
「売れる営業マン」と「売れない営業マン」の最大の違いはなんだろう?
トークスキルが違うのか?
もちろん違いはあるでしょうが、同じような商品を語っていたら、トークだけで天と地ほどの差は出ません。
それでも、成績に天と地ほどの差がつくのは、一体全体どういうわけか?
答えは、「信頼」です。
- 初対面の営業マンによる巧な1時間のプレゼン
- 親友の「これマジ最高。絶対買った方が良い」の一言
どちらが強力でしょうか?
絶対的に、親友のオススメ!
話術やら情報量やらはすっ飛ばして、「あなたがそう言うなら買うわ」と一足飛びに成約してしまう。この違いは歴然。最強のセールスです。
ときに、「信頼」とは、あまりに使い古された表現。陳腐すぎるのか、逆に詳細に語られることが少ない。「信頼とは何か?」と聞かれて、うまく答えられない人が多いでしょう。
本記事では、信頼獲得のルートを「6つのレバー」にまとめました。
全てのレバーを網羅したら、お客さんから全幅の信頼を受けることになります。お客さんの方から「売ってくれ」と懇願されます。
- 販売ページでの「成約率」アップ
- 対面販売での「購入率」アップ
は、間違いないでしょうね。
あ、そうそう。信頼に、大層なテクニックなんか必要ありませんよ。誰でも実践できることしか書いてありません。
信頼は係数

本記事における「信頼」は、ビジネス文脈を前提とします。家族・友人関係・恋愛などでも原則は同様ですが、あくまで、「売る」ための信頼という文脈で展開します。
よく、「信頼があれば売れる」と言われますね。冒頭の語りだしもそう聞こえたかもしれません。しかし、厳密にはそうではない。
信頼とは、「係数」です。
以降は、「信頼係数」と呼ぶことにしましょう。
何かを買うのは、
期待リターン > コスト
と判断したからですよね。
厳密な計算式を立てたつもりはなくても、脳内の深いところでは、こういう計算が無意識のうちに行われているんですね。その結果の「購入」です。
そして、
期待リターン = 提案価値 × 信頼係数(0〜1)
となります。
あなたの言葉や提案が、ガスのような気体であると想像してみてください。そうしたとき、「信頼」とは、お客さんの心につながるトンネルのようなものです。
信頼がないと、あなたの言葉がお客さんに届くまでに、空気中で雲散霧消しまいます。信頼のトンネルがあれば、あなたの言葉は、お客さんの心に純度100%で突き刺さります。
えっと…
例を出しながら話そうか
信頼係数とは?
胡散臭い商材をイメージしてみましょう。
そうですね、ここは「ダイエット器具」を例にしましょうか。
ダイエット器具のプレゼンターは、もちろん言葉巧みです。商品知識も業界知識も豊富。この器具で痩せられる筋が通った理由、他のダイエット器具との優位性など、全てを教えてくれます。
その上で、「3ヶ月で10キロ痩せます!」と宣言したとしましょう。
ただ、このプレゼンターは、知り合いでもない上に、言うまでもなく、ダイエット器具メーカーの回し者です。その言葉を100%間に受けて良いのか疑問が残るでしょう。
こういうとき、脳は自然と情報の信憑性を割り引いて計算するんですね。その割引率が、信頼係数です。
- 提案価値(10キロ痩せることの価値):100
- 信頼係数:0.3(30%)
- 期待リターン:100 × 0.3 = 30
となります。
この「期待リターン:30」に対し、価格が見合っているかという検討になるわけです。
一方で、あなたの高校時代から仲の良い友人が、このダイエット器具を使っていたとします。
「3ヶ月で5キロ痩せた!効果あったよ!」と教えてくれたとしましょう。
- 提案価値(5キロ痩せることの価値):50
- 信頼係数:0.9(90%)
- 期待リターン:50 × 0.9 = 45
となります。
つまり「信頼される」とは、「提案の信憑性を減衰させない」という意味です。
「信頼→売れる」ではなく、「信頼→提案が真に受けられる→売れる」です。
提案が素晴らしい内容でも、信頼係数「0」なら、期待リターンも「0」になります。提案内容が真実だと受け入れられないからです。
電気の「伝導率」と同じ考えよね
提案の伝導率 = 信頼!
「信用」と「信頼」の違い

古来からのビジネス親父は、若者に「信用と信頼の違いを知ってるか?」と鼻息荒く問い詰めるのが好きです。ボクも若い頃に犠牲になりました。
多くの人が、イマイチ切り分けられてないと思いますが、「信頼」と「信用」は全く別概念です。あまり似てもいないです。
同じような感じに聞こえちゃうけどね?
道すがら、両者の違いをハッキリさせておこうか
信用(Credit)
信用は、「能力に対する確信度」です。
信用という言葉が頻出するのは、ローンやクレカの金融文脈。これは、「支払い能力」の確信度を指しています。
- 実績
- 権威
- 専門知識
- 技術
- 成果
- 事例
総じて言えば、
「この人は本当に問題を解決できるか?」
の推定です。
信頼(Trust)
では、能力さえお墨付きがあれば、その人に一任して大丈夫でしょうか?その人の提案を鵜呑みにしてしまって大丈夫でしょうか?
そうではないですね。
能力はあっても、その能力は、売り手の私利私欲のためだけに費やされるかもしれません。
信頼とは、「その能力を、わたしの利益のために使ってくれる確信度」です。
- お客さんに嘘をつかない
- お客さんの最善のために行動してくれている
- 自分の利益とお客さんの利益を天秤にかけて、お客さんの利益を優先できる
と思ってもらえている状態が、信頼です。
信頼に、能力は関係ありません。テクニックの話でもありません。
これは、「人柄」の話です。
信用と信頼はどっちが大事?
結論から言うと、どちらも必要。
こういう言い方はしたくないのですが、脳は深いところで、自分を取り巻く人間関係を、「コイツは、わたしの人生にどれだけ役に立つか?」で測っているところがあります。
役に立つ度(人物評価)= 能力値 × 信頼係数
どちらが低くてもダメと…
ビジネス界隈には、「信頼しても信用するな」という言葉があります。良い奴だと任せたい気持ちになるけど、能力が伴っているかもチェックせえよ、という意味です。
ただ、能力というのは、一定のレベルまで行くとそこまで差が付きません。能力で、5倍10倍の差が出ることはないでしょう。せいぜいが、2〜3倍くらいじゃないですか。
ところがどっこい。信頼は、5倍10倍の差が付くのです。
「信頼があれば売れる」とは、こういう意味ですね。能力はドングリの背比べでも、信頼は天と地ほど差が付く。
信頼獲得の方が、売上に対する貢献度が大きくなりがちなのです。
で、この記事は、「信頼」にフォーカスしてるわけね
信頼係数に関わる3つの理論

では、どうしたら信頼係数を引き上げられるのか?
