現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
突然ですが、人でも商品でも「デメリット」はない方がいいと思いますよね?
え?そりゃそうでしょ?まさか、、、違うの!?
デメリットが何もないってのは、良くない兆候かも…
実は、デメリットはあった方が売れます。しかもさらけ出した方が売れます。
もちろん「あえて商品を悪くしろ」ということではありません。商品を良くしようとすればするほど、デメリットも浮かび上がるものなんです。
かなり非常識に聞こえますが、意図的にデメリットをデザインすることも商品設計の一部なのです。
この記事では、他では語られない「デメリットを打ち出すべき3つの理由」を解説しています。
デメリットを打ち出すべき理由
- デメリットはメリットの反対ではない
- デメリットを語るのもセールストークのうち
- 望まないお客さんをスクリーニングできる
この記事を読めば、良いデメリットと悪いデメリットが存在することに気づくはず。
意識すれば、今よりもっと研ぎ澄まされた商品を企画できるようになります。また営業トークやセールス文で、もっとお客さんを買いたい気持ちにさせることができます。
有益であることは保証します。騙されたと思って、ぜひ最後まで読んでみてください!
理由①:デメリットはメリットの反対ではない
マーケティングの文脈では、「メリット」と「デメリット」は表裏一体。光と影の関係にあります。
って言ってもよくわからないですよね。
ズバリ、デメリットとは、メリットを実現するために捨てた特徴のことです。
初心者向けミラーレス一眼カメラは、「ボタンが少なくて操作しやすい」というメリットを叶えるために、「複雑な設定ができない」というデメリットを受け入れています。
「坂が多い」街は、上り下りで一苦労です。その代わり、高台からの眺めは絶景です。平地のタワマンよりも、ずっと美しい景色が拝めます。
当サイトの「記事が長ったらしい」というデメリットは、「構造から理解することで、一生使える知識を学べる」というメリットを実現するための尊い犠牲なのです。
一つの特徴を、上から見ればメリットだけど、下から見るとデメリットになっている。こういう関係になっているわけですね。
このような関係から、
- 「〇〇のメリットを実現するために、××のデメリットを受け入れた」
- 「××のデメリットを受け入れたことで、〇〇のメリットが実現できた」
と言えなければなりません。
「カラダに良い代わりにマズい青汁」はOKですが、「カラダに良くもないのにマズいジュース」はNGですよね?
メリットの裏返しになっていなければ、それは本来背負うべきではないでデメリットです。
つまりメリットとデメリットは、見方が違うだけで、実際には同じことを指している…?
その通り。この話は他で聞いたことがないから、もしかしたら初めて言語化した記事かも?
メリットを尖らせれば、デメリットも際立つ
世の中のほとんどのものはトレードオフの関係にあります。あちらが立てばこちらが立たず。
メリットがあるということは、何かデメリットがあるはずなのです。
- 「足が折れたカニ」
- 「カタチが悪い野菜」
だから安く買えるのであって、無傷でキレイなのに安いなんてありえないですよね?
そしてメリットとデメリットは、光と影の関係です。光が強くなるほど、影も濃くハッキリと浮かび上がります。
尖ったメリットがあるほど、デメリットも際立つということですね。優れた商品ほど、わかりやすいデメリットがあるものなのです。
- 体に良い青汁を作ろうとするほど、味は悪くなる
- 保存料の入っていない食品ほど、賞味期限は短くなる
- 機能性を追求したアパレルほど、ファッション性は損なわれる
- 登場した頃のiPhoneは機能性は優れていたが、バッテリーが全然保たなかった
まさに「キレイなバラにはトゲがある」だ!
マーケティングの文脈だと、「トゲがあるからバラは美しい」ってことになるんだ!
大したデメリットがないのは、尖ったメリットがないことの証。正しい手順で設計されたデメリットなら、それは歓迎すべきデメリットなのです。
(余談)人気絶頂だった頃のキムタクの話
余談ですが、キムタクが人気絶頂だった頃、「抱かれたい男」の1位にランクインしていましたが、同時に「抱かれたくない男」でも5位くらいにランクインしていました。
ローランドさんや田中みな実さんも、その個性の強さに、強烈に惹かれる人がいる一方で、受け付けられない人もたくさんいます。
誰かに強烈に好かれるということは、他の誰かには強烈に嫌われるということでもあります。人でも商品でも同じです。
ベネフィット・メリット・デメリットは三位一体
用語解説も交えながらお話しします。「ベネフィット」とは、商品によってもたらされる理想の未来、お客さんが叶えたい願望です。
お客さんが欲しいのでは、商品そのものではなく「ベネフィット」です。本質的にお金を払っているのも、商品ではなくベネフィットに対してです。
ベネフィットは商品の価値そのものであり、商品コンセプトそのもでもある!
そして、ベネフィットが手に入る根拠となる商品の特徴を、「メリット」と呼びます。そしてそして、そのメリットの裏返しが「デメリット」でしたね。
ややこしいことを言いましたが、こういうことです。
「ベネフィット→メリット→デメリット」は、一本の線でつながっているのです。というより、つながっていなければなりません。
三者を「三位一体」でつなげるのが、商品設計の醍醐味なのです。
意外だろうけど、デメリットを決めるのも商品設計の一部なんだよ
はぇー。この話はマジで聞いたことないな!
