

めちゃくちゃアコギ実践的な記事を書きました!
表題の通り、お客さんが購入前するに、「持った気持ち」にさせられたなら、あなたの作品は2倍売れやすくなるという話です。
「”持った気持ち”って、どういうこと?」と思われたかもしれませんね。
「持った」とは、「所有した」ということ。買ってから商品がお客さんの所有物になるわけですが、「買う前の時点で、すでに所有した気持ちにさせようぜ」って話です。
え?スピリチュアルな話かって?
いえいえ。歴とした科学的な手法ですよ。
セールス・広告業界では、何十年も前(もしかすると100年くらい前?)から使い古された古典的な手法です。同時に、行動経済学の分野で効果が立証されています。
この記事で解説しているのは、
- なぜ、「所有した気持ち」になると、2倍買われやすくなるのか?
- お客さんに「所有した気持ち」を植え付けるには、具体的にどのような手法を取れるか?
です。
手法に関しては、商品はそのまま、売り方をちょっと変えるだけの話もありますし、商品のあり方を再考するような深い話もあります。
とりあえず、あなたにも実践できそうなアイデアを、最低1つ持ち帰ってみてください。プラスの効果は保証されていますので。
【前談】Q. なぜネガティブ訴求が刺さるのか?

少し前提の話から入ります。回りくどいですが、理解を深めるための重要な前提知識になるので、飛ばさずに読んでくださいね。
さて、YouTubeやSNSなどで、こういうタイトルを見ませんか?
- 『やってはいけない行動7選』
- 『あなたの投稿が伸びない5つの理由』
- 『お医者さんが決して口にしない食べ物とは?』
いつだかに、『わたしの年収低すぎ?』というキャッチコピーの広告が、一世を風靡したこともありましたね。懐かしい。
これらは、ビジネスの世界では「ネガティブ訴求」と呼ばれています。マイナス部分を強調して伝えるんですね。
内容的には、「〇〇すべき7つの理由」と言っても良いところを、あえて「〇〇してはいけない7つの理由」とする。こう表現すると、見る人の食いつきが良くなるのです。

断言するけど、こういう言い回しをする人は偶然じゃない。間違いなく狙ってやってる

確かによく見るフレーズだし、実際に覗いちゃう
…何でだ?
A. 人間には「損失回避性」があるから

人間の脳には、「損失回避性」という性質が備わっています。認知バイアス(典型的に陥る思考のクセを、総称して「認知バイアス」と呼ぶ)の1つです。
字面からすると、「損失を避けがちなんだなー」って感じ。概ねそうなんですが、ちょっと違う。
真の意味は、「得することよりも、損することに強く反応してしまう」です。「1万円を拾う喜び」よりも、「1万円を落とす悲しみ」の方が大きいということですね。
どのくらい反応してしまうかと言うと、「損」は、「得」の2倍強く心を惹きつけます。つまり、「2万円を拾う喜び」と「1万円を落とす悲しみ」が、大体イコールになるということです。

ところで、なんで「2倍」なの?

実験の結果、被験者が平均すると「2倍」強く反応したっていうデータからだね
(コラム)なぜ損失を過大に評価するのか?
ときに、「損失」に大きなウェイトをかける不可思議な仕組みが、なぜ我々の脳にプログラムされているのか?ここが気になっちゃう人もいるでしょう。
絶対に正しい理由は分かりませんが、「多分こういう理由だろうな」という推測はつきます。
まず、太古の昔、少なくとも1万年前。まだ、農耕も始まっておらず、国という単位もなく、数十人の血縁者で集団生活をしていた祖先になったつもりで考えてください。
なぜかというと、脳も進化の産物で、進化は100年や1000年では起きないからです。損失回避性を含む全ての認知バイアスは、どんなに少なく見積もっても、1万年以上前から引き継いでいると考えられます。
さて、その頃の人類は、他の動物たちと同じく、自然に生かされていました。土地の所有という概念もなく、生きる上で都合の良さそうな場所に住み着いていたことでしょう。
- 雨風しのげる洞窟があって、
- 木の実やキノコが取れるスポットが近くにあって、
- 獰猛な獣の生息地からは程よく距離がある
そんな場所を見つけて暮らしていたんでしょうね。
このとき、あなたが住んでいる場所が、一体どれくらい恵まれた場所なのか、あるいはどれくらい恵まれていない場所なのか、本人にはよく分かりません。
仮に、今住んでいる場所を、「恵まれ指数:100」としましょう(100はMAXの意味じゃなく、初期値という意味で捉えてください)。
もし人間に損失回避性が備わっておらず、「損」と「得」がイコールだったら、今ある「100」の場所を捨てて、山の向こうにあるかもしれない「110」の新天地を目指して移住を試みるでしょう。
しかし、今ある場所を捨てるのはリスクですよね。「100」がどれだけ恵まれているかは分かりませんが、少なくとも生きていける水準ではあるわけです。これまで、この地で生きてこれたわけですから。
ひょっとすると、山の向こうは「110」ではなく、「30」かもしれません。辿り着く前に死ぬリスクもありますよね。舗装された道なんてありませんから。
ちょっとやそっとの得であちこち靡くよりも、少なくとも暮らしていける今の環境を死守する方が、生存には有利だったはずです。
だから、「リスクを犯すなら、せめて2倍以上の期待値がないとなぁ」という感覚値が、脳内にプログラムされているんですね。
おそらく長い進化の過程では、この損失回避性が、「1.5倍」や「3倍」の人もいたんだと思います。しかし、「1.5倍」ではリスクを取りすぎて、「3倍」ではリスクを取らなさすぎて、結局生存できなかったんでしょう。
結果的に、損失回避性「2倍」が、生存確率がもっとも高いバランスだった。その性質が後世に引き継がれ、現代を生きる我々も、損失に2倍敏感に反応するようになっている。
そう考えるのが、自然かと思います。
「持った気持ち」で損失回避性を発動させる

