現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
口にした瞬間に、お客さんの買う気が失せる言葉があるのをご存知ですか?
言われると、気持ちが「サーーーー…」っと引いてしまう言葉があるんです。
しかも!普通に口にしちゃってる人、結構いますよ〜。
怖いですね〜
え!?なになに、そんなのあんの?
この記事では、ハンドメイド作家が絶対に言ってはいけない5つのフレーズを選びました。
これは実に簡単な話です。
だって、言わなきゃいいだけですから。知っていれば保育園児でもできます。口をつぐむのに、何の努力も必要ありません。
しかし、「言っちゃいけないこと」だけ教えるのも芸がありませんね。「代わりに、これを言ったらもっと売れるよ」というテクニックも教えちゃいます。
ちなみにボクのキャリアのスタートは営業です。1,000人以上いる営業マンの中で成績1位だったこともあります。成績上位10%だけの選抜部署に引き抜かれたりもしました。
セールスは熟知しています。そのボクが言うんですから、間違いありません。
禁句1. いかがですか?
意外でしょうが、「こちらの作品、いかがですか?」は、お客さんの財布の紐を硬く閉ざすフレーズです。
厳密には、前のめりに売り込むフレーズ全てがマイナスです。
- ぜひ、お買い求めください
- ご購入お待ちしております
なども、アウトですね。
実は売れる営業マンは、ガツガツ売り込むアグレッシブタイプではなく、「引きの営業」をします。老獪なセールスマンほど、ホントに売り込んできません。
100歩譲って、押しに負けて買ってしまったとしましょう。その経験をしたお客さんは、2度とその営業からは買いません。というより、接触を避けるようになります。
押しが強すぎる強引な男に、2度と会いたくないのと同じかな
これは心理学的な作用が働いています。
人間は、自由な行動を阻害されると、それに反発したくなる性質があります。専門用語では「心理的リアクタンス」と呼ばれています。
- するか、しないか。
- 右へ行くか、左に行くか。
- 進むか、戻るか。
- Aか、Bか。
- 誰と結婚するか。
- 買うか、買わないか。
これらを、自分の自由意志で選択できる状態をキープしておきたいんですね。高いところから、誰にも邪魔されずに選びたいんです。
しかし、売り手から「いかがですか?買いませんか?」と売り込まれてしまうと、「買わない」という選択を取りづらくなってしまいます。
ボクシングで言えば、コーナーに追い詰められた気持ちでしょうか。「買わない」という選択を主張することで、コーナーから脱出し、リング中央に戻ろうとするわけです。
この感覚が、「心理的リアクタンス」だね。ちなみに「リアクタンス」は「抵抗」って意味だよ
逆説的ですが、「買わないでください」と言われた方が、お客さんはむしろ買いたくなってしまう(心理学では、「カリギュラ効果」と呼ばれている)のです。
では何を話せば良い?
では、作品を売りたいときは、どんな発言をすれば良いのでしょうか?
ただ、特徴を話せば良いだけです。
- 「こちらのクリスマスリースは、白の壁紙のお部屋に映えるデザインです」
- 「壁紙の色に合わせて、3色のカラーバリエーションがあります」
- 「造花なので、お子様が触っても壊れる心配はありません」
- 「枯れないので、来年も再来年も楽しんでいただけます」
- 「よろしければ、よくご覧になってください」
ってな感じですね。
最後に「いかがですか?」と畳みかけたくなる気持ち。分かりますよ。ボクも若い頃は営業でよく言ってました。でもグッと我慢してください。
それがセールスの秘訣だ!
売り込まずに買わせる押しの一言
じゃあ、老獪なセールスマンは、こちらからは仕掛けず、ただ注文が来るのをジーっと待っているのでしょうか?
いえ。毎月のノルマを追っているので、ちゃんとクロージングを促します。
セールスのプロが使う魔法のフレーズを、特別にあなたに教えましょう。聞いた瞬間に、買わずにいられなくなる魔法の言葉です。
それは、「お急ぎください」です。
- こちらは期間限定での販売となっております。終了後の再販予定はありません
- いま予約のお客さんが殺到しておりまして、ご注文から発送まで2ヶ月ほどいただいております
- 当店の販売は、月初の3日間のみとなっております。次回の販売は1ヶ月後となります
- 本作品は一点物です。過去の作品をご覧になったお客様より、「再販できますか?」とお問い合わせを多数いただきますが、お断りさせていただいています。
「気に入っていただけた場合は、お早めにご検討ください」と伝えてください。
別に売り込みたいわけじゃないんです。
必要ないものは、売りたくありませんし。
ただ、もし気に入っていただけたなら…。今逃すと買えないんですよぉ。
もちろん、必要じゃなかったら全然関係ないんですけどね。
…大丈夫ですかね?どうします?