理由②:デメリットを語るのもセールストークのうち
ここまでで、「デメリットはメリットの裏返し」ということがわかりましたね。
次は、「そのデメリットは積極的に語った方が売れる!」という話をしましょう。
心理学の観点から、デメリットを聞かされるとむしろ買いたくなる理由を解説するよ!
何それ!メッチャ気になる!
心理学では、
- メリットだけ語ることを「片面提示」
- メリットとデメリットの両方を語ることを「両面提示」
と呼びます。
そして、デメリットも加えた「両面提示」の方が、お客さんの反応が良かったという実験結果が出ています。
理由は大きく2つあります。
デメリットを語る正直者なら悪い提案はしないだろう
お客さんはバカではないので、美味しい話には裏があると知っています。
メリットを聞けば聞くほど、「うんうん。で、デメリットは?」と心の中でつぶやいています。
「まぁすごいのね〜。でもお高いんでしょ?」みたいな感じですね。
ついぞ最後までデメリットが出てこないと、逆に不安になってしまうのです。デメリットを言わないということは、「コイツは何かを隠している」という判断になるからです。
最初からデメリットを開示してくれると、お客さんは「このお店は、わたしを騙す気はないみたい!」と、むしろ安心するのです。
良いクチコミしか載せてないと、「あ、この業者は悪いクチコミは削除してるな」って思うもんね
だからAmazonや楽天は、悪いクチコミでも絶対に消さないんだよ
デメリットを語れば不確実性を取り除ける
悪い情報を隠すと、お客さんは、「どのくらい悪いのか?」を推し量れません。
そして、実際よりも悪い程度で最悪のケースを想定し、怖くて購入に踏み切れなくなります。
悪い情報がどれほど悪いか確定しない状況は、お客さんにとって恐怖以外の何物でもない!
例えば、「ホンモノのお花を使ったアクセサリー」があったとしましょう。
お客さんは、「これステキだけど、どれくらい保つんだろう?ホンモノのお花だと、すぐにダメになるんじゃないかな?」と気になります。
実際にその通りで、プリザーブドフラワーやドライフラワーは1〜3年程度の寿命です。半永久的に使える金属アクセサリーと比べたら保ちません。
しかしそうであっても、1〜3年という寿命を知らなければ、お客さんの中では「1ヶ月や半年でダメになるかもしれない」という不確実性が残ってしまうのです。
それでは怖くて手が出ません。
悪い情報であっても、どの程度悪いのかが分かれば、お客さんが感じている不確実性は消えます。
はじめから「1〜3年」と知らされていれば、その寿命を受け入れるか否かのクリアな判断になります。OKなら購入に踏み切るでしょう。
悪い情報ですら、お客さんの購入を後押しする材料になるんだ!
理由③:望まないお客さんをスクリーニングできる
売上だけでなく、オペレーションの観点からも、デメリットを宣言しておいた方が良い理由があります。
デメリットをしっかり伝えることで、本来のお客さんではない人が、誤ってあなたの商品を買ってしまうことを防げます。
先ほどの「ホンモノのお花を使ったアクセサリー」の例だと、1〜3年の寿命を受け入れてくれる人だけがお客さんになります。半永久的に使いたい人は、お客さんではありません。
そこではじめから、「1〜3年程度お楽しみいただけます」と書いておけば、望まないお客さんをスクリーニングできるわけです。
望まないお客さんに売るコストを考えよう
本来のお客さんだけ選別すべきってのは正論だけど、売上は落ちちゃうからマイナス面もあるよね?
そんなことない!
トータルで考えると、望まないお客さんはシャットアウトした方が得だよ!
本来のお客さんではない人に商品を売ってしまうと、「帳簿からは見えないコスト」が発生することになります。
クレーム対応のコスト
売り手に落ち度がないのに「クレーム」を入れてくる人は、99%の確率で本来のお客さんではありません。
「こんなはずじゃなかった!騙された!」と主張するお客さんをなだめるために、あなたの貴重な時間を割くことになります。
個人で活動するハンドメイド作家は、とにかく効率的に時間を使わなければなりません。クレーム対応は、絶対に避けたい時間の使い方です。
ちなみにクレーム対応はストレス半端ないから、精神もかなり持ってかれるよ!
レピュテーションリスク
また「レピュテーションリスク」も抱えることになります。レピュテーションとは「評判」のことです。
望まないお客さんは、高確率で低い評価をつけてきます。仮に売り手に全く落ち度がなかったとしても、「イメージと違かった」という理由で星を下げられます。
お客様レビューは販促媒体でもあるので、星を下げられるのは痛い。星5が当たり前で、星4すらつけたくありません。
またSNSに悪評を流されでもしたら、さらに足を引っ張られます。
うわぁ。良いお客さんだけ選ばないと、評判まで落ちちゃうんだ…
ね。望まないお客さんはシャットアウトした方がお得でしょ?
