
ハンドメイドの世界は女性ばかり。作家さんは男性もいますが、お客さんは9割が女性です。少なくとも、ウチのお客さんだと95%女性です。
リアルイベントに行っても、やっぱり来場者はほぼ女性。奥さんや彼女の連れとして来ている男性はいますが、1人で来ている男性はほとんどいません。
実はこれ、理由があるんです。心理学や生物学の観点からも、ハンドメイドは基本的に女性にしか受けません。
じゃあ、男の人って全員ハンドメイド作品に興味ないの?
誤解を恐れずに言えばその通り
「よくできてるなぁ」とは思うけど、なかなか「買いたい」とはならない
ここで、「ふーん、女性客が多いんだ。まぁ実際そうだしね」で終わってしまうともったいない。
ハンドメイドは女性客ばかりということは、男女の区別がない一般的なビジネスとは、攻め方が変わってくるということです。
ちなみに筆者は男性です。「男のおまえに何がわかるんだ?」と思われそうですが、まさにそこがこの記事のポイントなんですね。
男性目線だからこそ、自分と比較した違いから、女性の特徴がハッキリわかります。外国人の方が、日本の魅力がよく見えるのと同じこと。
女性に買ってもらうにはコツがあります。そこを押されると、どうにも抗えないツボがあるんです。おそらく女性自身は、当たり前すぎて気づけません。
少しマニアックな記事ですが、「言われてみると確かに…」という気づきがあるはず。ぜひハンドメイド販売に役立ててください!
本記事を読むにあたっての注意点
本記事の記述は、男女の生物学的な違いから論理を展開しています。
人によっては女性蔑視に感じるような表現があるかもしれませんが、筆者にそのような意図は一切ありません。
また、性に関する記載も出てきますが、「いやらしい気持ち」は排除して、あくまで生物学的な視点で捉えてください。
ご理解の上で、お読みいただければと思います。
男女の心理は、明確に違う!

入り口はお勉強なんだけど、ここが真に迫る部分だから飛ばさないのが推奨!
人間の購買心理は、「購買心理」というだけあって、心理学的に考察できるもの。
ただ、メインストリームの「心理学」や「行動経済学(中身はほぼ心理学)」は、一般的に男女を区別しません。男女に関わらず、両性共通の心理を扱うことがほとんど。
しかし、人間の心理を考察するもう一つの学問系統があって、それが「進化学」や「生物学」の流れを汲むもの。
その1つが、「進化心理学」で、進化学と心理学とミックスしたような分野の学問です。本記事は、この進化心理学をベースに展開することにしましょう。
性淘汰がカギ
進化学的に捉えると、男女共通の心理は、「自然淘汰」によって培われています。自然淘汰とは、生存に有利な特徴が受け継がれ、不利な特徴が取り除かれること。
キリンの首が長くなったのは、木の上の葉っぱを食べられることが、生存に有利だったから。逆に、短い首は不利だったので、淘汰によって排除されたということです。
キリンの首は臓器なのでわかりやすいですが、心理も脳という一つの臓器から発するもの。心理もまた、淘汰によって受け継がれたり、取り除かれたりするのです。
男女の暮らし振りはほぼ一緒で、同じ気候条件の下、同じものを食べ、同じ食物連鎖の位置にいます。そのため、生存に有利だった心理は、男女で差が出ません。
一方で、男女で異なる心理は、「性淘汰」によって培われています。性淘汰とは、繁殖上で有利な特徴が受け継がれ、不利な特徴が取り除かれること。
男女は体の構造が違うので、繁殖戦略は全く変わってきます。
人間に限らず、多くの生物では、「オスがメスを巡って争い、メスは自分のところに来たオスから選ぶ」という出会いが一般的です。
この構図から、身体にも、考え方にも、男女による違いが出るのです。ここから解説していく男女の心理の違いは、全てこの「性淘汰」によるものと考えてください。
ボクからのお願い → エロい気持ちを排除して聞いて
思考回路は1万年前から変わらない
進化心理学では、人間もただの生物の一種と考えます。生物に共通する唯一の生きる目的は、自分のDNAのコピーを作ること。つまり子孫を残すことです。
そのため、男も女も、「子孫を残すために最適化された思考回路を持つように進化してきた」ということになります。
進化は何万年とか何十万年もの年月をかけて、少しづつ変わっていくもの。
人類の文明は、農業を発明した1万年を境に急発展しました。過去地球上で類を見ない、異常な早さです。そのために、進化のスピードが文明発展に追いついていません。
人類は700万年前に猿から枝分かれしたわけですが、699万年間は狩猟採集で生計を立てていました。男は鹿や猪を狩りに出かけ、女は木の実やキノコを採っていたのです。
つまり、現代人は思考回路は、まだ狩猟採集をしていた頃の縄文人と何も変わらないということです。
わたしの思考回路も縄文人と同じなのか!?
