
機能だけで言ったら、おそらくはAmazonで探した方がコスパが良い。機能は同等か、あるいは劣っているかもしれません。100均で済ませることもできます。
そこに、あえて何倍ものコストをかけて、個人の作品をなぜ買うのか?
ハイブランドなら、10倍とか20倍払うわけです。こういうことは、「食器用洗剤」や「薬」には当てはまりません。
購買動機に「承認欲求」が隠れていることくらい、賢明なあなたは気づいているはず。
一括りに「承認欲求」と呼ばれているのでごっちゃで捉えられていますが、
- 「男性」的な承認欲求
- 「女性」的な承認欲求
は、明確に違います。
一般に、マーケティング手法は男女を区別しません(ターゲットとしては分かれますが)。
100冊ビジネス書があったら、男女の違いにメスを入れているのは、肌感覚で2-3冊くらい。心理学や行動経済学ですら、男女の違いにはほとんど触れません。
しかし、現実的には、男と女の買い物は、結構違う。
田舎のおばあちゃんだって知ってる話
ここを理解しないと、
- お客さんが、深いところで何を求めているのか?
- 何倍もの金額を払って、正味何を買っているのか?
本当の勘所はわからないのです。
わからない勘所をどう刺しに行くのでしょう?
深い深い顧客理解の旅に出かけよう!
アイアイサー!
改めて、承認欲求とは?

承認欲求とは、読んで字の如く、「他人から承認されたい欲求」です。
まずは、承認欲求の成り立ちを超速でおさらいしましょう。
原始的な欲求
人間には、さまざまな欲求があります。
- 食べたい
- 楽したい
- 清潔にしたい
- 安全な住居に住みたい
などなど。
これらは、生命維持に直結している原始的な欲求です。無人島で1人で暮らしているとしても、生じてくるような欲求ですね。
この辺りの低次欲求は、男女で違いが出ません。男女どちらにとっても、同じくらいリターンがあるからです。
仲間を求める欲求
では、最低限の衣食住が満たされたら、次に何を求めるでしょう?
次は、「仲間」じゃないですかね。
人間は、他人と協力体制を築いて生き残る社会的動物。本能的に仲間を求めています。人間は、孤独に耐え忍べるようには設計されていません。
世の中には、群れずに単独で生きていく生物もいます。そういう種は仲間を求めませんから。割合と高等な、社会的動物だけに存在する欲求です。
欲求の段階が1つ上がりました。
ここも、概ね男女共通と思って良い
承認欲求へ
人間が2人以上集まると、そこに「社会」ができます。社会とは、「群れ」をハイソに言い換えた用語です。
ここでやっと登場するのが、承認欲求ですね。
承認欲求とは、群れの中での振る舞いに関する欲求です。
承認欲求は、仲間の存在が前提となってます。無人島では発動しない、さらに1つ高い次元の欲求であるとお分かりいただけたでしょう。
この段階までくると、男女で戦略が変わってきます。食ったり寝たりする分には男女共通でも、人間関係の築き方は、男女で異なってくるのです。
だから、承認欲求にも男女の違い出る
承認欲求はビジネスに大切だから、男女の理解を理解することもビジネスに超大事と…!
男女の承認欲求の違い

理由は後回しにして、先に結論を述べることにしましょう。
男女双方に共通しているのは、「仲間から、自分の社会的ポジションを認めてもらう」ところまで。その先の方向性は、全く異なっています。
率直に言えば、同じ「承認欲求」で一括りにするのは間違いと思うくらい、別ロジックです。
男は、尊敬されたい
男性型の承認欲求は、「地位承認欲求」です。あるいは、「能力承認欲求」です。
自分地位や能力を、他人から認めてもらいたい。
- 強いな
- すごいな
- さすがだな
- うらやましい
こう言ってもらいたい。
これらが、最上級の褒め言葉になります。
女は、ただ認められたい
女性型の承認欲求は、「関係承認承認」です。あるいは、「存在承認承認」です。
その場にいることを、他人から承認・肯定してもらいたい。そういう欲求です。
- わかる
- 大丈夫
- 大変だったね
- それで良いと思う
- そのままで良いんだよ
という言葉が、心地よく感じます。
「感じます」っても、ボクは男だから正確には理解できてないけどね
「承認」って日本語のニュアンスは、女性型の方が当てはまってそう
エピソード)オチのない会話
保育園の保護者会に、奥さんとボクで出席したときのこと。
会の終わり際に、「じゃあ、パパママ同士で、日頃の悩みなんかを話し合いましょ〜」と座談会になったんですね。
我が家以外は、ママだけの参加。ここで男がしゃしゃるのもどうかと思ったので、聞き役と相槌に徹することにしました。
- トミカぶん投げる!