人間の持つ「損失回避性」は理解できましたね。
しかし、ハンドメイド作家のあなたからすると、この「損失回避性」を活かせるシーンが思い浮かばないかもしれません。

うんうん、まさにそう思った!

細かい話をすれば、ハンドメイド販売でも損失回避性は組み込める
けど、「大筋では当てはまらない」って印象はその通りよ
ハンドメイド作品は、何かの問題やコンプレックスを解決する類の商品ではありませんね。「やってはいけない」とか「伸びない理由」のような訴求は無理があります。
ですが、ハンドメイド作品でも、この「損失回避性」をガッツリ効かせる方法があるのです。それも、むしろハンドメイド作品にこそドンピシャでハマる方法が。

えー!?なんそれ、めっちゃ気になるやん!!
保有効果(授かり効果)とは?

もう一つの認知バイアスを紹介しましょう。あ、大丈夫ですよ。そんなややこしい話じゃないので安心してください。
その名も、「保有効果(またの名を「授かり効果」)」です。

数多ある認知バイアスの中でも、ボクの「推しの認知バイアス TOP5」に入るお気に入り!

「推しの認知バイアス」だと…?
意味は、「1度そのモノや環境を所有すると、その対象を、所有する前の2倍の価値に感じるようになる」というもの。
損失回避性とよく似ていますね。というか、視点を変えて説明しただけとも言えます。
所有したものに2倍の価値を感じる。だから、それを手放す痛みが、手にいれる前の2倍になっている。という話ですからね。
あなたにとっても、それほど意外な話ではないと思います。
- お気に入りのバッグ
- 旅行先で買った思い出のある置き物
- こだわって建てたマイホーム
- 愛するパートナーや子供
は、手にいれる前はない生活が当たり前でした。
しかし、手にした今は、離れがたくなっているはず。必ずしも値段がつけられないものも含まれますが、手に入れた倍の金額でも手放したくないのではないでしょうか?
「所有した気分」だけでもOK!
面白いのが、実際に所有まではせず、「所有した気持ちになる」だけでも、効果が発動するところです(こういうところがたまらなく好き///)。
例えば、「車の試乗」や「モデルルーム見学」もそう。まだ買う前で、自分のものにはなっていません。
が、しかし。持った後の未来を想像(というか妄想)して、いい気持ちになっていますね。この時点で、もう保有効果の魔法にかかっているんです。
さぁて、本記事タイトルの伏線を回収しましたよ。
お客さんがあなたの作品を買う前に、「持った気持ち」にさせれば、お客さんは作品の価値を2倍大きく感じます。離れがたくなり、2倍買う気になってしまうわけです。

スゲェだろ?保有効果は!

「推しの認知バイアス」とか、何言ってんだと思ったけど、これはワクワクすんな
持った気持ちにさせる方法【商品編】

ここからは、具体的にどうやって「持った気持ち」にさせるか。という、実践編に移っていきます。
大きく、
- 「商品」の段階
:商品設計によって、所有感を引き出す方法 - 「売り方」の段階
:商品はそのままで、売り方の工夫だけで所有感を引き出す方法
に分けられます。
まずは、より上流。「商品」にメスを入れるパターンから。
「商品設計」で保有効果を取り入れる方法
- オーダーメイド
- カスタマイズ性のある商品
- アイデンティティに触れるデザイン
早速見ていきましょう。
商品1. オーダーメイド
何かに労力を投じると、それが「自分のものだ」という感覚、あるいは「自分が生み出した」という感覚を持つようになります。そうして、ますます愛着が湧くのです。
この現象は、「IKEA効果」とも呼ばれています。IKEAの家具は、自分で苦労して組み立てるわけですが、そのプロセスで愛着が湧くという理由から。
オーダーメイドは購入までに、お客さん自身に仕様を考えさせるプロセスを経ることになりますね。このプロセスが、お客さんの所有感を与えるのです。
ボク自身にも経験があります。
NIKEには、ネット上でスニーカーのカラーパターンを自由に変えられる「NIKE ID(その後By Youに変わった)」というサービスがありました。
「あーでもないこーでもない」と、自分のセンスをぶつけて仕上がったスニーカー。まだ画面の中にしかありませんが、このスニーカーはもう自分の作品です。
「え、この最高にイケてるスニーカーが欲しくないのかって?」
「欲しいに決まってるじゃないか!」
と、こうなるわけですよ。
オーダーメイドは、お客さんの満足度がより高くなり、より高い単価で売れるやり方でもあります。
ただし、それなりの面倒も背負い込むことになるので、全員にやれとは言いません。