うん。脳の大きさも変わらないし、頭の良さや考え方の傾向も変わらない
人類は一夫多妻制だった
当時の人類は、一夫多妻制でした。
(補足)なぜ人類は一夫多妻制だったのか
現代の先進国は基本的に一夫一妻制ですが、こうなったのはごく最近のこと。本来人間という生物は、一夫多妻制でした。
その理由は、男性と女性の体の構造の違いにあります。
男性は妊娠・出産しないので、365日いつでも繁殖行動できます。また女性に比べると、繁殖できる期間が長めです。
一方で女性は、一度妊娠・出産すると2〜3年はインターバルを置かなければなりません。しかも出産の前後は満足に体を動かせないので、誰かにサポートしてもらわなければなりません。また男性と比べると、繁殖できる期間は短めです。
余談ですが、進化の流れでは高等な(=より新しい時代に登場した)部類ほど、出産と育児に多くのエネルギーを費やします。
進化の歴史では最後に登場した哺乳類は、最も高等なグループ。その中でも、ヒトは特に新しく高等。全生物的に見て、人間の出産と育児は、格別に大変なのです。
男性は手当たり次第に女性に手をつけたがる一方で、女性は自分と子供をサポートできるだけの経済力がある男性を品定めします。
こうなると受給の関係から、力のある男性が、複数人の女性と結婚することで均衡が取れます。こうして一夫多妻になってしまうわけです。
ちなみに生物学的には、メスよりオスの体が大きい種は、基本的に一夫多妻制です。珍しい一夫一妻制のテナガザルは、雌雄で大きさが変わりません。
一見すると一夫多妻制は、ハーレムを作れる男性側に都合よく見えますが、実際には全く逆。男性にとって、一夫多妻制は超過酷なシステムです。
女性は高い確率で子供を作ることができましたが、男性は他の男と競争して女性争奪レースに勝たなければ子孫を残すことができませんでした。
一夫多妻制だと、女性を巡る男性同士の争いが苛烈になり、暴力沙汰に発展しやすいと見えます。動物では、殺し合いになることもしばしば。
そのため、同胞同士で無用な血を流さないために、理性の力によって一夫一婦制に持っていった。というのが、今日の先進国社会の実情でしょう。何とも賢い選択です。
ボクみたいな陰キャは、一夫多妻の世界だと結婚できなかったろうね。一夫一妻の世界で良かったよ
そんなことないって(多分)
ただし、あくまで理性でその選択をしただけで、人間が一夫一妻の思考回路に進化したわけではありません。基本的な思考回路は、今でも一夫多妻制のままなのです。
つまるところ、この繁殖上の不均衡が、男女の考え方の違いを生んでいます。男女の購買心理の違いも、ここから端を発しています。
なぜハンドメイドのお客さんの9割は女性なのか?
このように、男女によって、心理には明確に違いが出てきます(この記事ではテーマ外なので触れませんが、当然ながら得意不得意も、男女で違いが出ます)。
「美味しそう」とか、「生活が楽になる」とか「肩こりが治る」とか、こういった男女共通の購買心理も、もちろんたくさんありますね。いや、共通項の方が多いでしょう。
しかし、実に絶妙な部分で、男女の購買行動には違いが出ます。
進化心理学に沿って考えると、ハンドメイドが女性にしか受けない理由がよくわかります。
男がハンドメイドを買わない理由
まず対比のために、先に男の話をしましょう。男性の思考を理解しておくと、女性の思考がハッキリわかるようになります。
男性は、他の男とのレースに勝たなければ子孫が残せなかったので、「常に他人より秀でなければならない」とDNAに刻み込まれています。
どこまで強くなろうが、偉くなろうが、金持ちになろうが、上へ上へと目指さずにはいられないのです。物心がついた瞬間から性欲が尽きる老人になるまで、終わらないレースを走り続けています。
小さな男の子は、よく「見えない何かと闘っている」って言われますよね。これも、性淘汰によって培われた、男性普遍の闘争本能が現れたものと思っています。
ボク自身は、理性では「他人と争ったり比較することに意味はない」という考えで生きていますが、いつだって本能は「勝て!蹴落とせ!」とささやいてきます。この感情を100%押さえ込むのは不可能です。
男の精神構造って「バキ」の世界そのものなんだよね。純度を突き詰めると、男の脳内はまさにあれ
あれギャグじゃなくて、男にとってはマジな話なんだ!
