現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
「結局ブランディングって何すればいいんだよ!いい加減誰か教えてくれぇー!」
なんだか大事そうなイメージがある「ブランディング」ですが、これほどフワッとした説明しか見ない言葉も少ないでしょう。
「イメージ作り」と言えばそれまでですが、それで「おお!そうか!」とはならないですよね。「世界観」と言葉をちょっと変えたところで、フワフワ度合いは変わりません。
うん。これはマジでわからん
どこもかしこも説明の仕方が悪い。あの説明でわかるわけないでしょ
朗報です。この記事では、あのフワフワした「ブランディング」を、スッと腹落ちする言葉に言語化しました。これ以上わかりやすい説明は無理じゃないかと思います。
ブランディングは上手くいくと超強力。ブランドが醸成された作品は、同じようなライバル作品とは比較されずに買ってもらえます。数倍の値段で売れてしまうこともあります。
今度こそわかるんだろうな?
大丈夫!これ以上わかりやすい説明はできない!
ブランディングに成功すると一定のファンがつくので、売上が安定します。長く活動していくには、ブランドが不可欠でしょう。
ライバルが手をこまねいているブランディングは、間違いなく差をつけるチャンス。
ぜひあなたもブランディングにチャレンジしてみてください!
「ブランド」と「ブランディング」
「ブランド」と「ブランディング」というよく似た2つの用語があります。
この記事でも両方が出てきます。
まずは、それぞれの違いを説明しておきましょう。
ブランドとは?
「ブランド」は、お客さんが「売り手(企業/メーカー/ショップ/クリエーター/商品など)」に対して持っているイメージのことです。
よく「ブランドイメージ」と言われますが、「ブランド」も「イメージ」も「ブランドイメージ」も、この文脈では同じ意味になります。
なんとなく、「ブランド=高級品」というイメージがありますが、全くそうではありません。「庶民的なイメージ」もひとつブランドです。
参考)ブランドはお客さん一人ひとりにある
なおブランドを、「消費者が共通して抱くイメージ」と説明する人もいますが、これは間違いです。
お客さんによって、その企業や商品に持っているイメージが異なるからです。
- ある人はコカコーラに、運動の後に飲む「爽快感」を感じているかもしれません。
- ある人にとってのコカコーラは、子供の頃に、亡き祖父と2人でお出かけしたときだけ飲める「秘密の思い出」と感じているかもしれません。
もしみんなが似通ったイメージを持っていたとしても、厳密には、人によって微妙に異なるイメージを持っているはずです。
ブランドは、お客さん一人ひとりの心の中にあるイメージ。お客さんの数だけ、ブランドは存在することになりますね。
人に対して「この人って〇〇なイメージだな」って思うでしょ?
それの企業や商品版がブランドってことだね
ふむ。まぁここまではわかるかな
ブランディングとは?
売り手側が、お客さんに持って欲しいイメージを植え付ける活動を「ブランディング」と呼びます。
”brand”に”ing”をつけて、動名詞になっているだけです。
それだけのこと。ブランディングの意味はカンタンでしょ?
うん!ここまではOK
まとめると、「お客さんにより好ましいブランドイメージを持ってもらうために、企業はブランディングを行なっている」ということになりますね。
そのブランディングはあなたに合ってる?
個人だと、インスタで「キラキラした毎日」とか「ラグジュアリーな生活」とかを発信するのがブランディングと思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
あなたが、お客さんに対し、「自分(または自分の作品)にどういうイメージを持ってほしいか?」を考えてみてください。
投資商品を売っている人や、儲かるノウハウを売っている人なら、
- 「みんなが働いている平日に石垣島で優雅に過ごす」
- 「六本木で高級車を乗り回す」
といったブランディングは正解だと思います。
しかしハンドメイド作家は、そういうイメージで売りたいわけじゃないはず。
ハンドメイド作家を志すような人ですから、きっと理想とする美意識があるのではないでしょうか?
ジャラジャラとお金の匂いをプンプンさせるよりも、あなたらしい美意識をでブランディングした方が良いんでね?
