現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
お客さんの数を増やすだけが、売上をアップさせる唯一の方法ではありません。お客さんの数は変わらなくても、顧客単価を2倍にすれば、売上は2倍になります。
新規のお客さんを集客するのは、とっても大変なこと。集客よりも、顧客単価を上げる方がずっと楽ですよ。
そうそう!集客が1番難しいし、頑張ってもうまくいかないんだよね!
集客と比べると、顧客単価は、地道に行動すれば確実に上げられるよ!
顧客単価を上げるには、
- より高い商品を買ってもらう
- より多くの商品を買ってもらう
の2つのアプローチがあります。
どちらにも対応しているのが、「アップセル・ダウンセル・クロスセル」です。マーケティング用語としてはメジャーな部類ですが、聞いたことがない人もいるでしょう。
この記事では、「アップセル・ダウンセル・クロスセル」の基本的な概念を解説します。一応ハンドメイド販売の攻略サイトなので、ハンドメイドで使える手法を織り交ぜて。
顧客単価を上げるための、基本中の基本となる知識です。ぜひ覚えて帰っていってください!
上げたいのは「LTV(生涯顧客価値)」
「顧客単価」では少しボヤッとするので、より解像度を上げた「LTV」という概念を理解しましょう。
「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、日本語では「生涯顧客価値」と訳されます。この日本語訳は、ちょっとわかりづらいですね。
LTVとは、「1人のお客さんが、一生のうちにあなたにもたらす総利益」のことです。
「Life Time」は「一生」という意味だよ
LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 購入回数
「LTV=お客さん1人当たりの総利益」なので、LTVより低いの獲得コスト(広告費など)で集客できれば、利益がプラスになるということです。
えーと、、、どういう計算だ?
ただハンドメイド作家の場合は、厳密な利益計算まで含んだ運用はシンドイと思います。もう少しざっくりとした捉え方で良いでしょう。
ここは意訳して、「LTV≒お客さん1人当たりの総売上高」と考えてみてください。
おお!それならシンプルでわかるぞ!
LTVを上げるためには、
- 商品単価を上げる
- 購入点数を増やす
の2つのアプローチがあります。
例えば、現在のお客さんは、商品単価1万円の作品を、1回コッキリだけ購入しているとしましょう。LTVは1万円ですね。
もしLTVを2倍の2万円にしたかったら、
- 「商品単価」を2倍の2万円にする
- 「購入点数」を2個(または1個×2回)にする
- 「商品単価」を1.42倍の1万4,200円にし、「購入点数」を平均1.42個にする
のどのアプローチを選んでもOKです。
1.42倍の2乗は、約2倍になるよ!
こういう合わせ技でもOKだ!
「商品単価」と「購入点数」のどちらのレバーを上げても、LTVは上がります。しかしどちらか一方だけを2倍にするのは、なかなか大変ですね。
やはり両方からアプローチして、「商品単価」も上げつつ、「購入点数」も上げていくべきでしょう。
「アップセル・ダウンセル・クロスセル」を理解せよ
総売上高 = お客さんの頭数 × 顧客単価(≒LTV)
これがマーケティングの全体像ですね。
そしてこの記事でフォーカスしている「LTV」を上げる方法です。LTVを上げるには、「単価」と「販売点数」を上げる必要があると学びました。
そして、「単価」と「販売点数」を上げるために必要になってくるのが、ここで解説する「アップセル・ダウンセル・クロスセル」です。
アップセルとは?
アップセルは、とある1つの商品に対し、その上位版を用意することで、商品単価を上げる手法です。
大きく3つのアプローチが存在します。
アップセルの3大パターン
- より大きな(あるいは高い性能)の商品を用意する
- 複数個のセット販売にする
- 追加オプションを提供する
必ずしも、グレードアップ版商品を別途で用意しなければならないわけではありません。「3個パック」や「12ヶ月契約」のように、同じ商品を複数個売ってもOKです。
また、アップセルの上位版商品は、少しおトクな価格を提示するケースが多いです。セット販売や年契約は、バラで買う場合よりも10〜20%の割引をかけるのが通常です。
利益率は若干下がりますが、それでもトータルであなたが受け取る利益額は大きくなります。
なかなか悪くない取引でしょ?
