現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
- 優れた「ブランド」には、共通点があります。
- 優れた「ビジネス」には、共通点があります。
- 優れた「アーティスト」には、共通点があります。
それは、「アンチテーゼ」が出発点になっているということ。
アンチテーゼがあるから「主張」が生まれ、主張から「共感」が生まれます。共感するからこそ、お客さんは、あなたから買ってくれるのです。
何の不満も持っていない人からは、共感は生まれません。心に響かないのでは、あなたはただの「One of them」。数多いる似たような作家の1人にしかなれません。
それじゃあ、売れませんよ。あなたは世界で1つの、他の誰とも比べられることのないブランドを構築しなければなりません。
そんな唯一無二のブランドを作るために、創造性のスタート地点になるのが、あなたが持っている「アンチテーゼ」なのです。
世の中の人は、ブランディングの本質を理解していないようです。小手先の話ばかりで何にもわかっていない。ぜひこの記事から、ど真ん中の「本質」を理解して下さい。
そもそも「アンチテーゼ」とは?
みんなが知っているのは、あの名曲「残酷な天使のテーゼ」ですね。
その「テーゼ」って、いったい何なのでしょうか?
テーゼはドイツ語で、「命題」とか「定立」という意味があります。わかりやすく言えば、「主張」です。
「アンチテーゼ」とは、つまり「(多数派に対する)反対の主張」ということです。
音楽で言えば、「パンク」だね!
おー、大人に逆らう「青春パンク」的なね
間違っているのは世界の方!
ボクは昔アニメが好きでした。お気に入りだった1つが「コードギアス」です。
第2作の「コードギアス 反逆のルルーシュR2」の第1話で、ボクがとっても気に入っているセリフが出てきます。
間違っていたのは俺じゃない、世界の方だ!
コードギアス 反逆のルルーシュR2 第1話『魔神が目覚める日』より
シーンの説明は割愛しますが、この感覚はまさにアンチテーゼですね。
「わたしは気づいているが、世界中に大多数の人は気がついてない。正しいのはわたし!間違っているのは、あなたたちの方だ!」と。
実際のところ、あなたの主張が絶対的に正しい必要はありません。というより、絶対的な正しさなんてありませんからね。
世界中でただ1人、あなただけが「間違っているのは世界の方だ!」と、声高々に宣言しても良いのです。それでも立派なアンチテーゼです。
いつかに聞いた「働いたら負け」も、アンチテーゼだよね
「ビーガン」も「ミニマリスト」もアンチテーゼだよ。それが絶対的に正しいかどうかは関係なく、本人がそう思っていればいいんだ
アンチテーゼが持つエネルギー
「アンチテーゼ」の重要性をわかってもらうために、アンチテーゼに備わる強大なエネルギーの存在を説くとしましょう。
アンチテーゼから始まる人は、
- エネルギーが、
- 熱量が、
- 周囲の熱狂が、
全く違うのです。その事実を理解して下さい。
人間は「ネガティブ」に強く反応する
人間の脳は、「ポジティブなこと」よりも、「ネガティブなこと」に、強く反応するようにできています。
これは、行動経済学の「プロスペクト理論」や「損失回避性」として、科学的に明らかになっている傾向です。
程度も明らかになっていて、ネガティブなことには約2倍強く反応します。要するに、「何かを得る喜び」よりも、「何かを失う悲しみ」の方が、2倍大きいということです。
遠い昔のユダヤ人になったつもりで聞いてください。リーダーが、「この仮初めの地を抜け出して、祖国の地を目指そう!」と主張したとしましょう。
それが「さらなる繁栄を求めて」と「この先も続くであろう奴隷生活から脱出するため」では、まるで意味が変わってきます。
前者の「繁栄」のために、リスクを冒して出奔する人は多くないと思います。一方で後者の「奴隷からの脱出」には、多くの人が付き従うでしょう。
アンチテーゼとは、不都合な真実への反論です。アンチテーゼを掲げるブランドは、ネガティブな世界からの「エクソダス(脱出)」を先導するモーセと同じ。
アンチテーゼから始まるブランドのメッセージは、2倍力強く伝わり、2倍強く共感を得られます。そう思って、差し支えありません。
クリエーターは、聖書に登場する「モーセ」のような存在なんだ!