やりたい人は、「こういうメリットもあるよ」くらいに思っておけば良き
商品2. カスタマイズ性のある商品
「カスタマイズ性って何?」と思われたことでしょう。「それって、オーダーメイドとは違うの?」とも。
オーダーメイドもカスタマイズなんですが、意味合い的には、「拡張性のある商品」と言い換えた方が良いかもしれません。
- シルバニアファミリー
- ポケモンカード
- ミニ四駆のパーツ
を想像してみてください。
単体の商品がそれぞれ独立しているのではなく、複数あるパーツを組み合わせて楽しむような商品のことです。
カスタムして自分好みにあつらえるわけですから、よりその品への愛着が湧きます。先ほどの「IKEA効果」とも関連しますね。
加えて、新しいパーツが発売されたら、「この新パーツを、ウチの子達にどう組み込もうか?」と、想像(妄想)します。このプロセスが、心理的所有感をブーストさせるのです。
ときに、ハンドメイド作品でカスタマイズ性のある作品は、思い浮かばない人もいるかもしれませんね。
例えば、
- ドール用のお洋服
- パーツを付け替えたり追加できるアクセサリー
- ワッペンを張り替えて使えるバッグ
などでしょうか。
原宿で昔からファンが多い「ゴローズ」というシルバーアクセサリーブランド。こちらもパーツを組み替えて、自分オリジナルのアクセサリーを組める仕様です。

面白い!けど、作風は選びそうね
商品3. アイデンティティに触れるデザイン
こちらは、上記の2アイデアとは違い、どんな作家でも実践できるアイデアです。その代わり、深い話でちょっと難しいのですが。
あなたの「特に気に入っているブランド」を思い浮かべてください。
おそらく、ただ「カワイイから」ではないと思います。ただ「カワイイ」や「キレイ」だけでは、財布の紐はゆるみません。
きっと、「このブランドの商品と共にいる自分が、いかにも自分らしい」と思えるからではないでしょうか?
そう、ここで言う「アイデンティティ(自己同一性)」とは、要するに「自分らしさ」です。
昔から熱心なファンがついているブランド…。そうですね、ここでは「ヴィヴィアン・ウエストウッド」としておきましょう。
ヴィヴィアンのファンは、ヴィヴィアンを身に纏った自分が、いかにも自分らしいと思っています。ブランドがアイデンティティの一部になっていて、アイデンティティを保つために買い物をするのです。
もし、このブランドがなくなったら…?
大変なショックでしょうね。自分のアイデンティティを一つ失ってしまう。ある意味で、楽しい思い出の詰まった小学校が取り壊されるような感覚でしょう。
ブランドが、お客さんのアイデンティティの一部になったということは、ある意味でそのブランドがお客さんのもの(オーナーの意味ではないけど)になったということです。
なかなか難しい話をしました。
でも、やることは単純っちゃ単純。
- 「パンク」が大好きな人のために、めっちゃパンクなデザインにする
- 「古代ローマ時代」が好きな人のために、ローマ時代由来のデザインにする
- 「コバルトヤドクガエル」が好きな人のために、コバルトヤドクガエルを模したデザインにする
お客さんのアイデンティティに根差したデザインを考えてみましょう。
実際には、あなたのアイデンティティを作品に投影し、同じアイデンティティを持っている人をお客さんにするのが良いですね。
細かい話は、↓の記事をどうぞ。
持った気持ちにさせる方法【売り方編】

続いて、売り方の工夫によって、「持った気持ち」を増幅させる方法を解説しましょう。
「売り方」で保有効果を取り入れる方法
- 着画(利用シーンに近い画像)を載せる
- 想像させる質問を投げかける
- 五感を刺激する表現
- 動画を使う
- 満足したお客さんのリアルな事例
- 開封動画や実演動画
- 実際に手に取ってもらう
- なるべくたくさん関わってもらう
- お得意さまへの限定オファー
- 抽選販売
- オークション
こちらの方が取っ付きやすい話が多めです。

いくつかは、今すぐ実践できる内容だよ!
売り方1. 着画(利用シーンに近い画像)を載せる
しのごの言わずに全ハンドメイド作家に実践してほしいのが、「着画」です。
身につけるアイテムでない場合は、よりリアルな利用シーンの画像。「お皿」であれば、ダイニングテーブルに食器一式を並べた写真。飲み物と料理もあればなお良し。
この1枚は、お客さんが手にする未来の青写真。見ることで、お客さんは、自分自身がそのアイテムを身につけたり、お部屋に飾ったシーンを想像(妄想)します。
もうパターンが見えてきましたね。
このリアルな想像が、買う前に「持った気持ち」にさせるのです。脳内では、作品を手にした笑顔の自分がもういるんですね。その好ましい未来を失いたくない。
だから、あなたの作品を買う。