みたいな、「一歩引いたニュアンス」を醸し出してください。
もちろん断られたら、そのまま素直に引いてください。買わないものは買いません。でも、トータルの勝率は間違いなく上がります。
これだけで、勝率はざっと2倍にはなるね
これも「心理的リアクタンス」の応用です。
いつでも買える状態なら、今は購入を保留したとしても、まだ「買うor買わない」の選択の自由が残っています。
しかし、「いま買わないと買えなくなります!」と言われた人は、今にも「買う自由」が消え失せようとしているのです。
だから、「いま買うしかない!」という判断になるんですね。
限定物が売れる理由は色んな説明ができますが、この「心理的リアクタンス」による説明が1番しっくり来ると思います。
うわぁ、プロのセールスマンって怖えなぁ
(補足)文章の場合は?
但し書きが多くて申し訳ないのですが、文章の場合はちょっと話が変わってきます。
対面での売り込み文句は、お客さんをコーナーに追い詰めてしまいます。
しかし、文章の場合は、どこまで行ってもお客さんは高みの見物。いくら売り込まれようが、「買うor買わない」の決定権はお客さんが握っています。
文章においてはむしろ、「行動を後押しするための一言」があった方が良いとされています。
最後に、「お早めにお買い求めください」と書くくらいでちょうど良いでしょう。
マーケティング界隈では、最後に行動を促す一言を、「CTA(Call To Action)」と呼んでいるよ
禁句2. 返事が「YES」にならない質問
セールスの世界には、「”YES“と3〜5回言わせたら売れる」という古典的なテクニックがあります。「イエス・セット法」と呼ばれるテクニックです。
お客さんは、あなたの質問に「YES」と答えるたびに、袋小路にハマっていきます。壁が迫ってきて、最後の問いにも「YES」と言う一本道しか進めなくなるのです。
この迫ってくる壁は、外(売り手)からの圧力によるものではありません。お客さん自身の心の中で、自由選択の範囲が狭くなっていくのです。
だから「心理的リアタンス」は関係なく、反発して「買わない」という判断にもならない
ただ、「”YES”を積み重ねて売りましょう」だと、セールスマン教育みたいで、ハンドメイド作家にはテクニカルすぎる感があります(もちろんやっても良いのですが)
そこで、最低限、お客さんに「NO」を言わせないことを心がけましょう。
先ほどの「いかがですか?」もそうですが、「NO」と言われる可能性のある質問はしてはいけません。
- 「今日は何かお探しですか?」
- 「お気に召しましたか?」
- 「気に入った作品はありましたか?」
- 「お手伝いが必要ですか?」
もダメ。「NO」が返ってくるかもしれないので。
一度でも「NO」と言われると、その商談の勝率は劇的に下がります。
そもそも、会話の中で「NO」を言われると、次の質問につなげづらくなります。そうなっては、会話も続かなってしまいます。
確実に「YES」が返ってくる質問とは?
では、どういう質問の投げかけが良いか?
次のような具合です。
絶対に「YES」としか答えられない質問
- 「今日は大雨で、大変でしたね」
- 「今日は、お子さんと一緒にいらしたんですね」
- 「プレゼント用でしたら、贈った相手の喜ぶ顔が1番ですよね」
流れ的に、ほぼ「YES」が想定される質問
- 「(犬モチーフのアイテムを身につけている人に)ワンちゃん、お好きなんですか?」
- 「(以前買ってくれたお客さんに)お会いするのは2回目ですね」
- 「(財布を探しているお客さんに)新しいお財布に買い換えされるご予定ですか?」
- 「(同じ作品をずっと見ている人に)手にとってご覧になりますか?」
また、ネガティブな話題を振って、あえて「YES」と言わせる質問も効果ありです。
- 「ぶっちゃけ、気になっているのはお値段ですよね?」
- 「耐久性がちょっと気になりますよね」
- 「お子さん用だと、割れて怪我しないか心配ですよね」
お客さんは、意表を突かれた感じで「あ、実はそうなんですよ」と答えます。
そこで、「そうですよねぇ」と共感しつつ、
- 「ただですね、お値段が張ってしまうのは理由があるんですよ。〇〇という素材は、とっても希少でして…」
- 「実はですね、普通は強度がないんですけど、ウチはしっかり縫い込んであるので、解けないんです。ちょっと触ってみますか?」
と返す刀で、ネガティブな理由を払拭していくのです。
「天気」のような本題から遠い話題ではなく、購入に直結する展開になるので、尚更効果があるんですね。
これはメッチャ効くよ!チャンスがあったら使ってみて!