ダウンセルとは?
ダウンセルは、アップセルの反対語です。廉価版を用意して、お客さんの取りこぼしを防ぐ手法です。
商品コンセプトに共感し、商品に興味を持ったものの、
- 欲しいけど、正直予算オーバーだ…
- 良いんだけど、そこまでのスペックは必要ないんだよなぁ
という理由で、購入を見送る人もいます。
せっかく買う直前まで検討してくれても、ここで逃せば売上は0。0よりは、少しでも売上を立てたいですよね。それにここでつながりを持てれば、次の購入にもつながるかもしれません。
そこで、購入を見送ろうとするお客さんを取りこぼさないために、
- より小さい(性能が低い)モデルを用意する
- より簡素なサポートだけを提供する
などで、ダウングレードした選択肢を用意するのです。
ちなみに、「アップセル」と次に解説する「クロスセル」は、有名な用語なので、知っている人も多いでしょう。しかし「ダウンセル」は、聞いたことがない人の方が多いと思います。
わたしは全部初めて聞いたよー
理由はおそらく、ダウンセルはやや使うシーンを選ぶからでしょう。とりあえずやっとけ感のあるアップセルやクロスセルとは違うんですね。
1万円の通常モデルの横に、5,000円のダウンセル版モデルを並べると、本来なら1万円で買ってくれるはずのお客さんの何割かが、ダウンセルに流れてしまいます。結果として、LTVを下げてしまうんですね。
そのため、ダウンセルを行う場合は、通常モデル以上を買ってくれるお客さんをダウンセルに流さない工夫が必要になります。
この辺りは、後ほど活用事例で解説するね
クロスセルとは?
クロスセルは、何らかの商品を買ってくれる(あるいは過去に買ってくれた)お客さんに、関連する追加商品の購入を促す手法です。
アップセルは、同一商品の高価格帯版へ導くのに対し、クロスセルでは、別の商品の追加購入をオススメします。両者は混同しがちなので、違いも理解しておきましょう。
- 「カメラを買おうとしているお客さんに、より上位機種をオススメする」がアップセルで、
- 「カメラを買おうとしているお客さんに、追加でレンズと三脚もオススメする」がクロスセルですね。
本商品とクロスセル商品を、一編にまとめて買ってもらうのが美しいやり方です。ただ、過去に買った商品に関連する商品を、後から買ってもらうのもまたクロスセルです。
ケースバイケースだけど、成功したときに、よりLTVを押し上げるのは、クロスセルであることが多いと思う
アップセルの活用事例
アップセルは、ハンドメイド作家にとっては、比較的とっつきやすい施策です。
アップセルの活用事例
- 単純に大きいサイズ
- 単純に数量が多いセット
- ハイグレード版
- 松竹梅の3グレード
- オーダーメイド
- 保守オプション
- 刻印などの追加オプション
そこそこ売れている作品があれば、とりあえずどれか試してみてください。きっと少なからず、売上がアップするはずです。
単純に大きいサイズ
スターバックスのコーヒーには、次の4サイズが用意されています。
- ショート
- トール
- グランデ
- ベンティ
もちろん、大きいほど値段は高くなりますね。
ボクから見れば、「ベンティ」なんて絶対にいらないんですが、世の中にはビッグサイズを求める人も一定数いるわけです。
「ちょ、あんなデカいのw」と思うけど、持ってる人いるよね
用意するだけで、高く売れるんだから、これはやり得だよ
実にカンタンな話で、ただ大きいサイズをラインナップに加えるだけで、売上が上がるのです。ただ大きくするだけなので、深く考える必要もない。誰でもできる施策です。
- 牛丼屋の大盛り
- iPhoneのMax(画面が大きい)シリーズ
- シングルよりもダブルベッド
といった具合ですね。
より大きなカバンを求めている人もいるし、より大ぶりなアクセサリーを求めている人もいます。より大きいサイズで作品を展開できないか、ぜひ検討してみてください。
ハイグレード版
物理的な大きさではなく、性能や品質を上げるアップセルも有効です。
通常モデル | ハイグレード版 |
---|---|
iPhone 〇〇 | iPhone 〇〇 Pro |
アメリカ産牛肉 | 黒毛和牛 |
年間費0円のクレカ | プレミアムカード・ブラックカード |
エコノミークラス | ビジネスクラス・ファーストクラス |
家電やIT機器のようなマシーンの場合は、スペックの数字が上がることが多いですね。ネットのサブスク系を含むサービス業の場合は、プランの充実度に差をつけています。
ハンドメイド作品の場合は、家電のように数字上のスペックで測ること自体が難しいでしょう。またサービス業でもないので、プランで差をつけることもできません。
技術レベルで差をつける案もなくはないですが、それは通常モデルは手を抜くということになってしまいます。ブランディングの観点から、あまり得策ではありません。
ハンドメイドだと、ブランドイメージを下げずに手を抜くって難しいんだよね
それやっちまうと、何か大事なものを捨ててる気がする
唯一考えられるのは、素材に差をつけることでしょう。
ロレックスでは、通常モデルはステンレス素材ですが、上位モデルはゴールドやプラチナを使用しています。ハンドメイド作品でも、同じ発想が使えます。
単純に数量が多いセット
商品そのものを、大きくしたり、素材を変えたりできない場合はどうでしょう?