- 野菜食べてくれない!
- 上の子が、やっと寝た下の子を起こす!
とか、いろんな悩みが噴出しました。
ところが、「そうだよね〜」「私だけじゃなかったんだ〜」とか言っているだけで、一向に解決策の話が出てきません。
ま、よくある女性の会話よね
ここに、女性の承認欲求が見て取れる
男性からすると、この会話は全く面白くありません。ただ、同じところをグルグル回っているような、もどかしい感じになります。
しかし、女性は違う。
実際、「私だけじゃなかったんだ〜」と言っているママの顔は、ものすごくスッキリしているのです。本当に安心した表情をしているんですね。
- 私は間違ってなかったんだ
- みんなと同じだったんだ
- 仲間外れじゃないんだ
と、仲間に認められたことが報酬になっているのです。
同じところをグルグル回っているのではなく、ちゃんと気持ちが上がっているんですね。
女性は意外に感じるかもしれませんが、男性は、「大丈夫、あなたは間違ってないよ」と言われても、「あぁそうですか。良かったです(棒読み)」みたいな感じですよ。
え、そうなの?ホッとしないの?
悪い気はしないけど、感情の起伏はほぼ起きないな
なぜ男女に違いが?

このような心理の違いが生じたのは、進化過程のかなり長い期間において、この違いが有利に働いたためです。
- 尊敬されたい男
- 認めてほしい女
が、生存や繁殖に有利だったということです。
結果として、ここに性差が生じた。
生物の話なので、ここは飛ばしても良いよ
(また趣味で書いたな…)
飛ばしてもらって大丈夫ですが、ここを説明しておかないと、以降で展開するロジックの拠り所がない。ちゃんと腹落ちさせたい人は読んでみてください。
人体の構造に遡る
ことの発端は、精子と卵子の違いまで遡ります。
めっちゃ遡るやんw
がっつりハショるからしゃべられせてくれ
精子は、生殖細胞に片道の推進器が付いただけ。実に低コストです。
一方で卵子は、受精した胚が成長するための栄養をたっぷりと蓄えています。厳密な比較はしづらいのですが、卵子の製造コストは、精子の数千〜数万倍になるだろうと。
ここで、1つの駆け引きが生じます。
「この子供を誰が養育するか?」という駆け引きです。
少々不謹慎に聞こえてしまいますが、生物としては、パートナーに養育を任せた方が得です。労せず子孫が育つ方が、リソース効率が良いですから。
交渉というのは、基本的に「譲れない側」が不利で、「いつでも席を立てる側」が有利。すでに多大なコストを払ってしまっている女性の方が、交渉では不利な立場です。
だから、
- 抱卵するのもメス
- 出産するのメス
- 授乳するのもメス
という、不均衡が生まれてしまう。
精子と卵子の製造コストに端を発して、繁殖に関するコストのほとんどを、女性が背負うことになってしまった。
これが、男女の人体構造の差になって現れている
女の適応戦略
こうなると、女性は大変です。
「妊娠→出産→授乳」で、無防備な期間ができてしまいます。
進化過程の人類は、乳児死亡率も高かったでしょう。それでもこれだけ人口が増えたのですから、母親はこのサイクルを10〜20年繰り返していたのではないでしょうか。
自力では母子の生命を維持できない無力な時間が、10〜20年も続いてしまう。
5人産んだら、早くても10年かかるもんね
その間、どうやって生きてくって話よ
この間の母親は、なかなか危うい状況に立たされています。パートナーの男性や、周りの仲間を頼るしかありません。嫌われたら、母子ともにアウトです。
だから、他人からの否定が怖い。
- 「あなたが嫌い」
- 「あなたは間違っている」
は、生命の黄色信号。
脳は、危機感に応じた強いネガティブ感情をアサインしています。
逆に、
- 「大丈夫」
- 「あなたはここにいて良い」
と言われるのは、生命の青信号。
自分の存在を承認してもらうことが、身の安全を確認する機会だった。だから脳は、ポジティブ感情をアサインしているわけですね。
ここに、女性型の承認欲求の原型を見ることができましょう。
男の適応戦略
反対に、男性の方はどうだったのでしょう?