そうだね。インフルエンサーに流されちゃいけないなー
「ブランド」を言い換えると?
まずは用語解説をしましたが、やはりまだフワッと感は拭えないですね。
具体的にどうやってブランディングをすべきか想像できませんから。
そこで、「ブランド」を別の言葉に言い換えて表現してみましょう。
ブランドは「のれん」である
ブランドは目に見えないからわかりづらい。というわけで、物理的なモノに例えると理解が進みます。
よくブランドは、「のれん」や「看板」に例えられます。小さいもので例えるなら、「ラベル」と言っても良いでしょう。
識別子としての「のれん」
まず第1段階として、ブランドは識別子になります。
同じようなお店が10個並んでいたときに、あるいは同じような商品が10個並んでいたときに、何を持ってそれらの違いを見出すのでしょうか?
それがのれんであり、看板であり、ラベルです。
瓶ビールはどこのメーカーも同じような色・形ですよね。それぞれ別個の商品として認識できるのは、ラベルが貼ってあるからです。
そのラベルによって、辛口だったり、喉越しの良さだったり、濃厚さだったり、香りの良さだったりを、違いとして認識するのです。
お客さんに、「わたしのブランドは、他社とは明確に違うユニークな存在なんだ!」と認識させる識別子が、ブランドなんですね。
同じハンバーガーチェーンでも、
- マクドナルド
- モスバーガー
- フレッシュネスバーガー
は、それぞれ違った印象を受けます。各ブランドが、きちんと識別子として機能しているからです。
というわけで、ブランディングで最低限クリアしなければならないのは、ライバルとの違いを明確に打ち出すことです。
逆に言えば、他との違いを明確に示せないブランドは、ブランドとして機能してないことになるね
二番煎じのまるパクリブランドだと、ブランドとは思わないもんね
「のれん」が売上を作る
ブランディングに成功したのれんや看板は、ただの布や板ではありません。つけるだけで売れてしまう「水戸黄門の印籠」のような存在に進化します。
飲食店を新規出店しても、売れるかどうかは一か八か。しかし「マクドナルド」や「スターバックス」の看板を掲げると、それだけでたくさんのお客さんが押し寄せます。
ブランドロゴも同じような役割を果たします。
- ただのスニーカーに「adidas」の3本線をつければ、それだけで売れる
- テカテカのダウンに「モンクレール」のワッペンをつければ、他の何倍もの値段でも売れる
- カバンに「LV」のモノグラムをプリントするだけで、ラグジュアリーアイテムとして売れる
ただブランドがついているだけで、欲しくないものが急に欲しくなったり、一般的な値段よりずっと高くても欲しくなってしまう。
これがブランドです。これこそが、ブランドの威力なんです。
だから目に見えない「ブランド」でも、それ自体が売買の対象にもなる
ブランドの使用権を買い取って、そのまま使うだけで即売れるから
ブランドってすげぇ!もはや財産!