「モーセ」がわからない人は、ググってみて
歴史は、アンチテーゼの歴史だ
歴史に残る事件や出来事は、そのほとんどがアンチテーゼが端を発しています。
キスリト教だって元を辿れば、ユダヤ人であるイエス(キリスト)の、ユダヤ教へのアンチテーゼとして始まっています。
一部を紹介しましょう。
民衆の革命
「フランス革命」は、言うまでもなく、民衆を無視した絶対王政へのアンチテーゼですね。「民はパンも食えない中、王様は贅沢三昧。こんな世の中は間違っている!」と。
「共産革命」は、資本家から搾取されていた労働者階級のアンチテーゼです。「資本家ばかり潤って、俺たちは汗水垂らしても働いても極貧。こんな世界は不公平だ!」と。
「明治維新」は、徳川幕府へのアンチテーゼだね
革命にしても、戦争にしても、一揆にしても、人々は生活を潤すために戦ってはいません。苦しい状況から脱するために、命をかけているのです。
暖かい家で、美味しいご飯を食べられている状況で、誰も人生をかけて行動を起こそうとはしません。
ルネサンス
必ずしも血生臭い話ばかりではありません。
15世紀の「ルネサンス」は、古き良きギリシアやローマ帝国時代に育まれた、豊かな古典文化への回帰運動でした。
現代の感覚からすると、文明は時代と共に右肩上がりに上がっていくと思いがち。しかし、それ以前の「暗黒時代」のヨーロッパは、むしろ文明が退化していた時代でした。
そんな鬱屈とした世界へのアンチテーゼが、ルネサンスだったわけですね。
アーツ・アンド・クラフツ運動
ハンドメイド作家さんなら、「ウィリアム・モリス」をご存知かもしれませんね。生地で有名なので、裁縫系の作家さんは間違いなく知っているはず。
モリスは色々やっていた人ですが、今で言えば「デザイナー」でしょうか。
19世紀後半、ロンドンで産業革命が起こります。身の回りの様々な製品を、機械で安く大量生産するようになりました。しかしまだ機械化は始まったばかり。安いだけの粗悪品が多く、「美もへったくれもない」という具合です。
デザイナーらしい美意識を持つモリスは、そんな世界の潮流に危機感を感じました。
そこで始めたのが、「アーツ・アンド・クラフツ運動」です。古き良き時代の、丁寧で、美しく装飾された手仕事に回帰しようという運動でした。
モリスらのアンチテーゼから始まった運動は、日本にも伝わり、「民藝運動」として日本史の教科書に載っています。
岡山県倉敷にある「大原美術館」には、民藝運動にまつわる作品が多く展示されてるよ
繰り返される古き良き時代への回帰運動
余談ですが、現代の日本でも、定期的に過去へ回帰運動が起こっています。
最近は、「昭和レトロ」が若者の間で流行っているそうですね。昭和レトロの前には、「大正ロマン」があり、さらに前は「明治モダン(ハイカラ)」がありました。
「現代的」「都会的」になびきがちなデザインへのアンチテーゼとして、どこか懐かしさを覚えるデザインに心惹かれてる人がいるわけです。
そして最近知ったのですが、明治から大正時代には、「江戸趣味」なるものが流行っていたそうです。これは江戸中期の元禄時代への回帰運動だったとか。
歴史、めっちゃ繰り返してる!
コンプレックスから始まるクリエーターは強い
広島の平和記念資料館に行った際に、当時の子供が描いたであろう、生々しい原爆被災者の絵を見ました(説明するのが憚られる内容なので、ぜひ見に行ってみて下さい)。
ボクはその子供の絵に、ピカソやゴッホやマティスの絵画よりも、遥かに強い感銘を受けました。
「アートって何なんだろう?」と、よくわからなくなってきたのですが、一つ気がついたことがあります。「アンチテーゼの強さと、作品が発する熱量は比例する」と。
だからこそ、コンプレックスから始まるクリエーターはとにかく強いです。
女性ファッションデザイナー
世界的に有名な女性ファッションデザイナーを思い浮かべて下さい。
失礼を承知で言いますが、あまり見た目が美しい方ではないと思います。おそらく、ご本人も自覚してるだろうし、若い頃は強いコンプレックスがあったろうと想像します。
しかし、手の届かない「美」への欲求が、彼女たちのデザインに命を吹き込んだのではないでしょうか?
もし彼女たちが美しい見た目に生まれていたら、どこぞのブランド服を着て、チヤホヤされて満足したでしょう。ファッションへの飽くなき探究はできなかったと思います。
オネエ系の美容家
オネエ系の美容家は、女性以上に女性の美しさを知り尽くしています。どうすれば女性がもっと美しく映えるかに、女性以上に真剣に取り組んでいるのです。
それは、彼ら(彼女らと呼んだ方が良い?)が、女性になりたくてもなれなかった男性だからです。そのコンプレックスたるや、想像を絶するものがあります。
そのコンプレックスが、彼ら(彼女ら)の強さの源なんですね。
小説家
後に幻冬社を立ち上げる見城徹さんは、角川出版に勤めていた時代に、敏腕編集者として名を馳せました。しかし初めは小説家になりたかったそうです。
見城さんは、本物の小説家にはフツフツと煮えたぎる葛藤があり、その葛藤を言葉にせざるを得ない衝動から小説を書いていると言います。
自分の抱えている葛藤が、本物の小説家になるには足りないと気づき、編集者の道を決意されたそうです。
文豪の多くは、絶望の末に自ら命を絶ち、短い一生を終えました。彼らの抱えた「闇」が、小説を書く原動力だったのです。
優れたビジネスはアンチテーゼが秀逸
ビジネスの文脈を話ましょう。新規事業を考えるにあたり、1番最初に考えるべき問いは、「顧客の課題は何か?」です。
コンサル系だと、「issueは何か?」「アンメットニーズは何か?」と表現することもありますね。リクルートでは、「不安」や「不満」のように、「不」がつく何某にフォーカスすると言います。
これらは、言っていることは全て同じ。「アンチテーゼから始めよ」ということです。ビジネスでも、やっぱり出発点はアンチテーゼなのです。
世界的に優れたビジネスのアンチテーゼを、一緒にさらってみよう!