心配は入りません。まだ打ち手は残っています。
ただ数量を増やす案を検討してみてください。
- サーティーワンアイスクリームのダブル
- トイレットペーパーの12ロール
- Amazon Primeの12ヶ月契約
- バスや電車の回数券
ただ複数個セットで販売するだけでも、欲しがる人はいるのです。自分用ということもありますが、家族用や友達用にまとめて買いたい人は普通にいます。
ボクは小さい頃、妹の仲が悪かったんですね。ボクも妹もコロコロコミックを読んでいたのですが、仲良く読めないので毎月2冊買っていました。
マンガ本ですら、1つの家庭で2冊の需要があるケースもあるのです。
例えば、
- 食器は、家族の人数分が必要になります。
- 仏花のように、2つセットで買われる商品もあります。
- お気に入りのイスを、各部屋に置いておきたい人もいるでしょう。
よくよく考えてみてください。ひょっとすると、あなたの作品も複数個の需要があるかもしれません。
このとき、ただバラバラの商品をセットにするだけだと芸がありません。セット購入者には割引を設けて、なるべくセットの方に誘導しましょう。
ただ量を増やすだけで!
これが1番カンタンなアップセルだ!
松竹梅の3グレード
アップセルで上位版の商品を用意したら、なるべく上位へ誘導して、高単価の商品を買って欲しいところですね。
そこで使えるのが、「松竹梅」で3つの価格帯を用意することです。3つの選択肢を提示されたお客さんは、自然と真ん中の選択肢を選んでしまいます。
その比率は、おおよそ、
- 松:2割
- 竹:5割
- 梅:3割
に収束すると言われています。
例えば、あなたが「4,000円(梅)」の作品を売っているとしましょう。そしてアップセル版として、「6,000円(竹)」の作品を用意しました。
なるべく「6,000円(竹)」を売りたいところですね。そこで、さらに上位の「10,000円(松)」の作品を用意するのです。
ぶっちゃけると、「10,000円(松)」は見せ球なので、売れなくても構いません。こいつの存在のおかげで、「6,000円(竹)」がもっと売れるようになるのです。
これは、、、なんかズルい!
オーダーメイド
オーダーメイドも、アップセルの一種と言えますね。
お客さんとのコミュニケーションのやり取りが発生するので、当然出来合いの作品よりも高い値段を取るべきです。20〜30%ほど高く売るのが妥当なラインでしょう。
1万円で販売している作品であれば、オーダーメイドは12,000〜13,000円くらいが妥当なラインですね。
ただしオーダーメイドといっても、どこまでお客さんの言う通りに作るかは、ケースバイケース。お客さんの意見を取り入れる範囲が大きいほど大変なので、より高い単価を取るようにしましょう。
短い納期で受け付ける
商品の質や量で、バリエーションを一切作れない場合は、納期の短さにプレミアム料金を課すこともできます。
フリーランスなどの受託作業系のビジネスで、よく使われる手法だよ
例えば、通常だと受注から発送まで1ヶ月かかる作品を、1週間まで縮めることで、+αの料金をいただきます。
またあなたがすでに手一杯に注文が来ている状態なら、通常は2〜3ヶ月待ってもらうところを割り込みする権利として、高い値段を設定しても良いですね。
ディズニーランドでファストパス代を払ってもらう感じだ!