現実的にあきらめてる人が多いから、そう見えないかもしれないけどね
でも本能では、常に最強を目指してるんだよ。例外はない
男性の買い物は「コスパ」が命

だから、男性が買い物に求めるのは、自分の能力や魅力を伸ばしてくれる武器なのです。
筋肉をつけたり、年収を増やしたり、他人から羨まれるステータスを身につけたりできる武器です。究極的には女性にモテるための武器ですね。
同じ値段ならなるべく効果のある武器が欲しいので、コスパは命です。スペックを細かくチェックして、数字で比較して、もっともコスパが優れた武器を買います。
また買った武器が壊れたら、また同じ武器が手に入るかも気にします。そのため売り手の規模が大きく、継続的に武器を調達できそうかどうかまでチェックします。
男の買い物は入念に比較検討するから、衝動買いはほとんどしないよ
ハンドメイド作品は、その魅力がスペックや数字には表れません。ハイブランドのように、他人に見せつけることもできません。その上、手作業なのでコストがかかる。
コスパは最悪という判断になってしまいます。おまけに小規模な売り手なので、「再調達に難あり」という評価になってしまいます。
というわけで、ハンドメイド作品は男性向けにはとことん向いていません。
なるほど。これは確かに男性客とハンドメイドは相性が悪い
女がハンドメイドを欲しがる理由
一方の女性はというと、子孫を残すことに(少なくとも男性に比べれば遥かに)苦労しませんでした。
強くなる必要もなければ、他人と争って勝つ必要もありません。男性の関心のベクトルが外に向いている一方で、女性のベクトルは内向きです。
女性が買い物に求めるものは、自分(と子供)が心地よく過ごせる空間。安全で、暖かくて、気持ちが良くて、笑顔で過ごせる空間を作れるアイテムを求めています。
女性の買い物は「世界観」が命

女性は、男性のようにコスパで比較することにさほど興味がありません。スペックを気にすることはなく、価格にもシビアではありません。
言われてみると、確かに比較とかしないな。面倒だし
大切なのは、そのアイテムを買ったら手に入る理想の世界観です。
女性にとって、ハンドメイド作品でなければ手に入らない世界が間違いなくあります。既製品にはない独特の世界観を叶えてくれる作品には、お金を惜しみません。
というわけで、ハンドメイドは女性客が9割なんだ。ひょっとしたら9割9分かもね
ハンドメイド作家は「魔法使い」になれ!

次の章で、女性客向けの攻め方をアレコレと解説しますが、共通して持って欲しい意識があります。
それは、「ハンドメイド作家は、冴えないお客さんをプリンセスに変える『魔法使い』である」という意識です。
男女が求める「売り手との関係」の違い
男性客の場合、売り手が「師匠」で、自分が「弟子」という関係を求めています。
生涯続くレースで勝ち抜く力を授けてくれる「師匠」に出会って、鍛えてもらい、努力して、強い男になりたいと思っています。
一方で女性客は、売り手が「魔法使い」で、自分は「プリンセス」の関係を求めています。
女性は努力なんて求めていません。ディズニー映画を見ればわかりますが、プリンセスは修行なんてしません。ある日突然、見出されて、憧れの世界に連れ去ってもらいます。
いわゆるシンデレラストーリーだ!
女性客は、魔法で一瞬のうちに理想の世界に連れて行ってくれる「魔法使い」を待っています。そしてその魔法使いが、ハンドメイド作家であるあなた。
お客さんが身につけたり飾ったりした瞬間に、パッと理想の世界が訪れるような作品を目指しましょう。
イメージは、シンデレラそのもの
色々あって冴えない現実に甘んじているお客さんを、魔法で瞬時にプリンセスに変える「フェアリーゴッドマザー」になろう!