Apple
Appleの原点は、「ダサいコンピュータ」へのアンチテーゼです。
かつてのコンピュータといえば、使いづらくて技術者にしか扱えない。オタクデバイスらしく、スペックや機能重視で、見た目は置いてけぼり。そんな感じでした。
そんな当時のコンピュータを「美しくない」と感じたのが、スティーブ・ジョブズでした。
- 美しい流線型のボディ
- カラフルなカラーバリエーション
- 美しく映えるフォント
などなど。美意識によって、コンピュータ業界を変えたのがAppleだったのです。
iPhoneの時代になっても、やはり「ダサさ」のアンチテーゼたる「美」への探究は止まりませんでした。
プロダクトデザイナーで東大で教鞭もとる山中俊治さんによれば、「初代iPhone3G」は、実に非常識な構造になっているそうです。
iPhone3Gの背面は、ツルんと丸みを帯びた、光沢のあるプラスチックです。
iPhone本体をパカっと開けた中身には、様々なパーツ収まっています。背面パーツの裏側には、当然内部のパーツが収まるように凹凸が彫られています。
一般的にプラスチックパーツは、まず型を作り、型に樹脂を流し込んで、冷やし固めて作ります。必要な凹凸は全て、型の段階であらかじめ掘っておくんですね。
しかし、iPhone3Gを分解してみると、どうやら違う方法で作られていることがわかりました。
普通だったら型を1度作り、あとは樹脂を流し込んでおしまい。
一方でiPhone3Gは、まず厚めのプラスチック板を成形し、後から1台ずつ凹凸を掘っていくという、途方もなく高コストな方法で製造されていたのです。
なんで、そんな面倒なやり方にしたんだろうね?
ここがまさに、Appleの美意識の凄さなんだ!
プラスチックは冷えて固まる際に、表面に歪みが生じます。手近にあるプラスチック製品を光に照らして見てください。ウネウネとした歪みが見て取れるはずです。
ジョブズは、他のどのメーカーも気にしない僅かな歪みを許さなかったのでしょう。
ガラスのように完璧で美しい背面を実現するためだけに、コスト度外視であり得ないことをやってのけたのです。
これがAppleのアンチテーゼの結晶であり、Appleが世界で一目置かれる所以なのです。
Googleはネット検索サービスから始まった企業ですが、今では様々なインターネットツールを総合的に扱っています。Gmailや、Googleスプレッドシートを使っている人も多いでしょう。
Googleが作り上げたのは、「ウェブ100%の世界」です。IT苦手な人だとピンと来ないかもしれませんね。でもこれはホントに凄いことなんです。
Google以前の世界では、まずパソコンにソフトをインストールし、パソコンの中にダウンロードしたExcelファイルを編集していました。別のパソコンで同じExcelファイルを開くには、別のパソコンにファイルを送る必要がありました。
一方で、Googleの作り上げた世界は、全てがクラウド上で動いています。いつでも、どこでも、どの端末でも、ログインするだけで、いつものファイルにアクセスできます。
- ソフトのインストールも、アップグレードも、バージョン管理も必要ありません。
- 同じファイルを見るために、都度自分にメール添付する必要もありません。
- 同じファイルのために、複数端末で容量を食うこともありません。
- アクセス権を共有すれば、同僚と同じファイルに同時に書き込めます。
これは「革命」と言って良いレベルの偉業だと思います。
Googleは、「クライアント(端末)ありきの世界」へのアンチテーゼです。もっとストレートにいえば、「マイクロソフト帝国」へのアンチテーゼでしょう。
ボク自身、昔からマイクロソフトの使いづらさに辟易していました。ボクが感じていた不満に対し、完璧なアンサーを出したのがGoogleです。
好きにならないはずがない!Google最高!
テスラ(というよりイーロン・マスク)
テスラは、電気自動車のメーカーです。
いわゆる化石燃料を使った、「サステイナブルではない産業界」へのアンチテーゼということになりますね。
しかし、この話はここで終わりません。
テスラを率いている「イーロン・マスク」は、「サステイナブル」という言葉の意味を、他の人とは違う次元で捉えています。
イーロンは、他にも企業を経営しており、有名どころは「スペースX」と「X(Twitter)」です。
スペースX
スペースXは、宇宙関連事業を行う企業。イーロンが宇宙に繰り出す理由は、「火星に移住するため」です。
突拍子もなくに聞こえるかもしれませんが、これは切実な問題です。
まず、あと100億年しないうちに、地球は寿命を迎えます。しかしその前に、50億年ほどで太陽が寿命を迎えるので、当然地球も道連れになります。
さらにさらに、実は太陽は、1億年に1%ほど膨張しています。あと5億年で海の水が蒸発し、10億年後には、地球上の気温は摂氏100度に到達すると言われています。
というわけで、地球という惑星そのものが、長い目で見ればサステイナブルではないのです。人類が生き残るためには、「惑星間移住」の他に道はありません。
マジか!?知らなかった!地球滅亡するんだ!