保守オプション
保守に対してお金を払ってもらうのも、また1つのアップセルです。家電量販店の保守オプションや、Apple製品のAppleCare+が、このパターンに該当します。
一応解説はしましたものの、1商品あたりで追加で払ってもらえる金額はそう多くはありません。量をたくさん売ることで、それなりの規模の収入になる類です。
一応紹介はしたものの、ハンドメイドではあまり出番がないかもね
刻印などの追加オプション
ハンドメイドであるとすれば、こちらでしょう。
車を買うお客さんに、通常のシートではなく、革張りのシートにグレードアップしてもらうイメージです。こういう追加オプションは、なかなか良い収入源になります。
「追加オプション」と言うくらいなので、必要な人とそうでない人が分かれる機能やサービスになるでしょう。全員が必要とするなら、オプションではなくデフォルトで提供すべきですからね。
ハンドメイドでは、お客さんの要望に合わせて、木やアクリル板に刻印を施すオプションがあります。これはグッドなアップセル手法です。
刻印を例にしましたが、別になんだって構いません。ラッピングもアップセルの範疇ですが、金額が微々たるものなので、もう少し単価の取れるオプションが良いですね。
あなたの作品を買うお客さんが、「ここまでやってくれると、最高なんだよなぁ」と感じる痒い場所はどこでしょうか?
その痒い場所を埋めるオプションを考えてみて!
ダウンセルの活用事例
ダウンセルは、通常商品ではToo Muchなお客さんに対し、廉価版を提供する手法です。そうやって、取りこぼしを防ぐわけです。
ただし何も考えずに、通常版と廉価版を一緒にオススメするのは禁物。本来なら通常版を買ってくれるはずだったお客さんが、廉価版へ流れていってしまうからです。
せっかく取りこぼしを防げても、全体では売上にブレーキがかかってしまいますね。そうならないための工夫が必要です。
ダウンセルの活用事例
- (再掲)松竹梅の3グレード
- サブブランド化・セカンドライン化
- 後からオファー
アップセルとクロスセルは、全作家にオススメできる試作ですが、ダウンセルは少しシーンを選びます。
読んでみて、あなた自身で取り入れられる余地があるかチェックしてみてね
(再掲)松竹梅の3グレード
また出てきました。「松竹梅」の3段階の価格帯を用意する手法です。2回もでできたということは、それだけ汎用性が高く、効果があるということです。
お客さんには、
- 通常版が欲しい人
- どっちでも良い人
- 廉価版が欲しい人
の3段階があると思ってください。
「どっちでも良い人」がキーです。選挙で浮動票になる無党派層のような人達なので、あなたの出方次第で、「高く買う」か「安く買う」かが分かれます。
2択の場合と3択の場合で、お客さんがどう行動するか見ていきましょう。
通常版と廉価版の2択 | 松竹梅の3択 |
---|---|
通常版:6,000円 廉価版:4,000円 | 松:10,000円 竹:6,000円 梅:4,000円 |
「通常版」と「廉価版」の2つの選択肢しか用意しなかった場合、「どっちでも良い人」は、4,000円の廉価版に流れていってしまいます。この機会損失が痛いんですね。
しかし「松竹梅」の3択にすると話が変わります。
「どっちでも良い人」の多くは、真ん中の「竹」を選ぶようになります。「廉価版が欲しい人」だけが、「梅」を選ぶように誘導できるのです。
松竹梅の3択は、アップセルとダウンセルの両方に対応しているんだ!
