現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
どんなデザインにすれば、お客さんの心をときめかせられるか。ハンドメイド作家の1番の関心ごとはコレですよね。
ハンドメイドには、アクセサリーや刺繍や子供服などの様々なジャンルがあります。見栄えするデザインのノウハウは、それぞれのジャンルにあるでしょう。
しかし、お客さんの心に響く「本物のデザイン(実際にはモチーフと言った方が適切かも)」は、別のところにあります。どんな作品ジャンルでも共通の考え方です。
本物のデザインだと…? ガタッ
ほとんどのハンドメイド作家は、「かわいく作ろう」とか「オシャレに作ろう」とかに意識が向いているように思います。その意識は確かに必要ですが、それだけじゃ弱い。
本物のデザインは、お客さんの心の奥深く、誰の目にも触れることがない「何か」を呼び起こすものです。見た目の良さでお客さんを楽しませるものではありません。
本物のデザインが施された作品は、お客さんにとって特別な意味を持ちます。同じような作品が並んでいても、その作品だけが光り輝いて見えます。
本物のデザインは、見栄え云々の話とは別次元のところにあるんだ
ゴクリ…。今回はなんだか凄そうな予感…!
この記事を理解できれば、あなたの作品作りは別次元のレベルに到達するでしょう。作品が手に取ってもらえるどころか、競合の倍の値段でも買ってもらえるでしょう。
ただ頭を使う内容なので、いきなり実践するには少々ハードです。まずは知識として知っておくだけでもOK。でも最終的にはここを目指してください。
ホントは話したくない秘密なんですが、コッソリ公開します。読んだらソッと閉じてくださいね。
本記事における「デザイン」の意味について
「デザイン(Design)」は、本来「設計」という意味の単語です。建築もデザイン、コップに使いやすい取ってをつけるのもデザイン、車椅子が通れるようにバリアフリーにするのもデザインです。
ただ本記事においては、日本人的な感覚で「見た目のデザイン」という意味で使っています。「モチーフ」という言葉に置き換えた方が正確かもしれません。
ご理解の上でお読みください。
お客さんが欲しいのは「キレイでカワイイ作品」ではない
まず押さえておきたい事実は、お客さんは「キレイ」や「カワイイ」や「オシャレ」な作品を求めているわけではないということです。
思い返してみてください。
雑貨屋さんに行けば、キレイでカワイイ品物がたくさん売っています。「わぁ、カワイイ!」って言いながらも、大抵はスッと通り過ぎて店を出て行きます。
別にお金がないわけじゃありません。カワイイだけで欲しいとは思わないからです。次の日になれば、その存在すら忘れているでしょう。
本当に欲しいものなら、見た瞬間にイナズマに打たれたような感覚になり、何ヶ月も忘れられません。悩んだ末、かなり背伸びした値段でも支払います。
- 「カワイイ!」と言いながらも買わずに忘れ去られるもの
- 脳裏に焼きついて、どんなに高額でも買わずにいられないもの
両者にはどんな違いがあるのでしょうか?
言われてみればそうだね
ホントに欲しいものって、どうやって決めてるんだろう?
うんうん、思考が深まってきたね
続きを見ていこう!
求めているのは「アイデンティティー」を体現する作品
お客さんが購入を決断をするとき、その裏には必ず「欲求」が隠れています。
直感的であれ計算であれ、欲求を満たせると判断したから買うわけです。どんなに見た目が良かろうが、欲求を満たさない作品が買われることはありません。
北欧風やアンティーク調はオシャレな雰囲気で人気があるけど、それだけで買ってもらえるとは考えない方がいいよ!
5段階の欲求から考えよう
心理学者のアブラハム・マズローは、人間の根源的な欲求を5段階に分類しました。
欲求の段階 | 欲求の中身 |
---|---|
①生理的欲求 | 食欲や睡眠欲などの生命維持に関する欲求 |
②安全の欲求 | 身の安全や身分の安定への欲求 |
③所属と愛の欲求 | 他人とのつながりを求める欲求 |
④承認の欲求 | 自尊心や他人からの評価を求める欲求 |
⑤自己実現の欲求 | 自分らしさや、自分のやりたいことを追求したいと考える欲求 |
ひとまずは、「5つの欲求のどれかを満たしていない限り、売れることはない」と、考えておけばOKです。
ハンドメイド作品が満たす欲求はコレ!
