

「結局ブランディングって何すればいいんだよ!いい加減誰か教えてくれぇー!」
なんだか大事そうなイメージがある「ブランディング」ですが、これほどフワッとした説明しか見ない言葉も少ないでしょう。
「イメージ作り」と言えばそれまでですが、それで「おお!そうか!」とはならないですよね。「世界観」と言葉をちょっと変えたところで、フワフワ度合いは変わりません。

うん。これはマジでわからん

どこもかしこも説明の仕方が悪い。あの説明でわかるわけないでしょ
朗報です。この記事では、あのフワフワした「ブランディング」を、スッと腹落ちする言葉に言語化しました。これ以上わかりやすい説明は無理じゃないかと思います。
ブランディングは上手くいくと超強力。ブランドが醸成された作品は、同じようなライバル作品とは比較されずに買ってもらえます。数倍の値段で売れてしまうこともあります。

今度こそわかるんだろうな?

大丈夫!これ以上わかりやすい説明はできない!
ブランディングに成功すると一定のファンがつくので、売上が安定します。長く活動していくには、ブランドが不可欠でしょう。
ライバルが手をこまねいているブランディングは、間違いなく差をつけるチャンス。
ぜひあなたもブランディングにチャレンジしてみてください!
「ブランド」と「ブランディング」

「ブランド」と「ブランディング」というよく似た2つの用語があります。
この記事でも両方が出てきます。
まずは、それぞれの違いを説明しておきましょう。
ブランドとは?
「ブランド」は、お客さんが「売り手(企業/メーカー/ショップ/クリエーター/商品など)」に対して持っているイメージのことです。
よく「ブランドイメージ」と言われますが、「ブランド」も「イメージ」も「ブランドイメージ」も、この文脈では同じ意味になります。
なんとなく、「ブランド=高級品」というイメージがありますが、全くそうではありません。「庶民的なイメージ」もひとつブランドです。
ときに、ブランド名を聞いて思い浮かべるイメージは、1つではありませんね。
例えば、「Netflix」と聞いたら、
- 高品質(の映像作品)
- 予算が大きい(の映像作品)
- 地上波では放映できない攻めた感じ
といった複数のイメージが思い浮かぶかもしれません。
その複数のイメージの総和が、「ブランド」そのものだと思ってください。
参考)ブランドはお客さん一人ひとりにある
なおブランドを、「消費者が共通して抱くイメージ」と説明する人もいますが、これは間違いです。
お客さんによって、その企業や商品に持っているイメージが異なるからです。
- ある人はコカコーラに、運動の後に飲む「爽快感」を感じているかもしれません。
- ある人にとってのコカコーラは、子供の頃に、亡き祖父と2人でお出かけしたときだけ飲める「秘密の思い出」と感じているかもしれません。
もしみんなが似通ったイメージを持っていたとしても、厳密には、人によって微妙に異なるイメージを持っているはずです。
ブランドは、お客さん一人ひとりの心の中にあるイメージ。お客さんの数だけ、ブランドは存在することになりますね。

人に対して「この人って〇〇なイメージだな」って思うでしょ?
それの企業や商品版がブランドってことだね

ふむ。まぁここまではわかるかな
ブランディングとは?
売り手側が、お客さんに持って欲しいイメージを植え付ける活動を「ブランディング」と呼びます。
”brand”に”ing”をつけて、動名詞になっているだけです。

それだけのこと。ブランディングの意味はカンタンでしょ?

うん!ここまではOK
まとめると、「お客さんにより好ましいブランドイメージを持ってもらうために、企業はブランディングを行なっている」ということになりますね。
そのブランディングはあなたに合ってる?
個人だと、インスタで「キラキラした毎日」とか「ラグジュアリーな生活」とかを発信するのがブランディングと思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
あなたが、お客さんに対し、「自分(または自分の作品)にどういうイメージを持ってほしいか?」を考えてみてください。
投資商品を売っている人や、儲かるノウハウを売っている人なら、
- 「みんなが働いている平日に石垣島で優雅に過ごす」
- 「六本木で高級車を乗り回す」
といったブランディングは正解だと思います。
しかしハンドメイド作家は、そういうイメージで売りたいわけじゃないはず。
ハンドメイド作家を志すような人ですから、きっと理想とする美意識があるのではないでしょうか?

ジャラジャラとお金の匂いをプンプンさせるよりも、あなたらしい美意識をでブランディングした方が良いんでね?

そうだね。インフルエンサーに流されちゃいけないなー
「ブランド」を言い換えると?
まずは用語解説をしましたが、やはりまだフワッと感は拭えないですね。具体的にどうやってブランディングをすべきか想像できませんから。
そこで、「ブランド」を別の言葉に言い換えて表現してみましょう。
ブランドは「のれん」である

ブランドは目に見えないからわかりづらい。というわけで、物理的なモノに例えると理解が進みます。
よくブランドは、「のれん」や「看板」に例えられます。小さいもので例えるなら、「ラベル」と言っても良いでしょう。
識別子としての「のれん」
まず第1段階として、ブランドは識別子になります。
元々「Brand(ブランド)」という言葉の語源は、家畜の牛につけた「焼印」でした。よそ様の牛と混同しないよう、識別子として焼印を押したのがブランドの原点です。
同じようなお店が10個並んでいたときに、あるいは同じような商品が10個並んでいたときに、何を持ってそれらの違いを見出すのでしょうか?
それがのれんであり、看板であり、ラベルです。
瓶ビールはどこのメーカーも同じような色・形ですよね。それぞれ別個の商品として認識できるのは、ラベルが貼ってあるからです。
そのラベルによって、辛口だったり、喉越しの良さだったり、濃厚さだったり、香りの良さだったりを、違いとして認識するのです。
お客さんに、「わたしのブランドは、他社とは明確に違うユニークな存在なんだ!」と認識させる識別子が、ブランドなんですね。
同じハンバーガーチェーンでも、
- マクドナルド
- モスバーガー
- フレッシュネスバーガー
は、それぞれ違った印象を受けます。各ブランドが、きちんと識別子として機能しているからです。
というわけで、ブランディングで最低限クリアしなければならないのは、ライバルとの違いを明確に打ち出すことです。

