現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
「あなたのブランドコンセプトを教えてください」
なんて聞かれたら、ドキッとしちゃいますよね。何となく作り始めて、ブランドコンセプトがすっぽり抜け落ちたままの作家さんが多いのではないでしょうか?
でもですね、ビジネスにおいてブランドコンセプトは、絶対に決めておかなきゃいけないんです。しかも短く、簡潔に伝えられなければならないんですね。
例えば、ラベルのない缶ビールを買うかな?
見たこともない聞いたこともないブランドロゴがついた家電は?
絶対、買わないな
もしあなたがブランドコンセプトを聞かれて言葉に詰まるようなら、お客さんはきっと、あなたの作品の前を素通りしています。
ときに「ブランドコンセプト」とは、抽象的で掴みどころのないイメージですよね。「言語化が苦手なわたしでもできるかな?」と不安に思うかもしれませんが、全く問題ありません。
この記事では、まず「ブランドコンセプトとは、そもそも何なのか?」という概念レベルの疑問を、事例を交えて解説します。そして、ブランドコンセプトを作る具体的なステップに落とし込んでいます。
この記事を読み終えた時点で、少なくともブランドコンセプトに対する疑問はなくなるでしょう。もう別のネット記事や本で調べ直す必要はありません。
あとは自分と向き合って、言葉をパズルのように当てはめていけば、明快なブランドコンセプトが作れます。
バチっとしたブランドコンセプトができれば、自信を持って作品を作れますし、実際によく売れます。ぜひ時間を作ってトライしてみてください!
冒頭で少し怖いことも言ったけど、大丈夫
ライバル作家もほとんど出来てないから、むしろチャンス!
ブランドコンセプトとは?
まずは、「ブランドコンセプトとは何ぞや?」という概念の話からスタートすることにしましょう。
まずはフワッとした輪郭をシャープな線に変えて、全体像を確認してもらいたいと思います。
コンセプト=ポジショニング
マーケティングでは、「ポジショニング」という言葉がよく使われますが、これはブランドコンセプトとほぼ同じ意味で使われています。
ポジショニングとは、要するに「ポジション取り」です(言葉遊びっぽく聞こえますが…)。
あなたが中学校2年生だとしましょう。
もしクラスで目立とうと思ったときに、どのポジションを取りに行くでしょうか?
- あなたより足が速い子がいれば、「足が速い」というポジションは取れません
- あなたより頭が良い子がいれば、「頭が良い」というポジションも取れません
- あなたより美人な子がいれば、「美人」というポジションも取れません
そこで、「文学少女」や「髪が長い」や「不思議ちゃん」といった具合に、ニッチなポジションを見つけに行くことになります。
こう想像してみてください。
あなたが「革小物の作家」だったとします。そして、クラスメイト30人全員が革小物作家です。このクラスの中で、どうやって目立てば良いか?と。
まだ誰も陣取っていないポジションを取りに行く、あるいは自分でも勝てるポジションを取りに行く。
これが、「ポジショニング」です。
ニュアンスとしては、「他に3人ライバルがいて、この4人のレースなら私が一等賞とれそう」というポジションだと弱いですね。
そうではなく、「このレースには、私しか参加者がいない」というポジジョンが良いです。土俵に立った時点で、あなたの不戦勝が確定するイメージです。
できれば生まれ持った才能に依らず、努力を必要としないポジションが良いよね
ふむふむ、これがポジショニングか
ビジネスにおけるポジショニング
ビジネスでも同じことが言えます。ただしポジションを取りに行く範囲は、中学校のクラスではなく、市場になります。
「市場」という言葉がピンと来なければ、先ほどと同じように「クラスメイト30人全員が同じジャンルの作家のクラス」と考えてもらえればOKです。
中学校のクラスで目立つだけなら、
- 「自分でもできる」
- 「他の人がやっていない」
の2つが交わるポジションを取ればOKでした。奇抜なことをすればポジションを取れます。
しかしビジネスの場合、お客さんに選んでもらわなければなりません。
- 「自分でもできる」
- 「他の人がやっていない」
- 「需要がある」
の3つが交わるポジションを取りに行くわけです。
ちなみにこの3点が交わるポジションを、「UVP(Unique Value Proposition)」または「USP(Unique Selling Proposition)」と呼びます。
用語を覚える必要は全くない。けど意味するところは知っておいて欲しい
ブランドコンセプト=誰に何を届けるか?
