/どこ/だれ/なに/なぜ/どうやって)を添えて、答えに制限を設ける場合もある
クローズドクエスチョン
「はい or いいえ」「A or B or C」のように、選択肢から回答してもらう質問形式
まずは、この2つを区別して使えることが大事!
お客さんの素直な気持ちを引き出しつつ、話を広げていきたいので、基本的には「オープンクエスチョン」を使うことになります。
相手の「脳の負荷」に気を配る
「オープンクエスチョン」は、ちゃんと考えないと答えられないので、相手の脳に負荷をかける質問です。
オープンクエスチョンが続いてしまうと、相手は疲れてしまい、考えるのが億劫になってしまうんですね。後半になるにつれ、投げやりな回答が増えてしまいます。
そうならないために、箸休め的に「クローズドクエスチョン」を織り交ぜましょう。または、「どこで?」「誰に?」のように、一問一答で答えられる質問もオススメです。
考えなくても答えられる質問は、さながら脳のオアシス
インタビューの冒頭も、ジャブを打つつもりで、負荷の低い質問から入っていくのがオススメ!
誘導尋問は断固NG
インタビューで、絶対にやってはいけないのが、誘導尋問です。
本来なら「どう思いますか?」というオープンクエスチョンで聞くべきところを、クローズドクエスチョン化したり、変に制約を設けたりしてはいけません。
本来の聞き方 | 誘導尋問 |
---|---|
〇〇を選ぶ際に、どんな点を基準に考えていますか? | 〇〇を選ぶ基準は、使い勝手ですか? |
どんな雰囲気が好みですか? | 何色が好みですか? |
なぜ、ご両親に贈ろうと思ったのでしょうか? | 育ててくれたご両親への感謝の気持ちで贈ったんですか? |
例えば、「このピアスのモチーフの候補として、バラとチューリップと桜があります。どれが好きですか?」と聞いたとしましょう。
相手の回答はこうです。
- バラですかね(本当はヒマワリが良いんだけど)
- 桜かなぁ(本当は花よりも動物モチーフが好きなんだけど)
これでは、お客さんの本音を引き出せていませんね。こんな回答を元にして作品を作っても、売れるわけがありません。
それなら、「あなたが1番気に入っている(または今1番欲しい)ピアスと、その特徴を教えてください」と聞くべきでしょう。
インタビューの目的は、「自分が聞きたい答えを引き出す」ではなく、「相手の本音を引き出す」だよ!
「なぜ」の聞き方と、深掘りのバリエーションを駆使する
インタビューにおける核心的な質問は、お客さんの行動の理由を問う、「なぜ?」から始まるオープンクエスチョンです。
- なぜ、その商品を選んだんですか?
- なぜ、他の商品と迷ったんですか?
- なぜ、すぐに決断できなかったんですか?
などなど。
「なぜ」の答えに、さらに「なぜ」を重ね、5回繰り返すことで核心に辿り着けるというテクニックも存在します。
「なぜなぜ5回」って聞いたことあるかも!
ただ「なぜ?」は、ちょっと語気が強い上に、「なぜ、そんな商品選んじゃったの?」という侮辱的なニュアンスに聞こえてしまうこともあります。
インタビューを受ける相手は、あなたほど真剣な気持ちでその場に臨んでいません。「なぜ?」を連発されると、答えるのが苦痛になってしまうんです。
結果として、答えが投げやりになっちゃうんだよね
「安かったから」とか「なんとなく」と、一言だけ返されて話が膨らまなくなっちゃう
そこで、「なぜ?」の聞き方、あるいは「なぜ?」を重ねて深掘りする聞き方に、バリエーションを持っておくと良いです。
「なぜ?」を問うバリエーション
- 「〇〇のときの話を聞かせてもらえますか?」
- 「〇〇のときに考えていたことを教えてもらえますか?」
- 「〇〇のどんなところが良かったんですか?」
深掘り「なぜ?」のバリエーション
- 「そう思った最初のきっかけって、何だったんですか?」
- 「その話、もう少し詳しくお聞きしたいです!」
- 「それは、つまり…(以降は相手に言わせる)」
- 「ということは…(以降は相手に言わせる)」
「なぜ?」と理由を問いただすというよりは、お客さんの「エピソード」を話してもらうイメージを持つと良いでしょう。
オウム返しの相槌を使おう
質問の深掘りは、ただ相手の回答にオウム返しするのが、1番カンタンかもしれません。
次のような感じです。
あなた「買っていただいた作品は、ご自分用ですか?」
相手「いえ、プレゼント用です」
あなた「あ、プレゼント用だったんですね」
相手「はい、そうなんです。会社の同期にです」
あなた「へぇ、会社の同期の方へ」
相手「はい、結婚して旦那さんの海外転勤について行くことになったんで」
あなた「すごい!旦那さんの海外転勤!」
相手「そうなんですよぉ。すっごい仲が良い子だったんで、どうしても喜んでもらえる品を贈りたくて」
インタビューでのオウム返しは、さながら「合いの手」のように機能します。相手はどんどんその先を話してくれます。
ホントにカンタンそう!
もはや質問すらしてないんだけど、相手は間を埋めるように勝手にしゃべってくれるよ
インタビュー結果から
1度でもインタビューを実施すれば、これがどれだけ価値ある時間かが、すぐに実感できるでしょう。
こんなにも、パーソナルで、奥深くて、感情豊かで、ストーリーに溢れた情報を、どんなふうに料理しようか!と、興奮しちゃうと思います。
そこで、インタビュー結果の扱い方についてもレクチャーしましょう。
インタビューの成否の評価
どうなったらインタビューは成功で、どうなってしまったら失敗なのか。その線引きを押さえておきましょう。
成功したインタビューとは?