ヒントになる理論を、
- 心理学:内集団と外集団
- 生物学:ダンバー数
- 脳科学:オキシトシン
からそれぞれ紹介しましょう。
この3つは概念こそ別ですが、本質的にはかなり近いもの。具体的な方法論は後で語りますが、いずれも上記の3理論に引っかかっています。
内集団と外集団
- 内集団:自分が所属している集団
- 外集団:その他全員
という意味です。
「顔見知りで、同じ生活圏内にいて、無碍にできない間柄」が内集団と思ってもらえば良いでしょう。
内集団に属する仲間が困っていたら、手を差し伸べると思います。電車内で鉢合わせて、座席が1つしか空いていなかったら、譲り合うでしょうね。
これが外集団の知らない誰かだったら、平気で知らんぷりをする。
無意識のうちに、「味方」と「それ以外(場合によっては敵)」を区別してるんだね
脳内はどう捉えているかというと、内集団に属する人は、多かれ少なかれ協力し合って生きている間柄。持ちつ持たれつ、ギブアンドテイクの関係であると認識しています。
利害を共にする間柄なので、「コイツが裏切ることはないだろう」という計算ができましょう。仲間は運命共同体だからこそ、その言葉は信頼に値するのです。
ただ、この「内集団 / 外集団」の線引きは、文脈によって変わってきます。
普段スポーツを見ない人でも、オリンピックやW杯になると、突然日本代表を応援する現象。国別対抗戦の文脈を与えられて、同じ日本人選手が内集団に昇格したからです。
この線引きの妙によって、お客さんに「この人は内集団の仲間」と認識されれば、信頼係数がアップするわけです。
そんなことできるの?
できるよ。方法は後ほど
ダンバー数
「ダンバー数」とは、人間が安定的な社会関係を維持できる集団人数の限界値のこと。
イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、霊長類の「脳の大きさ」と「社会集団の大きさ」の相関を調べ、人間の無理ない集団サイズは、「150人」と見積もりました。
「ダンバー」は、人の名前か
つまり、先ほど解説した「内集団」とは、本来的には150人程度ということですね。実際、軍隊の編成や、会社の本部単位も、概ねこれくらいの数字です。
言い換えれば、信頼できる人は、人間関係のトップ150人くらいということ。
ちなみに、ダンバーさんは「150人以内」「それ以外」でバチっと切ったわけではなく、グラデーションで語っています。
| 5人 | 最も親しい友人やパートナーの数 |
|---|---|
| 15人 | どのような状況下でも心から信頼できる人の数 |
| 50人 | 危険な地域を安全に移動できるような、小規模な集団を構成する人数 |
| 150人 | 共同体の中で一緒に暮らすのに最適な人数、または空港のラウンジで会っても挨拶を交わせるような関係性の人数の平均 |
| 500人 | 出会うと会釈する程度の顔見知りの数 |
| 1,500人 | 頭の中で名前と顔が一致する、共同体の人数 |
「信用」は、ダンバー数とは関係ないので、初対面でも得られます。
一方で、「信頼」は、ダンバー数を駆け上がらないと獲得できません。
信用よりも、信頼の方が時間かかるよね
信用チェックなんて、早けりゃその日のうちだもんな
オキシトシン
「オキシトシン」は、親しい人と一緒にいると分泌されるホルモンです。以前は「愛情ホルモン」とか言われていました(実際にはそうではないが)。
オキシトシンは、扁桃体(脳内で恐怖や警戒を司どる)の働きを抑制します。
オキシトシンが分泌された状態のお客さんは、警戒心を解き、懐疑的にもならず、売り手の言葉を素直に受け取るようになります。
家族や友達の言葉をいちいち疑ったりしないのは、オキシトシンによって警戒モードが解除されているからですね。
まとめると、
- お客さんの内集団にノミネートされ、
- ダンバー数150位以内まで駆け上がり、
- オキシトシンが分泌される間柄になると、
あなたからお客さんの心へ直通トンネルが開通します。
信頼係数が「1.0」に近づき、あなたの提案が減衰することなく、お客さんの脳内へ届くようになるのです。
科学的にはちょっと誇張した言いっぷりですが、結論は変わりません。
これがどれほど強いアドバンテージか。改めて語るまでもないね
信頼係数を上げる6つのレバー
ここからは、具体的に信頼係数を底上げする実践方法を解説していきます。
巷には、「信頼」を勝ち取るための方法が、多種多様な形で解説されていますね。どれも合っているのだと思います。
ただ、ボクが分析する限り、信頼係数を上下するレバーは6種類あります。
- 予測可能性:この人は何者か?
- 内集団・類似性:この人は同じ側の人間か?
- 利他性:この人はわたしの利益を優先するか?
- 経験:この人は実際に安全だったか?
- 尊重:この人はわたしをどう扱うか?
- 社会的証明:この人を信頼しても社会的に安全か?
巷で語られる方法は、必ずどれかに属している
唯一「これ」というものはありません。どれか1つ満たされれば良いという単純なものではなく、6つの総合点で決まります。
大雑把に言えば、
- 「この人は何者か?」
- 「この人は味方か?」
を問われているんですね。
全てを狙ってできている人はあまりいません。稀にいるできている人は、お客さんから厚く信頼され、お客さんの方から「売ってくれ」と言ってきます。
レバー1. 予測可能性:この人は何者か?

では、各種レバーの解説です。
まず持って、あなたの家族や親友で、「人となり」がわからない人っていますかね?
本名も知らないまま付き合う謎の交友関係は、ボクも経験あります。が、その友人の人間性が全くベールに包まれている、なんてことはあり得ない。
人間は、予測できないものを恐れます。自然でも、人間でも。予測できなければ、どこで地雷を踏むかわかりません。心構えも対処もできず、なすがままに翻弄されます。
幽霊や宇宙人が怖いのは、本質的には予測できないから。ライオンは檻の中にいれば平気ですが、幽霊は檻に閉じ込めても、鍵を閉めても、安全かわかりません。これが怖いのです。
得体の知れない人間を信頼するなんて、まずあり得ない
なんて恐ろしい!