ブランドは「約束」である
ブランドを、「お客さんと交わした約束」と捉えると、より本質が見えてきます。
ナイキはホテルを経営していない。だが、経営していれば、おそらくどんなホテルか想像がつくだろう。それが、ナイキのブランドだ。
セス・ゴーディン『THIS IS MARKETING』より
例として、ボク自身の話をしましょう。
ボクはApple製品が大好きです。もちろんケータイはiPhoneで、パソコンはMacBookで、イヤホンはAirPodsです。
ボクにとってAppleのブランドイメージは、「常に最高のUXを実現してくれるデバイスカンパニー」です。これは、ボクとAppleの間で交わされた約束です。
iPhoneはいつだってAndroidより使いやすいですし、MacはWindowsパソコンより起動が早くてシンプルな操作感です。
その約束を守ってくれるから、ボクはAppleを買い続けているのです。
*UXは、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)のこと。ここでは、トータルの使いやすさと思ってくれればOK。
「信頼」という言葉でも通じますね。ブランドに対する信頼があるからこそ、ファンは買い続けるわけです。
ときにハイブランドは、廉価版を販売しません。セールもしません。そんなことをすれば、お客さんと交わした「持つだけでステータスになる」という約束を破ることになるからです。
だから廉価版を販売する際は、わざわざセカンドブランドを立ち上げるのです。本ブランドが交わした約束を守るために。
- ディズニーはいつだって、「子供に安心して見せられるアニメーション」を約束してくれます
- ニューバランスのスニーカーはいつだって、「最高の履き心地」を約束してくれます
- G-SHOCKは、「丈夫で壊れない腕時計」を約束してくれます
「ブランド=約束」なので、約束を破ったブランドは、もうそれまでのブランドではなくなります。
これまで築き上げてきた「のれん」を、自ら捨てることになるわけですから。信頼を裏切ったのですから、ブランド名で買ってくれるお客さんはもういません。
約束を破ったブランドは、「スキャンダルを起こした清純派アイドル」と同じだね
だから同じスキャンダルでも、人によって叩かれ方が違うんだね
「約束と違うじゃねーか!」ってなる人が炎上するわけだ
ブランディングを行う3つのメリット
上記の例えで、ブランドの本質が見えましたね。そのメリットについても、おおよそ見当がついたと思います。
ブランディングのメリット
- 価格競争に巻き込まれない
- 客単価が上がる
- 集客がラクになる
改めて、マーケティング目線でブランディングの価値を紐解いていきましょう。
メリット①:価格競争に巻き込まれない
普通、複数メーカーが同じような商品を売っている場合では、安いメーカーが売れるようになります。つまり価格競争に勝った商品が売れるということです。
しかし、ブランドが確立している商品は、熾烈な価格競争の外側にいます。悠々と高値をキープしているにも関わらず、お客さんに選ばれるのです。
ブランドは、「約束」でしたね。
ブランドがついている商品は、
- 「美味しい!」
- 「丈夫!」
- 「かっこいい!」
- 「ステータスになる!」
- 「効果がすごい!」
- 「地球環境にやさしい!」
などなど、お客さんと交わした約束が担保されていることになります。
他社製品は買って使ってみるまで満足できるかハッキリしませんが、ブランド商品は買う前から100%に近い満足が約束されています。
ブランド商品は、どこぞの馬の骨ともしれない他社商品とは訳が違う。別次元の安心感が、ブランド商品にはあるんです。
だからブランドが確立していると、他社よりもずっと高い価格でも買ってしまうわけです。
ハンドメイドは、同じような作品がたくさんある中で高く売らなきゃいけない
だからブランディングはとっても大事!
メリット②:LTV(生涯顧客価値)が上がる
「LTV(生涯顧客価値)」とは、1人のお客さんが、生涯に支払ってくれる総売上金額のことです。
ブランディングに成功すれば、ファンが付きます。ファンは何度もリピート購入してくれるので、LTVが上がります。
例えば、あるブランドの「財布」を買ってファンになれば、次は「カバン」や「名刺入れ」も買ってもらえるイメージですね。
LTVはマーケティングの超重要指標
基本的にはリピート率がLTVを左右するから、ファン化はとっても重要なんだ!
わたしのファンになって、もっとたくさん買って欲しい!
メリット③:集客がラクになる
ブランドが確立すると、いろんな面で集客のコストが下がります。
まずわかりやすいのが、広告コストがかからないこと。広告というのは、インプレッション(露出=お客さんの目に留まる数)を買う行為です。
売り手と接点がない新規のお客さんは、目に触れる機会を強引に作らなければ、捕まえられません。だから広告でインプレッションを買うわけです。
しかしブランドのファンのお客さんは、
- 日頃からブランドのページを見に行ったり
- SNSをフォローしていたり
- メルマガに登録していたり
します。だから広告など使わずとも、一定のインプレッションが確保できてしまうんですね。
加えて、ブランドが確立すると「ブランド名」で検索される機会が増えます。これをマーケティング界隈では「指名検索」と呼びます。
指名検索は、だいたいどのプラットフォームでもアルゴリズムに有利に働きます。
GoogleやSNSの検索で上位表示されやすくなるので、やはりお金をかけずにインプレッションを増やせます。
ブランドが確立しているほど、頑張らなくてもお客さんが来てくれるんだ!