逆に言えば、他との違いを明確に示せないブランドは、ブランドとして機能してないことになるね

二番煎じのまるパクリブランドだと、ブランドとは思わないもんね
「のれん」が売上を作る
ブランディングに成功したのれんや看板は、ただの布や板ではありません。つけるだけで売れてしまう「水戸黄門の印籠」のような存在に進化します。
飲食店を新規出店しても、売れるかどうかは一か八か。しかし「マクドナルド」や「スターバックス」の看板を掲げると、それだけでたくさんのお客さんが押し寄せます。
ブランドロゴも同じような役割を果たします。
- ただのスニーカーに「adidas」の3本線をつければ、それだけで売れる
- テカテカのダウンに「モンクレール」のワッペンをつければ、他の何倍もの値段でも売れる
- カバンに「LV」のモノグラムをプリントするだけで、ラグジュアリーアイテムとして売れる
ただブランドがついているだけで、欲しくないものが急に欲しくなったり、一般的な値段よりずっと高くても欲しくなってしまう。
これがブランドです。これこそが、ブランドの威力なんです。

だから目に見えない「ブランド」でも、それ自体が売買の対象にもなる
ブランドの使用権を買い取って、そのまま使うだけで即売れるから

ブランドってすげぇ!もはや財産!
ブランドは「約束」である

ブランドを、「お客さんと交わした約束」と捉えると、より本質が見えてきます。
ナイキはホテルを経営していない。だが、経営していれば、おそらくどんなホテルか想像がつくだろう。それが、ナイキのブランドだ。
セス・ゴーディン『THIS IS MARKETING』より
例として、ボク自身の話をしましょう。
ボクはApple製品が大好きです。もちろんケータイはiPhoneで、パソコンはMacBookで、イヤホンはAirPodsです。
ボクにとってAppleのブランドイメージは、「常に最高のUXを実現してくれるデバイスカンパニー」です。これは、ボクとAppleの間で交わされた約束です。
iPhoneはいつだってAndroidより使いやすいですし、MacはWindowsパソコンより起動が早くてシンプルな操作感です。
その約束を守ってくれるから、ボクはAppleを買い続けているのです。
*UXは、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)のこと。ここでは、トータルの使いやすさと思ってくれればOK。
「信頼」という言葉でも通じますね。ブランドに対する信頼があるからこそ、ファンは買い続けるわけです。
ときにハイブランドは、廉価版を販売しません。セールもしません。そんなことをすれば、お客さんと交わした「持つだけでステータスになる」という約束を破ることになるからです。
だから廉価版を販売する際は、わざわざセカンドブランドを立ち上げるのです。本ブランドが交わした約束を守るために。
- ディズニーはいつだって、「子供に安心して見せられるアニメーション」を約束してくれます
- ニューバランスのスニーカーはいつだって、「最高の履き心地」を約束してくれます
- G-SHOCKは、「丈夫で壊れない腕時計」を約束してくれます
「ブランド=約束」なので、約束を破ったブランドは、もうそれまでのブランドではなくなります。
これまで築き上げてきた「のれん」を、自ら捨てることになるわけですから。信頼を裏切ったのですから、ブランド名で買ってくれるお客さんはもういません。

約束を破ったブランドは、「スキャンダルを起こした清純派アイドル」と同じだね

だから同じスキャンダルでも、人によって叩かれ方が違うんだね
「約束と違うじゃねーか!」ってなる人が炎上するわけだ
ブランディングの目的
ブランドは「のれん」であり、お客さんとの「約束」であり、「信頼」です。
ブランディングとは、ブランドを「のれん」たらしめることであり、「約束」や「信頼」をお客さんに信じさせることでもあります。
端的に言えば、「ファン化」がブランディングの目的でしょうね。しかし、フワッとしていて言葉遊び感があります。
ここは、もっと明確な言葉で表現しましょう。
ブランディングの目的は、
- 指名買い
- (指名買いに至るための)指名検索
です。
つまり、あなたの「ブランド名」で検索してくれて、他所と比較せずにそのまま買っていくお客さんを増やすということです。
「ライブ配信を見に来てくれる」「あなたのブランド目当てでイベントに足を運んでくれる」も、指名検索と同じ意味と捉えてもらってOKです。