そこで、お客さんから見て、あなた自身を「予測可能な人物」に仕立て上げるのです。
方針は、大きく2つ。「自己開示」と「一貫性」です。
「自己開示」に効くアクション
- オリジンストーリー
- 価値観
- 哲学/信条
- 家族/出身地
- 趣味
- 弱みや失敗談
- 能力の限界
「一貫性」に効くアクション
- 軸を示す
- 首尾一貫したブレない態度
- 言葉と行動が一致している
- 戦略的な行動
- 約束を守る
- 一貫したキャラクター
汎用的なアクションはリストで箇条書きにしつつ、個人クリエーターによく当てはまるアクションは深掘りしていくよ
「弱み」すら開示した方が良い
「予測可能性」ですから、お客さんに開示する情報は、多ければ多いほど良い。
それが、他愛のない話であっても。
あえて語らなくて大丈夫ですが、「両親の出身地」や「インコを飼っている」と開示するだけでも、人となりを知る手掛かりが増えます。知らないよりは、知っている方が信頼係数は上がるのです。
この文脈において、「弱みを見せる」は、とっても効果的。
「弱み」とは、まさにその人の限界値ですからね。ライオンだって、檻は噛みちぎれませんし、5km先からなら追いかけてきません。限界を知っているからこそ、安心できるのです。
また、限界を知るということは、逆に「ここまでならOKなんだな」というラインもわかります。性的な下ネタはNGだけど、下品な話はOKみたいな人もいます。事前にわかっていれば、付き合いやすいですよね。
- 電話が苦手で、かけようとすると手が震えるんです
- 〇〇の技法は得意ですが、△△の技法は苦手なのでお受けしていないんです
- 猫舌なんです
と宣言するだけでも、予測可能性が増し、信頼係数は上がります。
ただ、あなたの作品にケチがつく弱みは言わない方が良いですね。「信頼」は上がるかもしれませんが、「信用」が傷つきますから。
モノクロの作品を作っていて、「わたし、色使いのセンスがなくて」はOKですが、カラフルな作品を作っている人は口にしないのが賢明です。
一貫性の大切さ
変な話ですが、信頼というのは、「この人なら、ここでこうするだろう」という予測の確信度合いですから、本質的には「善悪」は関係ないんですね。
「コイツは、このシーンで絶対に寝返る」という確信も、また信頼なのです。
- バイキンマン
- 「友情」と「恋愛」で、必ず「恋愛」を取る人
- 週末に家族と過ごすよりも、取引先とのゴルフを優先する人
は、その点においては、信頼係数が高いのです。
本当に嫌がられるのは、どっちつかずで行動が読めない人。
もちろん、「悪者」で一貫しちゃダメよ
それくらい「一貫性は大事だよ」というモノの例えね
ときに、ブランディングの肝は、まさにこの一貫性にあります。
「シンプルで機能的な商品」を約束したら、「カラフルな商品」や「見た目全振りで使いづらい商品」を売ってはいけないのです。
「裏切り」は、約束を破った事実だけでなく、予測可能性を崩壊させてしまったという意味で、二重の罪を負っています。ブランドが1番やっちゃいけないことが、約束を裏切ること。
一貫性を出すには、まず「軸」を持たなければなりませんね。「哲学」「信条」と言っても良いでしょう。ブランドであれば、ブランドコンセプトです。ブランドコンセプトとは、あなたがお客さんに交わした約束ですよ。
ブランドコンセプトに沿った言動を繰り返すことが、「ブランディング」だからね
自責思考のススメ
- 「責任を他人に押し付ける人」
- 「ごめんなさいが言えない人」
は、信頼に値しませんね。
失敗やトラブルの火消しを自分でハンドルする気がないわけですから、そもそも言葉が軽いのです。自分がケツを拭く覚悟がある人の言葉だからこそ信頼できる。そうじゃありませんか?
そうだ。その通りだ
信頼なくして、「責任者」は成立しないのだよ
お金をもらう以上は、提供側の責任が発生します。もし責任を取る気がないなら、無料で提供すれば良いのです(無料提供は未来の関係への投資ですから、ちゃんと見返りはありますよ)。
世の中には、責任取る気がない売り手がちょこちょこいます。
商品ページや注意書きを見たら、「この人、自分で責任取る気ないんだろうな…」とわかります。あるいは、低評価コメントへの返信でも、責任回避の態度が見え透いてしまいます。
大企業でも個人でも、金をもらう以上はプロフェッショナルですよ。
ボクだったら、「イメージ相違などのお客様都合の返品はお断りします」とか、わざわざ書かないかな…
オリジンストーリーを語ろう
ここでオススメしたいのが、あなたの「オリジンストーリー(起源の物語)」を披露すること。
あなたがブランドを始める前。「わたしが、なぜこのブランドを立ち上げたのか?」のきっかけとなるエピソード0ですね。
この話を1つ披露することで、
- 哲学/信条
- 価値観
- 弱み
- ブランドの軸
- 現在のブランドにつながっている一貫性
が網羅されて、あなたの予測可能性がグッと上がるのです。
しかも、オリジンストーリーにはブランドに関係する情報だけが凝縮されていますから、単に好きな食べ物や出身地を語るよりも効果は大きい。
「過去の自分語りが、そんなに良いもんかね?」と、怪訝な顔したあなたが目に浮かびます。あなたが思う20倍は効果あります。騙されたと思って披露してみてください。
どこで披露する?
プロフィール、SNSの固定投稿とかだね
レバー2. 内集団・類似性:この人は同じ側の人間か?

レバー1の「予測可能性」の延長です。前章では、どんな人間かはさておき、「こんな人間で一貫しているよ〜」と伝えるだけで、信頼係数は上がると話しました。
さらに予測可能性を上げて行きましょう。
究極に予測可能な人間は、「自分自身」ですよね?
だから、自分に似ている他人ほど、予測しやすく、信頼計数が上がりやすい。一般的に言って、人は自分に似ている人を好きになるものです。
そこで次なる問いは、「この人は、自分と同じ感情・行動のアルゴリズムを持っているか?」です。
「内集団・類似性」に効くアクション
- 共通点
- ペーシング
- ミラーリング
- 感情共有
- 共感
- 共通の価値観の言語化
- 共同作業・協力・協創
- 五感体験の共有
- 行動のシンクロ
- コミュニティ
- グランファルーン・テクニック
- 共通の知人
- 謙虚/感謝
宗教で、儀式や通過儀礼を行う理由も、1つにはこれがあります。
まだ法律や警察のようなシステムがない中で、どうやって社会を運営していくか。お互いに信頼し合えないと協力できないですよね。
- 「同じ神」
- 「同じ体験」
- 「同じ感情」
- 「同じ五感(痛みや味や喜び)」
を共有することで、互いの信頼係数を高めていたわけです。謎に長く続いている行動というのは、非合理に見えても、どこかで経済合理性に見合っているもの。
古典的だけど、「祭り」とか「懇親会」って、めっちゃ効果あるのよ
面倒でも続いてるってことは、そうなんだろうね
グランファルーン・テクニック
人々の間に線を1本引いて、
- わたしたち( = 内集団)
- それ以外( = 外集団)
を分断する手法です。
一言で言えば、「敵の敵は味方」ですね。お客さんと敵を共有することで、あなたとお客さんは同じ側に立つ仲間になるのです。
脳は、すごく複雑な計算ができる割に、敵味方が入り組んだ複雑な人間関係を理解できません。
- 右派 vs 左派
- 開国派 vs 攘夷派
- きのこ vs たけのこ
善悪二元論のように単純化して理解しようとします。
おそらくは、進化過程の人類には、複雑な対立構図が存在しなかったんでしょうね。集団規模は150人くらいで、「国」や「戦争」はない時代ですから。
ここで、頭の切れる人はピンと来ます。対立軸を意図的に作れば、自分と仲間の結束を深められるじゃないか、と。
これが「グランファルーン・テクニック」です。
悪く言えば、対立煽りだな。これだけは、テクニック感ある
仮想敵は誰?