ハンドメイド作品のデザイン(モチーフ)が関係する欲求は、「承認欲求」と「自己実現の欲求」です。
- 他者に「私はこういうセンスや嗜好を持つ人間なんだ!」と認知させたい(承認欲求)
- 思い描いている理想の自分になりたい(自己実現の欲求)
という欲求を満たせるかが、「忘れ去られる作品」と「脳裏に焼きついて離れない作品」の分かれ道。
お客さんは、心の奥深くにいる「本当の自分」を表に出したいと願っています。
一言で言えば、お客さんが求めているのは、「アイデンティティー(自分らしさ)」を体現できる作品なのです。
本物のデザイン(モチーフ)とは、アイデンティティーを体現できるデザインのことなんだよ
すんごい秘密を知っちゃった気分だ!
なぜ女の子はディズニープリンセスのドレスを着たがるのか?
5歳くらいの女の子は、エルサやベルやラプンツェルのドレスを着たがりますよね。
もちろんプリンセスは好きなんですが、好きだから着たいわけではないんです。
え、好き以外に理由なんてある?
単に好きなだけじゃそうはならない。ここがミソなんだよ
もし好きが理由であれば、ハンバーグやパンダがプリントされたTシャツでもいいはず。なのにプリンセスのドレスだけをおねだりするのはなぜでしょうか?
理由はとってもシンプル。
彼女たちはプリンセスになりたいんです。エルサやベルやラプンツェルになりたいんです。それが彼女たちが持っているアイデンティティーなのです。
それがわかっているから、ディズニーランドのキャストさんは、ドレスを着た女の子に「おかえりプリンセス!」と声をかけるわけです。
うわぁ…それだわ
言われてみると、そうとしか思えないわ
大人になってもディズニープリンセスが好きな人はたくさんいますが、ドレスを着たいとは思っていません。もうプリンセスになりたいとは思っていないからです。
大人には大人の「なりたい自分」や「他人からそう見られたい自分」があります。幼い頃とは形が違うアイデンティティーを追い求めています。
5歳の女の子も大人も、アイデンティティーを求める精神構造は全く同じ。この感覚がすっごく大事だから、よーく理解して欲してください!
使える「アイデンティティー」のパターン
その人の中にある「自分らしさ」がアイデンティティー。人の数だけアイデンティティーが存在しますし、1人のアイデンティティーの中にも色んな側面があります。
個人的な観測ですが、次のようなアイデンティティーのパターンがあると考えています。
アイデンティティーのパターン
- 好きで好きでしょうがないもの
- 誇りを持っている職業
- 生まれ育った故郷
- 妄想の世界の主人公
- 信念、信条、哲学
- 自分を連想させるシンボル
それぞれ具体例を添えて解説します。
パターン①:好きで好きでしょうがないもの
池袋あたりに行くと、推しのバンドTシャツを着ている人や、推しのキャラクターの缶バッジをギッチギチにカバンにつけている人をよく見かけますね。
こういった人は、そのバンドやキャラが好きなだけではなく、「そのバンドやキャラが好きな”自分”が好き」なのです。
彼ら彼女らは、「〇〇を好きな自分」というアイデンティティーを持っています。
だからキャラクターグッズやコレクターグッズは、高い値段でもポンポン売れるわけ
買えば買うほどアイデンティティーを体現できるから
にゃるほどね〜
キャラクター物は著作権NGですが、そうでない選択肢もあります。
「犬、猫、恐竜、昆虫、歴史、建築物、スポーツ、海、山、アウトドア、ゲーム」などなど。著作権に触れない狙いどころも見つけられるはずです。
将棋が好きな人は、将棋のコマをモチーフにした作品を好むかもしれません。座右の銘や生まれたばかりの子供の名前を、あの力強い筆文字で施せば、グッと来るのではないでしょうか?