「指名買い」や「指名検索」があると、正味どんな素晴らしいことがあるか。続けて解説していくよ
ブランディングを行う3つのメリット

ここまでで、ブランドの本質が見えましたね。また、ブランディングの目的が、「指名買い」「指名検索」であると、ハッキリ見当をつけました。
鋭い人は、ブランディングのメリットについても、おおよそ見当がついたかもしれません。
ブランディングのメリット
- 価格競争に巻き込まれない
- 客単価が上がる
- 集客がラクになる
改めて、マーケティング目線でブランディングの価値を紐解いていきましょう。
メリット①:価格競争に巻き込まれない
普通、複数メーカーが同じような商品を売っている場合では、安いメーカーが売れるようになります。つまり価格競争に勝った商品が売れるということです。
しかし、ブランドが確立している商品は、熾烈な価格競争の外側にいます。悠々と高値をキープしているにも関わらず、お客さんに選ばれるのです。
ブランドは、「約束」でしたね。
ブランドがついている商品は、
- 「美味しい!」
- 「丈夫!」
- 「かっこいい!」
- 「ステータスになる!」
- 「効果がすごい!」
- 「地球環境にやさしい!」
などなど、お客さんと交わした約束が担保されていることになります。
他社製品は買って使ってみるまで満足できるかハッキリしませんが、ブランド商品は買う前から100%に近い満足が約束されています。
ブランド商品は、どこぞの馬の骨ともしれない他社商品とは訳が違う。別次元の安心感が、ブランド商品にはあるんです。
だから他所と比較せず、指名買いしてくれるわけです。ブランドが確立していると、他社よりもずっと高い価格でも買ってしまうわけです。

ハンドメイドは、同じような作品がたくさんある中で高く売らなきゃいけない
だからブランディングはとっても大事!
メリット②:LTV(生涯顧客価値)が上がる
「LTV(生涯顧客価値)」とは、1人のお客さんが生涯に支払ってくれる総売上金額(ホントは「利益」だけどわかりやすく「売上」としとく)のことです。
先の話で、商品単価を高めで突っ張れるという意味でも、LTVは上がります。それに加えて、ブランディングに成功すれば、ファンが付きますね。
ファンは何度もリピート購入してくれるので、LTVが上がります。
例えば、あるブランドの「財布」を買ってファンになれば、次は「カバン」や「名刺入れ」も買ってもらえるイメージですね。

LTVはマーケティングの超重要指標
基本的にはリピート率がLTVを左右するから、ファン化はとっても重要なんだ!

わたしのファンになって、もっとたくさん買って欲しい!
メリット③:集客がラクになる
ブランドが確立すると、いろんな面で集客のコストが下がります。
当たり前ですよね。だって、お客さんの方から、あなたのブランドを指名で買っていく、あるいは検索していくんですから。そこにお金はかかりません。
まずわかりやすいのが、広告コストがかからないこと。広告というのは、インプレッション(露出=お客さんの目に留まる数)を買う行為です。
売り手と接点がない新規のお客さんは、目に触れる機会を強引に作らなければ、捕まえられません。だから広告でインプレッションを買うわけです。
しかしブランドのファンのお客さんは、
- 日頃からブランドのページを見に行ったり
- SNSをフォローしていたり
- メルマガに登録していたり
します。だから広告など使わずとも、一定のインプレッションが確保できてしまうんですね。
「広告」を「SNS」と読み換えても同じことが言えます。指名検索が増えるなら、SNSで取らなきゃいけない露出も少なくて済むのです。
また、ブランド名での指名検索は、だいたいどのプラットフォームでもアルゴリズムに有利に働きます。Google検索やSNSに優先的に表示されやすくなるので、やはりお金をかけずにインプレッションを増やせます。
(実際にそこに至ることはないにしても)究極的には、すべてのお客さんが指名検索して買っていってくれるなら、集客の必要はなくなります。
経営学者の大家ドラッカーは、「セールスを不要にするのがマーケティング」と表現しましたが、「マーケティングを不要にするのがブランディング」と言って良いでしょう。
もし広告やSNSを頑張りたくない(そう思っている作家がたくさんいるのは、よーく知っている)なら、ブランディングに力を入れるべきですね。

ブランドが確立しているほど、頑張らなくてもお客さんが来てくれるんだ!

売上が上がるイメージはあったけど、コストまで下げられるのか!
どうなればブランディングが成功したと言えるか?

ではどうなったら、「よしウチは、ブランディングに成功したぞ!」と言えるのでしょうか?
言い換えると、どうなったらお客さんの心の中に、ブランドイメージが確立するのでしょうか?
ブランディングの成功には、
- ブランド想起させるようになったら
- 2つの信頼を獲得したら
- ブランド名やロゴに魅力が宿ったら
の3段階あると考えています。
究極的には、全てクリアしたら「ブランディング成功!」ということになるでしょう。ただ、2段階目まで行けば、目に見える成果になっているはずです。
ブランド想起されるようになったら

「〇〇と言えば?」で、ブランドが真っ先に思い浮かぶことを「ブランド想起」と呼びます。「想起集合」と呼ばれることもあります。
例えば、「コーラ」と聞いて1秒で思い浮かぶのは、「コカコーラ」と「ペプシコーラ」だけじゃないでしょうか?
このとき、コカコーラとペプシコーラは、ブランド想起されていることになります。
おそらくコーラブランド他にもたくさんあるんでしょうが、それらはコーラのブランドとして認知されていません。
基本的には、ブランド想起されたブランドの中での競争になります。ブランド想起という名の予選に勝ち残らないと、購入まで辿り着けないのです。
コーラの例は範囲が広いのですが、
- 「ドール用の洋服クリエーター」といえば
- 「動物モチーフの刺繍」といえば
- 「丈夫で割れない子供用のお皿」といえば
といった、ごく限られた範囲で想起されれば、ブランディングは成功です。

