現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
お客さんがハンドメイド作品を買う際は、
- 検索して
- 一覧で見つけて
- 詳細ページの画像を見て
- 価格を見て
- 説明文を読んで
- プロフィールを見て
- 他の作品と見比べて…
といった一連のステップを踏みます。このステップはネット販売の場合ですが、イベント出展ならまた別のステップがあるでしょう。
さてお客さんは、いったいどの段階で購入を決意しているのでしょうか?
実は、「ある一瞬」で9割方購入が決まっています。逆に言えば、その「ある一瞬」でお客さんに振り向いてもらえなければ、9割方買ってもらえないということです。
え、そんな一目惚れみたいな瞬間があるの!?
お!「一目惚れ」っていうのは、かなり近いぞ!
この事実は、重要な割に意外と知られていません。そのためか、ここでお客さんを逃してしまっている作家さんをよく目にします。
この記事を読めば、「お客さんがどの段階で購入を決意し、その後どういう心理を経て実際に購入しているのか?」がわかります。
ハンドメイド作家が1番注力すべきポイントを押さえて、お客さんを逃さないようにしましょう!
お客さんが購入を決意する瞬間
日本ではほとんど知られていませんが、「Moment of Truth」というマーケティング用語があります。直訳すると「真実の瞬間」。
「お客さんが心を動かされたタイミング」という意味で使われます。
お客さんが何かを購入するまでにはいくつかのステップがありますが、その中で特に心奪われる瞬間が「Moment of Truth」なのです。
おー、そういう概念がちゃんとあるんだね!
そして「Moment of Truth」の代表例に、
- 「FMOT(エフモット)」
- 「ZMOT(ズィーモット)」
があります。
これらを理解すると、お客さんが実際にどこで購入を決意しているかがわかります。
えーっと、、「えふもっと」と「ずぃーもっと」?
用語は覚えなくていいよ。ただ中身の意味だけ知っておいて
FMOT(First Moment of Truth)
「FMOT(First Moment of Truth、エフモット)」は、シャンプーや洗剤でお馴染みのP&G社が2004年に提唱した理論です。
日本語訳は、「最初に購入を決意する瞬間」といったところでしょうか(P&G製品は繰り返し使う消費財なので、最初にその商品を買う瞬間という意味で「ファースト」がついている)。
お、まさにそれが知りたい!
P&Gはアメリカの会社で、このジャンルでは世界最大の企業。そのマーケティング手法は、ビジネス界で一目置かれているよ
P&G社がお客さんの行動を分析したところ、「お店の棚に並んでいる商品を見て、3〜7秒間でその商品を買うかどうかを決定している」という事実が判明しました。
そこでP&G社は、
- きれいなパッケージにする
- ポップやディスプレイを目立たせる
- 販売員のトークスキルを向上させる
- プロモーション動画を流す
といった店頭プロモーションにより、売上を伸ばすことに成功しました。
ポイントは、「商品を見て、たった数秒で購入を決意している」ってところ!
ZMOT(Zero Moment of Truth)
P&G社がFMOTを提唱した2004年は、まだスマホが登場する前。インターネットは既にありましたが、まだリアル店舗の影響がずっと強い時代でした。
そこでスマホ時代が到来した頃の2011年に、Googleが提唱したのが「ZMOT(Zero Moment of Truth、ズィーモット)」です。
P&Gに「ファースト(つまり1番目)」を使われちゃってたから、もっと前の「ゼロ」にしたんだろうね
インターネット全盛の時代では、「購入を決意する瞬間」は、お店で棚を見る前に訪れているという考え方です。
イベント出店をすると、FMOTとZMOTの両方のお客さんを見ることができます。初見のお客さんはFMOTですが、販売サイトやSNSで知って実物を見に来てくれたお客さんはZMOTです。
つまり「第一印象のトキメキ」が全て
FMOTにしてもZMOTにしても、一つの重要な考え方を示してくれます。
それは、「お客さんは商品を初めて見て、かなり早い段階で購入を決意している」ということです。
ハンドメイド作品を含むライフスタイル商品なら、「第一印象のトキメキが全て」と言ってしまって良いでしょう。
アパレルであれば、SNSで好きなモデルさんが着ているのを見た瞬間に、もうその服を買うことが決まっているのです。ちなみにボクは、六本木で見かけた電動ファットバイクが欲しくてたまりません。
欲しくて欲しくて買っちゃったモノを思い出してみて
どの時点で買うかどうかが決まったと思う?
最初に見たときの「キャー!ステキ!」で心は決まってたわ…
あなたハンドメイド作品が、最初にお客さんの目に触れる場所はどこでしょうか?