「ブランドコンセプト=ポジショニング」という考え方は本質を突いています。
しかし、横文字が並んで逆に混乱してしまう人もいるかもしれませんね。
もっとシンプルな言葉に直してみましょう。
ズバリ、ブランドコンセプトとは、「誰に、何を届けるか」です。
ちなみに「あらゆる人に、あらゆる物を届ける」というコンセプトももちろん存在します。
しかしそれは、Amazonや楽天を目指すという意味になります。雲の上の頂きを目指す険しい道になるでしょう。
そのため基本的には、「誰」の部分をグッと絞ります。
要するに「ターゲット」を絞るわけですね。
事例:object.io
「object.io」は、iPhoneやApple Watch向けの革製品を扱ったブランドです。スマホケースやカバンなどを販売しています。
キャッチコピーは、「イノベーターの日々を、軽やかに、美しく」です。イノベーターに、軽やかで美しい日々を届けています。
文字通りターゲットは「イノベーター」。イノベーターとは、最新テクノロジーをいち早くキャッチする先進的な人を指します。
事例:Peak Design
「Peak Design」の創業者は、アウトドア時の撮影の不便さを解消するためにプロダクトを開発しました。
Peak Designのバックパックは、カメラが収まりやすく、撮影チャンスでサッと取り出しやすい構造になっています。
ターゲットは、アウトドアフォトグラファー。彼らに、快適なカメラライフを届けています。
ターゲットを絞ることで、対象外のお客さんには見向きもされない代わりに、限られたお客さんからは熱烈な支持を受けます。
的を絞ることで、誰もが望む最大公約数的な商品ではなく、限られたお客さんの痒いところに手が届く商品になるからですね。
カメラ好きは、汎用的に使えるノースフェイスやポーターよりも、Peak Designのブランドコンセプトに強く共感します。そのコンセプトに裏打ちされた商品は、実際にカメラ好きのニッチなニーズに的確に捉えています。
ブランドコンセプトと商品コンセプトとの違い
「ブランドコンセプト」は上位の概念で、1ブランドにつき、1つだけです。
「商品コンセプト」は、その下にぶら下がる下位概念です。ブランドコンセプトに則る形で、各商品コンセプトが設定されます。
サイゼリアのブランドコンセプトが、「大衆のための、安くて美味しい本格イタリアン」だったとしましょう。
各メニューに当たるピザやパスタやドリアには、それぞれのこだわり(=商品コンセプト)があると思います。
しかしブランドコンセプトと矛盾してはいけません。だから高い値段をつけてもいけないし、中華や和食を提供してもいけないのです。
というわけで、「商品コンセプト」うんぬん以前に、「ブランドコンセプト」ができていないと話にならないのです。
これはとっても重要な話です。みんな商品のこと頭がいっぱいで、ブランドコンセプトという軸をおろそかにしてしまうんですね。だからブレて、迷子になるんです。
何か軸がないと、とっ散らかっちゃうもんなぁ
ちょっと余談。ハンドメイド作家の場合はほとんどありませんが、Netflixのようなサブスク系のネットサービスだと、商品が1種類しかないケースがちょこちょこあります。
商品が1種類しかない場合は、「ブランド=商品」なので、「ブランドコンセプト=商品コンセプト」でも差し支えありません。両者を分ける意味があまりないので。
ブランドコンセプトがないとどうなる?
じゃあ、ブランドコンセプトがないとどうなってしまうのか?
一言で言えば、「商品ラインナップに一貫性がなくなる」ということなんですが、それはどんな弊害につながるのかを見ていきましょう。
ブランドコンセプト不在の弊害
- 何屋さんかわからなくなる
- 作品作りに迷いが生じる
- 望まないお客さんが紛れ込む
もしあなたが「ブランドコンセプトは何?」と聞かれて、明確に答えられなかったとしたら、同じ状況に陥っているかも?
何屋さんかわからなくなる
ブランドコンセプトがハッキリしないままだと、お客さんは「あなたが何屋さんなのか?」がわからなくなってしまいます。
この「何屋さん」は、お客さんがあなたにつけるレッテルです。レッテルがハッキリしていないと、お客さんは、どんなときにあなたを頼れば良いのかわかりません。
冷静に考えて、何屋さんかわからないお店に入らないでしょ?