すげー!万能だ!
iPhoneのラインナップは、
- 松:iPhone xx Pro
- 竹:iPhone xx(通常版)
- 梅:iPhone SE
の3択になっていますね。
iPhoneの使い勝手が気に入っているけど、高いスペックは求めていない人もいます。そういう人だけが、ダウンセル(梅)の選択肢である「SE」を買っていくわけです。
サブブランド化・セカンドライン化
ダウンセル版の商品を出すと、安い方へお客さんが流れてしまうだけでなく、ブランド全体の価値を下げてしまうことにもなります。
そこで、メインの高価格帯のブランドを守るために、廉価版を別ブランドとして展開するのです。
この手法は一般的に、
- 通信キャリアの格安ブランドでは「サブブランド」
- アパレルなどの廉価ブランドでは「セカンドライン」
と呼びますが、両者に本質的な違いはありません。
メインブランド | サブブランド・セカンドライン |
---|---|
ソフトバンク | Yモバイル |
ユニクロ | GU |
PRADA | MIU MIU |
ジョルジオ・アルマーニ | エンポリオ・アルマーニ |
Chloe | See By Chloe |
ハンドメイド作家は、少ない作品を高く売るのが基本です。「薄利多売」の逆で、「厚利少売」ですね。この点は、ハイブランドの販売戦略と共通しています。
ハイブランドと同じく、高価格帯の作品は「高嶺の花」であるべきでしょう。欲しいけどどうしても手が届かないお客さんに、今はセカンドラインで我慢してもらうのです。
ハイブランドみたいな高嶺の花って、そんな付加価値ついた作品できるかな?
今できてなくても良いよ
でも最終的に目指すステージはココじゃない?
後からオファー
廉価版の商品はお客さんの見えないところに置いておき、通常商品を断念した人だけに、後からオファーする格好です。
どちらかというと、コンサルなどの無形商材に向いています。物理的な商品がある有形商材だと、前もって後ろに下げておくのは現実的でないかもしれません。
ぶっちゃけると、ハンドメイド販売では実践しづらいと思います。しかし活かせる作家もいるかもしれないので、紹介しました。ネタ的に知っておいてもらえばOKです。
クロスセルの活用事例
クロスセルは、今(あるいは以前に)買ってくれた商品にプラスで、関連する別の商品も買ってもらう手法です。
あれもこれも買わせようとする、アコギなイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんね。しかしそんな汚いことをするわけではありません。
一緒に使えばもっとハッピーになれる商品を、それを必要とするお客さんに勧めるだけです。これはお客さんが求めていることなのです。
クロスセルの活用事例
- 同じ目的に使う商品群をラインナップに
- パッケージ化
- 〇〇円以上は送料無料
- 最高のタイミングを見逃すな
- メールマーケティングの活用
クロスセルは、第一にお客さんにとってハッピーですが、あなたのビジネスにとっても実にハッピーです。ぜひ見逃さないように。
同じ目的に使う商品群をラインナップに
クロスセルの基本中の基本は、買ってくれた商品と、同じ目的に使う別の商品をオススメすることです。
そのため、ある利用シーンにフォーカスして、そのシーンに必要なアイテム群を商品ラインナップとして持っておくべきです。
あなたの作品を使うシーンで、他に必要なアイテムはないでしょうか?
- ウェディングなどの冠婚葬祭に使うアイテムなら、そのシーンに必要なアイテムは1つではないはずです。
- iPhoneケースを買うお客さんの何割かは、Air Podsケースも一緒に揃えたいと思っているかもしれません。
- レザークラフトの財布を買ったお客さんは、同じテイストで名刺入れも揃えたいと思っているかもしれません。
まずはあなた自身で、自分の作品の利用シーンをイメージしてください。
その上で、
- あなたのお客さんや、作品をお気に入り登録した人が、他にどんな作品をお気に入り登録しているか?
- その作品の商品ジャンルをAmazonで検索して、一緒にオススメされるアイテムは何か?
をチェックすると、お客さんが一緒に欲しがっているアイテムが垣間見えます。
おお!そのリサーチ使えるね!
パッケージ化
クロスセル商品は、パッケージ化してしまった方が売れやすくなります。
- マクドナルドの「バリューセット」
- 裁縫道具一式が入った「裁縫セット」
- 習字道具一式が入った「お習字セット」
- 就活生に必要なスーツや靴をセットにした「フレッシャーズセット」
- JTBやHISの「旅行パッケージプラン」
これはほんの一例。パッケージ化の事例は、山のように存在するよ!