そっか!自分でも勝てそうなフィールドで、真っ先に思い出してもらえればいいんだね!
ちなみに、ブランド想起の中でも、1番目に名前が上がるブランド(ポン酢で言えば「ミツカン」のように)は、「第一想起」と呼ばれます。
あなたが休日に、「お昼はお蕎麦が食べたいわ」と思ったら、どこに食べにいくでしょう?きっと、「近所のお蕎麦屋さん」で一番最初に思い浮かぶお店に行くと思います。
ね?強いでしょう。実際のところ、第一想起を取って売れないなんて、普通はありません。
第二想起、第三想起でも十分立派ですが、できることなら、ごく狭い範囲でも第一想起を取れると良いですね。実際には、狭くした結果、「その領域は自分しかいない」というのがキレイな形です。
2つの信頼を獲得したら
あなたが、「〇〇作家」として認知され、「〇〇の作家さんといえば」で想起されるようになったとしましょう。予選は通過しました。
が、それだけでは選ばれません。
何が足りないのか?
「信頼」です。
先ほど、「ブランドは約束である」と言いましたね。口だけで、約束を守ってくれないと困るわけです。
「この売り手は、交わした約束を間違いなく守ってくれる」という信頼。言い換えると、「この人にお金を払えば、間違いなく満足が手に入る」という確信がなければ、お金をドブに捨てることになるかもしれません。
信頼がなければ、お客さんの財布の紐は緩まないのです。それなりの高価格帯で売るなら、尚更ミスりたくないですからね。
そして、この「信頼」には、次の2種類があります。
「能力」の信頼
(お客さんから見て)「この人は、私の望む最善の未来を理解していて、最善の未来をもたらすに相応しい能力を持っている」という信頼
「人格」の信頼
(お客さんから見て)「この人は、自分の利益よりも私の満足を優先してくれる。正真正銘、私の最善にコミットしてくれる」という信頼
両方の信頼が揃っている売り手の中での比較になるので、片方が欠けている場合は、土台に乗りません。能力が高くても、人としての信頼がなければ売れないのです。
SNSでよく見る間違いムーブ。ハンドメイド作家に限らないのですが、やたらめったら売り込みをかけてくる、あるいは無料特典でLINEに釣ってくる人。
人格の信頼がない状態で売り込むほど、「コイツ、自分の利益しか考えてないな」と思われてしまいます。安易に売り込むほど、人格の信頼を失ってしまうのです。

売り込みばっかしてくるヤツは、「ケッ」てなるもんな

あれは、売り手の人格に対する拒否反応なわけよ
ハンドメイド作家も発信をする時代ですが、あなたが何のために発信しているのか、よくよく考えてみましょう。
1つは、あなたという作家を認知してもらい、「ブランド想起」を獲得するため。もう1つは、「人格の信頼」と「能力の信頼」を獲得するためです。
ブランド名やロゴに魅力が宿ったら

そのブランド名を見ただけで、好ましいイメージが浮かんで購入の決め手になる。ほぼ同じ商品が10個あったときに、そのブランドのラベルが貼ってあるだけで選ばれる。
この状態になっていることが、最終的なブランディング成功の条件です。
スタバが好きな人は、スタバの看板を見ただけで、「コーヒーの匂いやゆったりとした空間」をイメージするでしょう。それがお店に入る決め手になります。
アフタヌーンティーなら、「オシャレで優雅な時間」なイメージをしてお店に入るかもしれません。
ハーブスなら、「ケーキが美味しい」というイメージかもしれません。
カンタンに言えば、「パブロフの犬」の状態になっているかですね。
パブロフの犬は、「ベル」を聞かせてから「エサ」をあげる行動を繰り返したら、ベルの音を聞くだけで唾液を垂らすようになったって話ですね。
ブランド名を見聞きしただけで、その先にある果実を連想して、好ましいイメージが思い浮かぶ。で、買ってしまう。こういう状態ですね。
ブランド名だけでお客さんを呼べる状態になるには、時間がかかります。つまりブランディングとは、一朝一夕には出来上がらないものなのです。
ブランドロゴをプリントする条件
なおアパレルなどの物理的な商品で、ブランドロゴをプリントする場合は、より条件が厳しくなります。
ブランドロゴ単体に「かっこいい!」とか「ステキ!」といったイメージが醸成されない限り、そのブランドロゴは無価値だからです。
- NIKEのスウッシュマークは、それ自体がかっこいいです。しかしデザインを模しただけのシューズは全然かっこよくありません
- Appleのロゴが入ったMacBookは格別ですが、デザインを模した中華PCに心はときめきません
だから立ち上がったばかり新ブランドは、ブランド名やブランドロゴに価値はありません。まだ魅力が宿っていないからです。

自信がない限り、ハンドメイド作品にロゴはつけない方が良いと思うよ
パッケージとかはいいけどね

冷静に考えると、わけわからんブランドロゴって邪魔だしな。むしろ無地の方が良い
ブランディングを成功させる7つの秘訣

ブランディングを成功させるためには、次のアクションが必要です。
ブランディングを成功させる秘訣
- 他社とは違うブランドコンセプトを打ち出す
- 専門分野を絞る
- 一本筋が取った行動を取る
- お客さんの期待を絶対に裏切らない
- ブランドに人格を持たせる
- 伝える努力をする
- 何度も接触する
しかも一朝一夕ではいかないので、これらのアクションを継続して行う必要があります。

なんか大変そう…?