操作感が否めないグランファルーンですが、ブランディングには欠かせないテクニックでもあります。
なぜあなたのブランドが存在するかと言えば、世の中に満たされていないニーズがあるからですね。
仮想敵は、お客さんの理想が手に入らない世界。そんなしみったれた世界へのアンチテーゼとして、あなたのブランドがあるわけです。
何のアンチテーゼにもなっていないブランドに、存在価値はあるのでしょうか?
ちょっと強い言葉を使いましたが、実際そうなのだから仕方ありません。
敵は、必ずしも「人」じゃなくて良いです。というか、人にすると攻撃的で悪印象を生むので、「環境」「風潮」「固定観念」のような特定の顔を持たない敵を想定すると良いですね。
謙虚な姿勢
仲間はギブアンドテイクの関係ですから、感謝し合う関係でなければなりません。ただ、「ありがとう」という言葉は社交辞令化しているので、あまり響かない。
そこで、周りの人に感謝していることの証になるのが、「謙虚さ」です。
感謝の気持ちがない人が、「成功の秘訣は?」と問われると、「わたしが血の滲むような努力をしたからです」と答えます(←こんなことを言ってはいけませんよ)。
感謝の気持ちがある人なら、「チームのおかげです」「支えてくれた家族のおかげです」と答えます。演技じゃなくて、本当にそう思っているからです。
あなたが才能を発揮できるとしたら、それはあなたが才能を磨くことに専念させてくれる社会があるおかげ。
- 家族がいて
- 取引先がいて
- お客さんがいて
- 米を作ってくれる人がいて
- ゴミを回収してくれる人がいて
- 子供に勉強を教えてくれる人がいる
あなたは、彼ら彼女らに生かされているんですよ。それを忘れて、「わたしが頑張ったから」なんて言っているようじゃ、人として終わりです。
謙虚さを失った人がどうなるかは、『平家物語』の1行目に書いてあるね
驕れる者、久しからず!
レバー3. 利他性:この人はわたしの利益を優先するか?

実際のところ、もっとも重要になるのがこのレバーです。
お客さんは、仮にあなたが素晴らしい能力(信用)を持っていて、首尾一貫した人物であったとしても、まだ不安が残ります。
あなたががめつい商売人で、客を食い物にする人物の可能性だってあるわけです。一般的に見て、営業マンが1番信頼係数を損ねているのは、まさにここですよね。
「この人には、事実を歪曲して伝えて、わたしを騙すインセンティブがあるか?」という問いが浮上します。
逆に言えば、利己的動機が見えなければ、犯罪者の言葉ですら信頼に値します。「判決が厳しすぎる」という主張は鼻で笑いますが、「判決が甘すぎる」という主張には耳を傾けるでしょう?
利己的動機を打ち消す方策は、大きく2つ。「コストリーシグナル」と「利害の一致」です。
「コストリーシグナル」に効くアクション
- すぐに売らない
- 売り手にとって不利なことを言う
- 正直に欠点を話す
- 向いていない人に売らない
- 購入しない選択肢を提示する
- リスク共有(返金保証など)
「利害の一致」に効くアクション
- 卓越論(お客さんのより良い変化を最優先事項とする)
- 長期関係を重視
- グランファルーン・テクニック
- オリジンストーリー
よくわからない言葉が…
ちゃんと説明するから
コストリーシグナル
コストリーシグナルは、進化心理学の用語で、「コストのかかった行動や発言は、ウソがつきづらいので信頼度が高い」という意味です。
例えば、あなたがスパイで、とあるマフィアに潜入捜査することになったとしましょう。
いや、どんな例え!?
もし、そのマフィアが、「名前を書けば入れてくれる」という緩い組織であれば、あなたはすんなりと潜入できるかもしれませんが、ずっと疑り深い目で見られるでしょう。
しかし、参加条件として、「ボスと同じ刺青を入れろ」「ターゲットを1人ブッ◯してこい」と指示されたら、急にハードルが上がります。要するに、コストです。
ここであなたが苦しみながらも指示に従ったなら、組織の信頼を得られるでしょう。
刺青ってそういう理由もあるのよ
「コスト」と言うと少々わかりづらいですね。要するに、「お客さんにとっては得だけど、あなたの商売には不利なこと」をするほど、お客さんはあなたを信頼します。
「お客さんを第一に考えています」と、口で言う代わりに行動で示せという話ですね。
本サイトの読者さんなら、ボクの姿勢を感じ取れると思います。このボリュームを無料で提供し続けるのは莫大なコストですから、安い下心ではできませんよ。
売りっ気を見せない
汎用的に使えるのは、「やたらと売りっ気を出さない」ということ。
営業的に言えば、本当に売りトークをするのは、クロージング(契約を促す最後の最後)だけ。早い段階で売りっ気を出しちゃう輩は、まだまだ経験の浅いヒヨッコです。
信頼が出来上がった後の売り込みならOKです。心のトンネルができた後なので、オキシトシンが分泌され、警戒心を持たれずに受け入れられます。
信頼が出来上がる前の売り込みは、警戒されると共に、「やっぱ金か」とさもしい印象を与えてしまいます。
- 「この人は自分の身かわいさで言ってる」
- 「信頼計数を下げとこう」
となってしまうわけです。
今は、逆に良い時代かもしれません。ネットを見渡せば、誰もが「金・金・金」じゃないですか。それが、ネットのデフォルト。お客さんの平均的期待値です。
そこに、売りっ気なんて微塵も見せずに、ただお客さんの最善のために奉仕する姿を見た人は、心の中に爽やかな風が吹いた心地になります。
コラム)警戒を乗り越えた先の信頼
このサイトを始めて初期の頃(= 読者の信頼がまだ得られていない頃)、作家さんから無料で相談を受けていたことがありました。
ごく若干名の作家さんは、「話の最後に、売り込まれるんじゃないか?」と、かなり警戒されていましたねw
「売り込みはありません」と先に言ってたんですけどね。演技でもなんでもなく、そもそも売るものなんてなかったので。
最後まで売り込みがないとわかってもらえた後は、当初の警戒心がウソのように消え去り、とても良い関係が続いています。
欠点を語ろう
作品の欠点は、素直に話した方が良いですね。
上手なあなたの作品ですから、出来が悪くて生じた欠点ではないと思います。
- 素材の特性上、デリケートになっています
- 繊細な装飾が施されているので、洗濯機では洗えません
- この商品は、◯◯の方には向いていません
などと書いて、「お客さんが離れていってしまうかも…」とは思わないこと。
正直者として信頼されるのもそうですが、実のところ、お客さんはデメリットも含めて知りたがっているのです。
購入に際して、1番の足枷になるのが、「この商品を買って失敗したくない」という不安。この不安が残っている限り、お客さんは永遠に購入を躊躇し続けます。
お客さんはバカじゃありませんから、あなたの作品のデメリットに勘づいています。
デメリットを、「沼の深さ」に例えてみましょう。
沼を越えれば宝物にありつけるのですが、この沼の深さがわかりません。
この状態で、足を踏み入れられるでしょうか?