売上が上がるイメージはあったけど、コストまで下げられるのか!
どうなればブランディングが成功したと言えるか?
ではどうなったら、「よしウチは、ブランディングに成功したぞ!」と言えるのでしょうか?
言い換えると、どうなったらお客さんの心の中にブランドイメージが確立するのでしょうか?
ブランディングを成功させるためには、
- ブランド想起させるようになったら
- ブランド名やロゴに魅力が宿ったら
の2つの条件を満たす必要があります。
ブランド想起されるようになったら
「〇〇と言えば?」で、ブランドが真っ先に思い浮かぶことを「ブランド想起」と呼びます。「想起集合」と呼ばれることもあります。
例えば、「コーラ」と聞いて1秒で思い浮かぶのは、「コカコーラ」と「ペプシコーラ」だけじゃないでしょうか?
このとき、コカコーラとペプシコーラは、ブランド想起されていることになります。
おそらくコーラブランド他にもたくさんあるんでしょうが、それらはコーラのブランドとして認知されていません。
基本的には、ブランド想起されたブランドの中での競争になります。ブランド想起という名の予選に勝ち残らないと、購入まで辿り着けないのです。
コーラの例は範囲が広いのですが、
- ドール用の洋服クリエーターといえば
- 動物モチーフの刺繍といえば
- 丈夫で割れない子供用のお皿といえば
といった、ごく限られた範囲で想起されれば、ブランディングは成功です。
そっか!自分でも勝てそうなフィールドで、真っ先に思い出してもらえればいいんだね!
ブランド名やロゴに魅力が宿ったら
そのブランド名を見ただけで、好ましいイメージが浮かんで購入の決め手になる。ほぼ同じ商品が10個あったときに、そのブランドのラベルが貼ってあるだけで選ばれる。
この状態になっていることも、ブランディング成功の条件です。
スタバが好きな人は、スタバの看板を見ただけで、「コーヒーの匂いやゆったりとした空間」をイメージするでしょう。それがお店に入る決め手になります。
アフタヌーンティーなら、「オシャレで優雅な時間」なイメージをしてお店に入るかもしれません。
ハーブスなら、「ケーキが美味しい」というイメージかもしれません。
ブランド名だけでお客さんを呼べる状態になるには、時間がかかります。つまりブランディングとは、一朝一夕には出来上がらないものなのです。
ブランドロゴをプリントする条件
なおアパレルなどの物理的な商品で、ブランドロゴをプリントする場合は、より条件が厳しくなります。
ブランドロゴ単体に「かっこいい!」とか「ステキ!」といったイメージが醸成されない限り、そのブランドロゴは無価値だからです。
- NIKEのスウッシュマークは、それ自体がかっこいいです。しかしデザインを模しただけのシューズは全然かっこよくありません
- Appleのロゴが入ったMacBookは格別ですが、デザインを模した中華PCに心はときめきません
だから立ち上がったばかり新ブランドは、ブランド名やブランドロゴに価値はありません。まだ魅力が宿っていないからです。
自信がない限り、ハンドメイド作品にロゴはつけない方が良いと思うよ
パッケージとかはいいけどね
冷静に考えると、わけわからんブランドロゴって邪魔だしな。むしろ無地の方が良い
ブランディングを成功させる5つの秘訣
ブランディングを成功させるためには、次のアクションが必要です。
ブランディングを成功させる秘訣
- 他社とは違うブランドコンセプトを打ち出す
- 一本筋が取った行動を取る
- お客さんの期待を絶対に裏切らない
- 色んな意味で「距離」の近いところへ進出する
- 何度も接触する
しかも一朝一夕ではいかないので、これらのアクションを継続して行う必要があります。
なんか大変そう…?