禁句3. 愚痴・悪口
さすがに、お客さんの前で誰かの悪口を言う人はいないと思います。これは、SNS上の発信の話だと思ってください。
TwitterやThreadsで、何やら毒を吐いている作家さんをよく目にします。
- 注文が細かい客がウザかった
- イベント運営がクソすぎて、全然売れなかった
- 旦那が子供の面倒見てくれない
「何を言ってるんだお前は?」と言いたくなります。あまりにも意識が低すぎます。
けっこう民度低いよな、ハンドメイド作家って
この際だからハッキリ言っておきましょう。
お客さんにとっては、あなたの一挙手一投足の全てがブランドです。
- 作品も
- 立ち振る舞いも
- 発言も
- 衣装も
- SNSで映り込む部屋の様子も
全てブランドです。
お客さんに見えていないところならいいですよ。ノーメイクで、上下スウェットで、ゴロゴロしながら、缶ビール片手にスルメをしゃぶっていても。
裏垢なら分かりますが、本垢で何ブーブー言ってるんですか?お客さんが見てるんですよ?その発言も含めて、あなたのブランドなんですよ?
あなたは、こんな意識の低い作家になってはいけない!
禁句4. 頑張ってますアピール
「俺、めっちゃ苦労したんすよ!」ほど、心に響かない話はありません。
- 「苦労自慢?」
- 「不幸自慢?」
- 「わたしは、お前みたいに頑張ってないってか?」
もうたくさんです。そんな話は、ティッシュにペッして、ゴミ箱に捨ててください。
他人があなたの努力を褒め称えるのはいいですよ。テレビのドキュメンタリーみたいに。でも、自分で言っちゃダメ。興醒めです。
愛される本物のスターを思い出してみてください。
- 大谷翔平が
- 羽生結弦が
- 藤井聡太が
- 米津玄師が
「俺、こんなに頑張ったんだぜ?」と、言っているのを聞いたことがありますか?
ないな…
そんな話聞きたくもないよね。あの結果を見れば、努力したことは誰でもわかるよ
努力は、「伝えるもの」ではなく、「伝わるもの」
しかし、「挫折・逆境・努力・成功」という一連のストーリーは、お客さんの心を打つこともまた事実です。
これは、自分で語るのではなく、行動によって示せば良いのです。努力は、「伝えるもの」ではなく、「伝わるもの」なのです。
日々の活動を発信し、制作の裏側も含めた大小様々なシーンを伝えます。その中であなたは、頑張っているアピールなどしません。ただ素直に、できれば笑顔で、目の前のことにあたるだけです。
全力でフルスイングして、三振したら悔しがって、バットに当たったら思いっきり走る。それを見せれば良いだけだよ
それを見たファンが「あぁ、〇〇さん(あなた)今日も頑張ってるなぁ!」と思ってもらえれば、それで良いのです。それ以上は、野暮というもの。
韓流アイドルは、デビュー前の練習時代から、その姿を発信しています。BTSもそうでした。ファンはBTSの頑張っている姿を見て、ますます応援したくなったと思います。
しかし、BTSのメンバー自身は、カメラの前で素直な表情を見せただけでしょう。自分で「俺、こんなに頑張ったんだぜ!」とは言っていないと思いますよ。
禁句5. 世界観に矛盾する発言
これが1番罪の重い発言かもしれません。クリエーターとしては、あるまじき発言です。
よく言われるように、クリエーターは「世界観」が大切ですね。
実在するかはさておき、お客さんにその世界があると信じ込ませ続けなければなりません。決して現実世界に戻さないよう、魔法をかけ続けなければならないのです。
カトリックの宣教師が、「死後の世界なんてないよ」とか、「処女(聖母マリア)から子供(イエス)が生まれるわけないでしょ」なんて、言っちゃあマズいでしょう。
- だから、ゆうこりんは、「こりん星からいちごの馬車でやってきた」と言い続けなければならなかったのです。
- だから、アイドルはウ○コをしてはいけないのです。
同じ女性タレントでも、清純派アイドルの熱愛は批判されます。一方で、みちょぱさんは何も言われません。売っている世界観が違うからです。
アイドルも人間ですから、誰と付き合うも自由でしょう。しかし、男の影すらない清純な世界観でビジネスしていたのは、自分(周りの大人かもしれないが)でしょう?
魔法が解けた結果は、受け入れるべきじゃないかな?