野菜が欲しいから「八百屋さん」、靴が欲しいから「靴屋さん」だもんな
あなたがテニス用品を買いに行くとしましょう。
このとき、百貨店やスーパーには行かないないと思います。きっとテニス専門店やスポーツ用品店を探すはずです。
もしかしたら、百貨店やスーパーにもテニス用品は売っているかもしれません。しかしお客さんにとって、百貨店もスーパーも、「テニスの店」ではないのです。
ラーメン好きからすると、ラーメン専門店以外でラーメンは食べたくありません。居酒屋や焼肉屋はもちろん、中華料理屋ですらラーメンは頼みません。
またラーメン専門店でも、「醤油・みそ・塩・豚骨・豚骨魚介」と、何でも揃えている店は敬遠します。
それよりも、「うちは札幌みそラーメンの専門店!」「うちは海老の濃厚つけ麺!」と言ってくれる店に行きたいのです。その方が、美味しいラーメンに当たる確率はグンと高くなります。
もしあなたの作品ラインナップが、一貫したブランドコンセプトに沿って作られていないとしたらどうなるでしょう?
お客さんは、あなたにつけるべきレッテルが見つかりません。どんなシーンであなたを頼れば良いかがわからないということです。
これはホントに致命的。
肩書きのない名前だけの名刺をもらっても、何をお願いできるのかわかんないもんな
逆に突き抜けて、「訳わからない物で溢れた闇鍋のようなお店」というレッテルなら、珍品との出会いを求めるお客さんが来るかもしれません。積極的にオススメはしませんが、それはそれでアリでしょう。
しかし中途半端に一貫性がないラインナップは、誰にも喜ばれません。というより、喜ばれる以前に素通りされます。
ブランドコンセプトがハッキリしていれば、お客さんは、「この売り手は、何をもたらしてくれる人なのか」を明確に理解します。こうなって初めて、あなたから買うことができるのです。
ここ、何気にすっごく大事な話をしているよ
よくよく噛み締めて欲しい!
作品作りに迷いが生じる
ブランドコンセプトがなければ、あなたは完全に自由に作品を作れます。
しかし、何をやっても良いというのは、実に難しい話。永遠に作品の方向性に悩み続けることになるでしょう。
ブランドコンセプトは、あなたに、やらなくて良い範囲を教えてくれます。これは決してネガティブな話ではありません。
先ほどサイゼリアの例であれば、商品開発チームは、高いメニューも中華や和食のメニューも考える必要はありません。
そのおかげで、安くて美味しいイタリアンに集中できるのです。
またラインナップが一貫していないと、買ってくれたお客さんがリピートしづらいという問題も出てきます。
「最初に買った作品は良かったけど、他の作品は全然そそられない」となってしまうからです。
ちなみに「作品作りに迷う」と言いましたが、実際には、
- SNSの発信内容
- プロフィール文
- 作品説明文
- ロゴやバナーのデザイン
など、一挙手一投足のすべてに迷いが出ます。
軸がないから、何したらいいのか分からない…
あるあるだけど、苦しい状態だよね
望まないお客さんが紛れ込む
雑多なお店には、いろんなタイプのお客さんが来ます。Amazonや楽天を想像してみてください。
数を売るビジネスモデルならそれも良いのですが、ハンドメイド作家は供給できる作品数に限りがあります。限界点に達してしまうと、それ以上は物理的に売れません。
限られた数の作品が、望まないお客さんに渡ってしまったときの損失に目を向けましょう。
想定外のクレーム
本来なら来ないはずのクレームが想定されます。
例えば刺繍作家の作品を、刺繍の理解がないお客さんが買っていくかもしれません。「洗濯したらしたらほつれた!」と言われても困ってしまいます。
イマイチなレビュー
レビューの評判がマチマチになります。本来のお客さんならオール星5だったところが、星4や星3が紛れ込んでくることになるでしょう。
望ましいお客さんなら、最高の満足度だったはずなのに。望まないお客さんを相手にすることで、評判を落としてしまうのです。
リピートされない
望ましいお客さんは、満足度が高いのでリピート購入してくれる可能性が高いです。逆に望まないお客さんは、満足度が低いのでリピートしてくれません。
本来ならリピートしてくれる人に売りたかったのに、そうでない人に売ってしまう機会損失も考慮すべきでしょう。
明快なブランドコンセプトは、まるで磁石のように働きます。
本来売りたいお客さんをグイッと引きつけるだけでなく、招かざる客を弾いてくれるのです。
リソースが限られている小規模なビジネスほど、お客さんは選ぶべき!