こういう流れよ

未来の自分を想像させるのが大事なんだね!
着画を妥協するなら
ただ、着画は労力がかかりますね。「現実的にちょっとムリ」という作家さんがいるのは承知しています。
こう考えてください。「リアルであればあるほど好ましい」と。
- 1番リアルなのが着画。
- それがムリならマネキン(というかトルソー)。
- あとは、紙にモデルさんの顔が印刷されていて、ピアスなどを引っ掛けられるもの(ボクは「紙モデル」と呼んでいる)もありますね。
妥協は致し方なしとしても、あなたにできる限りのリアルな画像を用意しましょう。
売り方.2 想像させる質問を投げかける
とってもオシャレな「伝統的なフランス風のティーセット」を例に考えてみましょう。
こんな風に、質問を投げかけます。
想像してみてください。真っ白で美しいレリーフが施されたティーセットが、あなたのご自宅のテーブルに並んでいます。
同じテーブルに座っているのは、どなたでしょうか?
あるいは、お一人で優雅に楽しむのもアフタヌーンティーも素敵ですね。
ティーカップには、どんなお気に入りの紅茶を淹れますか?
スタンドには、どんな可愛らしいお菓子を乗せますか?
こう促されたら、お客さんは「そうだなぁ…」と想像を膨らませます。
- 「テーブルを囲むのは、高校時代からの仲良し3人ね」
- 「みんな土日休みだから、週末に」
- 「お茶はこだわりはないけど、どうしようかな」
- 「お菓子は、みんなでケーキ屋さんに寄って好きなのを選ぼう」
この想像が、所有感を増幅させます。
その好ましい未来図の構成要素として、あなたの作品が欠かせないとしたら、どうしても買いたくなっちゃうでしょう。
売り方3. 五感を刺激する表現
優秀なコピーライター(=売るための文章を書く人)は、文章だけで、まるでその商品を実際に体験したかのような錯覚を与えます。
このテクニックを、「シズル感」と呼ぶこともあります。
お肉を焼く際の、
- 「ジュウ…ジュウ…」という音
- ヘラで押したときの、柔らかくも力強い弾力
- 外側はカリッと焼かれ、内側はうっすらと赤みが残る
- 中から「ジュルッ」と滴り落ちてくる肉汁
- 醤油を垂らしたら、「ジュッ!」と肉々しい香りが漂う
「あぁ、なんて旨そうなんだ…」と、まるで目の前にあるような臨場感を演出する。こういう表現方法をシズル感と呼ぶんですね。
化粧品でも、「ぷるぷる」や「もっちり」のような、オノマトペを使うと魅力的に聞こえると言われています。

実際に、よく耳にするでしょう?
これらは、より厳密には、「画面の向こうにいるお客さんの五感を刺激せよ」という話なのです。(シズル感とか言われると、逆に分かりづらくなるのはボクだけ?)
人間は、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」の五感を通して、体験を脳にフィードバックします。その結果で、満足したりしなかったりするわけです。
実物が目の前にないお客さんに、実際に体験させた気持ちにするには、やはり五感を刺激すれば良い。そういうロジックになりますよね?

でもさぁ、画面の向こうじゃ、視覚しか与えられないんじゃ?

いやいや、そんなことないよ
- 「ジュウ…ジュウ…」と言えば聴覚を、
- 「ぷるぷる」と言えば触覚を、
- 「豆を挽いている珈琲屋さんの前を…」と言えば、嗅覚を刺激しますね。
そういう話です。
そして、もう一つ。お客さんに、体験している「場面(シーン)」を想像させることも重要です。その場面は、いつどこで繰り広げられていて、そこには誰がいるのか。

①五感に訴えて、②その場面を想像させたら、「持った気持ち」にさせられる!
試しに、次の2つの文章を読んでみてください。
パターン①
涙の形をしたガラス製のピアスです。涼しげで夏にピッタリ。スーツスタイルにもよく映えます。

うん、よくある感じ。そんなに悪くないと思うけど…
パターン②
「こぼれ落ちそうな涙」を閉じ込めたガラス製のピアスです。
耳元には、風鈴のように涼やかなガラスのピアス。片手にはよく冷えたアイスコーヒー。街を歩けば、うだるような真夏の暑さも5度下がった気分に。
歩くたびに小刻みに揺れ、太陽の光を反射してキラキラと七色に輝きます。その輝きに、横断歩道ですれ違う人も、思わずあなたを振り返るでしょう。

ムムム…!これは!
意識して欲しかったのは、
- どちらが、実際に身につけたイメージが浮かびやすかったか?
- どちらが、その場面の情景が頭に浮かびやすかったか?
後者ですよね(注:あえてわざとらしい表現をしましたし、ワードセンスもイマイチだとは思います。なので、そのままは真似しない方がよろしいかと)。
どうでしょう?
真夏の正午あたり、どこか都会っぽい街の交差点を、颯爽と歩く女性の姿を想像したのではないでしょうか?
単に「涼しい」とせず、風鈴のイメージを拝借しています。また、風鈴の滑らかな手触りも暗に拝借しています。
小刻みに揺れる様は、このピアスが軽い印象も与えます。魚眼レンズのように七色に光る様も足しました。
わざとらしく登場させたアイスコーヒーは、「嗅覚」と「味覚」を足しています。結露がついたカップや、その手元のひんやり感も伝わったと思います。
作品そのものではないので、実際に書くかは微妙ですが、このアイスコーヒーの描写があることで、シーンの情景はグッと想像しやすくなったと思います。
①五感に訴えて、②その場面を想像させましょう。このリアルな感覚が、「持った気分」をブーストさせるのです。
難しいと思ったら、「とりあえず形容詞をブチ込め」と覚えておいてください。
「かわいい」のようなボヤッとした形容詞ではなく、「まるで不思議の国のアリスの世界に迷い込んだような」みたいに具体的な形容詞を使ってくださいね。

小説も、こういう回りくどい表現するよね?