女性客の心を掴む7のコツ
ハンドメイド販売は、基本的に女性がターゲットになります。女性のツボを押さえた販売戦略を取りましょう。
女性客の心を掴むコツ
- ターゲットを絞って強気の値付け
- オリジナリティーあふれるデザイン
- 第一印象が全て
- 数字よりも雰囲気
- 作品以外も抜かりなく
- 利他の心を刺激する
- 愛するよりも愛されたい
それぞれ解説します。
コツ1. ターゲットを絞って強気の値付け
ターゲットを絞るのは男性客も女性客も変わりません。基本的にターゲットは、絞れば絞るほど高額で売れるようになります。
しかしより財布の紐が緩いのは女性の方。作品のターゲットを絞って、よりお客さんの理想の世界に近づけば、強気の値段でも売れてしまいます。
男性と女性の価格感度の違い
男と女で、どちらが買い物にお金を使うかは、意見が分かれるところでしょう。
男の場合は、強力な武器にはいくらでも払う準備があります。だから高級車や高級腕時計は、女性からすると意味不明なくらい高額で取引されています。
しかし武器にならない出費、例えば日用品やちょっとした家具などは、とことん安く済ませます。
男性物のブランド品って、女性物より高かったりするよね。プレミアついてたりとかするし
一方で女性はというと、武器で際限なく強くなりたいという考えは持っていないので、男性のように超高額を払う気持ちは毛頭ありません。
ただちょっとした日用品や家具でも、雰囲気が気に入れば+αの価格を支払います。ハンドメイド作品のようなアイテムでも、ポンと高額を払ってくれるのは女性の方です。
ここぞというときの一発は男性の方が何倍も払うけど、トータルの出費だとチリツモで女性の方が多いかもね
コツ2. オリジナリティーあふれるデザイン

デザインがより購買に直結しやすいのが女性です。
男性の場合は、デザインを考慮しつつも、スペックと価格を見比べて、総合的にジャッジします。結果的に安いアイテムに落ち着くことが多いです。
一方で女性は、好みのデザインであれば、あまり比較せずに選んでくれます。間違いなく、「デザイン>スペック」の思考回路です。
あえて既製品じゃなくてハンドメイド作品が選ばれるのは、ハンドメイドにしかない独特のデザインに魅了されるからです。
だからこそハンドメイド作家は、オリジナリティーあふれるデザインを追求しなければなりません。
「デザイン」とも言えるし、「モチーフ」や「世界観」とも言えるね
とにかくお客さんの理想像にマッチすれば、間違いなく買ってもらえるよ
結局のところ、ハンドメイドの良さってソコだもんね
コツ3. 第一印象が全て

実は、その商品を買うか買わないかは、第一印象でほぼ決まっています。見た瞬間のトキメキで、もう購入のジャッジは完了しているのです。
商品の詳細情報を見るのは、「買うかどうかを検討している」のではなく、「ホントに買って良いかを追認している」だけなのです。
男性の場合は、スペックを見てコスパを計算するので、この追認プロセスがかなりシビア。追認の結果、購入を取りやめるケースが結構あります。
一方でスペックやコスパを気にしない女性は、追認プロセスが緩い。ほぼ第一印象だけで購入を決定する傾向があります。むしろ詳細情報を読んですらいないケースも多いです。
「百聞は一見にしかず」という諺があるように、作品の第一印象を決定づけるのは映像的なイメージ。そのため、作品画像はかなり重要なウェイトを占めます。
過去にホントに欲しくて買ったものを思い出してみて
多分、最初に見た瞬間に決まってたはずだよ
言われてみると確かに!