良いお客さんだけを相手にしないと、疲弊しちゃうよ!
ブランドコンセプト作りの5ステップ
それでは、実際にあなただけのブランドコンセプトを作っていきましょう。
次のステップを踏めば、最後には明快なブランドコンセプトが出来上がります。
ブランドコンセプトを作るステップ
- 自分のこだわりを再確認する
- お客さんに言われたい形容詞を決める
- ターゲットを特定する
- ターゲットに提供するベネフィットを決める
- 簡潔なフレーズに落とし込む
なお、特別なスキルは一切必要ありませんが、じっくり考える時間が必要です。
まず1人で誰の邪魔も入らない場所を確保してください。もちろん自宅でもOKですが、テレビは消して、スマホのような誘惑は片付けましょう。
細切れの時間だと集中できないので、まとまった時間をとって取り組もう!
ステップ①:自分のこだわりを再確認する
まず最初にやらなければならないのは、あなたがクリエーターとして、「どんなこだわりを持って、作品を作っていきたいか?」という気持ちを再確認することです。
あなたの心の奥あるこだわりを見つけるためには、作家活動の原点まで遡る必要があるでしょう。
- なぜハンドメイド作家を志したのか?
- これまでにどんなアーティストや作品に影響を受けたか?
- あなたが大好きなものは何か?
- あなたはどんな作品を作りたいのか?
自分の正直な気持ちを吐き出して、ひたすら紙に書いていってください(もちろん紙じゃなくて、スマホやパソコンでもOK)。
このステップは、あなたが過去の自分自身と向き合う作業
まだお客さんのことは気にしなくてOK!
いわゆる自己分析からスタートするのか!
ステップ②:お客さんに言われたい形容詞を決める
次に、あなた自身やあなたの作品が、お客さんからどんな形容詞で呼ばれたいかを考えてみてください。
ここでポイントは、「すごい」「かわいい」「キレイ」のような、漠然とした形容詞を選ばないことです。
例えば、このサイトの場合は、
- 論理的
- 専門的
- 具体的
- 再現性が高い
- わかりやすい
と、読者に評価してもらいたいと思って執筆しています(実際にそう呼んでくれているかはさておき)。
あなたはどうでしょうか?
「色彩が鮮やか」とか「生活に溶け込むような」とか「エレガントな」とか。呼ばれたい形容詞は、作家さんによって様々だと思います。
自分が呼ばれたい形容詞は、「あなたが大事にする価値観」であると同時に、ライバルとあなたを隔てる「差別化ポイント」でもあります。
これ!っと思う形容詞を3〜5つ決めて、また紙に書いていこう!
ステップ③:ターゲットを特定する
これまでのステップは、あなたが自分自身に向き合う作業でした。ここからのステップは、市場、つまりお客さんに向き合うステップです。
あなたがどんなお客さんを相手にするのか、ターゲットを決めましょう。
コツは、ターゲットを絞ることです。絞れば絞るほど、ラクに売れるようになります。
これは、「100m走」と「クレー射撃」で、どちらで金メダルを取りやすいか?という話に似ています。
もちろんクレー射撃で世界一を取るのも難しいですが、全世界のほぼ全ての人間が参加できる100m走で世界の頂点に立つ方がはるかに困難です。
ターゲットが広いビジネスほど、
- 生まれ持っての才能
- 果てしない努力
を要求されるでしょう。
逆にターゲットを狭くするほど、競争相手が減っていくので、少し秀でているだけでも買ってもらえます。
エベレストの遠い頂きを目指すよりも、天保山みたいなちっちゃいお山のテッペンを取る方がずっとラクでしょ?
ターゲットを絞るって、自分でも勝てそうな場所で戦うってことなんだね!