「30cm」でも、「1m」でも、深さがわかれば安心しますね。
デメリットにベールを被せてしまうと、お客さんの中で不安は増大します。詳らかにすれば、どれほどのデメリットか確定しますから、許容できるお客さんは購入を決心できますね。
これも、「予測可能性」の話でもあるね!
お客さん1人1人に時間をかける
この「コスト」なんですが、売り手側が負担に思っているかはどうでもよくて、お客さんが、「これはコストがかかってるだろうな」と思ってくれなきゃ意味がない。
作家さんではあまりないですが、「ファンのみんなのために、ライブ配信します!」は、お客さんからするとコスト認識にならないです。
なぜなら、そのコストは、「わたしだけ」に向けられていないから。
嵐の大野君くらいになると、「ファンみんなのために、舞台に立ってくれてありがとう!」になりますが、普通はこうはなりません。
いや、ファンが、大野君のコストを知っているからじゃないか?
作品にお礼のお手紙を同封するとしたら、
- 「びっしり書かれた印刷」よりも
- 「1-2行の手書きメッセージ」の方が、
お客さんにとっては、意味が重いのです。
印刷にした時点で、お手紙の意味は8割なくなると思って良いです。
レビューコメントへの返信も、ちょっと文面を変えるだけで、コスト感を認識してもらえます。というか、コピペ定型文なら、返信しない方がマシです。
ま、これは本当に工数かかるから、「やれ」という話ではないけどね
利害関係を一致させる
お客さんと売り手が、しばしば敵対関係になってしまうのは、
- お客さん:必要なものだけ安く買いたい
- 売り手:高くたくさん売りたい
という利益相反関係になってしまうからです。
しかし、これは全くおかしな話
本来的には、「お客さんに与えた価値の総和 = 売り手の収入」ですから、利益は一致しているはずなんですけどね。アコギな人たちの悪習が、市場に影を落としている模様。
「あなたとわたし、利害は一致しているんだよ」と示せれば、「じゃあ、純粋にわたしの利益のために提案してくれているんだね」と信頼してもらえます。
長期関係を築く
長く付き合っている家族や友人は、なぜ自分を裏切らないと思えるのでしょう?
それは、お互いが、この人間関係に長期間投資してきたからです。
人間は社会的動物ですから、他の人と協力して生きていくようプログラムされています。あえて仲間と決裂するようには、プログラムされていないんですね。
- 10年20年かけて築いた良好な関係を、この1回でご破算にするだろうか?
- 多分、割に合わない
- じゃあ、この人の言うことはウソじゃないな
となるわけです。
もう少し難しい話ですと、短期の関係だと、しばしば人は利己的利益のために裏切ります(囚人のジレンマ)。これが長期の関係になると、協調してお互いの利益を最大化させます(反復囚人のジレンマ)。
1回こっきりのクッキーの取り合いだと、兄弟はケンカします。そして、お母さんに怒られて、クッキーを没収されてしまいます。
明日も、明後日も、その先もずっと続くと知れば、協調して半分ずつで折り合いをつけるでしょうね。
「長い時間関係が続いていること」自体が、信頼係数を上げると覚えておきましょう。
「お金もらったらバイバイ」ではありません。お客さんとは、あるいはフォロワーさんとは、この先もずっと続く関係なのです。
やっぱりオリジンストーリー
先ほど、「ブランドを立ち上げるきっかけになったオリジンストーリー」を語ろうと話しました。
実は、利害を一致させるためにも、エピソード0は強力です。
やはりお客さんは、初見では売り手を「お金稼ぎでやってるんでしょ?」と思っています。それが世間のデフォルトなので、他所と比べて悪印象とはなりません。
ただ、利己的な動機と受け取られてしまうと、信頼係数はいくらか下げられてしまいます。
そこで、「このやり方でお客さんを幸せにするのが、わたしの喜びなんだ!」と、利害を一致させるストーリーが効くのです。
私利私欲のために、あなたを幸せにしたいんだ!
…となる理由を伝えるわけか!
青臭い感情論に聞こえるかもしれませんが、これがなかなかどうして。
お客さんの心にトンネルをかけるには、極めて有効な打ち手の1つですよ。
レバー4. 経験:この人は実際に安全だったか?

こちらは経験則です。世間一般で言われる「信頼」は、ほぼこのイメージでしょう。
「過去の接触で、危険はあったか?安全だったか?なんなら得したか?」という問いです。
「経験」に効くアクション
- 接触回数
- 接触時間
- 接触オケージョン数
- 顔出し
- 笑顔
- 対面
- 握手
- 雑談
- 名前を呼ぶ
- コミュニケーション
- 交換/贈与
- 成功体験
- 納期を守る
単純接触効果
ここで紹介しておきたい有名な認知バイアスが、「単純接触効果(別名:ザイアンス効果)」です。
アメリカの大学の学生新聞で、広告欄に、トルコ語や漢字をランダムに数週間に渡って掲載しました。アメリカの学生は当然読めないので、文字の意味はわかりません。どんな文字を見たかも覚えていないでしょう。
後日実験で、その意味のわからない文字が
- 良いことを意味しているか
- 悪いことを意味しているか
と尋ねたところ、登場回数が多かった文字ほど「良い意味」と受け取られていました。
世間では、「たくさん接触すれば、好きになってもらえる」と結論づけられていますが、厳密には、「何度も接触したけど安全だった = 悪いものではなさそう」ですね。
何度も食卓で見かけたキノコは、毒キノコではないということです。逆に、食卓で見覚えのないキノコは、毒キノコの可能性があるということです。
経験から来る予測よね
これも予測可能性か
つまり、何が言いたいか?