基本的に、オスの方が体躯が大きい動物は、一夫多妻制です。先進国の人々は理性で一夫一妻制を敷いていますが、生物的には一夫多妻がデフォなんですね。
こうなるのも、やはり男女の身体の構造の違いから。
メスも思うところは色々あるでしょうが、やはり母子の生命を存続させるために、「安全保障」と「経済力」をパートナーに求めます。国民が国家に求めるものと同じですね。
そうなると、強くて経済力のあるオスに需要が集中するわけですが、オスは繁殖コストが軽いので、複数のメスを同時に相手できてしまいます。
こうして、強いオスによる一夫多妻で需給が均衡すると
オスはオスで、過酷な環境です。一夫多妻であっても、男女比は「1:1」なので、独身であぶれるオスの方が多くなってしまうからです。
- デフォルトでは子孫を残せない
- のし上がれば子沢山
両極端です。
こうなると、鍛えて強くなって、ヒエラルキー駆け上がって、経済力をつけたオスが、繁殖レースで有利。オスにとって、生きることは競争なのです。
ここに、男性型の「俺つえーだろ?」な承認欲求の原型が見て取れます。
女ばかり損かと思ったけど、男は男で面倒なもの背負い込んでんな
一応)完全に二者択一ではない
誤解を与えてはいけないので、一応断っておきましょう。
- 男だから→尊敬だけを求める
- 女だから→ただ認められれば良い
という、「10:0」「0:10」ではありません。
男性の中にも女性性はあり、ただ認めてほしい気持ちも多少はあります。女性の中にも男性性はあり、ヒエラルキーを上りたい欲求も持っています。
おそらくは、
- 男性 → 男性性8:女性性2
- 女性 → 男性性5(または4):女性性5(または6)
みたいな配分なんじゃないかと想像。
ここはあまり詳しくは語りませんが、男性は女性マンガをあまり読まない一方で、女性は少年マンガも同じように楽しめますからね。
この先の章で、男女の心理の違いをエグるように解説していきますが、あくまで「傾向」とお考えください。
概略は話し終えたので、以降の章で各論をツラツラ語っていこう
女性に強い同調圧力

少々言い方に気を使いますが、
女性の方が、他人に依存せざるを得ない環境でした。男性は、自分の力で運命をコントロールする裁量がまずまず残されていましたが、女性はその裁量がずっと希薄でした。
交渉では、「譲れない側」が弱く、「席を立てる側」が有利です。
必然的に、女性の方が交渉力が弱い。遺伝子や脳は、深いところでそのことを理解しているのでしょう。
同調圧力がより強くかかりやすいのは、女性の方です。
NOを言いづらい
同調圧力が効きやすいということは、「NO」を言いづらいということでもあります。
女性の皆さん。
上司から、「帰り支度してるとこ申し訳ないんだけど、これ頼んでいいかな?」と言われて、
「いいえ!帰ります!」って強く断れますか?