ここで1つアドバイスがあります。
「どんな人に買って欲しいか?」を考えるには、逆に「どんな人に買って欲しくないか?」から考え始めると上手くいきます。
「何がしたいの?」という質問に悩むことは往々にしてありますが、「何がやりたくないの?」という質問にはいくらでも答えが浮かぶものです。
- 安さを第一に求める人には買って欲しくない
- 買っては捨てるを繰り返す、モノを大事にしない人には買って欲しくない
- こだわりを持たない人には買って欲しくない
などなど、色々あると思います。
望まざるお客さんの人相を裏っ返せば、それがあなたが本当に売りたいお客さんということになりますね。
買って欲しくない人のイメージは、10や20は出せるはず
ちょっとでも該当したらドンドン書き出していこう!
ステップ④:ターゲットに提供するベネフィットを決める
次に、ターゲットとなるお客さんに、どんな「ベネフィット」を提供するかを考えましょう。
ベネフィットとは、あなたの作品を使うことで手に入る理想の未来です。あなたはお客さんに、どんな理想の未来を届けるのでしょうか。それを考えましょう。
「お客さんに〇〇を与える」ではなく、「お客さんを〇〇の状態にする」を意識してください。このニュアンスがとっても大切です。
このブログが提供しているのは、「ハンドメイドで売れるノウハウ」です。しかしそれは、ただ与えるものを説明しているに過ぎません。
このブログの読者は、別にノウハウが欲しいのではありません。ハンドメイド作家として売れたいのです。ノウハウはその手段に過ぎません。
だから、「売れるノウハウを提供する」はベネフィットにはなり得ません。「売れる作家になる」という理想の状態へ連れていくことがベネフィットです。
この微妙なニュアンスわかるかな?
予備校だったら、「優秀な講師陣」ではなく、「志望校に合格させる」がベネフィットだよ
うん。なんとなくわかった気がする!
ここでも1つアドバイス。
もしベネフィットが思い浮かばなかったら、ライバル作品や既製品であなたが気に入らないポイントを列挙してみてください。
きっとあなたの客さんも同じように感じているはずです。または無意識のうちに、諦めているポイントかもしれません。
それがお客さんの悩みです。その悩みを解決してあげることが、あなたがお客さんに提供するベネフィットになります。
ボクが初めてお寿司屋さんに行ったのは、小学校低学年だったと思います。当時のお寿司屋さんは、1人で食べられる年齢じゃないと連れていけないお店でした。
ボクの両親はお寿司を食べたい日もあったかもしれませんが、幼児のボクを連れてはいけなかったのでしょう。
このとき、ボクの両親は「子供が小さいうちは、お店でお寿司を食べられない」という悩みを持っていました。
「小さい子供がいても、家族でお寿司を楽しめる」が理想の未来です。今日の「はま寿司」や「スシロー」のような、ファミリー回転寿司が提供するベネフィットです。
ステップ⑤:簡潔なフレーズに落とし込む
いよいよ最後のステップです。
ブランドコンセプトを短いフレーズに落とし込みましょう。
次のテンプレートに沿って、言葉を当てはめていってください。
ブランドステートメントのテンプレート
- わたしは、「《肩書き》」です。
- お客さんである「《ターゲット》」は、
- 「《悩みや欲求》」という悩み/欲求/夢を持っています。
- 彼ら彼女らに、「《ベネフィット》」を実現/約束します。
たった4行だけですが、ここにブランドコンセプトに必要なすべてが詰まっています。具体的かつ簡潔なほど、優れたコンセプトになります。
ちなみにこのブログの場合は、次のようなフレーズになります。
- わたしは「ハンドメイドマーケター」です。
- お客さんである「制作スキルはあるけど、売れずに悩んでいるハンドメイド作家」は、
- 「専業作家として独立したい」という夢を持っています。
- 彼ら彼女らに「専業で食べていける売上を作れること」を約束します。
もしあなたが和テイストの小物を販売している作家だとしたら、次のようなフレーズが考えられるでしょう(サッと考えたので、ワードセンスはイマイチですが)。
- わたしは、「和モダンなアクセサリー作家」です。
- お客さんである「粋な和装と現代ファッションの両方が好きな女子」は、
- 「伝統的な和装は大人しすぎて、友達と並ぶと浮く」という悩みを持っています。
- 彼女らに「原宿デートできる和装」を実現します。
ここで、大事なベネフィットについておさらいしておきましょう。
この場合、実際に提供するのは、ビビッドカラーのカンザシや帯留かもしれません。
しかしお客さんがホントに欲しいのは、「伝統的な和装としてではなく、現代ファッションとして和装を楽しむ自分の姿」ではないでしょうか。これがベネフィットです。
最終的には、この4行を作るだけ!