過去に、
- 「安全だった」
- 「問題なかった」
- 「うまくいった」
という履歴が、そのまま信頼になるということです。
究極的には、「何もなかった」でも構いません。接触して、危険にならなかっただけでもアドバンテージですから。
「お客さんの目に何度も触れる。その数は多い方が良い」と覚えておきましょう。
7-11-4ルール
Google社が提唱した「7-11-4ルール」は、単純接触効果をより実践的にした教え。
企業や人が、お客さんから認知を得て、信頼を築くには、
- 7時間以上の接触時間(7 hours of interaction with your brand)
- 11回以上の接触回数(11 touchpoints or engagements)
- 4箇所以上の媒体・場所(4 separate locations)
が必要と述べています。
「回数」だけじゃなく、「時間」と「媒体数」が加わりました。より立体的な指標になっていますね。
Google社は、数十億人のネット上での振る舞いを、つぶさに観察できる立場にいます。それはもう、個々人の1クリックや1スクロールの単位まで把握しています(もはや神!)。
どんな挙動をしているブランドやインフルエンサーが台頭しているのか。Google様はお見通し。そんなGoogle神が提唱する指標なので、信用できると思います。
媒体には、次のような候補があります。
- 販売サイト:ネットショップ/minne/Creema
- SNS(画像系):Instagram/TikTok/Pinterest
- SNS(テキスト系):X/Threads
- YouTube
- ブログ
- メルマガ/LINE
- 実店舗:イベント/ポップアップ
まず、「販売サイト」で1つ。「インスタ」で2つ。ここまでが標準でしょうか。
「イベント(マルシェ)」ができれば、3つ。「X」や「Threads」で4つと言ったところですかね。
「11回の接触」を考えると、SNSはやっておいた方が良いでしょうね。ボクみたいにメルマガも良いですけど。
「7時間の接触時間」は、なかなかハードル高し。YouTubeやインスタライブが尺を稼ぎやすいですが、負担もそれなり。みんながみんな、できるわけではないでしょう。
絶対に「7-11-4」を達成しなきゃいけないわけではない。けど、目指す参考にはなるよね
ピーク・エンドの法則

「安全だった」「問題なかった」「うまくいった」という経験が積み上がって、信頼になるわけですが、ここで1つ疑問が浮かびます。
この「経験」は、リアルタイムでの経験ではなく、後から振り返った「記憶の中の経験」です。
過去の記憶の経験に対し、どの時点での「良し悪し」を判断しているのでしょう?
ん???何の話しようとしてる?
例を交えて話さないと、何のこっちゃわからないね
例えば、「新婚旅行」も1つの経験ですね。旅行の思い出を後から振り返って、新婚旅行の良し悪しをどう記憶しているかという話です。
旅程中には、楽しいこともたくさんあったと思いますが、嫌なこともあったはずです。空港でなかなか荷物が出てこなかったり、現地の食事が口に合わなかったり。
「全ての良い思い出 – 全ての悪い思い出 = 経験の価値」
という単純計算をしてるのかなと思ってしまいますが、事実はもっと単純。
- 感情のピーク(最高or最低)の瞬間
- 最後の瞬間
の二時点の評価だけで決めているのです。
終わりよければすべて良し、は事実なのだ
思ったより雑に判断してるんだね…
最高潮は「開封」
今日日、買い物の最高の瞬間は、「開封」です。脳は、何かを期待するとドーパミンを分泌して、ワクワクします。「もう少しで手に入る」という瞬間に、ドーパミンがもっとも多く分泌されます。
開封の瞬間を首尾よくクリアできれば、まずはヨシ。
最後の瞬間は?
最後の瞬間は、常に更新されていきます。
お客さんとの直近の接点が、あなたへの評価。他人への印象というのは、最後に会ったときの印象で固定されるものです。
「去り際は笑顔に」ってのは、そういうことだぜ
- 開封が最後の接点かもしれません
- レビューコメントへの返信が最後かもしれません
- 購入後のトラブル対応が最後かもしれません
できることと言えば、常に「この接点の印象が、お客さんに永遠に刻みつけられるかもしれない」と思って接することです。
買った後は済んだ話だから塩対応?
それは、未来の売上を棒に振る行いですよ。
レバー5. 尊重:この人はわたしをどう扱うか?

誰しも、他人に行動を強制されることを望みません。
「選択肢がない」ということは、相手に対して切るカードがないということ。相手の思うがままになってしまう恐れがあります。強制された行動は、必ずしも自分にとって利益になるとは限りません。
ちゃんと自分で選び取りたい。
意のままに自分を行動させようとする人は、警戒の対象になります。
そこで、「この人は、わたしを支配する人か、それともわたしの自由を尊重する人か?」という問いが出てくるのです。
「尊重」に効くアクション
- 命令しない
- 否定しない
- 選択権を渡す
- 承認する
- 理解する
- 傾聴する
- 自由意思を尊重する
- 許可を取って話を進める
- こちらが先に相手を信頼する
- 質問する(相手への関心から来る質問)
お客さんを理解しよう
町医者にかかったとき、どんな医師なら信頼できるでしょう?
医師としての腕に大差はないでしょうね。知識だって、それほどの差はつかないはず。
では、どこに、
- 「町の名医」
- 「町のヤブ医者」
の境目があるのか?
「患者の訴えに耳を傾けて、汲み取ってくれるか」です。Googleマップのレビューを見てください。悪評のほとんどは、意訳すると「わたしの話を聞いてくれなかった」です。
実際に、患者が「自分の意見が不当に扱われている」と感じているほど、医師は訴訟を起こされる可能性が上がるんですね(そういうデータがある)。
クソ医者は、大抵コミュ力が終わってるんだよな
お客さんへヒアリングもしないうちにセールスかける奴は、営業マンとしては下の下
「どいつもこいつも、わたしのこと知ろうともしないで強制してくる敵ばかり!」
自分の希望や悩みを理解してくれる売り手に巡り合ったら、「やっとわたしの理解者が見つかった!」と、心から嬉しくなるものです。
そこに、町の名医と同じ類の「信頼」が、生まれない理由はないですね?
クリエータービジネスにおける顧客理解とは?
クリエーター業であっても、原則は変わりません。お客さんをより深く正確に理解しているクリエーターが、より強い信頼を得ます。
ただ、お悩み解決系のビジネスじゃないので、「こういう悩みがおありじゃないですか?」と聞きはしません。
お客さんも、「わたしの主張を聞いてほしい」わけでもない。
そうそう。そこが難しいのよ
じゃあ、どうするか?
あなたが、お客さんの「理想の未来・世界観」を先回りして体現し、お客さんに「どうぞ、あなたの求めるものは、こちらにございます」と手を差し伸べるのです。
有名ブランドではなく、無名に近い個人ブランドに食指を伸ばすお客さんは、やはり一般大衆とは違うスタイルを目指しています。ですが、なかなか理想が見つからない。
そこに、「まさに、わたしの求めていた世界」が繰り広げられていたら?