結構抵抗あると思います。
確かに断りづらいね…
相手に譲っちゃう機会も多いと思うよ
トレンドに敏感
トレンドも、一種の同調圧力と見做せるでしょう。
男女ともに、ファッショントレンドはありますが、女性の方が敏感ですね。男性向けと女性向けのファッション誌の数の違いを見ればわかります。
以前に女性の方から、「女はトレンドに乗っているのが楽しいんです」と言われたことがあります。男性には、あまりない感覚。
男性は、「トレンドに乗りたい」という動機はさほど強くありません。乗るのも1つのスタイル。好きなスタイルを選んでも良い。お好きにどうぞ、みたいなゆるい感じ。
女性のデフォルトは「トレンドに乗る」で、あえて別のスタイル選択をするのは、「トレンドに逆らう」という感覚があるのかもしれません。
この心理は、「みんなと同じが良い」よりも、「間違えたくない」ですね。
トレンドとは、つまり「正解集」です。流されているのではなく、社会的に適切な選択をしている感覚。個性追求よりも、失敗回避を優先しているのです。
- 全員が「赤い服」を着ている中で、自分だけ「青い服」を着れるか?
- それで、後ろ指刺されないか?
これを気にしているわけです。
トレンドが「赤い服」と言っていたら、それが「今の正解」なんだとわかります。
安心材料、心の安寧としてのトレンド!
SNSに見る男と女の違い

SNS上での男女の振る舞いについて。
どちらもSNS上での「いいね」や「フォロー」が、男女共に報酬になっているのは、状況証拠的に間違いありません。
しかし、その先に求めているものは、男女でちょっと違っています。
男にとってのフォロワー数
男性にとっては、「ステータス」です。
年収や役職と同じ。「俺 > 他人」がわかりやすく数字で可視化されているところが報酬になっています。
太古は「筋肉」で、現代は「札束」で殴り合うのが男性。そこに「フォロワー数」が追加されたとお考えください。
良くも悪くも、ただの数字
殴り合うための数字だな
女にとってのフォロワー数
女性のSNSも、まずまずマウント行動が見られます。
あのキラキラに見せたい欲求は、半端じゃない。むしろ、男性よりも強くすら感じます。
一見すると、ステータスのように見えなくもないけど
実際にはちょっと違う
「わたしの方が強い」というマウントではなく、「わたしの方が仲間に支持されている」というマウントです。
この微妙な違い、おわかりでしょうか?
- 男は、強く見られたい
- 女は、価値ある存在でありたい
男性は、コミュニティの中でてっぺんに立ちたいんです。周りより上でありたい。
女性は、コミュニティの中でたくさんの賛同者がほしいのです。周りと同列で構いません。ただ、受け入れてくれる仲間がたくさんいてほしいのです。
過剰に承認を求める心理
女性にとって、「わたしは価値ある人間」では不十分。「わたしは価値ある人間であると、みんなが認めてくれている」必要があります。
普段の生活の中で、お友達でもなければ、「いいね!」なんて言ってくれません。
しかし、SNSなら言ってくれます。見ず知らずのたくさんの人が、「あなたは大丈夫!あなたはそのままでOK!」と、お墨付きをくれるわけです。
「わぁ、わたしは上手くやれてる!」
「わたしは、みんなに受け入れられている!」
「わたしは、ここで安全に暮らしていける!」
大変結構。生物的には、素晴らしい報酬です。
男性と違って、ただの数字じゃないんですね。
- 1回の「いいね」
- 1人の「フォロー」
が、逐一報酬になるわけです。
一種の脳内麻薬として作用してもおかなしくない。
マジで、完全に暴走しちゃってる人いるもんな…
女性とプレゼント

女性と男性では、プレゼントの重みが全く変わってきます。
端的に言えば、女性の方が、プレゼントをずっと重いものとして捉えています。
ダイヤモンド
ダイヤモンドは、キラキラして美しい。だからもらったら嬉しい?