これがブランドコンセプトそのものになる!
おお!これならできそうだ!
まとめ
みんな悩んでいる割に重要な、「ブランドコンセプト」の作り方を解説してみたよ!
頭抱えてるよ〜
でも3行の文章を書けばいいって思うと、できそうな気がする!
むしろ簡潔なほど優れているのがブランドコンセプトだからね!
この記事をまとめます。
ブランドコンセプトとは?
- 「誰に、何を届けるか?」がブランドコンセプト
- 「誰に」に当たるターゲットを絞るほど、優れたブランドコンセプトになる
ブランドコンセプトがないとどうなる?
- お客さんから見て、あなたが「何屋さん」かがわからなず、頼るべきシーンがわからなくなる
- 作品作りの方向性が定まらないので、毎回何を作れば良いか迷ってしまう
- 本来は相手にすべきでないお客さんが来てしまい、機会損失を被る
ブランドコンセプト作りのステップ
- 自分のこだわりを再確認する
- お客さんに言われたい形容詞を決める
- ターゲットを特定する
- ターゲットに提供するベネフィットを決める
- 簡潔なフレーズに落とし込む
ブランドコンセプトを作るのに、特別なスキルは必要ありません。あなたも今すぐ取り組めます。
ブランドコンセプトをキッチリ固めておくと、後がすっごく楽になります。
- 作品制作
- 世界観の演出
- SNSの発信内容
などを、すべてブランドコンセプトに当てはめて作っていけるからです。
例えば、ブランドロゴを作りたいと思って、デザイナーに依頼するとしましょう。ブランドコンセプトが固まっていないと、向こうも困ってしまうんですね。
しかし本記事のステップを実践していれば、明確なブランドコンセプトが出来上がっています。検討過程では、コンセプトのコアになる副産物も出来上がっていますね。
これらをデザイナーさんに渡せば、適切なロゴ、ブランドカラー、フォントを選定してくれます。スムーズにブランドロゴが出来上がるでしょう。
ブランドコンセプト不在とは、言ってみれば、「天竺(てんじく/ガンダーラ)へ行くという目標がない最遊記一行」みたいな状態です。
何も決まっていないまま、「さぁ、旅に出てください!」と言われたらどうなるでしょうか?
出発地点からほとんど離れていない場所で、グルグル彷徨うことになるでしょう。というより、何をしたら良いか分からず、身動きが取れなくなってしまうと思います。
ブランドコンセプトを作れば、あなたのビジネスはどんどん良い方向へ回り始めます。しかも全方位的に。あなたも早々に実感できるはずです。
コンセプトができたらブランディングしよう!
作ったばかりのブランドコンセプトは、まだあなたの心の中にしかありません。外にいるお客さんに伝えなければ、立派なブランドコンセプトも宝の持ち腐れ。
あなたのブランドを外の人に知ってもらうための活動を、「ブランディング」と呼びます。
そう。あなたが次にやらなければならないのはブランディングだよ!
ラジャー!
ときに「ブランディング」と聞くと、テレビCMのような大掛かりな施策を思い浮かべるかもしれませんね。確かに大企業はそうやってブランディングしています。
大企業の場合は、大量のお客さんをゲットしなきゃいけないので、相応の露出をお金で買っているわけです。そもそも広告とは、露出をお金で買う行為ですから。
しかし個人で活動するハンドメイド作家は、そこまでたくさんのお客さんを集める必要はありません。広告費をかけるようなブランディングは必要ありません。
では、ハンドメイド作家はどうやってブランディングすれば良いのか?
あなたが決めたブランドコンセプトを忠実に守り、それに沿って行動し続けるだけでOKです。
販売サイトやSNSなどで、1本筋の通ったあなたの活動を見たお客さんは、そこに一貫したイメージを感じ取ります。これであなたのブランディングは成功です。
ブランディングを解説した記事もあるから、こっちも読んでみてね!
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