意外とそうでもない。1つ1つの行動で意識をするだけで、やることが極端に増えるわけじゃないからね
秘訣1. 他社とは違うブランドコンセプトを打ち出す

一般的に、「ブランディングの秘訣はポジショニング!」と言われています。
ただ「ポジショニング」と言われるとピンと来ないと思うので、ここでは「ブランドコンセプト」と表現しましょう。意味はほぼ同じです。

とはいえ、抽象的な言葉が並んで混乱しちゃうよね
ゆっくり丁寧に解説していくよ
ブランドコンセプトとは、「誰に、何を届けるか」です。どんなタイプのお客さんに、どんな理想の未来を実現するのか。これがブランドコンセプトです。
このブランドコンセプトを唯一無二にする。難しければ、なるべくライバルと被らないようにする。それがブランディングの出発点になります。
あなたのブランドとライバルの決定的な違いを生むのが、「誰に」の部分。ビジネスっぽく言うと「ターゲット」です。
先ほど、ブランディングの成功条件の1つが「ブランド想起」であるとお話ししました。「〇〇と言えば?」で、ブランド名が即思い浮かぶこと状態ですね。
ブランド想起は、ターゲットが広くなるほど難しくなります。
例えば、ターゲットを絞らず「何でも売る」というブランドにするとしましょう。
この場合、本当に何でも揃えなきゃブランディングできません。セブンイレブンやイオン、あるいはインターネット事業なら何でもやる楽天グループみたいに。
広範囲なブランディングは難しいので、大企業じゃなきゃまずムリでしょう。
- 何でも売っている
- →照明を売っている
- →機能性の高い照明を売っている
- →法人向けに照明を売っている
- →医療現場用の照明を売っている
のようにターゲットを絞っていくほど、ブランド想起してもらいやすくなります。つまり、ブランディングの難易度が下がるのです。
「山田医療照明」という会社は、社員100名以下の中小企業ですが、手術用の無影灯でトップクラスのシェアを誇ります。ターゲティングのお手本のような事例ですね。

なるほど!「醤油ラーメン」で思い出してもらうより、「トマトラーメン」で思い出してもらう方がカンタンだもんね!

規模が小さいビジネスほど、徹底的にターゲットを絞るべき!
決して「何でも屋」になっちゃいけないよ!
秘訣2. 専門分野を絞る
上記の話に関連するのですが、ブランドが扱うラインナップも絞ることです。
例えは悪いですが、「ホコリ」って、灰色に見えますよね。
でもホコリを拡大して見ると、そこには色とりどりの糸屑が絡まっています。様々な色が混ざると、遠目から見ると灰色になってしまうのです。
絵の具を全部混ぜたら「黒」になるのと似ています。ごちゃ混ぜにすればするほど、遠目から見たら色がなくなっていくのです。
あなたが「ラーメン」を食べたいと思ったら、もちろん「ラーメン屋さん」に行くと思います。そこで「ファミレスに行こう」とはなりません。
幅広いメニューを扱うファミレスを見て、「ここのラーメンの味は信頼できる」と思う人はいません。扱う分野は、狭い方が信頼を得やすいのです。
さらに言えば、ラーメン専門店であったとしても、「醤油」「塩」「味噌」「豚骨」「豚骨醤油」「豚骨魚介」と、メニューが豊富だったら、ボクはその店には行かないです。
- 「うちは札幌味噌の専門店だよ!」
- 「うちは海老つけ麺が売りだよ!」
と、言ってくれるお店に行きたい。だって、絞られてる方が、その道のプロって感じがするじゃないですか。

で、本当に味噌ラーメンが食べたいときは、その札幌味噌の専門店に行くわけよ
過去お話しした作家さんの中には、「編み物」「フェルト」「刺繍」「レジン」と、とにかく作りたいものに手をつけて、雑多なブランドになっているケースもありました。
こんなケースもありました。布地を使って小物を作る作家さんだったのですが、生地の柄が、「ポップなパステルカラー」「伝統的な柄」「シンプルなヌビ」「子供が好きそうな乗り物柄」と、とにかく色々混ざっている。
要は、「わかりやすさ」に欠けるんですね。見たお客さんは、このブランドが何が得意なのかがわかりません。これでは、信頼は勝ち取れません。
「ゴスロリが好きなお客さん」は、ゴスロリブランドで買うでしょう。ゴスロリもカジュアルもスポーツファッションも扱っているようなブランドでは買いません。
良いブランドは、ターゲットが一目見て、「これは私のためのブランドだ!」と直感します。同時に、ターゲット外の人は、「これは私には無関係なブランドだ」と察します。
あなたが何を専門としたブランドなのか、一目でわかる「わかりやすさ」が必要です。「わかりやすさ」を得るには、ラインナップは絞るべきでしょう。
ラインナップを拡張するなら?
とはいえ、売上を上げていくためには、1作品だけというわけにもいきません。やはり、ラインナップを広げていくことになるでしょう。
では、ラインナップを拡張したいときはどうするか?
ちょっと例え話をします。あなたが大阪でステーキ店を開き、努力の末に大成功したとしましょう。
「これは儲かる!」と踏んで、2号店を出すとしたら場所はどこがいいでしょうか?

東京進出?それとも間をとって、名古屋あたり?

と思うよね。でも普通はそうはしないんだな
答えは、2号店も大阪です。百歩譲って、兵庫や京都ですね。

え、なんで?もう東京行っちゃえばいいじゃん!?
ブランドは「のれん」でしたね。新規出店の2号店でも、のれんをかけるだけでお客さんが押し寄せます。
しかしそれは、のれんとして機能していればの話。
大阪で名が売れたとしても、東京や名古屋では全くの無名。のれんが意味をなさない新天地では、全く0からのスタートになってしまうのです。
だからリアル店舗がチェーン展開する際は、2店舗目は隣の駅のような近場に出店します。3店舗目も4店舗目も、その近場にオープンしていきます。
そうやって、1号店のブランドの影響力が通じる範囲に出店しながら、地域全体で「ステーキ屋といえばココ!」を目指します。