- わたしだけじゃなかったんだ
- わたしの理想を理解してくれている人がいたんだ
- わたしは仲間外れじゃないんだ
この感情は、「救い」です。
「地球上で、この人だけがわたしを理解してくれている」と感じたとしたら、これ以上に信頼を寄せる理由はない。お客さんからしたら、あなただけが希望なのですから。
選択肢を与える
前述の「売りっ気を出さない」にも通じます。
- ぜひ、手に取ってください
- ぜひ、試着してみてください
- お似合いです。ぜひご購入ください
行動を迫られると、お客さんは及び腰になります。
お客さんは、常に自由な選択をキープしたいんですね。相手のペースに乗せられるのではなく、自分が優位な立場で交渉したいわけです。
「Aをしてください」と言われると、危機に晒されている選択肢Bの方を選びたくなる。つまり、「買ってください」と言われたら、買いたくなくなるのです。
あるある。天邪鬼になっちゃうのよね
「心理的リアクタンス」と呼ばれる歴とした心理現象よ
お客さんに行動を強制しては逃げられます。しかし面倒なことに、完全にお客さんの自由意志に任せると、それはそれで決断できなくなってしまう。
方針はこう。
- 行動を催促・強制はしない
- けど、お客さんが決断しやすいように、選択肢を出して誘導する
夕飯のメニューと同じです。
- 強制:
「ハンバーグね」→「えー、今日はハンバーグの気分じゃない」 - 完全自由:
「何が食べたい?」→「なんでも良い」 - 選択肢:
「ハンバーグorアジの開き」→「アジの開き!」
「商品Aがオススメです」と言う代わりに、「〇〇なお客様は商品A、△△なお客様は商品Bを選ぶことが多いですね」と言ってみましょう。
「今すぐご購入ください」と言う代わりに、「数量5点のみで、再販予定はありません」と言ってみましょう。
「買ってください」と言わずに買ってもらう
「買ってください」って言いたいけど、これは直接は言わない方が良い。「買って」と伝える代わりに、「グズグズしてると買えなくなるよ」と伝えるのが良き。
お客さんは、まだ「買うor買わない」のカードを自分が握っている状態です。
ですが、「買う」のカードは今にも消え失せようとしている。自ずと、「買う」のカードを行使したくなるのです。
ただし、1つだけ約束を守ってください。
この方法は、お客さんを、売り手に都合の良い行動させるために行使しないでください。お客さんのベストな決断を後押しするために、選択肢を与えるのです。
「買わない」方が良いお客さんには、「買わない決断」を後押しする。これが信頼ある売り手の態度です。
レバー6. 社会的証明:この人を信頼しても社会的に安全か?

これは入れるか迷いました。一般的に「社会的証明」は、どちらかといえば「信用」に属するので。
ただ、ここで「信頼」寄りのロジックもあるので、語っておきましょう。
例えばこういうこと。
古来の詐欺師達は、しばしばターゲットの「奥さん」に取り入りました。
それはなぜか?
当人の信頼は、一夜で覆ることもあります。しかし、長年連れ添ってきた奥さんへの信頼は、一朝一夕で消えるものではありません。
加えて、重要なハードルが1つ消えているんですね。
社会的動物の性なのか、人間はどんなに個人的な買い物でも、他人に「なんでそんなバカな買い物したの?」と言われないための理由を探します。車でも釣竿でも、「この値段を払う妥当な理由」を用意しておきたいのです。
ですが、その奥さんが信頼しているなら、もう説明不要じゃないですか。「この人から買っても非難されないし、バカにもされない」というお墨付きがあるのです。
「社会的に安全」って、こういう意味よ
立場を守れるみたいな感じね
「ターゲットが信頼する人の信頼を得る」は、1つの真理でしょう。
インフルエンサーマーケティングの本質は、お客さんが信頼する人に売らせることですね。色々問題あって上手く回らないケースも多いですが、狙いどころは真っ当です。
レビューを集めよう
レビューしているのは赤の他人ではありますが、お客さんからしたら、同じような願望や悩みを持った人です。同志が太鼓判を押しているのですから、信頼に値します。
またレビューの良いところは、利害関係のない意見であるところ。売り手が自分で自分を褒めていると、どうしても事実を歪曲して伝える動機を感じ取ってしまうもの。
下心が乗らないレビューの褒め言葉は、信頼係数が高いのです。
レビューを増やすためには、
- 作品そのものの満足度を上げる(←これが1番)
- 迅速かつ丁寧なお客さん対応
- 素直に「レビューが欲しい」と伝える
が有効です。
詳細は、↓の記事をご覧くだされ
社交界で見られるアイテムか?
1番美味しいパターンは、お客さんが自分のお友達に、あなたの作品を薦めてくれること。信頼係数MAXの人から提案してくれるなんて、願ったり叶ったりです。
売り手の方から、お客さん同士の紹介を促す手法は、「バイラル・マーケティング」と呼ばれています。ただ、業態によって相性があり、クリエータービジネスは強制力を働かせづらい。
とはいえ、強制力はないものの、相性自体は悪くないです。
ターゲットのお客さん同士が集う「社交界」で、そのアイテムが注目を集めれば、擬似的に紹介されたのと同じ効果があります。
例えば、家族ぐるみで仲の良いキャンパーが、2組一緒にキャンプに行ったとしましょう。これも1つの小さな社交界です。
お昼時になって、片方のお父さんが、「コンパクトで、使いやすく、手間要らずな、何か凄くイケてる調理器具」をおもむろに使い始めたら?
もう片一方のお父さんは、
- 「お?何それ?めっちゃ良いね!」
- 「どこで買ったの?」
- 「いくらだった?」
と、自然に会話が始まります。これで紹介成立です。
「信頼する友人が愛用している」という事実が、商品やブランドの信頼を担保してる
キャンパーじゃなくても、そこかしこでありそうだな!
この例は友達同士ですが、別に顔見知り同士でなくても構いません。釣り好きなら、自然と他所の釣り人の道具にも目をやるでしょう。それもバイラルです。
家の中で1人きりで使うアイテムでは、こういうバイラルは起きません。
基本的には、外に出かけて使うアイテムの方がバイラルは効きやすい。自宅で使うアイテムでも、家にお友達を招待して披露する機会があるなら、バイラル性ありです。
実践のコツ

色々出てきましたね。もうお腹いっぱいでしょう。
あなたの商売のスタイルによって、できる範囲できない範囲があると思います。できる範囲で、できることを実践していきましょう。
ここで、信頼獲得活動におけるコツ、もとい心構えを説いておきましょう。
「友達」のように
友達の「めっちゃ良かった!買った方が良いよ!」は、なぜ強力なのか?