値段とか耐久性とかで「うーん」って悩んでも、最終的には第一印象で買ってるわ
コツ4. 数字よりも雰囲気

数字的なスペックを気にせずに買うのも、女性の買い物の特徴です。
そのため、「10mm」とか「1,000ml」とか「10種類」といった客観的な数字は、割とどうでも良かったりします。もちろんそういった情報も載せますが、目立たせる必要はありません。
それよりも、
- 「大粒のパールが耳元で揺れる」
- 「まるでおとぎ話の世界に紛れ込んだような」
といった、主観的なイメージの方が重要です。
比喩やオノマトペを上手に使うと、よりイメージが伝わります。
化粧品のCMも「プルプル」とか「モチっと」とか言ってるもんね
ビジネスの世界は「数字が命!」って考え方があるけど、こと女性向けの訴求だと数字はあんま意味ないんだよね
コツ5. 作品以外も抜かりなく
男性は、商品のコスパさえ良ければ、それ以外のポイントは目を瞑る傾向があります。ダサかろうが、少々汚かろうが、美味いラーメン屋なら喜んで行きます。
しかし女性は、買い物に気持ち良い体験を求めているので、商品以外のポイントも評価します。もし気分が害されると思ったら、どんな良い商品でも買われません。
男はドトールで十分って思ってるけど、女性は純喫茶とかアフタヌーンティーが好きな人が多いよね
その違いもここにある
そのため、女性客がメインのハンドメイド販売は、作品以外のポイントで減点されないように気を配る必要があります。
- 素人くさすぎない写真や文章
- 丁寧なコミュニケーション
- 迅速なレスポンス
- 丁寧な梱包
- ちょうど良いレベルの包装
といった点でお客さんに良い印象を与えるようにしましょう。
「ハリボテの裏側が見えないようにする」ってイメージを持つと良いと思います。
手間をかけすぎない範囲でやっていきたいね!
コツ6. 利他の心を刺激する
とある実験で、とっても面白い男女の違いが垣間見えました。
被験者の男女にそれぞれ、魅力的な異性の写真を見せた後に、理想のデートプランを書いてもらいました。つまり、ロマンチックな気持ちになってもらったわけです。
その後に、5,000ドル(当時で約50万円)と60時間を与えたと仮定して、その使い道を尋ねました。
すると、男女でこんな違いが。
- 男性 → 高価な買い物をした。身につけるアイテムが多く、他人の目に映らないアイテムは無視した
- 女性 → ボランティアにやたらと時間を使った。しかし、誰の目にも見えない1人でする作業は避けた
男女それぞれで、異性を惹きつけるための戦略に違いがあることがわかります。
男性は、上述の通り。高価なアイテムによって、自分を強く大きく見せる傾向が再確認できます。鳥類のオスが、美しい羽を広げたり、あるいは体を目一杯大きく見せるのと同じです。
女性の結果は、とても興味深い。他人に対して献身的な姿を見せることが、女性にとっての繁殖戦略であるというのです(女性の皆さん、心当たりあります?)。
思い浮かぶのは、居酒屋で料理を取り分けるシーン。男女共にありますが、「各々勝手に取ろうね」と言ってるのに取り分けてくれちゃうのは、女性しか見たことがありません(ちなみに、1回や2回の話ではないです)。
男性にとっての「贈り物」って、どこか義務的というか、「TPO的に問題なければOK」みたいなところがあります。体面の方に気が向いているというか。
「出世のための献上品」「意中の女性のための捧げ物」だけが、本気のプレゼントのような気もします。あ、一般的なイメージですよ? 汗
自分で言うと、何だか悲しい気持ちになるな…
一方で女性のプレゼントは、本当に相手に喜んでもらいたい感じが伝わります。相手が恋人であれ、友達であれ、自分の親や義理の親であれ、いつも真剣さを感じます。
利他心は、人間にとって普遍の心理。本来的には、男女問わず備わっているものですが、女性の方がシーンを選ばずに利他心が発動するのかもしれませんね。
素直に、プレゼント用途で作品を企画するのも良いでしょう。
そのままプレゼントではなくても、何かにかこつけて、
- 「旦那さんや彼氏にも喜ばれます!」
- 「お子様も大喜びです!」
と身近な誰かが喜ぶとアピールするのも、ナイスな作戦だと思います。
もちろん、こじつけて口で言うだけじゃダメよ
本当に、お客さんの身近な人が喜んでくれる商品ね!
コツ7. 愛するよりも愛されたい
昔流行ったKinKi Kidsさんの曲に、『愛されるよりも愛したい』があります。この考え方は、どちらかというと男性的。
人間だけでなく、動物全般において、「オスがメスを巡って争い、メスは自分のところに来たオスから選ぶ」という出会いが一般的。と冒頭で触れました。
少し角度を変えて言えばと、女性は「オスから求愛される必要」があるんですね。
個人的なキモい偏見を披露してるんじゃなくて、生物学的そうなのよ
ダーウィンもそう言ってる
プリンセスの物語も、自分で男を見つけに行くストーリーは思い出せません。逆に、いい感じの王子様が、向こうから来てくれるストーリーは、いくつも思い出せます。
女性にとっては、「愛するよりも愛されたい」なんですね。
その証左なのか、女性向け商品ではしばしば、「愛され〇〇」というワードを目にします。「愛されメイク」とか「愛されボディ」とか聞いたことがあるような…?