「アップサイクル」も1つのキーワードでしょう。アップサイクルとは、廃棄予定の材料を、形を変えて別の商品にすることです。
例えば、古いスキー板やスケボーのデッキを、テーブルやイスに加工したアップサイクル商品があります。そこには、使い心地や機能性を超えた、ファンの心を突き動かす魅力があるのです。
子供時代に好きだったものは特別
子供の頃に大好きだったもの、楽しい思い出が残っているもの。こういった類には、特に強いアイデンティティーが宿ります。
それを好きだった子供の頃の自分を、自分の原点のように感じているからです。
かつて絶大な人気を誇っていた仮面ライダーやゴジラやセーラームーン関連の商品が、いつまで経っても売れ続けているのはこのためでしょう。
子供の頃に遊んでいたミニ四駆やシルバニアファミリーを見て、いい大人が欲しくなってしまうのもこのためです。
(余談)ボクがマーベル関連アイテムが好きな理由
ちなみにボクは、マーベル関連のアイテムが好きです。
スパイダーマンのスマホケースや、X-MENモチーフのasicsのスニーカーを買いました。値は張りましたが、良い買い物だったと思っています。
これはボクが格闘ゲーム好きだったことと関係しています(最近は控えていますが、20代後半までプレイしていました)。
小学生の頃、初めてゲームセンターで触れた格ゲーが、日本のストリートファイターシリーズのキャラクターと米国のマーベルキャラクターが戦う作品でした。
当時はまだマーベルが日本でほとんど知られていなかった時代。初めて見るカラフルでカッコいいヒーローに魅了されました。
それもあってか、ウルヴァリンやスパイダーマンなど、マーベル側のキャラクターを好んで使っていました。
周りは悪そうな高校生や大人ばかりで、タバコの煙が充満したゲームセンター。何だかいけない遊びをしている感覚。でも面白くて面白くて、どうしようもない。
このスリルと快感の思い出が、ボクにとっての格闘ゲームの原点なんですね。
だから今でもマーベルには特別な感情があるのです。似たような雰囲気のアメコミでも、バットマンには一切興味ありません。マーベルだけが特別なのです。
成長してから興味が出始めるファッション関連は、10代後半から20代前半の思い出が強く残ります。その頃に流行っていたモデルが時を経て復刻すると、どうしようもなく欲しくなってしまいます。
キレイな思い出があるモチーフは、大人になっても欲しいし、子供にも与えたくなっちゃう!
懐古厨ってバカにされがちだけど、そこに自分の原点があるわけだからね
他人には理解できないけど、その吸引力たるや凄まじいものがあるよ
パターン②:誇りを持っている職業
エンジニアはノートPCに、プログラミング言語やイケてるスタートアップのステッカーをペタペタ貼っています。スケーター(アイススケートではなくスケボーの方)は、デッキにスケートブランドのステッカーをペタペタ貼っています。
これもやはり、単に好きだからではありません。その職業に誇りを持っており、より自分をその職業人たらしめたいからです。
エンジニアなら、自分がエンジニアであることを誇りを持っていて、より自分をエンジニアたらしめたいと思っているからです。周りの人にもそう見られたいと思っています。
デザイナーであれば、配色のパターンや黄金比や白銀比といった、デザイナー特有のモチーフを好むかもしれません。教師にも、僧侶にも、大工にも好む何かがあるはずです。
営業や経理のようなスーツ系の職業よりも、職人系の専門職に多い傾向だね
パターン③:生まれ育った故郷
日本人は、傾向として和風デザインを好みます。木目調で、シンプルで、明度を抑えた配色を見ると、なんだか落ち着きませんか?和装をステキだと感じる人も多いのではないでしょうか?