近い範囲を着実に取り込んでいく手法を、マーケティング用語で「ドミナント戦略」と呼ぶよ
ステーキ屋は物理的な距離を例にしましたが、これは様々な意味で応用できます。
- ライザップが立ち上げた、会員制ジムのチョコザップ
- ブックオフから派生した、中古家電や楽器を売るハードオフ
- Appleが出した、イヤホンAirPods
のように、元ブランドの威光が届く範囲へ進出しましょう。
元ブランドの良いイメージを引き継げるので、成功率が上がります。それだけでなく、相互にイメージを強め合って、ブランド全体が強化されていきます。
要するに、「より関連度合いの高いジャンルに進出しようね」って話ですね。
「かんざし」のブランドとして売れたら、次は「帯留」に手を出すイメージです。同じ和装ターゲットのブランドということで、関連性がありますね。
かんざしの後に、「フェルト動物」に手を出したら、「そんな約束してましたっけ?」と疑問が湧きます。それだけでなく、何を提供しているブランドかが見えづらくもなってしまいます。

わちゃわちゃ手を出すと、何屋さんかわからなくなっちゃうもんね
秘訣3. 一本筋が取った行動を取る
ブランドコンセプトを決めただけでは、お客さんの心にブランドのイメージは湧きません。
自分で決めたブランドコンセプトに則り、1本筋の通った行動を取り続けること。これがブランディング成功の1番の秘訣になります。
そうすることで初めて、お客さんはあなたのブランドが他社とは違うと認識します。そして特別な感情を抱くようになります。
例えばIKEAは、オシャレな北欧家具というブランドイメージの他に、「サステイナブル」を打ち出しています。
- 店舗内のほぼ全ての電力を、再生可能エネルギーでまかなっている
- 配送サービスでCO2を出さない
- 店舗内レストランでは、肉ではなく植物由来の材料を使う
- サステイナブルな暮らしのアイデアを発信する
などの取り組みを行っています。
ポイントは「有言実行」です。IKEAなら、「わたしたちはサステイナブルな取り組みをします!」と宣言して、その通りに実行していくということ。
これが筋を通すということですね。その結果、お客さんは売り手に対して、他とは違う特別な感情を抱くようになるわけです。
別に環境に関連している必要はありません。
もしあなたが和風モチーフの作品を作っているとしたら、
- 作品はもちろん全て和テイスト
- 国産の材料を使用する
- 正しい日本語でお客さんとコミュケーションを取る
- 仕事で人前に出るときは和装をする
といった具合で筋を通すのも良いですね。

カンタンに言うと、徹底的にキャラ作りするって感じかな

自分で作ったブランドを自分で演じる感じか!
秘訣4. お客さんの期待を絶対に裏切らない
筋を通すことで、お客さんの心の中にブランドイメージが醸成されます。
その後あなたは、お客さんが期待するイメージ通りに振る舞い、決してそのイメージを裏切ってはいけません。
先のIKEAの例で言えば、サステイナブルを打ち出していましたね。
そんなIKEAが「ファストファッション」を販売したり、「過剰包装」をしたりしたらどうでしょう?
せっかく積み上げてきたブランドイメージを、自らの手でぶち壊すことになってしまいます。
ある意味でブランドとは、企業やクリエーターが作った擬似人格(キャラクター)です。
ONE PIECEの作者である尾田栄一郎先生は、「ルフィ」というキャラクターを生み出しました。ですが尾田先生は、作者だからといって、ルフィに何をさせても良いわけではありません。
お客さんがルフィに寄せている
- 「絶対に諦めない」
- 「曲がったことは許さない」
- 「どんな強敵でも立ち向かう」
といった期待を裏切ることができないからです。
これと同じ。あなたがブランドのオーナーであっても、そのブランドを思い通りにできるわけではないのです。お客さんの期待を裏切るわけにはいきませんから。
秘訣5. ブランドに人格を持たせる
先ほど、「ブランドは擬似人格」と言いました。良いブランドには「人格(パーソナリティ)」が伴っています。「性格」と言っても良いでしょう。
ちょっと考えてみて下さい。教科書で歴史を学ぶのが面白くなくて、大河ドラマだとのめり込むのは何故か?
いくつか理由はありますが、1つには人間味がないからでしょう。
登場人物のいないドラマや映画を見て、何が面白いか。そこに誰かの感情が伴っているから、納得したり、共感したり、時には感動したりするのです。
ブランドも同じ。人格がある方が魅力的ですし、説得力があります。
- 挑戦的なのか
- 伝統を重んじているのか
- のほほんとしているのか
- 意志が強いのか
- 好奇心旺盛なのか
- 賑やかなのか
- 落ち着いているのか
カリスマ経営者のいる企業が魅力的に映るのは、そのカリスマ経営者の人格がブランドに乗り移っているから。Appleの人格には、スティーブ・ジョブズの人格が伴っていますし、Amazonにはジェフ・ベゾスの人格が伴っています。

「NTTドコモ」よりも「ソフトバンク」に人格を感じるのは…

孫正義さんの人柄が、ブランドの人格にも乗り移っているからだね
では、ハンドメイドブランドには、どのような人格を付加させるか?
まずは、ブランドコンセプトに一途であること。総じて言えば、「お客さんに満足(満足の中身はブランドによって異なる)を与えることに一直線である」という人格は、どんなブランドにも必須です。
加えて、ブランドイメージにリンクした性格があると良いですね。
難しく考える必要はありません。なぜなら、多くのハンドメイドブランドは「1人の作家=ブランド」なので、作家の性格をそのままブランドの人格にできます。
これが、企業のブランドだと、架空の人格を考えなきゃいけなくなるので、少し複雑になります。
あなたのこれまでの人生から得た、個人的な「意見」や「信念」を端々で表明していくことで、ブランドにも人格が付加されていきます。
秘訣6. 伝える努力をする
ブランドコンセプトを決めて、一挙手一投足の全てをブランドコンセプトに沿わせて、決して道を違えない。それだけでも相当に価値ある行動ですが、お客さんに伝わらないことには成果にはつながりません。
ここでは、より明示的に伝える努力として「ブランドアセット」と「知覚品質」に焦点を当てたいと思います。