それだけ、お客さんに求められているってこと!
お客さんは、バラバラに買うよりも、セットで買いたいと思っています。
まず楽ですね。1つ1つ選ぶ必要がありません。そして、「あれとこれは、実は組み合わせて使えなかった!」というエラーもないので、安心して購入できます。
セット販売するときは、バラで買うよりも10〜20%ほど安くしておきましょう。そうすることで、より高単価なパッケージに誘導できます。
利益率は下がりますが、結果としてより大きな利益額を手にできます。集客に広告を使っている場合は、追加広告費なしで利益を上増しできるんですから、美味しい取引です。
〇〇円以上は送料無料
お客さんに注文ボタンを押させる(あるいは財布の紐を開かせる)のは、とても大変なことです。いくつものハードルを経て、お客さんはやっとポチッとしてくれます。
あなたのお店が、富士山の頂上にあるとイメージしてみてください。
お客さんに、
- 1度に2個買ってもらう
- 2回に分けて1個ずつ買ってもらう
では、どちらが簡単でしょうか?
2度ポチらせるよりも、1回でまとめてポチらせる方がずっとカンタンです。つまりクロスセルは、同じタイミングでまとめて買ってもらうのが美しいやり方です。
同じタイミングで買ってもらうためのエサとして、「送料」を使いましょう。
送料は、配送会社が受け取るべき正当なサービス料ですが、お客さんの感覚的には「死に金」です。死に金を払うくらいならと、余計に一品買ってくれるわけですね。
確かに送料払うって、なんか損してる気持ちになる
あなたの商品単価が「5,000円」だったとしたら、2個買わなければ届かない「9,800円以上」の注文で、送料を無料にするのです。
「〇〇円以上は送料無料」は、得することはあっても損することのない、「やり得」な施策です。基本的には、脳死で取り組んで良い施策でしょう。
ネットショップでもプラットフォームでも、送料無料の設定ができるようになっているよ
最高のタイミングを見逃すな
そのタイミングで一緒に注文しなければ、手に入らない、あるいは損するようなクロスセル商材は見逃してはいけません。
ピンと来ないと思うので、ボクが体験した例を出します。
あるとき、我が家が引っ越しすることになりました。
エアコンを新居に移設することになり、旧居のエアコンを取り外しに来た作業員のおじさんに、こんなことを言われました。
「希望があればなんですが、このタイミングでエアコンのクリーニングもできますよ。
普通のエアコンクリーニングって、表面しかできないんですよね。でも引越しのタイミングだと、分解して中まで洗えるんです。この中が汚れてるんですよ。
料金は変わらないので、今がチャンスと言えばチャンスですね。ご希望あれば、後で言ってください。じゃ、作業戻りますね。」
即答で、エアコンクリーニングも追加で依頼しちゃいました。
ボクはもともと営業マンだったので、このときは本当に感心しました。というより、過去の自分を振り返り、大いに反省しました。
提案したのは、特別に口が達者なわけでもない、ただのおっちゃんです。しかも売り込む素振りなんて全然見せていません。ただ説明してくれただけです。
にも関わらず、営業マンが長年磨いてきたセールストークよりも、ずっとずっと強力だったのです。何倍も魅力的な提案だったんです。
これは鮮やかに決められたね〜
「このタイミングしかない」という場面では、売り込みなんて必要ないんですね。その選択肢を用意されただけで、注文せずにはいられなくなるのです。
このクロスセルの奥義を、ハンドメイド販売でどのように活かせるでしょう?
アンティークガラスを用いたアクセサリーを販売しているなら、「同じ材料で、ピアスとネックレスをセットで販売できるのは今だけです」と言ってみてはどうでしょうか?
「ウェディングブーケと同時にオプションをご購入いただくことで、式が終わった後のブーケを、レジンのインテリアに加工できます」と言ってみても良いかもしれません。
正直言って、かなりシーンを選ぶと思います。キレイに当てはまるケースは、なかなかないでしょう。
もしチャンスがあれば、絶対に見逃さないで!