和風のデザインがスッと馴染むのは、やはり日本人としてのアイデンティティーがあるからです。アメリカ人ならきっと、古き良きアメリカンなデザインを好むのでしょう。
以前、NHKの日曜美術館という番組で、坂本直行(1906-1982年)という画家の回がありました。北海道土産で有名な「六花亭」の包装紙をデザインした画家です。
坂本氏は北海道の十勝出身で、ひたすら十勝の山脈や植物を描き続けていたそうです。
ある日、生活費に困って札幌で個展を開いたところ、1列に展示してたんじゃ売れてすぐに無くなってしまうので、2列に増やして売るほど盛況だったとか。
まだ名前が売れていなかった画家の絵が売れたのは何故か?ボクの勝手な予想ですが、北海道の田舎から札幌へ上京してきた人達の原風景がそこにあったからだと思います。
もちろん絵がキレイだったのも1つの理由ですが、それが東京やパリの風景だったら売れていなかったのではないでしょうか?
子供の頃の原風景って落ち着くよね
なんかわかる気がするよ
ボクは都会っ子だけど、それでも小さい頃の街並みは今でもキレイな思い出だよ
地方から上京している人には尚更だよね
パターン④:妄想の世界の主人公
誰しも中高生の頃は、「妄想の世界で生き生きと活躍する自分」を持っていたのではないでしょうか?
多くの場合、大人になるにつれて妄想の世界から離れていきます。もう忘れてしまったかもしれませんが、それでも心の奥には自分だけの世界が眠っているものです。
異世界で最強になった女の子にモテモテの主人公は、どう見ても作者の妄想の投影でしょ?
あー、それ言っちゃダメなやつだよ
もちろん大人なので、現実世界でフツーの生活をしている自分を受け入れています。ですがやっぱり、魅力的な妄想の世界に後ろ髪を引かれる自分もいるわけです。
ある人は、現実世界とよく似たパラレルワールドで、のんびりカフェのマスターをしているかもしれません。
またある人は、魔法の館でゴスロリ衣装に身を包みながら、魔法陣を描いているかもしれません。
その妄想の世界の自分が身につけているものや、部屋に置いてあるアイテムを見ると、無性に惹かれてしまいます。
原宿あたりに行くと、サキュバスのような角がついたカチューシャや魔法の杖が売られています。ほとんどの人には意味不明ですが、そういう妄想の世界を持っている人には垂涎のアイテムなわけです。
北欧風やアンティーク調のインテリアを買う人は、描いている妄想の世界と雰囲気がリンクしているから惹かれているのです。単にオシャレだからではありません。
でも他人の妄想の世界なんて、覗きようがなくない?
完全に理解するのは不可能だけど、なんとなくイメージを掴むことはできるよ
妄想の世界は、その人が過去に見た物語や映像作品などの影響を受けています。それらがミックスされたような世界観を構築しています。
世界観が好きなマンガやアニメやイラストレーターなどを聞けば、その人がどんな妄想の世界を持っているか推測できるでしょう。
またSNSでフォローしている有名人やクリエーターを見れば、どのような妄想の世界を持っているかが垣間見えます。
パターン⑤:信念、信条、哲学
人は誰しも、大なり小なり「生きる上で大切にしている考え方」を持っています。「信念」「信条」あるいは「哲学」と呼ばれるものです。
そして人は、その「大切にしている考え方」を代弁してくれる人や商品に強く引き寄せられます。好きで好きでたまらなくなります。
だから自分の気持ちを雄弁に語ってくれるミュージシャンとかインフルエンサーに熱狂するわけ
ある意味で宗教モチーフと同じです。キリシタン大名が背中に十字を纏ったり、ヨーロッパの為政者が受胎告知を描いた絵画を求めたのも、そこにアイデンティティーがあったからです。
例えば「ミニマリスト」と呼ばれる人は、「持ち物が少ければ少ないほど幸せになれる」という哲学を持っています。
カラフルな服だと色合わせで枚数が増えてしまうので、どんな色とも干渉しないモノトーンを好みます。またTPOを選ばない、シンプルで汎用性の高いデザインを好みます。
そんなわけで、ミニマリストには無印良品が人気だよね
ミニマリストにとっては、無駄を省いたシンプルさがアイデンティティーなんだね!