読者に場面を想像しやすくさせるテクニックなんだよ
売り方4. 動画を使う
動画もまた、五感をより刺激するために使えます。
静止画だと、実物の質感はあまり伝わりません。視覚以外の情報が伝えられず、視覚に関しても、伝えられる情報が限定的だからです。
動画にすると、
- 揺れるスピードから、「重さ」が伝わります
- 指で押した凹み具合から、「柔らかさ」が伝わります
- 爪でコンコンした音から、「硬さ」や「材質」が伝わります
- 光の反射具合から、「光沢」の加減が伝わります
- 明暗による些細な色の変化から、実物の「色味」が伝わります
ちなみに「動画」というと、インスタのリールを思い浮かべると思います。
リールと言えば、台本がどうとか、構成がどうとか、テンポがどうとか、文字入れがどうとか、こんな悩ましい連想をするのではないでしょうか?
いやいや。そんな高度なことは求めてません。ただ、揺らしたり、なでたり、突っついたり、クルッと回したりするだけで十分です。
そういった動画を、お客さんの見える場所に置いておきたい。リールでも良いですし、フィードの2枚目でも良いです。できれば、商品ページにも載せておきたいところ。
売り方5. 満足したお客さんのリアルな事例
あるお客さんが満足した様子を、前述の通りに五感を刺激しつつ、情景が浮かぶように伝える。そうすると、それを見聞きした人の中である変化が起きます。
なんと、全く同じように、満足した気持ちになるのです。

んん?どういうことだ?
つまり、画面越しで満足した他人の様子を見聞きすると、自分は体験していないにも関わらず、同じような感情を覚えるということです。
この現象は、脳内にある「ミラーニューロン」による働きです。
相手の様子を観察すると、その相手の脳内で起こっていることを瞬時に理解し、自分の脳内でも再現するのです。そう、まるで「ミラー(鏡)」のように。

気持ちはわかるよ。ボクも最初聞いたときはそう思った
あり得ない。とんでも理論じゃないかって
しかし、ミラーニューロンがないと説明できない現象が、あなたの身の回りでもたくさん起きています。
例えば、「もらい泣き」。
あなたには、悲しむようなイベントはない。しかし、相手には涙を流すような事件があった。その様子を見たあなたが、まるで自分も事件に遭ったかのような気持ちになり、涙を流す。
「もらいゲロ」は、もっとわかりやすいですね。自分は気持ち悪くないのに、相手が気持ち悪い様子を見ていたら、自分も気持ち悪くなってしまうと。
真夏にスーツを着て、ダラダラ汗をかいているおじさん。「うえぇ…」と、見ているだけでこっちまで暑くなってきますね。これも、ミラーニューロンの働き。
- ホラー映画で背筋がゾッとするのも
- アクション映画で主人公が敵を倒したシーンでスカッとするのも
- 濡場でドキドキしてしまうのも
やはりミラーニューロンの仕業。本来なら、自分がその場にいないのに、濡場でドキドキする理由はないでしょう?