- プラットフォームの検索結果
- ネットショップの販売ページ
- SNSでの作品紹介
- イベント販売の商品棚
- 広告のクリエイティブ
などがあり得るでしょう。ここでお客さんが購入するかどうかが決まっているのです。
第一印象の後の情報が持つ意味
買うかどうかが第一印象で決まっているとしたら、その後に来る商品の「詳細説明」や「クチコミ」は意味がないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
後に見る情報を確認した上で、「やっぱり、やーめた」となるケースもあります。
確かに第一印象で買っている感覚はある!
けど、それだけで決めているわけではないよね?
そうだね。全体の情報が持つ意味や関係性を整理しよう!
減点方式で追認するだけ
第一印象で買うかどうかが決定していると言いましたが、実際には「その商品を買う方針が決まっている」といった方が正確です。
第一印象で、その商品を使った後の自分を想像します。理想の世界が訪れると感じたら、「この商品を買うぞ!」という大方針が心の中で決定します。
以降の「詳細説明」や「クチコミ」などの情報を確認するのは、
- 期待している通りのサイズか?
- クチコミは問題ないか?
- 耐久性は問題ないか?
- (電化製品なら)電池式か充電式か?
- (食器なら)電子レンジは対応しているか?
- (アレルギー持ちなら)金属アレルギーでも使えるか?
といったポイントをチェックし、「その商品でホントに問題ないか」を追認しているにすぎません。
第一印象がMAXの状態で、そこから減点方式で各情報をチェックしていきます。最終的に及第点なら、そのまま購入というわけです。
だから詳細説明とかクチコミを見てるときって、そこで気持ちが盛り上がったりはしないんだよね
「うんうん。OK」みたいな確認作業になっているはずだよ
おお!確かにそうだ!
女性客は追認がゆるい
実は、男性と女性で、追認プロセスに違いがあります。
男性は商品のスペックを重要視するので、「コスパチェック」という追認プロセスが必ず入ってきます。複数候補から1つを選ぶので、ここで落とされてしまうケースも多いです。
一方で女性の場合は、商品のスペックにさほど興味がなく、「コスパチェック」は省略されがちです。第一印象のトキメキで買う方針が決まり、全体的に問題なさそうならGOです。
ハンドメイドのお客さんは、9割が女性。第一印象がストレートに購入につながりやすいと心得ましょう。
男と女で脳の構造が違うから、買い方も違ってくるんだよね
気になる人は↓の記事も見てみてね
第一印象で売るための3ステップ
次に、第一印象でときめかせるための具体的な方法について解説します。
作品を最初に見た瞬間のたった数秒で、作品の魅力を伝えるには、
- 作品に明確なベネフィットを持たせる
- 作品画像でベネフィットを伝える
- キャッチコピーでベネフィットを伝える
の3ステップを押さえましょう!
ステップ①:作品に明確なベネフィットを持たせる
お客さんが作品を見て、第一印象で、一体何にときめいているのでしょうか?
それは、その作品を使った先にある「理想の未来」に対してです。
よく車のCMで、街中をかっこよく颯爽と走り抜けるシーンや、家族が仲良くお出かけするシーンが登場しますね。あれはまさに、お客さんが望んでいる未来の姿なのです。
このような商品がもたらす理想の未来を、マーケティング用語で「ベネフィット」と呼びます。お客さんは商品そのものが欲しいのではなく、商品がもたらしてくれるベネフィットが欲しいのです。
女の子はおませさんで、3歳でも耳につけるアクセサリーを欲しがります。しかし親としては、ピアスなんてもちろんダメですし、イヤリングも耳が痛くなるので心配です。
先日ハンドメイドのイベントで、耳につけても痛くならない子供用イヤリングを見つけました。
このイヤリングなら罪悪感や心配なく、娘の希望を叶えてあげられます。実際にお金を払う親にとっては、嬉しいベネフィットですよね。
お客さんは、第一印象で作品のベネフィットを感じ取って、その先にある未来を想像してときめいているのです。
そのため全ての出発点は、「お客さんが喜ぶベネフィットを持った作品を制作すること」になります。
ベネフィットは、作品コンセプトそのもの。絶対に理解しよう
詳しくは↓の記事で解説してるよ
針の穴を刺すデザインもベネフィットになる
ハンドメイド作品でも、工業製品でも、インターネットサービスでも、「ベネフィット」が根幹であることは変わりません。
ただハンドメイド作品の場合、「痩せる」とか「お金を稼げる」のような、わかりやすいベネフィットがつけづらいケースが多いです。
ピアスやブーケなどは、ライバル作品と明確に違うベネフィットは持たせづらいかもしれません。
そうなんだよ!