(補足)望まぬお客さんを弾くためのヒント
デメリットをちゃんと伝えることで、望まぬお客さんを減らせます。が、それでもクレームが来てしまうようなら、別の手立てが必要です。
望まぬお客さんをシャットアウトする方法
- 民度が高いプラットフォームを選ぶ
- 販売価格を上げる
プラットフォームにも民度があります。メルカリのような有象無象が来るプラットフォームは、民度が低めです(ジモティーはもっと低いです)。
一方でminneやCreemaのようなハンドメイド専門のプラットフォームだと、お客さんの理解もあって民度は高め。こちらがオススメです。
たしかに!
minnneとCreemaで理不尽なクレームが来たことってないかも!
デビューしたてはメルカリが売れやすかったりするんだけど、売れ始めたらminneやCreemaに移行するのがオススメ
また可能であれば、値段を上げるのも効果的。値段を上げるほど客層が良くなって、ストレスが減っていきます。
語らない方が良いデメリットもある
ここまでは、「デメリットは洗いざらい全部ぶちまけろ!」という論調で解説してきました。
しかし、語らない方が良い、語る必要のないデメリットもあります。
語るべきでないでデメリットの条件
- お客さんが気に留めていない
- 使用感にも全く影響がない
- にもかかわらずマイナス感情を抱かせる
ボクの奥さんがフラワーアイテムの器を、「中国製のガラスの器を使用しています。」と説明書きしていました。発見して、即刻削除しました。
器の産地がどこかなんて、お客さんは気にしていません。これが食材だったら、産地が書いていないと不安になるところですが。
また中国製は、他の新興国の工場より品質が高いことが多いです。ただの器であれば、使用感に何の影響もありません。
しかし「中国製」は、どちらかというとネガティブな印象を与えます。これが「イタリア製」や「フランス製」ならポジティブな印象なんですが。
というわけで、ここでの「中国製」は、明らかに不要。語るべきではありません。
賛否両論のデザインを!
さて、ここまで読んだあなたは、こう思ったかもしれません。
「わたしの作品、特別な形をしているわけじゃないし、これといったデメリットはないんだけど…?」
確かに、ハンドメイドで作ったピアスやお皿は、モノ自体は他の作品と大きく変わらないでしょう。であれば、これといったデメリットを見出せないかもしれません。
しかし、それじゃあ他の作品の中に埋もれてしまいます。永遠に選抜メンバーに抜擢されない、量産型アイドルのようになってしまうでしょう。
んー、どうすればいいんだ?
「賛否両論」のデザインにするのです。それも極端に。
100人のうち、
- 99人は「ギョッ」とするが
- 1人は「そうそう!まさにこれが欲しかった!」と思う
ようなデザインです。
漫画で例えるなら、「ジョジョの奇妙な冒険」や「カイジ」だね
初見では、「え、何この絵…」ってなるけど、ファンからは熱狂的に愛されてるでしょ
普通の作家さんは、「キレイなものを作ろう」を考えています。
そうではなく、もっと極端に、もっとエゴイスティックに、もっと前のめりにさせてください。「ヤバいものを作ってやろう!」と考えてみてください。
「カエルの卵の粒々をモチーフにしたグラス」なんてどうでしょう?
生物部出身のお客さんは、「おっ」と目を奪われるかもしれません。
「白と黒の花だけで作ったクリスマスリース」なんてどうでしょう?
ナイトメアー・ビフォア・クリスマスみたいな雰囲気で、好きな人にはハマるかもしれませんよ?
フェチとマニアックが凝縮された珍品を作るのです。
そういうデザインこそ、競合不在で売れやすいもの。しかも高い値段で。
まとめ
今回はちょっと珍しい、「デメリット」にフォーカスした記事でした!
「デメリットを作るのも商品設計のうち」ってのは斬新だったわ〜
この記事をまとめます。
メリットとデメリットは表裏一体
- デメリットとは、メリットを実現するために捨てた特徴のこと
- デメリットがない商品は、大したメリットもないということになる
- 商品設計は、「ベネフィット→メリット→デメリット」をつなげて三位一体で考える
デメリットを伝える方が売れる
- デメリットを伝えると、お客さん正直で誠実な売り手と判断する
- 悪い情報を隠されると、お客さんは最悪のケースを想定して、怖くて手が出なくなる
望まないお客さんをスクリーニングする
- デメリットを伝えると、本来買うべきでないお客さんを事前にシャットアウトできる
- 望まないお客さんのクレーム対応は、時間と精神を持っていかれる
- 望まないお客さんのレビューは低くなるので、売り手の評判が落ちる
第1段階は、文章術やセールストークとして、「デメリットはしっかり伝えるべき」という意識を持ちましょう。
そもそもの話、デメリットを隠すのはお客さんを騙す行為です。その延長線上にあるのが詐欺なので、デメリットは伝えなければなりません。
打算的に考えても、デメリットは伝えておいた方が得ですよ。
そして第2段階は、商品設計として、「デメリットを意図的にデザインする」という意識を持つと良いでしょう。
正しく設計されたデメリットは、メリットの裏返しになります。デメリットを語っているようで、実はメリットを別の視点で伝えているだけ。
こうなれば完璧。これが1番美味しい見せ方です。
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