意外とそうでもない。1つ1つの行動で意識をするだけで、やることが極端に増えるわけじゃないからね
秘訣①:他社とは違うブランドコンセプトを打ち出す
一般的に、「ブランディングの秘訣はポジショニング!」と言われています。
ただ「ポジショニング」と言われるとピンと来ないと思うので、ここでは「ブランドコンセプト」と表現しましょう。意味はほぼ同じです。
とはいえ、抽象的な言葉が並んで混乱しちゃうよね
ゆっくり丁寧に解説していくよ
ブランドコンセプトとは、「誰に、何を届けるか」です。どんなタイプのお客さんに、どんな理想の未来を実現するのか。これがブランドコンセプトです。
このブランドコンセプトを唯一無二にする。難しければ、なるべくライバルと被らないようにする。それがブランディングの出発点になります。
あなたのブランドとライバルの決定的な違いを生むのが、「誰に」の部分。ビジネスっぽく言うと「ターゲット」です。
先ほど、ブランディングの成功条件の1つが「ブランド想起」であるとお話ししました。「〇〇と言えば?」で、ブランド名が即思い浮かぶこと状態ですね。
ブランド想起は、ターゲットが広くなるほど難しくなります。
例えば、ターゲットを絞らず「何でも売る」というブランドにするとしましょう。
この場合、本当に何でも揃えなきゃブランディングできません。セブンイレブンやイオン、あるいはインターネット事業なら何でもやる楽天グループみたいに。
広範囲なブランディングは難しいので、大企業じゃなきゃまずムリでしょう。
- 何でも売っている
- →インテリアを売っている
- →照明を売っている
- →間接照明を売っている
- →高級な間接照明を売っている
のようにターゲットを絞っていくほど、ブランド想起してもらいやすくなります。つまり、ブランディングの難易度が下がるのです。
「山田医療照明」という会社は、社員100名以下の中小企業ですが、手術用の無影灯でトップクラスのシェアを誇ります。ターゲティングのお手本のような事例ですね。
なるほど!「醤油ラーメン」で思い出してもらうより、「トマトラーメン」で思い出してもらう方がカンタンだもんね!
規模が小さいビジネスほど、徹底的にターゲットを絞るべき!
決して「何でも屋」になっちゃいけないよ!
秘訣②:一本筋が取った行動を取る
ブランドコンセプトを決めただけでは、お客さんの心にブランドのイメージは湧きません。
自分で決めたブランドコンセプトに則り、1本筋の通った行動を取り続けること。これがブランディング成功の1番の秘訣になります。
そうすることで初めて、お客さんはあなたのブランドが他社とは違うと認識します。そして特別な感情を抱くようになります。
例えばIKEAは、オシャレな北欧家具というブランドイメージの他に、「サステイナブル」を打ち出しています。
- 店舗内のほぼ全ての電力を、再生可能エネルギーでまかなっている
- 配送サービスでCO2を出さない
- 店舗内レストランでは、肉ではなく植物由来の材料を使う
- サステイナブルな暮らしのアイデアを発信する
などの取り組みを行っています。
ポイントは「有言実行」です。IKEAなら、「わたしたちはサステイナブルな取り組みをします!」と宣言して、その通りに実行していくということ。
これが筋を通すということですね。その結果、お客さんは売り手に対して、他とは違う特別な感情を抱くようになるわけです。
別に環境に関連している必要はありません。
もしあなたが和風モチーフの作品を作っているとしたら、
- 作品はもちろん全て和テイスト
- 国産の材料を使用する
- 正しい日本語でお客さんとコミュケーションを取る
- 仕事で人前に出るときは和装をする
といった具合で筋を通すのも良いですね。
カンタンに言うと、徹底的にキャラ作りするって感じかな
自分で作ったブランドを自分で演じる感じか!
秘訣③:お客さんの期待を絶対に裏切らない
筋を通すことで、お客さんの心の中にブランドイメージが醸成されます。
その後あなたは、お客さんが期待するイメージ通りに振る舞い、決してそのイメージを裏切ってはいけません。
先のIKEAの例で言えば、サステイナブルを打ち出していましたね。
そんなIKEAが「ファストファッション」を販売したり、「過剰包装」をしたりしたらどうでしょう?