メールマーケティングの活用
あなたがこれまで販売していた作品に対し、関連する新作をリリースしたとしましょう。
これまでテーブルを販売していたが、この度イスもリリースした、みたいなイメージね
これから買うお客さんには、クロルセルの提案ができます。
しかし、過去に買ってくれたお客さんには、能動的にアプローチしなければ、クロルセルの提案ができません。提案をすれば、何%かのお客さんは買ってくれるでしょうが…。
ここで使えるのがメールマーケティングです。特定の商品を買ってくれたお客さんだけに、クロスセルのオファーメールを出すことができます。
ただし、この手法は上級者向けです。minneやCreemaのようなプラットフォームでは、そこまで高度なマーケティングはできません。
例えば、ネットショップを「Shopify」で開設し、メールマーケティングツールの「klaviyo」を導入すると、こういうマーケティングができるようになります。
その段階まで来たら、思い出してみてください。
まとめ
今回はお勉強の回。顧客単価(LTV)を上げるための手法として、「アップセル・ダウンセル・クロスセル」を詳しく解説したよ!
集客は大変だからねぇ。なるべく1人のお客さんから売上を上げた方がラクだ!
この記事をまとめます。
顧客単価を「LTV」で理解しよう
- LTV=1人のお客さんがもたらす総利益。近似値として、ざっくり「お客さん1人あたりの総売上高」と思っておけばOK
- LTVを上げるには、「商品単価を上げる」と「購入点数を増やす」の2つのアプローチがある
- 片方だけ頑張るよりも、両方からアプローチした方がラクにLTVを上げられる
アップセル/ダウンセル/クロスセルとは?
- アップセル
上位版の作品を用意することで、商品単価をアップさせる - ダウンセル
廉価版を用意しておくことで、予算が合わないお客さんを取りこぼさない - クロスセル
関連する別の作品を一緒に売って、購入点数を増やす
アップセルの活用事例
- 単純に大きいサイズ
スタバのグランデや牛丼屋の大盛りのように、サイズアップ版を用意する - 単純に数量が多いセット
サーティーワンアイスクリームのダブルのように、数を増やしたセットを用意する - ハイグレード版
ハンドメイドの場合は、プレミアムな素材でハイグレード版を用意するのがオススメ - 松竹梅の3グレード
3段階の価格帯を設けることで、真ん中の選択肢へ誘導できる - オーダーメイド
オーダーメイドで、2〜3割のプレミアム価格を付加する - 保守オプション
家電などでよく使われる手法だが、ハンドメイドでは使いづらいかも - 刻印などの追加オプション
特定の人が欲しがるであろう機能やサービスを、追加オプションとして用意する
ダウンセルの活用事例
- 松竹梅の3グレード
2択だと通常版を求めるお客さんまで、廉価版に流れてしまうが、3択にすることで、真ん中の選択肢に誘導できる - サブブランド化・セカンドライン化
メインブランドの価値を守るために、廉価版は別ブランドとして展開するのがオススメ - 後からオファー
廉価版は後ろに隠しておき、通常版を断念したお客さんだけにオファーする。ただしハンドメイドでは使いづらい
クロスセルの活用事例
- 同じ目的に使う商品群をラインナップに
同じ利用シーンで一緒に使うアイテム群を、ラインナップとして持っておく - パッケージ化
上記を、1つのパッケージとして販売する - 〇〇円以上は送料無料
2個以上買わないと送料無料にならない絶妙ラインで設定する - 最高のタイミングを見逃すな
一緒のタイミングで注文しないと、手に入らない、あるいは損するような商材は最高のクロスセル商材になる - メールマーケティングの活用
一度販売した後のお客さんにクロスセルを提案するなら、メールマーケティングが効果的。ただし上級者向けの選択肢
ビジネスの売上は、
- 購入するお客さんののべ人数
- 顧客単価(≒LTV)
の掛け算で決まります。
今回は後者にフォーカスして、その具体的な手法として、「アップセル・ダウンセル・クロスセル」の概念を解説してきました。
より実践的な内容として、「ハンドメイド作品のラインナップ戦略」の記事も用意しています。より踏み込んだアクションを知りたい人は、こちらもどうぞ。
また、「商品単価を上げるための裏技テク」は、次の記事で解説しています。多少重複する内容もありますが、これもメチャクチャ有益です。ぜひご一読を。
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