地球の上で、仲間同士争っている場合じゃないんだよね
この話は、宇宙科学をちょっとでも聞いたことがある人は、みんな知っています。しかし普通の人は、孫の孫の孫の世代の未来でも起こらないことに、本気で取り組もうとはしません。
21世紀の時点で、これほどの危機感と本気を持って行動しているのは、イーロンくらいでしょう。
Twitter(X)
SNSを買収したことが、「サステイナブル」とどう関係があるのでしょうか?少し広い視野で考えてみましょう。
サステイナブルな世界を作り上げるためには、科学技術の発展が必須です。「テラフォーミング(他の星を地球のように住める星に改造)」することを考えれば、相当なジャンプが必要でしょう。
そして、「科学技術の発展」に欠かせないのが、自由経済と民主主義です。
ややこしい話になるので割愛しますが、自由と民主主義を世界一重んじるアメリカが、科学技術をリードしていることからも、何となくわかってもらえると思います。
しかし現代が、本当の意味で「民主(ごく普通の人々が主役の世界)」であるかといえば、そうではありません。
普通選挙によって政治自体は民主化されたとはいえ、大きな影響力を持っているのはマスメディアや大企業。やはり今でも、既得権益者が世界を動かしているのです。
そうではなく、真の意味で民衆が主役になれる世界。その旗頭が、「Twitter」だったわけです。ネットの民主化を促進させるために、イーロンはTwitterを買収したのです。
スゲェ、ちゃんと全部つながってるんだ…!
「人類を滅亡から救う」という、最大級のアンチテーゼを掲げているのがイーロン・マスク。ホントにすごい人物だよ
きっと1000年後の歴史の教科書で太字になってるだろうね
【考察】なぜ日本のブランドは弱いのか?
さて一方で、日本のブランドはどうでしょうか?
AppleやGoogleやテスラのように、強いブランドかといえば、ちょっと首を傾げるところです。
アンチテーゼに欠けた日本ブランド
日本の企業は、安心安全で高品質な製品を作っています。とても素晴らしいことです。
しかし、品質の高さに対し、いまいちブランドイメージが強くありません。
「パナソニック」「NTT」「トヨタ」が、「超クールか?」かと言われると微妙なところ。そのブランドじゃなきゃいけない理由に欠けます(あくまで個人の感想です)。
「イケてる!」って感じではないかもねぇ
原因は、ブランドから、明確なアンチテーゼが見えないからではないでしょうか?
多くの日本企業は、「もっと便利に」「もっと丈夫に」といった具合に、「プラス」の面ばかりを追ってきたように思います。
iPhone登場前夜は、日本企業がガラケーを作りまくっていた頃、メーカーの意識は「もっと軽く」「もっと電池が長持ち」という方向に向いていました。
「無線でネットが使えるのに、なぜ重くかさばるパソコンを持ち歩かなければならないんだ?」というアンチ意見は、考えもしなかったのかもしれません。
その結果、ケータイ電話のあり方を根本的にぶっ壊したiPhoneに、全て持っていかれてしまったのです。全く軽くもなく、電池が1日も持たないiPhoneにです。
アンチテーゼから始まらないと、何かを根本的に変えるような発想は生まれません。万が一思いついても、それを実行するエネルギーが湧いてきません。
ブランドが伝えるメッセージが弱く、お客さんからの共感を得られず、おまけに革新的な製品も出てこない。これでは強いブランドになるわけがありません。
日本企業には、いま一度「アンチテーゼ」から考え直す時間が必要なんじゃないかな?
「平和」が日本の衰退を招いた?
先に言っておく。この話は脇道それた余談だから、飛ばしてもらっていいよ
バブル崩壊以降、平成の日本は「失われた30年」と呼ばれる経済の停滞を経験しました。
いまも日本は経済大国ではありますが、かつて辺境の島国から世界第2位の経済大国まで駆け上がった勢いは、完全に失われています。
これは個人的な意見ですが、多くの日本人が「アンチテーゼ」を失ってしまっていたことが、停滞の究極的な原因だと思っています。
強烈アンチテーゼの中で戦っていた爺さん婆さん世代
明治〜昭和の世界は、「弱肉強食、武力による侵略アリアリ」の世界です。世界地図のほとんどが西洋諸国に侵略され、残るは東アジアだけ。日本は、喉元にナイフを突きられていた状態でした。
当時の日本人は、「国を奪われたくない!死にたくない!」という、これ以上ないアンチテーゼの中で奮闘していたのです。その結果が、未曾有の躍進につながったわけです。
平和の代償として抜かれた牙
しかし、戦後もしばらくすると、日本を取り巻く環境は平和になっていきます。「侵略は悪」という世界秩序となり、今や世界の覇権を狙う中国はまだ弱小国でした。
もちろん、平和であることは、疑いようもなく喜ばしいこと。しかし「不」がなければ、アンチテーゼも生まれません。平和と引き換えに、頑張る理由まで失ってしまったのです。
「それは他の先進国も同じなのでは?」と思ったかもしれませんが、そんなことはありません。
アメリカは、世界中の恨みを一身に買っています。また人種のるつぼであり、テロや経済格差や人種差別など、社会問題は日本よりずっと深刻です。
ヨーロッパ諸国も、様々な問題を抱えています。移民が多かったり、イスラム諸国と地続きでつながっていたりと、日本よりも遥かに危機感を持って暮らしています。
平成の30年間、日本ほど平和ボケできた国は他にありません。これは幸運なことでもあり、同時に不幸であったと言えるのかもしれません。
日本が踊り場を抜ける日は近い?