せっかく積み上げてきたブランドイメージを、自らの手でぶち壊すことになってしまいます。
ある意味でブランドとは、企業やクリエーターが作った擬似人格(キャラクター)です。
ONE PIECEの作者である尾田栄一郎先生は、「ルフィ」というキャラクターを生み出しました。ですが尾田先生は、作者だからといって、ルフィに何をさせても良いわけではありません。
お客さんがルフィに寄せている
- 「絶対に諦めない」
- 「曲がったことは許さない」
- 「どんな強敵でも立ち向かう」
といった期待を裏切ることができないからです。
これと同じ。あなたがブランドのオーナーであっても、そのブランドを思い通りにできるわけではないのです。お客さんの期待を裏切るわけにはいきませんから。
秘訣④:色んな意味で「距離」の近いところへ進出する
これは字面だと想像しづらいので、例でお話ししましょう。
例えば、あなたが大阪でステーキ店を開き、努力の末に大成功したとしましょう。
「これは儲かる!」と踏んで、2号店を出すとしたら場所はどこがいいでしょうか?
東京進出?それとも間をとって、名古屋あたり?
と思うよね。でも普通はそうはしないんだな
答えは、2号店も大阪です。百歩譲って、兵庫や京都ですね。
え、なんで?もう東京行っちゃえばいいじゃん!?
ブランドは「のれん」でしたね。新規出店の2号店でも、のれんをかけるだけでお客さんが押し寄せます。
しかしそれは、のれんとして機能していればの話。
大阪で名が売れたとしても、東京や名古屋では全くの無名。のれんが意味をなさない新天地では、全く0からのスタートになってしまうのです。
だからリアル店舗がチェーン展開する際は、2店舗目は隣の駅のような近場に出店します。3店舗目も4店舗目も、その近場にオープンしていきます。
そうやって、1号店のブランドの影響力が通じる範囲に出店しながら、地域全体で「ステーキ屋といえばココ!」を目指します。
近い範囲を着実に取り込んでいく手法を、マーケティング用語で「ドミナント戦略」と呼ぶよ
ステーキ屋は物理的な距離を例にしましたが、これは様々な意味で応用できます。
- ライザップが立ち上げた、会員制ジムのチョコザップ
- ブックオフから派生した、中古家電や楽器を売るハードオフ
- Appleが出した、イヤホンAirPods
のように、元ブランドの威光が届く範囲へ進出しましょう。
成功率が上がるだけでなく、ブランドが強化されていきます。
「近いジャンルにどんどん進出しよう」というよりは、「関連が低いジャンルに進出するな」という意味で捉えてもらうと良いですね。
わちゃわちゃ手を出すと、何屋さんかわからなくなっちゃうもんね
秘訣⑤:何度も接触する
ブランドとはお客さんの持つイメージですから、1回見ただけだと忘れられてしまいます。
そこで、ブランド名やブランドのメッセージを何度も刷り込み、お客さんの記憶に残すのです。
ただ記憶に残るだけでなく、接触頻度が多いほど好きになってしまう「単純接触効果(またはザイアンス効果)」という心理現象もあります。
何度も何度も同じCMを見せられると、「もういいよ!わかったって!」と感じるかもしれませんが、企業からすると狙い通り。これでお客さんの脳裏にブランドが焼き付くんですから。
そういう意味では、ずっと変わらないCMソングは効果的。何度も見ているうちに曲を覚えてしまって、しかも口ずさんでしまうわけです。
- メンズビゲンで染める俺〜♪
- 走れ走れ、いすゞ〜のトラック〜♪
- 本を売るならブックオフ♪
これでブランド想起は完璧ですね。
テレビCMやCMソングはハードルが高いのですが、要は「何度もお客さんに接触するのが重要」という話です。
- SNSでの発信
- コメント欄やDMでのコミュニケーション
- メルマガ
などで、繰り返しブランド名が目に触れるようにすればOKです。
極端な話、中身は見られずとも、タイトルが目に入るだけでも効果あるよ
ムリない範囲でやってかなきゃね!