伝えるの苦手だから、しっかり学ばなきゃ!
ブランドアセットを整える
「ブランドアセット」とは、ブランドコンセプトを視覚化する上で必要な、デザインの土台となるパーツ群のこと。
と言われてもピンと来ないと思いますが、実例を出せばピンとくるでしょう。
これらのブランドアセットは、何となくオシャレに見せるためのものではありません。ブランドコンセプトを体現して、お客さんにイメージしてもらうためのツールです。
言うまでもなく、個々でバラバラに考えるものではなく、ブランドコンセプトに沿って、統一感を持って揃えるものです。
例えば、「NIKE」は、ギリシャ神話の「勝利の女神ニケ」が由来です。
ブランドカラーは「オレンジ」で、「躍動感」や「エネルギッシュ」を連想させる色です。
NIKEの「スウッシュロゴ」は、女神ニケの翼がモチーフで、「スピード」や「躍動感」を象徴しています。
お客さんに、スポーツブランドらしい1つのイメージを植え付けるために、あらゆるブランドアセットが一致団結しているのがわかりますね。
ブランドコンセプトに準じたイメージを決めて、そのイメージでブランドアセットの雰囲気を統一する。理解の浅い人でも知っているブランディングの基本です。

それっぽいもので間に合わせようという考え方は、ブランディング軽視以外の何物でもない
知覚品質を伝える
ブランドコンセプトで規定した「満足」を、お客さんに「約束」するのがブランドですよね。
ただ、その「約束」を意思表明しただけでは、まだ「口約束」の状態です。
とある新興の「寝具ブランド」があったとしましょう。
「泥のように眠れて、疲れも眠気も翌日に持ち越しません!」と宣言しています。そのコンセプトは魅力的ですが、果たして信じて良いのかわかりません。
「そう言える根拠は?」と問いたくなるのが人情でしょう。
そう、お客さんは、自分に満足を与えてくれる「根拠」を聞いて納得したいのです。これからする自分の買い物を、正当化してくれる材料が欲しいわけです。
ここで、「知覚品質」というブランディング用語を紹介します。商品の実際の品質ではなく、お客さんが把握している主観的な品質という意味です。
「品質は、お客さんに理解されて初めて、品質たりうる」という、言ってしまえば当たり前の事実を思い出させてくれますね。
人気TV番組の「芸能人格付けチェック」を思い出してください。ウン億円のストラディバリウスと普通のバイオリンの違いは、素人にはさっぱりわかりません。
「低音の響きが〜」とか「ここの音の伸びが〜」とか説明されて、「ほうほう、そうなんだ」とやっとわかります(説明されてもよく分からなかったりするが)。
「実際の品質」と「お客さんがパッと見で理解できる品質」には、かなり乖離があります。ワインも、ダンスも、絵画も、優れている根拠を丁寧に説明されない限り、お客さんは理解できません。
ハンドメイド作品であれば、
- どれほど高度な技術を用いているか
- どれほど洗練された工程を経ているか
- どんな素材を厳選しているか
- それだけの手間暇がかかっているか
- お客さんはどれだけ満足しているか(≒レビューを貯める)
といった根拠を伝えましょう。
名の知られたブランドなら、既に「約束」が成立しているので、この工程をスキップしても問題になりません。「土屋鞄」が新作の革製品を投入したとして、懇切丁寧に説明されなくとも、それが十分に満足できる品質であることを疑いません。
しかし、まだお客さんに知られてないブランドは、どこぞの馬の骨。ブランドが優れている根拠を丁寧に伝えて、「知覚品質」を獲得しなければなりません。
秘訣7. 何度も接触する
ブランドを1回見ただけだと、忘れられてしまいます。そこで、ブランド名やブランドのメッセージを何度も刷り込み、お客さんの記憶に残すのです。
先ほど、「〇〇と言えば?」で思い浮かぶブランドを「ブランド想起」と呼ぶと話しましたね。記憶に残すというのは、ブランド想起には不可欠なプロセスなのです。
ただ記憶に残るだけでなく、接触頻度が多いほど好きになってしまう「単純接触効果(またはザイアンス効果)」という心理現象もあります。
何度も何度も同じCMを見せられると、「もういいよ!わかったって!」と感じるかもしれませんが、企業からすると狙い通り。これでお客さんの脳裏にブランドが焼き付くんですから。
そういう意味では、ずっと変わらないCMソングは効果的。何度も見ているうちに曲を覚えてしまって、しかも口ずさんでしまうわけです。
- メンズビゲンで染める俺〜♪
- 走れ走れ、いすゞ〜のトラック〜♪
- 本を売るならブックオフ♪
これでブランド想起は完璧ですね。
テレビCMやCMソングはハードルが高いのですが、要は「何度もお客さんに接触するのが重要」という話です。
- SNSでの発信
- コメント欄やDMでのコミュニケーション
- メルマガ
などで、繰り返しブランド名が目に触れるようにすればOKです。

極端な話、中身は見られずとも、タイトルが目に入るだけでも効果あるよ

ムリない範囲でやってかなきゃね!
7-11-4ルール
お客さんとの接触に関して、Googleは「7-11-4ルール」を提唱しています。
お客さんから認知されて、信頼を得るまでには、
- 7時間以上の接触時間(7 hours of interaction with your brand)
- 11回以上の接触回数(11 touchpoints or engagements)
- 4箇所以上の媒体・場所(4 separate locations)
が必要という考え方です。