ああ、知ってるぞ。これはアレだな

そう、「共感」を難しい言葉で説明したのが、「ミラーニューロン」だね
こういう実験結果もあります。
「300万人が飢餓で苦しんでいます」という統計データに人の心は動かされないけど、「7歳のロキアという名の少女が、飢えに苦しみながら懸命に生きています」という個人のエピソードには心を動かされる。
聞き馴染みのある言葉では、「感情移入」ですね。統計データには感情移入できない。顔や人柄が見える人物の話だと、感情移入できる。
この感情移入も、結局ミラーニューロンの仕業。自分の脳が鏡写しするのは、感情を持った生身の人間。その人物像が見えないと、感情移入も発動しないんです。
あなたの作品で満足している人の様子を、事細かに描写してみましょう。
その感情がそっくりそのまま、見聞きお客さんの脳内で再現されます。画面越しのお客さんを、あなたの作品を手に入れて、満足した気持ちにさせることができるのです。
(コラム)なぜミラーニューロンが存在するのか?
さて、なぜ人間には「ミラーニューロン」なる機構が組み込まれているのでしょうか?言い換えると、なぜ「共感」という感情が存在するのでしょうか?
それは、人間が「社会的な生き物」だからです。社会的な生き物とは、「群れで助け合って暮らしていく生き物だよ」という意味です。
同じ喜びを共有できない人と、一緒のお祭りを企画したり、祭壇を建設したりできるでしょうか?同じ悲しみを共有できない人と、一緒に弔いができるでしょうか?
同じ感情を抱くからこそ、「よし、わたしも協力しよう!」となるのです。相手からすれば、同じ感情を抱いてくれるから「この人なら頼っても良いよね!」と思うのです。
共感できることで、スムーズに他人と協力体制を築くことができるわけですね。もし共感できなければ、人間はもっとバラバラに行動していたことでしょう。
ときに、アスペルガー症候群の人は、他人への共感が苦手です。
イーロン・マスクもアスペルガーで有名。他人の痛みや悲しみに共感できないからこそ、苛烈で冷酷な意思決定ができてしまう。独善的な地位でしか活躍できないタイプの人だと思います。
…わざわざ読んでいる人はいないでしょうから、余計な話を挟んじゃいますね。
ボクは常々思っています。ホモサピエンスは、地球上でもっとも「社会性(=群れで暮らす性質)」の強い生き物だと。
その証拠に、社会のために自らの命を投げ出すのは人間だけ。他の動物は、基本的に自殺しません。自分の命よりも社会を優先し得るのが、人間という生き物なんです。
個体単位では、自ら生命を断つ理由を説明できません。しかし、種単位だと、それもあり得るなと思えてきます。
なぜなら、この強すぎる社会性こそが、人間を地球上の覇者に押し上げているからです。
人間より体が大きく、力の強い生き物はいくらでもいる(昔はもっとたくさんいた)のに、それらを押し除けて人間が頂点に立てたのは、協力体制を築けたからでしょう。
頭が良いから覇者になったと思われていますし、それももちろん大きな要素です。しかし、頭の良さだけで今の地位にはいません。協力できていなければ、ただの「賢い猿」で終わっていたでしょう。
絶滅したネアンデルタール人は、ホモサピエンスよりも脳が大きかったと言われています。それだけ頭が良かったと思われますが、結局生き残れませんでした。
よくよく考えてみてください。人間1人で何ができます?あなたがたった1人、無人島で一生を終えると想像してください。そこで何ができるでしょう?
1人の人間なんて非力ですよ。でも束になれば、個体同士の戦いでは瞬殺されるクマやライオンやシャチも従えられる。あるいは自然すらも配下に置くことができる。これが人間の強さです。
大量の個体が一致団結し、「社会(群れ)」としてパワーを行使すれば、河の流れを変え、船を作り、街を作り、飛行機で空を飛ぶこともできる。歴史の時間軸ではそう遠くないうちに、銀河系の外へも飛び出すことでしょう。
そんな強すぎる社会性の副作用として、個体の欲求よりも、社会の規範や、社会からの要請を優先する挙動を取るケースが出てくるのです。
人間が社会性を発揮するにあたって、ミラーニューロンは極めて重要な機構です。この機構なくして、人類は地球上の覇者にはなれなかったかもしれません。
売り方6. 開封動画や実演動画
ときに、「グルメ番組」の存在を不可思議に思った経験があるのは、ボクだけじゃないはず。自分は食べられないのに、これの何が面白いんだろう?と。
その答えも、ミラーニューロンです。
ミラーニューロンは、相手が目の前にいなくても、動画越しでも発現します。動画越しに美味しそうに食べている人を観察したら、自分も美味しい気持ちになるのです。
YouTubeの開封動画って楽しいですよね。新作iPhoneなんかを開封している人の興奮やワクワクが、画面の向こうから伝わってくるからでしょう。
同じことは、ハンドメイド作品でも起こります。
- 開封して興奮した様子
- 身につけて満足そうな表情や声色
これらを動画にして伝えれば、相手にも同じ感情を共有することになります。
ただ、やりづらさもあります。
あなたが料理人であれば、自分で作って、自分で食べて、美味しそうに満足する動画が撮れます。が、ハンドメイド作家はどうでしょうね?
- 自分で開封する動画…?変な感じがしますね。
- 自分の作品を身につけて、満足そうに演技する…?ちょっと難易度が高いかも。
もちろん、やってもらっても良いんですけど。
でも、できることなら、「UGC(User Generated Contents)」で達成したいですね。UGCとは、お客さんが自主的に投稿するコンテンツのこと。クチコミやシェア投稿のことです。
お客さん自身が開封や実演をしてくれる方が、効果的でもあります。動画ではなく、画像とテキストの投稿になるかもしれませんが、それでも良いでしょう。

UGCを発生させる方法は、またいずれ、実験した上でまとめたいと思う!
売り方7. 実際に手に取ってもらう
小難しい理屈が続きましたね。「ここまで何の話をしていたんだっけ?」と忘れかけている人もいるでしょう。
どうやったら、買う前に「もう持った気持ち」にさせられるかでしたね。
実は、ただ「手に持ってもらう」だけでも、所有感を与えることができます。