あなたの全てがブランドだ
最後に、これからブランディングを本格的に取り組むあなたに、伝えておかなければならないメッセージがあります。
それは、「あなたの全てがブランドだ」ということです。
ここまで読んでくれたあなたなら、意味がわかるんじゃないでしょうか?
ブランドは、単に商品だけの話じゃありませんね。じゃあどこまでかと言えば、お客さんから見える、あなたの一挙手一投足の全てがブランドなのです。
どこであろうと、お客さんと交わした約束を裏切ってはいけない!
「ハリーウィストン」は、
- もちろん「指輪」もブランドです。
- 店舗の「外観」もブランドです。
- 店舗の「内装」もブランドです。
- 飾ってある「季節のお花」もブランドです。
- スタッフの「制服」もブランドです。
- スタッフの「言葉遣い」もブランドです。
- 入り口に近づいたら「ドアを開けてくれる守衛さん」もブランドです。
- 「SNSの発信」もブランドです。
もうわかりますよね。お客さんとの接点は、全てブランドの一部なのです。
全て、1本筋が通っていなければならないのです。
TwitterやThreadsで、グチグチと悪口やら文句やらを呟いている作家さんがいますね。お客さんは、どんな気持ちでその発信を目にすると思うのでしょうか?
あなたはこんな意識の低い作家になっちゃダメだ!
もう一度言いますよ。
あなたの全てがブランドです。必ず、ブランドコンセプトに沿って、首尾一貫した態度・行動・言動を心がけてください。
まとめ
今回はどこよりもわかりやすく「ブランディング」を解説してみたよ
と言いつつ、ホントにわかりやすかったかどうかは気になるところ
そうね。相変わらずフワッとはしているけど、輪郭はハッキリしたと思う!
やることもクリアになった!
OK!わからなくなったら、またこの記事に戻ってくるといいよ!
この記事をまとめます。
ブランドとブランディングの違い
- お客さんが売り手や商品に抱いているイメージが「ブランド」
- 売り手がお客さんに好ましいイメージを植え付ける活動が「ブランディング」
ブランドを言い換えると?
- ブランドは、掲げるだけでお客さんが集まる「のれん」や「看板」である
- ブランドは、お客さんと交わした約束である。約束が守られるからそのブランドから買う
ブランディングを成功させる秘訣
- ライバルとは違うブランドコンセプトを打ち出す
- ブランドコンセプトに則り、1本筋が取った行動を取る
- お客さんの期待を絶対に裏切らない
- 新作や新規事業は、元のブランドの威光が届く範囲で進出する
- 何度も接触してブランド名やブランドメッセージを刷り込む
ブランドは、目には見えないけど、それ自体が売上を生み出す「打ち出の小槌」のような存在です。
ただし、振れば永遠にお客さんが寄ってくるわけじゃありません。ブランドがお客さんの信頼を失えば、振っても何も出ないただの小槌になってしまいます。
だから売り手は、打ち出の小槌の魔法が解けないように、お客さんからの信頼に応え続けなければなりません。それが「約束」の意味するところです。
ブランドの本質は、「お客さんとの約束」にある!
よくよく理解してほしい!
またこの記事では、何度か「醸成」という言葉を使いました。味噌やお酒は、材料を混ぜるだけではできません。発酵させて醸成する時間が必要です。
ブランドも同じ。長い期間にわたってブランディングを続けることで、お客さんの心の中にブランドイメージが醸成されるのです。
「ブランディングは継続してナンボ」という事実も、忘れないでくださいね。
ブランドをストーリーにしよう!
ブランディングに成功すると、あたかも大河ドラマの主人公のように、行動した軌跡が物語になります。それがブランドストーリーです。
ストーリー化したブランドは、お客さんの心を強く惹きつけます。魅力的なストーリーは、あなたの「ファン」を「信者」に変えてしまうでしょう。
ストーリーにしてこそ、ブランディングは完成形に至る!
す、すごそうだ!
本記事は、「ブランディングとは何か?」に焦点を当てた基本編と思ってもらって良いでしょう。
↓のストーリーの解説記事は、ブランディングの実践編です。ブランディングのより明確なアクションを解説しているので、こちらも読んでみてください!
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