ハンドメイド作家目線だと、絶妙なハードルだなぁ
トータル「7時間の接触」は、なかなかですね(ボクみたいなブログだと、7時間はそんなに難しくないんですが)。
「11回の接触」は、SNSが機能していればそこまで難しくないかと思います。
クセ者は、「4つの媒体・場所」ですね。
- 販売サイト:ネットショップ/minne/Creema
- SNS(画像系):Instagram/TikTok/Pinterest
- SNS(テキスト系):X/Threads
- YouTube
- ブログ
- メルマガ/LINE
- 実店舗:イベント/ポップアップ
あたりですかね。この中から4つを選ぶことになるでしょう。
接触時間を鑑みると「YouTube」が有利ですが、負担も大きいので、ハンドメイド作家がみんなやったら良いとは思いません。
本分は制作なので、「4箇所」に固執することはないでしょう。ただ、1箇所よりは2箇所が良く、2箇所よりも3箇所が良いという性質は、理解しておくと良いと思います。
あなたの全てがブランドだ

最後に、これからブランディングを本格的に取り組むあなたに、伝えておかなければならないメッセージがあります。
それは、「あなたの全てがブランドだ」ということです。
ここまで読んでくれたあなたなら、意味がわかるんじゃないでしょうか?
ブランドは、単に商品だけの話じゃありませんね。じゃあどこまでかと言えば、お客さんから見える、あなたの一挙手一投足の全てがブランドなのです。

どこであろうと、お客さんと交わした約束を裏切ってはいけない!
「ハリーウィストン」は、
- もちろん「指輪」もブランドです。
- 店舗の「外観」もブランドです。
- 店舗の「内装」もブランドです。
- 飾ってある「季節のお花」もブランドです。
- スタッフの「制服」もブランドです。
- スタッフの「言葉遣い」もブランドです。
- 入り口に近づいたら「ドアを開けてくれる守衛さん」もブランドです。
- 「SNSの発信」もブランドです。
もうわかりますよね。お客さんとの接点は、全てブランドの一部なのです。
全て、1本筋が通っていなければならないのです。
TwitterやThreadsで、グチグチと悪口やら文句やらを呟いている作家さんがいますね。お客さんは、どんな気持ちでその発信を目にすると思うのでしょうか?

あなたはこんな意識の低い作家になっちゃダメだ!
もう一度言いますよ。
あなたの全てがブランドです。必ず、ブランドコンセプトに沿って、首尾一貫した態度・行動・言動を心がけてください。
まとめ

今回はどこよりもわかりやすく「ブランディング」を解説してみたよ
と言いつつ、ホントにわかりやすかったかどうかは気になるところ

そうね。相変わらずフワッとはしているけど、輪郭はハッキリしたと思う!
やることもクリアになった!

OK!わからなくなったら、またこの記事に戻ってくるといいよ!
この記事をまとめます。
ブランドとブランディングの違い
- お客さんが売り手や商品に抱いているイメージが「ブランド」
- 売り手がお客さんに好ましいイメージを植え付ける活動が「ブランディング」
ブランドを言い換えると?
- ブランドは、掲げるだけでお客さんが集まる「のれん」や「看板」である
- ブランドは、お客さんと交わした約束である。約束が守られるからそのブランドから買う
ブランディングを成功させる秘訣
- ライバルとは違うブランドコンセプトを打ち出す
- 専門分野を絞って、何が得意ブランドなのかを誰の目にもわかりやすくする
- ブランドコンセプトに則り、1本筋が取った行動を取る
- お客さんの期待を絶対に裏切らない
- ブランドを擬人化し、人間味のある性格を付加する
- ブランドアセットを整える&満足させられる根拠を示すことで、より明示的にブランドコンセプトを浸透させる
- 何度も接触してブランド名やブランドメッセージを刷り込む
ブランドは、目には見えないけど、それ自体が売上を生み出す「打ち出の小槌」のような存在です。
ただし、振れば永遠にお客さんが寄ってくるわけじゃありません。ブランドがお客さんの信頼を失えば、振っても何も出ないただの小槌になってしまいます。
だから売り手は、打ち出の小槌の魔法が解けないように、お客さんからの信頼に応え続けなければなりません。それが「約束」の意味するところです。

ブランドの本質は、「お客さんとの約束」にある!
よくよく理解してほしい!
またこの記事では、何度か「醸成」という言葉を使いました。味噌やお酒は、材料を混ぜるだけではできません。発酵させて醸成する時間が必要です。
ブランドも同じ。長い期間にわたってブランディングを続けることで、お客さんの心の中にブランドイメージが醸成されるのです。
「ブランディングは継続してナンボ」という事実も、忘れないでくださいね。
ブランドをストーリーにしよう!
ブランディングに成功すると、あたかも大河ドラマの主人公のように、行動した軌跡が物語になります。それがブランドストーリーです。
ストーリー化したブランドは、お客さんの心を強く惹きつけます。魅力的なストーリーは、あなたの「ファン」を「信者」に変えてしまうでしょう。

ストーリーにしてこそ、ブランディングは完成形に至る!

す、すごそうだ!
本記事は、「ブランディングとは何か?」に焦点を当てた基本編と思ってもらって良いでしょう。
↓のストーリーの解説記事は、ブランディングの実践編です。ブランディングのより明確なアクションを解説しているので、こちらも読んでみてください!
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