動物愛護の精神を持っている人なら、動物の革を使わない製品を好むでしょう。また動物由来の素材が使われる場合は、飼育環境まで気を配るかもしれません。
環境に関心がある人なら、プラスチック製品よりも、木や竹などの天然素材を好むでしょう。またCO2の排出量が少ない地産地消がキーワードになるかもしれません。
ここでも、廃材を使う「アップサイクル」のアイデアが使えます。
スイスのカバンメーカーである「FREITAG」は、トラックの幌(ホロ)を再利用しています。都市鉱山(廃棄された家電や精密機器から取り出した金属)から作られたアクセサリーブランドなんてのもありました。
パターン⑥:自分を連想させるシンボル
自分に関連するシンボルとは、それを見ただけで、自分を連想するような文字や記号のことです。
自分の名前、誕生日、干支、星座、家紋などがコレにあたります。
ボク自身の話をしましょう。
先ほど事例で紹介した「FREITAG」というカバンメーカーで、バックパックを購入したときの話です。
FREITAGのカバンは、トラックの幌(ホロ)を再利用しています。柄は元の幌のデザインそのままなので、全て一点もの。無地だったりドット柄だったり文字が入っていたりします。
公式ネットショップでなんとなく見ていたら、「NI」の文字が大きく入ったバックパックを見つけました。実は、ボクのイニシャルは「NI」だったんです。
これは運命だと思って、わざわざスイスから取り寄せて購入しました。送料は高かったし、関税も払った記憶がありますが、それでも良い買い物でした。
「寅の年寅の日寅の刻」に生まれた徳川家康は、虎のモチーフを好んだと言われています(実際には卯年生まれの説もあるが)。
辰年のボクは、龍のモチーフに自然と惹かれてしまいます。(着る機会は少ないが)スカジャンが好きなのは、きっと龍の刺繍に惹かれたからでしょう。
またボクの話で恐縮ですが、動物だとキツネに反応します。しばしば意地悪でヒール扱いされるキツネに。なぜなら、保育園のときのボクのマークがキツネだったからです。
今どきの若い人が、自分を連想するようなシンボルを持っているかは微妙なところだけどね
お客さんは意識していなくても、こっちから関連付けてアピールしても良いかもね
アイデンティティーを体現する作品を作るためには?
ハンドメイド作家が、お客さんの心の奥にあるアイデンティティーを呼び覚ますには、具体的に何をすれば良いかを解説します。
正直なところ、いきなり実践は難しいと思います。でも意識はしてほしいですね。
お客さんのペルソナを理解する
お客さんの心の中にある「今の自分の原点」や「なりたい自分」を、正確に突き止めるのは容易ではありません。
もし田舎の風景をデザインに落とし込むとしたら、お客さんが住んでいた地域で印象的な場所を知らなければいけませんし、どの時代で子供時代や青春時代を過ごしたかも知らなければなりません。
先ほどボクはマーベル関連アイテムが好きと言いました。しかしマーベルなら何でも良いわけじゃないんですね。
マーベルが好きになったきっかけは、小学生の頃に初めて触ったゲームセンターの格ゲーです。
その格ゲーは2Dだったので、3Dキャラクターのアイテムだとかなり興が削がれます。昔ながらのアメコミ風のイラストが良いんです。
またその格ゲーに登場していたキャラの方が当然好きです。登場していた「キャプテンアメリカ」や「ハルク」は良いですね。「ソー」は何故か出ていなかったので、さほど愛着はありません。
でもサイコーなのは、「ウルヴァリン」と「スパイダーマン」です。なぜなら僕の持ちキャラだったからです。
あと「MARVEL」のロゴは、今は赤地に白抜きになっていますが、当時は違かったんですよね。だからよく見るMARVELロゴのアイテムでグッと来ることはありません。
こんな感じで、お客さんの人となりや、個人的なエピソードを理解しなければ、心に響くデザインにはならないんですね。