これは、わかりやすくていい!笑

ネットでは手に取ってはもらえないから、イベント向きの方法だね
よく聞く「ぜひ、手に取って見てみてくださいね♪」は、本当に意味があったのです。
かつ、手に持ってもらう時間は長い方が良い。「30秒以上」と「10秒未満(あるいは手にしなかった)」では、顕著に差が出たという事例もあります。
手に持ってもらったところで、トークをスタートしてみてはいかがでしょう。攻めのトークはなくて良いですよ。手に持ったまま時間が経過してくれれば良いので。
- 「もし、ご自宅に置くとしたら、どのあたりになるんですか〜?」と聞けば、
- 「(えぇと、そうだな…。リビングのテレビの横かなぁ)」と想像してもらえるでしょう。
時間を稼ぎつつ、想像を促すことでも所有感をブーストさせられます。
試着可能なアイテムなら、さらに都合が良い。
鏡を用意して(←大事)、試着してもらいましょう。30秒は稼げそうです。しかも、実際に身につけた自分の姿を目の当たりにするんですから、所有感もマシマシですよ。
もしバッグを売るなら、こんなアイデアが思い浮かびます。
- まず手に持ってもらう
- 鏡で合わせてもらう
- 「普段バッグにはどんな持ち物を入れてますか?」と問いかける
- バッグによく入る持ち物(ペンケース/ペットボトル/ポーチなど)を小道具として用意しておいて、収納力を見てもらう。お客さん自身にジップを開けさせて、収納してもらうとさらに良い
- 小物が入った状態の重さを確認してもらう
どんな形であれ、触る時間が長くなるほど、成約率も上がっていきますよ。
売り方8. なるべくたくさん関わってもらう
所有物に大きな価値を感じてしまう傾向は、「サンクコスト」としても機能します。
サラッと専門用語を出しましたが、サンクコストとは、すでに費やしてしまって、もう返ってこないお金や時間や労力のことです。
夕方のニュース番組で、とあるインタビューを見みました。その人は、とあるソシャゲ界の廃人で、ランキング上位に位置していました。
「そんなに楽しいんですか?」と聞かれて、
「いやぁ…、もう飽きてきてるんですけどね…」と。
今となっては、すごく楽しんでいるわけではない。でも、過去に課金&時間を大量に投下してしまった。ここでやめたら、過去の努力が全て無駄に終わる。
だから、やめられないと…。
わかりやすい反面、なんとも微妙な例を出してしまいましたね。
このような、過去に費やしたコストを損失計上したくないが為に、やめるにやめられなくなる現象を、「サンクコスト効果」と呼びます。
「保有効果」とは経路が違うものの、「サンクコスト効果」も同じく「損失回避性」に端を発する兄弟バイアスと言えるでしょう。
セールスにおいては、より多くの時間や労力をお客さんに割かせるほど、売れる可能性が上がっていきます。
気になっている雑貨屋さんがあって、日頃からSNSをチェックしている。週末のお休みの日に、電車を乗り継いでお店まで行った。
となれば、何か買って帰るでしょう?
日々SNSをチェックして、休みの日を使って、電車賃と移動時間というコストを払ってやって来て、何も買わずに帰る?
ここまでやって来たのに?

この感情よ

売れる可能性、上がってるな
というわけで、接触回数が多いほど、接触時間が長いほど、あなたの作品は売れやすくなります。売る以前に、いかにしてお客さんに、あなたへの時間を費やさせるか?
- 文章を充実させて、長い時間読んでもらう
- 画像の枚数を多くする
- 動画を使う
- SNSやメルマガなどで定期的に発信する
- イベントに足を運んでもらう
- 行列のように、あえて待たせるステップを設ける
などが考えられますね。
あとは、お客さんにアクションを促すこともまた、お客さんにあなたへの労力を費やさせることになりますね。
前に解説した「手に持ってもらう」も、1つのアクションです。接触時間を延長する効果もあります。
ネット上なら、「コメント」や「いいね」など、カンタンで良いので、何かしらあなたに対してアクションする習慣をつけてもらうと良いですね。
売り方9. お得意さまへの限定オファー
一定量の取引があるお客さんへ、「購入する権利」を与える方法です。
「あなたには買う権利がある」と言われたら、否応なく「買った気持ち」になります。権利を行使せずに失ってしまうことへの勿体なさ(=損失回避性)も刺激できます。
言い方を「販売を開始します」から「あなたは買う権利があります」に変えただけなんですけどね。しかし、イメージはまるで変わってきます。

百貨店の外商も、手に入りづらい商品や新商品を、お得意さまに優先的に販売してるよね
「エルメスのバーキン」や「ロレックスのデイトナ」は、需要に対し、販売数が極端に少ない。二次流通市場では、とんでもない額のプレミアムがついています。
これらの希少モデルは、ただお店に行っても買えません。そもそも店頭には置いていません。
お店側から「買うに値する」と認められた人だけが、買う権利を与えられ、奥にあるブツを拝ませてもらえます。
しかも、カラーは選べません。目の前に出された品を見て、「今買う or 買わない」を選択することになります。買わなかったら、別の人に権利が移ります。