あなたが「伝統的な和」の世界観で売っているなら、ランチで食べた「ステーキ」や「ハンバーガー」を、SNSに載せるべきではありません。
「お刺身定食」や「おにぎり」を食べたときだけ載せるべきです。
つまらない話に聞こえるかもしれませんが、こういう細かい世界観を守れる人がプロフェッショナルなのです。
また、ハンドメイド作家は売れてくると、急に自分のハンドメイド論を語り始めます。「世のハンドメイド作家はけしからん」的なお説教を言いたくなるようです。
こういう余計な発言もやめてください。ホントに余計です。
あなたが売っている世界の登場人物は、あなたとお客さんだけです。他所のハンドメイド作家は登場しません。登場しない人の話をするのはやめましょう。
世界観を守り続けるお手本
この世界には、自分の打ち出した世界観を守り続けているプロがいます。彼ら彼女らの姿勢は、ホントに参考になります。
例えば、「叶姉妹」です。
そもそも姉妹ですらないし、本当にセレブなのかもよく分かりません。実のところは知りませんが、多分そうではないのでしょう。
叶姉妹は、ボクが小学生の頃から活躍していましたが、庶民くさい話は一度も聞いたことがありません。
- メンズを囲っているとか
- 一度つけた下着はつけないとか
- 毎日焼肉を食べているとか
ギャグみたいな話もありますが、世界観は常に一貫しています。
ボロは絶対に出しません。貴婦人のように、いつも上品で、丁寧で、ゆっくりした口調です。声を荒げたところも見たことがありません。
「ガクトさん」や「ローランドさん」もスゴい。人間ですから、本当は弱い部分もあるでしょう。しかし、絶対に外には見せません。常に、「パーフェクトな俺」です。
「矢沢永吉さん」もそうですよね。上の世代の人たちに、永ちゃん好きがあまりに多いことに驚きます。
でも、立ち振る舞いを見れば納得です。永ちゃんは、歌っても、喋っても、歩いても、歳を取っても、ずっと「ロックな永ちゃん」なんですから。
「世界観」とも言えるけど、「キャラクター」とも言えそうだね
何も、いつも無理して虚勢を張ってくださいと言っているわけではありません。
あなた自身が、そこに身を投じたいと思えるような世界観を生きれば良いだけです。
きっと叶姉妹は、あの世界観が好きで、ノリノリでやっているんじゃないでしょうか?逆に、ゆうこりんみたいに、意思とは違う世界観を選ぶと、後が苦しいですよ。
ぜひ、あなた自身が大好きな世界を生きてください!
まとめ
今回は、セールストークに関する話をしてみたよ
イベント出店(マルシェ)とか、SNSとか、ライブ配信で使えるから、ぜひ試してみてね
売り込まなくて良いってのは、ちょっとホッとしたかも
この記事のまとめです。
禁句1. いかがですか?
- 前のめりに売ろうとするトークは、かえってお客さんを遠ざける
- ただ特徴を説明するだけで良い
- 押しの一言は、「お急ぎください」の方が遥かに効く
禁句2. 返事が「YES」にならない質問
- 「NO」と言われると、その瞬間に商談の勝率がグッと下がる
- 「YES」としか言えない質問を重ねると良い
- あえてネガティブ要素に触れ、「気にされてるのは〇〇ですよね?」と質問するテクニックは効果抜群
禁句3. 愚痴・悪口
- 作品だけではなく、お客さんから見える一挙手一投足のすべてがブランド
- あなたが吐いた愚痴や悪口も、お客さんから見たらブランドの一部
- 見たお客さんがどう感じるか考えるべき
禁句4. 頑張ってますアピール
- 本人から聞く「俺、頑張ってるぜ」ほど興醒めするものはない
- 努力は、「伝えるもの」ではなく、「伝わるもの」
- アピールなどせず、ただ活動を発信するだけで良い
禁句5. 世界観に矛盾する発言
- クリエーターは、その世界が実在しようがしまいが、あると信じ込ませ続けなければならない。魔法が解けないようにしなければならない
- 叶姉妹やローランドさんは、決して世界観を壊さない
- 自分が心地よくいられる世界観を選ばないと、あとがツラい
セールスのテクニックは色々ありますが、真面目にやると、練習というより場数が必要になってきます。
ハンドメイド作家は、しょっちゅう売り場に立つわけではありませんから、「あれを言え、これを言え、こう言え」なんて教えられても、なかなか実践できません。
そういう意味でも、まずは、「最低限言ってはいけないフレーズ」だけ意識しておきましょう。
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