- お客さんの意外な本音を聞き出せた
- 非常に個人的なエピソードを聞けた
- 今まで知らなかった事実を聞けた
失敗したインタビューとは?
- 通り一辺倒の話しかしてもらえなかった
- ネットで見たレベルの情報しか得られなかった
インタビューは、聞き手が「そうあって欲しい」内容を語らせる場ではありません。お客さんの、素直な気持ちを聞く場です。
- 「AかBか」
- 「YesかNoか」
は、どちらだって構いません。
回答内容によらず、「お客さんの心からの本音」という素材が得られれば、インタビューとしては成功と思ってOK。
その素材が役に立つかどうかは、あなたがそのインタビュー結果をどう調理するかにかかっています。それはインタビューの次の話なので、一旦脇に置いておきましょう。
お客さんの言葉は必ずしも真実ではない
ちょっと注意しておきたいのが、「必ずしもお客さんは、本心を語っているとは限らない」ということ。
別に、お客さんがウソをつこうしているわけではありません。
人間の行動は、多くの要因が複雑に絡み、本人も気づいていない無意識のうちに決定されています。インタビューで引き出せるのは、ほんの表層だけなのです。
暑い夏は、オープンカーがよく売れるそうです。「その年の夏の気温が高い」という理由で、買う予定じゃなかったオープンカーを買う人がいるということです。
車は1年だけ乗るわけではありません。いま暑いから買うなんて馬鹿げています。
でも無意識のうちに、「暑い夏は風を感じながら海辺を走りたい!」と心に決めてしまっているのです。
インタビューで、「なぜ、オープンカーを買ったんですか?」と聞いたところで、「その年の夏が暑かったから」とは、答えてくれません。
「なぜ、わたしの作品を選んだんですか?」と聞けば、お客さんは「あのとき、確かこんな風に考えたんだよな」と記憶を遡り、それっぽい答えを返してくれるでしょう。
お客さんは、もちろん本心から答えています。
しかし、その答えが全てかと言うと、それは決してあり得ないのです。
だからと言って、インタビューの有効性が否定されるわけではないけどね
お客さんが真に求めているのは何か?
ひょっとすると、インタビュー相手のお客さんは、
- もっとカラーバリエーションがあったら嬉しい
- 取手が付いてた方が便利
- もっと小さいサイズが欲しい
などと、あなたに要望を言うかもしれません。
ここで、「はい、そうですね」と要望をそのまま取り入れるのは間違いです。
実は、お客さんは自分の欲しいものを、よくわかっていません。
もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。
ヘンリー・ フォード(自動車メーカーフォードの創設者)
あなたが耳を傾けるべきは、お客さんからの直接的な要望ではありません。「Why(なぜ?)」を重ねた先にある、真に求めるものを理解しなければなりません。
「ショルダーバッグのストラップを太くして欲しい」という声の先には、「細いストラップだと肩に食い込んで、肩こりする」と悩みがあるかもしれません。
それならば、単にストラップを太くするだけが解決策ではありません。
柔らかい素材のパッドをつけたり、全体の重量を軽くするなど、他にもできる工夫があるでしょう。
お客さんの痒い所に手が届く作品は、圧倒的に強いです。
制作スキルとは別に、「どこまでお客さんを深く知っているか?」が、決定的な差を生むのです。
これが、インタビューの醍醐味であり、楽しいところでもあるんだ
インタビュー相手をペルソナにしよう
「ペルソナ」とは、典型的なお客さんを、1人の人物像にまで落とし込んだものです。たった1人に向けて作ることで、お客さんの心をエグる尖った作品になります。
一般的には、架空のキャラクターを設定することが多いペルソナですが、架空のキャラに仕立て上げねばならない理由はありません。
インタビュー相手を、そのままペルソナにしてしまえば良いでしょう。
架空の誰かよりも、血の通った人間の方が、はるかに気持ちをイメージしやすいからね
お客さんの気持ちが手に取るように分かれば、あなたが作る作品は、勝手にお客さんの望む方向へ吸い寄せられていきます。要するに「売れる」ということです。
別に、「ペルソナを作らなきゃ!」と、意気込む必要はありません。ただ、インタビューを通して、お客さんのことをよく知れば良いだけです。
本郷由樹 says
ペルソナについてご相談です。私はハンドメイドの制作のお勉強をしています。まだ仕事は準備中でして、活動もこれからです。
そんな中、ペルソナを誰に向けたらいいのか分かりません。知人や家族、友達がいるとしても合う人がいない場合は、テレビに出ている女優などをペルソナにしても問題ないでしょうか?
なお says
ペルソナ設定は、その人物の願望や悩みなど、パーソナルな思考にこそ意味があります。現状の何がペルソナの顔と心を歪ませているのか、何が満たされれば快心の笑みを浮かべるのか。それが見えてこないペルソナじゃ無意味です。
部外者から見える女優さんの人物像は、どこまで行っても外向けですね。よって、女優さんをペルソナにするのは相応しくありません。
今の環境&段階だと、ペルソナを作るのは難しいかもしれませんね。まずは、その手前のターゲットを設定するところから始めてみてはいかがでしょうか?
ターゲットや作品に関するキーワードで、Yahoo!知恵袋やSNSを覗いてみてください。ヒットすれば、ターゲットが抱える願望や悩みが垣間見えるでしょう。まずは、こんな感じでターゲットの理解に努めてください。
追々お客さんが付いてくれば、インタビューさせてもらうと、より明確なペルソナへ昇華させられます。
最初からペルソナまで決めておければ綺麗ですが、現実はそうなっていない作家さんが99%です。ここで立ち止まるよりは、一旦前に進めたほうが良いと思いますよ。