しかし世界の情勢は変わり、日本も安穏としていられなくなりました。
- 他国への野心を隠さない隣国
- 円安で圧迫される家計
- 深刻な少子高齢化
と、切羽詰まった危機に瀕しています。
これからを生きる若い世代から、マグマのように不満が噴出するでしょう。その不満がアンチテーゼを生み、強いエネルギーが湧き出てくるはずです。
長かった踊り場を抜けて、日本が再びライジングする日も近いのでは?と密かに期待している今日この頃です。
あなたのアンチテーゼはどこにある?
ここまでの話を聞いて、「いや、わたしはそこまで強い不満は持ってないし、アンチテーゼなんて出せないかも…」と思ったかもしれませんね。
いえいえ、そんなことはありません。あなたの中にも、アンチテーゼは必ずあります。
アンチテーゼがない人間などいない
(そんなことはないと思いますが)あなたが、
- お金持ちの上に生まれ、
- 眉目秀麗で、
- 頭脳明晰で、
- エリート街道を一直線に歩んできた
としましょう。
さて、あなたは何の不満もなく、これまでの人生を生きてきたでしょうか?いま現在、手放しで幸せと言えるでしょうか?
競争から降りられない人生は、なかなか辛いんじゃないかね?
想像でしかないけど、こんな人生はムリだと思う
近所の普通の子供を羨ましいと思ったこともあるでしょう。実は居酒屋でバイトしてみたかったとか、フリーランスの人が輝いて見えるとか、色々思うことはあるはずです。
背負うものも、捨てるものもない身軽な人を見て、「わたしもあんな風に生きれたらなぁ」と愚痴をこぼすかもしれませんね。
そう思ったなら、あなたは、「決められたレールの上を歩むこと」へのアンチテーゼになるべきです。あなた以上の適任者はいません。
アンチテーゼは意外とたくさんある
大それたことでなくて構いません。
あなたが真剣に「それは間違っている!」と思う世間の常識、それに対するアンチテーゼがあなたです。
以下は、パッと思いついた、ボクが持ってるアンチテーゼです。
中身は読まなくて良いよ。割とポンポン出せるとわかってもらえればOK
「学生時代にもっと勉強しときゃ良かった」と言う大人へ
そう思うなら、いまから勉強すれば良いのでは?
しないということは、「勉強=良い学校に入るため」と考えてるからではないでしょうか。その考えは、明らかに間違っていると思います。
勉強は、人生を豊かにするもの。その時々の人生のステージで、必要なことを学べば良いのです。いつだって遅いことはありません。
ボクはジジイになっても、一生勉強し続けたいと思っています。
電車でスマホと睨めっこしている人達へ
電車に乗っていると、老いも若いもみんな、スマホと睨めっこしていますね。
スマホ自体はただのデバイスなので、スマホを見ていることは悪ではありません。しかしチラッと覗くと、ほとんどの人は、ゲームかSNSかドラマかアニメか。いずれにしてもエンタメばかり。
電車内で、これだけの高確率で遭遇するということは、彼ら彼女らは、1日のかなりの時間をエンタメに費やしているのでしょう。
それでホントに良いのでしょうか?
エンタメとは、所詮は誰かが他人を楽しませるために作ったコンテンツ。目標や大好きな活動を追いかける以上に、楽しいことはないと思います。
エンタメは、息抜きで消費するくらいがちょうど良い。1日の余暇時間を全て費やすようなものではありません。
「君が、毒にも薬にもならないエンタメで時間を潰している間、誰かは懸命に学んでいる」
そうやって差がつくことを、理解できない哀れな人が多すぎます。いい歳した大人がそれでどうする?
流石に平和ボケしすぎな日本人へ
日本は世界の中でも安全な国ですが、もう一昔前ほどではありません
世界情勢は、徐々にきな臭い方向に動いています。ちょっと前までは、世界中ほとんどの国を旅行できましたが、今では行くべきでない国が増えてきましたね。
海の向こうの戦争も、決して対岸の火事ではありません。
また国内も、外国人の犯罪が目立つにようになったり、あまり聞かなかったような強盗やテロ紛いの事件も聞くようになりました。
私怨以外の犯罪は、基本的には金がないことで起こることが多い。日本全体が貧しくなっている昨今では、治安は悪くなっていくと予想されます。
その割に、日本人の態度はあまり変わっていないように思います。有事が起きそうな予兆が見えたとき、これで対処できるのかと心配になってしまいます。
日本社会の同調圧力へ
ボクは基本的に学校行事が嫌いでした。というより、家族や親しい友人以外のイベントは大体苦手です。
中学生のとき、ボクだけ合唱コンクールの朝練に行かなかったとき、クラスでメチャクチャ非難されました。胸ぐらまで掴まれて。ドラマでは大抵、ボクみたいなはみ出しものは悪者扱いです。
しかし、なぜやりたくもない朝練に出なきゃいけないのか。ボクは今でも納得できません。やりたい人だけやるで、なぜダメなのか?