この「愛され〇〇」ってフレーズ、男性には全く響かないんだよね
え!そうなの!?
「身につけることで、漠然と周囲の人から好意を持ってもらえる」は、女性的には、なかなか有効と見えます(筆者は男性ゆえに、確信を持って言いづらいのですが)。
女子が求める「カワイイ」の正体って、こういうことなんじゃないですかね?
若い女性アイドルの曲も、「カワイイ!」って言って欲しくてしょうがない。「もっとぉ〜」みたいな。「どんだけやねんw」って思いますが、これがリアルな心境なのかもしれません。
コツと言いつつ、具体的にハンドメイド作品でどう活かせるか、執筆時点ではあまりイメージが湧いていません(←おい!)
みんなが好きなもの(例:猫耳)を身につけることで、その好意が自分にもインストールされて、自分もみんなから好きになってもらえる。というロジックだと思います。
心理学の「連合」によく当てはまります。
車の横に、ダンディな俳優を立たせると、車の方にもダンディなイメージが乗り移ります。これが連合です(だから、CMが欲しい芸能人にとって、好感度が命なのです)。
ただ、安易にこの理屈でいくと、「みんなが好きなもの」を求めにいく「美人投票」的な作品になるので、クソつまらなくなる恐れも内在しています。
「これも1つの攻め方」くらいに捉えてもらえればと
原則、男性に作品の意見を聞かない

ハンドメイドはお客さんだけでなく、作家さんも女性がメインです。一番身近な人が、旦那さんや彼氏であることが多いと思います。
ついつい、「この作品どう思う?」「いくらで売れそう?」なんて意見をパートナーに求めがちですが、コレ、男性には聞かない方が良いです。
例えば「いくらだと思う?」と聞いても、「(100円ショップと大して変わらないけど、気を遣って)1,000円!」とか平気で言ってきます。
男性はハンドメイド作品に興味がないので、お客さんじゃありません。お客さんじゃない人の意見なんて、全く参考になりません。
一生懸命作った作品が1,000円って…
方向性が定まらないばかりか、ダメージを負ったり、間違ったアドバイスすらされかねないから注意!
ちなみに男性よりはずっとマシですが、女性の意見ならOKということでもありません。
実際にその作品を買ってくれているお客さん、またはお客さん候補の人の意見だけが、汲み取るに値する意見だと心得ておきましょう。
ハンドメイドで男性を狙うのはアリか?

ここまでハンドメイドは女性の世界で、男性不可侵の領域のように話してきました。
じゃあ、男性向けのハンドメイド作品はありえないかというと、必ずしもそうではありません。売れる作品はグッと絞られますが、不可能ではありません。
男性向けのハンドメイド作品は需要が少ない分、ライバルも少ないです。ターゲットを絞る意味で、男性にアプローチする戦略もあり得るでしょう。
大多数の男性が求めるもの
その商品を買った後に訪れる理想の未来のことを、マーケティング用語で「ベネフィット」と呼びます。
女性向け作品の多くは、「身につけたり飾ったりすることで、(雰囲気的な意味で)理想の自分になれる」というベネフィットを持っています。ベクトルは自分に向いています。
一方で男性が求めるベネフィットは、「他人から見た自分を大きく見せること」です。自身の能力や魅力を増大してくれる武器を求めています。ベクトルは外を向いています。
カンタンに言うと、
- 「あの人、仕事できる!」
- 「あの人、お金持ち!」
- 「あの人、かっこいい!」
と思われたいのです。要するにモテたいわけです。
言ってて悲しくなるけど、これが男の深層心理なんだよ
このような背景から、実は女性よりも男性の方が、ハイブランド志向が強いです。
- ハイグレードなモノを持っている
- →経済力がある
- →仕事ができる
- →モテる
という連想ゲームが成立するからです。
主に個人で活動するハンドメイドには、そこまで強いブランドは付加されていません。そのため、大多数の男性は、ハンドメイドからターゲットからは外れてしまいます。
やっぱシンドいな、男性向けは
男性向けハンドメイド作品の攻め所は2つある
というわけで、男性向けのハンドメイド作品は、かなり部が悪いんですね。
ステータスになるかが重要なので、世間で「一流ブランド」と認識されているか否かでジャッジされてしまいます。結局、「ブランド」で見られてしまうのです。