信頼のレバーを満たしているからです。
- 友達の人となりをよく知っている
- 友達が何を大事にして、何を嫌っているか知っている
- 友達とは、何かしらの共通点でつながっていて、同じ内集団に属する仲間
- 友達は、私利私欲のためにわたしを利用しない
- 友達とわたしは、互いに良い人間関係に長年投資してきた
- 友達は、わたしの求めるものを理解している
- 友達と何度も過ごして、トータルでは良い経験が積み重ねられている
- これまでも、友達のオススメは当たっていた(少なくとも打算ではなかった)
- 友達は、わたしに強制しない
じゃなきゃ、友達関係でいられないでしょ?
「そんなあなたが言うなら、きっとわたしにとって価値ある提案なんだろう」と思えるわけです。
もちろん、本当の「友達になれ」ということではないですよ。一緒に遊びに行ったり、気軽にメッセージのやり取りをしたりは、必要ありません。
友達と接するときと同じように、お客さんにも接する。この意識を持ちましょう。
友達が喜ぶと思ったら、お客さんにもそうしてあげましょう。友達にしないようなことは、お客さんにもしてはいけません。
自分を「良く」見せない
一般的なマーケティングは、「どうやって価値を高く見せるか?」に主眼が置かれています。
ここに関しては、良く見せる必要はありません。価値を変えるのではなく、お客さんの脳内で起こる価値の減衰をなくすことが目的です。
むしろ、見栄や誇張はかえって毒。
- 正直で、
- 素直で、
- 等身大。
信頼できる友達の条件って、こうじゃないですか?
見栄や誇張が前面に出る人の言葉は、真に受けられないでしょう?
なるほど、確かにそうね
これは、お客さんの「友達」にノミネートされようって話だからね
演技はバレる
6つのレバーは、総じて言えば、「善人として振る舞う」とまとめられるでしょう。フリをするだけでも、一定の効果はあると思います。
ただ、お客さん(というか脳)は敏感で、「ん?この人、演技でやってるんじゃ…?」と薄々気づいてしまうんですね。疑念を持たれた時点で、信頼係数は目減りします。
「コイツやってんな?」ってね
善人のフリをするのではなく、「善人になる」のです。
いや、ここは「聖人になる」くらい前のめりで良いでしょう。
商売哲学の転換です。
打算は、心の二重底にしまって鍵をかけてしまいましょう。
目先の利益は考えず、善人になることが、回り回って自分を豊かにしてくれる。
そう信じて、今日から新しい人格に生まれ変わる。
賭けても良いです。あなたの商売に、プラスしかもたらしません。
ブラックリスト方式で行こう
お客さんなり、エラーや例外の受け入れ方針には、
- ホワイトリスト方式
デフォルトは受け入れNG
リストに入った例外だけ受け入れる - ブラックリスト方式
デフォルトは受け入れOK
リストに入った例外だけ弾く
の2種類があります。
「ブラックリスト」と聞くと響きはネガティブですが、システムとしては寛容です。「ホワイトリスト」の方が、ずっと不寛容で排他的。
人間関係においては、多くの人が、ホワイトリスト方式を採用しています。
つまり、「内集団 = 仲間」と認定した人だけに対して、善人でオープンな態度を見せるのです。しかし、そういう態度だと、なかなか輪が広がっていきません。
プライベートはそれで良いと思うけどね
と言いつつ、プライベートもブラックリスト方式でやったら、それはそれで凄いメリットありそう
商売するなら、胸襟を開いて、お客さんを受け入れていかねばなりません。まずあなたがオープンにならないと、お客さんはあなたをホワイトリストにノミネートしてくれませんから。
唯一警戒しなきゃいけないのは、あなたから搾取しようとする悪どい人間だけ。そんな輩はごく一部ですから、出会ったらブラックリストに追加していけば良いのです。
最後に:全体導線の中での「信頼」の立ち位置
「信頼」は、売上を上げるために極めて重要なピース。ではありますが、もちろん全てではありません。
「良いヤツ」は大抵営業で成功しますが、「ただ良いヤツなだけ」ではダメですね。
お客さんは商品を買うに当たって、以下のステップを通過します。
評価カスケードモデル
- 情報評価(Information)
:この情報に価値はあったか - 情報源評価(Source)
:この情報源を今後も信頼・信用してよいか - 提案評価(Proposal or Product)
:この提案(商品・サービス・行動)は採用する価値があるか - 経験評価(Experience)
:実際の結果は期待に見合ったか - 社会評価(Social)
:この経験を他者にも推奨する価値があるか
初回購入は「1→2→3」までをクリアする必要があります(「4」「5」はリピートや推奨の話です)
上記の中で、「2. 情報源評価 > 信頼のパート」を得るための方法を、本記事で述べてきました。全プロセスの中で、もっとも時間がかかる工程です。
ぜひ、長い目で見て、じっくり取り組んでほしいなと思います。
信頼されるブランドになろう
ボクは日頃から「あなたの一挙手一投足の全てがブランドだよ」とよく言っています。
- 6つの信頼レバー
- 評価カスケードモデルの全5工程
をひっくるめて作り上げられるのが、「ブランド」です。
ここに、全く同じバッグがあるとします。
唯一違うのは、外からは見えない目立たない箇所に縫い付けられているパッチに書かれたブランド名だけ。
- 1つは、よく知っているブランド名
- もう1つは、聞いたことのないブランド名
あなたなら、どちらを買うでしょう?
ハイブランドの場合は、「ステータス」というベネフィットが付加されるので、そもそも同じ土俵では括れません。ここではステータスは抜きで考えてみましょう。ステータスが絡まないブランドもたくさんありますから。
同じ値段なら、「よく知っているブランド」から買うでしょう。20%高くても、「よく知っているブランド」から買うのではないでしょうか?
20%くらいなら、安心できるブランドから買っちゃうね
冷静に考えてみてください。
それはなぜなのか?
期待リターンが違うからですね。
同じバッグでも、以下のような差が出ます。
- ノーブランド
バッグの価値:100
信頼係数:0.5
期待リターン:50 - よく知っているブランド
バッグの価値:100
信頼係数:0.8
期待リターン:80
この例では、「50:80」の差が出ています。すなわち、1.6倍です。
よく知っているブランドなら、+60%まで追加料金を払っても良いことになります。
この+60%が、ブランドの価値です。
強力なブランドは、さらに大きなプレミアムも獲得できるでしょう。
あなたが獲得した信頼は、すべて「ブランドという看板」に集約され、看板自体が高い信頼係数を担保することになります。その看板を育てることが、ブランディングです。
信頼されるブランドを作っていこう!