みんながやるから、自分もやらなきゃいけない道理はない。ボクは自分が納得して、自分で「やる」と決めたことだけやる。そう生きていくことにしています。
細部をこだわらない人へ
ボクは、「PowerPoint」や「Keynote」や「Canva」で、
- 平気ではみ出したり、
- 余白がなくて窮屈だったり、
- 要素が整列されてなかったり、
- 画像のアスペクト比を変えたり、
する人が苦手です。
ボクが作るときは、文字サイズや線の太さをドラッグで決めません。「8(刻む場合は4)の倍数」のピクセル数で指定します。そうすることで、バランスを統一したいのです。
見せかけの棒グラフを作るときは、大体の長さにドラッグするのではなく、ちゃんと裏で数字を計算します。数字自体に意味はなくとも、厳密にしたいのです。
このサイトの挿入イメージ画像はすべて、アスペクト比「16:9」で統一しています。元々の素材のアスペクト比は様々なのですが、都度トリミングしています。
パッと見で違いはわからないかもしれませんし、見る人によっては気にも留めないでしょう。
でもボクはこだわりたい。「神は細部に宿る」を地で行く人間でありたいと思っています。そういう美意識でやっています。
日本人の自虐癖へ
現代の日本人の風潮を見るに、
- 「日本はオワコン」とか
- 「欧米のが優れている」とか
- 「もう韓国に負けてるよね」とか
そういう自虐思考が蔓延しているように思います。
確かにしばらく停滞していましたが、ボクは日本や日本人が劣っているとは全く思いません。
日本の皇室は2600年(確かな記録が残っている数字でも1500年)も続いています。圧倒的にNo.1に長く続いた王朝です。世界中の誰もが羨む歴史を持っています。
「自己主張が弱い」とか「謙遜してガツガツ前に出ない」とか、欧米かぶれの人にはこういうのもマイナスなんでしょうね。
でも、潔く他人に譲れる日本の精神、みんなの意見を尊重する「和」の精神があればこそ、日本は他の国よりも平和な歴史を歩めたのではないでしょうか。
言語一つとっても、アルファベットの方が洗練されているとか言う人がいます。でもボクは、日本語はとっても美しい言語だと思っています。
自分が生まれた国の悪口ばかりを言う人は、ボクはどうにも好きになれません。もっと良いところを見出して欲しいものです。
AIを使いこなせれば万事OKという風潮へ
多くの仕事がAIに奪われ、AIを使いこなせる人だけが活躍できる世界が、もうすぐそこまで来ている。こういう意見を聞くようになりました。
ボクもテクノロジー好きの1人ですから、どちらかと言えばそちら側の人間です。しかし、「AIだけで万事OK!」という浅はかな意見には賛同しかねます。
例えば、Google検索は世界中のほぼ全ての情報を網羅しているわけですが、込み入った内容になると、案外と出てきません。
書籍もネットよりは濃い情報が手に入りますが、文字量は決まっていますし、全てをキレイに言語化し切れるわけではありません。ホントに欲しい情報は、専門家や経験者の脳の中に眠っているのです。
人の脳に眠る情報を、AIが勝手に引っ張り出して検索することは、今しばらくは不可能でしょう。ネットの表層に浮かぶ、ありきたりな情報を拾うのが関の山。深い話は、依然としてその道を学んだ人にしかわかりません。
また「アイデア」も、AIには出せません。アイデアは、脳の中で「Aの知識」と「Bの知識」が、突如つながることで閃きます。つまり、事前に頭の中に知識を蓄えておかなければ、アイデアは閃けないのです。
AIに任せたところで、独創的なアイデアを思いつくことはありません。
AIは素晴らしいテクノロジーですが、無学の人が使う分には、「ド素人」を「初級者」にしてくれる程度です。深い専門知識を持っている人がAIを使いこなすからこそ、「鬼に金棒」になるのです。
フワフワしたハンドメイド界隈のノウハウへ
急に狭い話になります。
世の中には、ハンドメイド販売の情報発信をする人が、たくさんいます。
しかし、どれもこれもが抽象的。「それ、あなたの感想でしょ?」としか言えないフワフワした精神論を、偉そうに語っています。
これで本当に、悩めるハンドメイド作家が売れるようになるのでしょうか?ゴリゴリにビジネスの世界を生きてきたボクには、到底そうは思えません。
本サイト名は、「ロジカル・ハンドメイド・マーケティング」です。
「ロジカル(論理的)」とは、同じ条件であれば、誰がやっても同じ結果になるという意味です。再現性に命をかけています。
言うまでもなく、フワフワしたインチキ発信者へのアンチテーゼです。
大小はあれど、1人の中にいくつもアンチテーゼは転がっているものです。
もしあなたが「蛇」が大好きで、「みんな蛇を気持ち悪がるのはおかしい!」と思うなら、それもあなたのアンチテーゼ。ぜひ蛇の魅力を伝える作家になってください。
「大人になって、TPOに合わせた目立たないアクセサリーに落ち着くのはつまらない!」思うなら、ブリンブリンでギラギラなアクセサリーを作れば良いでしょう。
「重力で垂れ下がる肉が耐えられない!」と思うなら、地球の1/6の重力である月の世界をモチーフに作品展開しても良いかもしれませんね。
なるほど!何かしらは思いつきそうだ!