しかし、攻め所はちゃんとあります。
- 自分のスタイルを持っている男性をターゲットにする
- 見た目とは違うベネフィットを追う
のどちらかになってきます。
自分のスタイルを持っている男性をターゲットにする
大多数の量産型の男は、自分のスタイルなど持っていません。右にならえで、ヴィトンの財布とモンクレールのダウンを欲しがります。
こういうスタイル不在の男性を、ハンドメイドのターゲットにしてはいけません。
自分のスタイルを持っている人は、
- 信条や哲学
- 大好きな趣味(というより生きがい)
- 傾倒している音楽
のような、自分の「軸」を持っています。
軸に従って、あくまで「品質」で品定めします。「ネームバリュー」のような、他人の評価でモノを選びません。
相手にすべきは、こういう男性です。彼らの追い求めるスタイルを目掛けて、針の穴を刺すようにニッチ化したデザインで勝負しましょう。
そのためには、作家であるあなた自身も、その世界の住人である必要があります。あなた自身が大好きなスタイルの作品を作り、同志の男性客に売るということです。
見た目とは違うベネフィットを追う
多くのハンドメイド作品(女性向けも男性向けも)は、「身につけることで、自分らしいスタイルを体現できる」というベネフィットを追っています。
要するに、見た目のデザインによって、ベネフィットを追求しているわけです。
しかし、何も見た目だけで勝負しなければならない縛りはありません。
- 肩が凝らないショルダーバッグ
- 取引先と仲良くなれる名刺入れ
- 出世できるお歳暮・お中元
といった具合に、使った結果が、数字や具体的な改善となって現れるようなベネフィットでも良いわけです。
見た目やデザインのような「感覚的なベネフィット」ではなく、機能性や素材のような「実質的なベネフィット」を持たせることに、主眼を置くということですね。
むしろ、ハンドメイドやアパレルの方が特殊なのです。一般的な商品は、見た目ではなく、使い勝手のベネフィットで選んでいる方がずっと多いでしょう。
ただ、ハンドメイドの強みが出しづらいので、工業製品と比較されやすくなってしまう欠点があります。よりニッチ化を意識しなければ、成功はありません。
やっぱり男性向けの方が難しい印象だね
男心のくすぐり方がわかってないと難しいね
男性作家が、男性向けに超ニッチな作品を作るのは、何気に勝算あると思うけどね
まとめ
今回は、ハンドメイドのお客さんは女性が9割っていう、誰でも知っていることを解説してみたよ
わかってはいたけど、その裏には深い理由があったんだね!
理由がわかると、攻め方も見えてくる
意外と重要な気づきになったんじゃないかな?
この記事のまとめです。
ハンドメイドのお客さんの9割が女性の理由
- 男性の買い物は、自身の魅力や能力を引き上げる武器。スペックとコスパが命なので、ハンドメイド作品には興味がない
- 女性の買い物は、理想の世界観をもたらすもの。雰囲気が何より大事なので、ハンドメイド作品がハマる
女性客の心を掴むコツ
- ターゲットを絞って強気の値段で売る
- オリジナリティーあふれるデザインで魅了する
- 第一印象のトキメキで購入が決まる。特に作品画像のウェイトが重い
- 数字よりも雰囲気。比喩やオノマトペでイメージを伝える
- 作品以外で減点されないように、梱包やコミュニケーションに気を配る
- 身近な人が喜ぶ作品にして、利他の心を刺激する
- みんなが好きな要素を作品に投入して、身につけたお客さんも好かれる
男性も女性も、自分の考え方が当たり前だと思っているので、ついつい異性の考え方を理解できないものとして批判しがちです。
しかし男女では、そもそもの思考回路が異なっています。この事実をメタ的に理解していると、世界の見え方がまるで変わってきます。
男女はもちろん平等ですが、男女の違いを認めずに、同じように扱うのはスマートな考え方ではありません。
むしろ男女は明確に違う生き物と認めて、それぞれにあった販売戦略を立てる方が理にかなっていると思いませんか?
今回の記事の内容は意外と知られていませんが、かなり重要なエッセンスです。長くビジネスをやっていく上で、知っているといないでは大きく差が出るでしょう。

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