そういったお客さんのリアルな人物像のことを、マーケティング業界では「ペルソナ」と呼びます。血の通ったペルソナを持っているかどうか鍵になってきます。
たった1人に刺さればOK
「1人のお客さんに絞って考えると、他のお客さんに売れないんじゃないの?」と思うかもしれませんね。
でもそこは心配しなくて大丈夫です。1人に刺さっていれば、その裏には同じような人が1,000人や1万人はいます。
個人が食っていくには十分な市場規模だよ
おー、それは一安心
深い専門知識をデザインに落とし込む
お客さんのアイデンティティーに触れる作品を作るためには、その世界に詳しい必要があります。その世界の人しかわからない共通言語を持っていなければなりません。
基本的には、作家自身もその世界の住人であるか、あるいは過去にそうであったことが望ましいです。
歴女をターゲットにした作品なら、古代ギリシアの建築やイスラム美術の幾何学模様をモチーフにしても良いかもしれません。
日本史好きなら家紋や刀剣のモチーフも使えるかもしれません。
外の人間には思いつけない、中にいる人間だけがハッとするデザイン。それを施すには、作家自身が歴史が大好きで、深い専門知識がないと難しいでしょう。
逆に言えば、その分野の深い専門知識を持っていることは、とてつもないアドバンテージになります。
仮に1,000人に1人の割合でハンドメイド作家がいるとしましょう。歴史の専門知識を持っている人も1,000人に1人とします。
そうすると、お客さんに刺さる歴史モチーフの作品を作れる作家は、「1/1,000 × 1/1,000 =「100万人に1人」になります。
やっぱり作家自身が大好きなことを作品のモチーフにするのが1番だね
まとめ
今回は、一歩進んだデザインのあり方を取り上げてみたよ!
かなり上級者向けの内容だったね
すっごい深い話だった!
ここまで取り組めたらスゴい作品になりそう!
かなり頭を使うから難しいけど、その分リターンは凄まじいよ!
この記事をまとめます。
お客さんが求めているもの
- 「キレイ」や「カワイイ」や「オシャレ」な作品を求めているわけではない
- 求めているのは、「アイデンティティー(自分らしさ)」を体現できる作品
使えるアイデンティティーのパターン
- 「それを好きな”自分”が好き」と感じているもの
- 誇りを持っている職業
- 生まれ育った故郷、幼い頃の原風景
- 妄想の世界の主人公
- 信念、信条、哲学
- 自分を連想させるシンボル
アイデンティティーを体現する作品を作るためには?
- ペルソナを使い、お客さんの人となりや過去のエピソードを理解する
- その世界の深い専門知識をデザインに反映させる。作家自身もその世界の住人であるのが望ましい
ただキレイな作品を作るだけだと、あまたいる競合作家とガチンコ勝負になってしまいます。
しかしあなたがその世界の深い専門知識を持っていれば、競合不在のフィールドで戦うことができます。そのフィールドでは、お客さんが欲しい作品を売っているのはあなたしかいません。
お客さんは、あなたの作品を見た瞬間に、「あぁ…」と言葉にならない感情が溢れてきます。そして、「この作品以外にはあり得ない」と確信するでしょう。
当然あなたから買いますし、似たような他の作品よりはるかに高額でも買ってくれるはずです。
制作スキルももちろん大事
アイデンティティーを体現するデザインが重要と口酸っぱく言ってきましたが、もちろんキレイでオシャレに作る技術だって必要です。
いくらモチーフがピンポイントで刺さっても、ダサければ買ってもらえません。
「見栄え良く作る制作スキル」
×「ある分野の専門知識を落とし込んだデザイン」
=「お客さんの魂を揺さぶる作品」
という公式になるでしょう。
かなりハイレベルなので、実践できているハンドメイド作家はほとんどいません。カンタンではありませんが、これができると作品の魅力が桁一つ変わってきます。
ぜひチャレンジしてみてくださいね!
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