アンチテーゼを見つける質問
「うーん」と、頭を抱えたあなたの姿が目に浮かびます。
もう少しヒントを出しましょう。
次の質問を、自分に投げかけてみてください。
アンチテーゼを引き出す質問
- 同ジャンルの人気作家の気に食わないところは?
- あなたがイライラするシーンは?
- あなたが苦手な人は、どんな人?
- 他人には伝わらない、あなただけの細かすぎるこだわりは?
- おおぴっらには言えない、あなたの秘密は?
- あなたが持っているコンプレックスは?
- なかなか理想の品が見つからないものは?
- あなたが現実逃避していることは?
- あなたの人生のどん底はどんなとき?
- 昔はありふれていたが、今ではめっきり見なくなったものは?
- 生まれ変わったらどんな世界(非現実的でも良い)を生きたいか?
- 自分の子供にどんな人生を歩んで欲しいか?
これらの質問は、あなたが感じている「不満」を洗い出してくれるでしょう。
- その「不満」は、どうすれば解消できるのか?
- あるいは、その「不満」を受け入れてしまったらどうか?
そういう、あなたなりの意見を出してみてください。その意見の1つ1つが、あなたの持っているアンチテーゼです。
アンチテーゼから始まるブランド構築
あなたの中に眠っていたアンチテーゼを引き出せましたか?
そのアンチテーゼを出発点に、あなたの「ブランド」を作っていきましょう。
柱に据える「アンチテーゼ」を選ぶ
あなたが不満に感じていることは、1つや2つじゃないはずです。きっと複数のアンチテーゼ候補が挙がったのではないでしょうか?
次は、「どのアンチテーゼをブランドの柱に据えるか?」という選択の話をします。
ポイントは3つ。
ブランドのアンチテーゼを選ぶポイント
- 強いアンチテーゼである
- 具体的なエピソードを語れる
- 範囲が狭い
重要な順に並べています。それぞれ見ていきましょう。
強いアンチテーゼを選ぼう
アンチテーゼには、「〇〇は不便だ!」と言ったような機能的な意見もあれば、「〇〇は美しくない!」という感覚的なものもあります。
ビジネス一般で言えば、機能的な不便から出発点にするケースが多いでしょう。ハンドメイド作家の場合は、美的感覚から来る不満から始まるケースが少なくありません。
機能的か感覚的かは、この際どちらでも構わない。どっちでもビジネスは成立する
大切なのは、「あなたが嘘偽りなく、強い不満を感じているか?」ということです。
ここで言う「強い」とは、シンプルに、あなたの感情がどれだけ強くそう感じているかということ。
世間一般の人の意見は、全く関係ありません。他でもない、あなた自身がどう感じているかの話です。それがどんなに個人的な感情であっても構いません。
もしあなたが、非常にマニアックなアンチテーゼを持っていたとしても、あなたと同じ考えを持っている人は少なからずいます。いや、実際には何万人もいるでしょう。
その何万人かの同志(=お客さん候補)から熱い共感を得るためには、あなたが確かにその不満を持っていることが重要なのです。
具体的なエピソードを語れるか?
お客さんの共感を得るためには、そのアンチテーゼにまつわる、非常に個人的で具体的なエピソードが必要です。
そのエピソードを披露することで、お客さんは、「あ、この作家さんは私と同じ想いを抱いている。私の気持ちを理解してくれる人だ」と直感するからです。
あなたの過去に、辛酸を舐めた「原体験」はありますか?