ハンドメイドは、いわゆる差別化ってのが難しい!
悩みを解決する類の商品と比べると、どうしてもベネフィットがあやふやになりがちだね
そういうときは、作品のデザインをベネフィットにします。
お客さんは作品に、「カワイイ」や「キレイ」を求めているのではありません。身につけたり飾ったりすることで、「自分らしくなれる作品」を求めているのです。
お客さんが描いている理想の自分像をイメージして、作品のデザインに投影しましょう。
針の穴を通すようなドンピシャのデザインを見れば、お客さんはを明確なベネフィットとして受け取ってくれます。
ステップ②:作品画像でベネフィットを伝える
ハンドメイド作品のようなライフスタイル商品の場合、ベネフィット(使った後の理想の未来)は映像的なイメージです。
お客さんは、その作品を
- 身につけた自分の姿
- 飾ったお部屋
- 実際に使っているシーン
を思い描いています。
だからこそ、作品画像は、なるべく肉眼と同じように見えるような画質でなければなりませんし、実際に使用しているシーンを写さなければなりません。
例えばアパレルやアクセサリーなら、着画は必須です。
イベント販売の場合は、肉眼で作品が見えるので画質は関係ありませんが、作品の使用シーンが伝わるようにディスプレイを工夫する必要があります。
あ!だから一眼レフで撮ってる作家さんがいるんだね!
そういうこと!
デビューしたてはスマホのカメラでもいいけど、真面目にやるなら一眼レフは必要な投資だよ
ステップ③:キャッチコピーでベネフィットを伝える
作品のベネフィットは、キャッチコピーとして言葉にしましょう。
キャッチコピーとは、最初に商品を目にするときに、もっとも目立つところに書いてある短い文章のことです。
「志望校が母校になる」とか「吸引力が変わらないただ一つの掃除機」が、ベネフィットを伝えるキャッチコピーの代表例だよ
おお!なるほど!確かにグッと来るメッセージだね
作品画像で映像的にベネフィットを伝えつつ、キャッチコピーで言語的に補足するイメージですね。作品画像とキャッチコピーは対になる存在なのです。
- 作品名
- 店頭のポップ
- 広告で1番大きいフォントの文章
などが、ハンドメイド販売におけるキャッチコピーの役割を果たします。
キャッチコピーをつけるのは難しい?
キャッチコピーをつけるには、
- 「①何を伝えるか」
- 「②どう伝えるか」
の2種類を考える必要があります。
後者の「②どう伝えるか」は、言葉選びやテクニックがあったりするので、少し慣れが必要かもしれません。
しかし、圧倒的に重要なのは、前者の「①何を伝えるか」です。
「何」にあたるのは、作品のベネフィットそのものと思ってください。ベネフィットは作品制作の段階で考えているはずなので、ここで新しく用意する必要はありません。
「何を伝えるか8割:どう伝えるか2割」のイメージかな
ちょっと厳しいことを言います。
よく「作品の魅力を言語化するのが難しい…」という作家さんがいるのですが、これは作品のベネフィットを意識しないまま制作しているからです。
そもそも、最初のステップができていないから無理もありません。これじゃ作品作りはビジネスじゃなくて、ギャンブルになってしまいます。
まとめ
今回は、お客さんが購入を決意する瞬間である「Moment of Truth」の話をしたよ!
第一印象の見せ方は、メチャクチャ重要だったね!
そう!第一印象のトキメキの演出には、最大限の意識を持とう!
この記事をまとめます。
お客さんが購入を決意する瞬間は?
- 第一印象のトキメキで購入が決まる
- それ以降の詳細説明やクチコミは、買って問題ないかの追認に過ぎない
第一印象で売るための3ステップ
- 作品に明確なベネフィットを持たせる
- 作品画像でベネフィットを伝える
- キャッチコピーでベネフィットを伝える
お客さんは作品を最初に見て、たった数秒で購入するか否かを判断しています。最初の関門を通過しなければ、99%買ってもらえません。
minneやCreemaであれば、「検索結果の一覧」と「作品ページのスクロール前の画面」でほぼ勝負が決まってしまうでしょう。
この3ステップさえ実践できていれば、お客さんは最初に作品を目撃した数秒で、その魅力を理解します。関門クリアです。絶対に押さえてくださいね。
ちなみに②と③は入れ替わってもいいけど、①は最初にやってね
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