その場に自分がいて、懐に買うだけの余裕があったら、「…買います」って言ってしまいそう
この現象を、ボクは勝手に「選ばれしもの効果」と呼んでいます。
元々はその選択をする気がなかったのに、希少な機会を目の前に与えられたときには、その選択肢を選び取ってしまうというものです。
お姉ちゃんや友達が勝手に応募して、そのまま合格してジャニーズに入ったみたいな話ありますよね。本人に元々その気はなかったけど、選ばれたからやってみるかと。
クレカの「ブラックカード」も、オープンには受け付けておらず、選ばれたお得意さんだけにオファーされていますね。オファーされたら、受けたくなるのが人情でしょう。
また、お得意さまに優先して買う権利を与える施策は、あなたにとって最も大事なお客さん達に、「自分は大事にされている感」を与えることにもなります。
米国のバンド「グレイトフル・デッド」は、ライブのチケット販売を委託せず、自分たちで売る仕組みを設けました。熱心なファンだけに良い席が回るようにするためです。
ちなみに「お得意さま」と書いてありますが、もっともらしい条件で線を引けるなら、お得意さまじゃなくても構いません。例えば、「古くからフォローしてくれている人」でも。
要は、お客さんに、「自分は資格のある限られた人間だ」と思ってもらえれば良いので。

現実的には、お得意さまくらいしか特定ができないかなぁ、と
売り方10. 抽選販売
ハンドメイド販売では一般的ではありませんが、抽選販売は、強力に「持った気持ち」を作り上げます。
抽選に参加した時点では、まだ購入は確定していません。しかし、脳内ではすでに手に入って、そのアイテムを楽しんでいる自分がいます。
にも関わらず、抽選に外れてしまったら?
すでに手に入ったつもりで2倍の価値になったアイテムを、目の前で取り上げられるかのような錯覚を覚えます。
絶対に欲しくなり、次回も抽選に参加する可能性が高まります(二次流通の市場があるブランドなら、プレミア価格で買うという挙動に出ることも)。
また、抽選販売に参加するためには、メールアドレスをショップに登録することになりますね。連絡可能なリストもゲットできてしまうと。
購入者数よりも多い数のリストをゲットできるのは、実においしい。次からは、直接オファーをブチ込めるようになりますからね。

抽選販売の機能は、一部のネットショップサービスで実装されてるよ
売り方11. オークション
オークションもまた、「持った気持ち」を強力に作り上げる販売方法です。
最高額で入札した瞬間に、もう手に入った気持ちになりますから。
そこに誰かが高値で入札を被せてきたら?
すでに脳内では2倍の価値に膨れ上がった商品が、誰かに奪われようとしている!
とんでもない!もっと高値で入札しないと!
こういう話ですね。
競ってもらうためには、なるべく多くの人に所有気分を持たせたい。そのためには、少数の人ではなく、多くの人にとりあえず入札してほしいですね。
スタート価格を低めに抑えて、入札者数を増やすと良いでしょう。
安く売れてしまうことを危惧するなら、希望価格や即決価格を高めに設定しておくと良いですね。高い数字に吸い寄せられるようになります。こちらは、「アンカリング効果」と呼ばれています。

とはいえ、オークションもハンドメイド販売では一般的じゃないねぇ

そうね。なので、後ろの方に載っけておいたのよ
ボクが聞いた限りの話ですと、ドール作家さんはヤフオクが主戦場でした。
「ボークス」というメーカーのドールなのですが、デフォルトでは顔が描いてなくて、自分で顔を描いたり、クリエーターが顔を描いたドールを売買する文化になっています。
で、売買はなぜかヤフオクが主戦場になっていると。
まとめ

今回は、「保有効果」を元に、持たせた気分にさせることで、購入率をアップさせる方法を解説したよ

相変わらず理屈っぽかったけど、勉強になったわ!
損失回避性とは?
- 損失回避性により、人間は「得」よりも「損」に2倍強く反応する。そのため、ネガティブ訴求は反応が良い
- ハンドメイド作品は悩みを解決するタイプの商品ではないので、ネガティブ訴求は使いづらい
保有効果とは?
- 保有効果により、一度手に入れたモノや環境には、手に入れる前の2倍に価値を感じるようになる。損失回避性を別の視点から捉えたもの
- 保有効果は、「所有した気分」になるだけでも発動する。購入前に所有した気持ちにさせれば、買いたい気持ちを増幅できる
- 保有効果を使えば、ハンドメイド販売でも損失回避性の効能を取り入れられる
「商品設計」で保有効果を取り入れる方法
- オーダーメイド
- カスタマイズ性のある商品
- アイデンティティに触れるデザイン
「売り方」で保有効果を取り入れる方法
- 着画(利用シーンに近い画像)を載せる
- 想像させる質問を投げかける
- 五感を刺激する表現
- 動画を使う
- 満足したお客さんのリアルな事例
- 開封動画や実演動画
- 実際に手に取ってもらう
- なるべくたくさん関わってもらう
- お得意さまへの限定オファー
- 抽選販売
- オークション
色々と話したんですが、「お客さんに、買った後の自分の姿をリアルに想像させるべし」ということですね。
そのためには、作家であるあなたが、お客さんがどんな未来を求めているのか知らなきゃいけません。そして先回りして、「こういう絵面が欲しかったんでしょ?」と提案する。
お客さんは、「あー、そうそう!まさに、こういうのが欲しかったのよ!」と。あぁ、この作品が手に入ったら…、と妄想を巡らせる。この妄想する過程で、持った気分が植え付けられるんです。
絶対にプラスの成果につながるので、ぜひあなたの作品に当てはめて考えてみてくださいね。
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