ちなみに、ボクは「同調圧力に屈しない」というのを、一つのアンチテーゼとして掲げています。
その具体的なエピソードとして、中学時代のある体験を挙げています。クラスが合唱コンクールで優勝するために、朝練をしようということになった時の話です。
ボクは、合唱コンクールなんて心底どうでも良く、全くやる気がありませんでした。ただの学校行事に、なんで自分が付き合わされなきゃならないんだと。
そこで、朝練に行かなかったのですが、なんと行かなかったのはボクだけ。やる気ある勢から集中砲火を浴び、あるクラスメイトからは胸ぐらを掴まれました。
「なんて理不尽なんだ」と思ったボクは、高校進学を契機に、学校行事はボイコットし、クラスメイトからの圧力に屈しないキャラを突き通しました。
もちろんメチャメチャ浮きました。もう、最高クラスの一匹狼です。しかしそんな苦い体験が、今のボクの原点になっています。
詳しくは、プロフィールで語っています(読まなくて良いけど)。
心配は入りません。強いアンチテーゼを選べば、かなり高い確率で、あなたの過去にきっかけとなったエピソードはあるはずです。それを思い出せば良いだけです。
狭い範囲のアンチテーゼを選ぼう
あなたが挙げたアンチテーゼは、きっと規模(範囲)の大小にバラツキあると思います。ここは、範囲の狭いアンチテーゼを選ぶことをオススメします。
基本的に、アンチテーゼの大きさは、ビジネスの大きさと比例するからです。
- 「世界を滅亡から救う」なら、世界を救うビジネスである必要がある
- 「少子化を食い止める」なら、少子化を食い止められるビジネスが必要がある
- 「みんなにアリの素晴らしさを知ってほしい」なら、アリの素晴らしさを伝えられるビジネスが必要がある
先に紹介した「イーロン・マスク」は、「人類を滅亡から救う」という最大級のアンチテーゼを、バカ正直に追いかけています。
この規模の大きさになってしまうと、「テスラ」一社だけでは不可能で、「スペースX」や「Twitter」も総動員して、それでも足りないくらいかもしれません。
ハンドメイド作家のビジネスの規模は、たかが知れています。あまり大きなアンチテーゼを掲げてしまうと、ビジネスの規模と不釣り合いになってしまいますね。
大事なのは、
「わたしは〇〇に不満を感じて、
△△というアンチテーゼを掲げた。
△△を実現するために、
このブランドを立ち上げて、
こういう作品を作っている」
と、「アンチテーゼ」から「ブランド」、そしてブランドを体現する「作品(商品)」まで、1つの文脈で説明できるか?です。
範囲を限定した方が、アンチテーゼからブランドへ文脈がつながりやすいはずです。もしスッと腹に落ちる説明がつくなら、広範囲なアンチテーゼを採用してもOKです。
アンチテーゼを「ブランドコンセプト」に仕上げよう
柱にするアンチテーゼを決めたら、「ブランドコンセプト」に仕上げていきましょう。
ここでは端的な説明に留めます。
ブランドコンセプトとは、「誰に何を届けるか?」です。
「誰(ターゲット)」を決める
「誰」は、あなたが作品を届けたいお客さんのこと。つまり、ターゲットです。
あなたが掲げたアンチテーゼに賛同してくれる人を、ターゲットに据えましょう。
あなたが、北海道の十勝から上京し、10年間東京で暮らしていたとしましょう。
久しぶりに故郷に帰ったら、今まで見えていなかったものが見えてきました。十勝の「美しい山々」や「満天の星空」の何と美しいことか。
離れてみて、初めて気づく故郷の素晴らしさ。
そこであなたは、「十勝の本当の美しさに気づけないのはもったいない!」というアンチテーゼを打ち立てました。
ターゲットは、ちょっと狭いですが「十勝から都会へ引っ越した人」がベストですね。少し広げて、「北海道から都会に引っ越した人」でも良いかもしれません。
「何(ベネフィット)」を決める
「何」に当たるのは、ベネフィットです。
ビジネスにおいて、「ベネフィット」とは、商品を買う理由そのものです。「その商品を使った先に訪れる理想の未来」を指します。
「お客さんは、商品ではなく、ベネフィットにお金を払っている」、この感覚が腹落ちすると、あなたのビジネスセンスはグッと上がります。
ビジネス未経験者は、この「ベネフィット」がいまいちピンときません。しかし、この記事を読み進めてきたあなたならわかると思います。
要するに、あなたの掲げたアンチテーゼが達成された状態が、ベネフィットです。
えーっと、つまりどういうことだ?
文字面だと伝わらないので、例を出そうか
あなたが、「カバン作家」だったとします。
そして、「毎年変わるトレンドを追いかけて、新作に買い替えるファッション業界」に、疑問を感じたとしましょう。ファストファッションなんてもってのほかです。
そんな風潮にNOを突きつけ、「気に入ったものを、いつまでも長く使い続けるべきだ!」というアンチテーゼを掲げたとしましょう。
このアンチテーゼを体現できるのは、「丈夫で、流行に流されず、いつまでも使い続けられるカバン」ですね。イコール、あなたのブランドが提供するベネフィットです。
外向きの言い方にして、「残りの一生を共にするカバン」とか「孫の代まで使えるカバン」と打ち出しても良いですね。
ブランドコンセプトに直してみましょう。
- 「誰に」
「もうトレンドに振り回されたくないあなた」に、 - 「何を」
「残りの一生を共にするカバン」を届けます。
ってな感じで、いかがでしょうか?
お!それっぽいフレーズになった!
ブランディング=ブランドコンセプトを体現すること
あなたが掲げたブランドコンセプトは、あなたにとっての「憲法」です。この大指針には絶対に従い、決して矛盾していけません。
「一生を共にするカバン」であれば、当然長持ちする素材を選ばねばなりません。合成皮革は10年もすればボロボロになります。ここは質の良い「本革」が良いでしょうね。
デザインは、流行に左右されるようではいけません。歳と共に多少服の趣味が変わっても使い続けられるように、「ベーシック」や「クラシック」で打ち出すべきでしょう。
また、有料か無料かはさておき、「修理の依頼」を受け付けるとなお良いですね。ギャランティーカードを発行して、ちゃんと修理する意思を伝えましょう。
さらにさらに、SNSやブログでは、革のお手入れに関する情報発信も添えてください。
という感じで、あなたが決めたブランドコンセプトを、あの手この手で体現していきます。この一連の活動を、「ブランディング」と呼ぶのです。
コメントを残す