そうじゃないです。
高価だから嬉しいんです。
高価なものが好きだからではありません。男性のように、「値段 = ステータス」と捉えているわけでもありません。
ただ、「わたしは、これだけ高価な贈り物をされるだけの価値がある」と確認できることが嬉しいのです。
ダイヤの価値ではなく、「自分の価値」が証明されることの嬉しさよ
花
女性の皆さんは意外かもしれませんが、男性は花を贈られても、特に感動はしないです。「キレイなお花ですね。どうもありがとう」みたいな。
ダイヤモンドもそうですが、花もこれといって役に立つ機能は持っていません。
しかも枯れる。
いや、むしろそれが良いのです。
花束にかかったコストは、純粋に贈る女性のために払ったコストと見做せるからです。「わたしは大切に扱われている」という状況証拠を、花束に見出せる。
なるほど!そう考えたことはなかったな!
こういう心理?
少し穿った例を出しましょう。
小説『ゴーン・ガール』からの引用です。
プレゼントではありませんが、ニュアンスはかなり似ています。
これを着て、それは着ちゃダメ。今すぐこの家事をやって、それから時間があったらーというのはつまり今だけどーそっちもやって。
それから、わたしのために好きなことを諦めて。絶対に。そうしたら、わたしが1番だって信じられるから。
女って、わがままコンテストでもやっているみたいだ。読書会やお酒の席なんかでは、いかに夫が自分のために犠牲を払ってくれるか打ち明けあうのが、何より楽しそうに見える。
ギリアン・フリン『ゴーン・ガール』より引用
このコンテストは、「夫の優しさコンテスト」ではないですね。「妻であるわたしがどれだけ大事にされているかコンテスト」です。
SNSで女性がするマウントも、構造は同じ。
ボクは女性じゃないので、これが女性の本心かどうかはわかりません。うちの奥さんからは、今のところこんな扱いは受けたことはありません。
ただ、こういう心理がある可能性は、十分にあり得るとは思います。
ちなみに、作者は女性よ。この発想は、男性作家からは出てこないって
なるほど…。こういう心理があるのかなぁ
「モテ」「カワイイ」の真相

女性社会に存在する「モテ」「カワイイ」という文化。
「モテ」なんて言われると、男性の目を意識しているように勘違いしてしまいますが、実際にはそうではないんですね。
- 長いネイル
- カラコン
- 地雷系ファッション
- 眉上の前髪パッツン
- 強めのパーマ
は、正直男子ウケしないです。
長いネイルが好きな男って、聞いたことないよ
つまり、「モテ」も「カワイイ」も、男にどう見られるかなんて、気にしてないんですね。
実のところ、「モテ」も「カワイイ」も、女性コミュニティ内で高評価を得るためのファッション。求めているのは、同じ女性からの承認です。
合コンや婚活なら、また違う格好をするのでしょう。
同じ女からの批判の方が怖い
これは面白い現象で、
- 異性の男からの承認
- 同性の女からの承認
を天秤にかけたとき、同性の女性からの承認の方が重いと判断されがちなよう。
言われてみると、確かにそうかも!
同じ女性からの批判の方が怖いんだな
これも、進化過程の一夫多妻の名残かもしれません。繁殖レースにおいて、常に需要超過だった女性は、男に色目を使わなくても、パートナーをゲットできたのでしょう。
むしろ、男の方が食い気味で、女の尻を追いかけ回していたと想像できます。人間に限らず、どの動物もだいたいそんな感じです。
男には多少つれない態度でも問題ないけど、女には気を遣わないと、本当に嫌われちゃう。
加えて、女性は「妊娠・出産・授乳」で身動き取れない時間が長いですから、集落に残って、身の回りの仕事を担当していたのでしょう。動ける男たちが外に出ていって、食糧を調達していた。そう考えるのが自然です。
そうなると、日中は女社会になります。夜は飯食って寝るだけですから、女性にとっては、男と過ごす時間よりも、同じ女と過ごす時間が長かったのでしょう。
女性が敵に回したくないのは、同じ女なのです。
ま、これは女はみんな気づいてると思う
ブランド物を求める心理の違い

ブランド物は、男女ともに承認欲求に応えています。
一般に、女性の方がブランド好きという印象があるかもしれませんが、男性も負けず劣らずブランド好きです。
ただ、ここもやっぱり違いがあります。
男性にとってのブランド
ここまでもこれからもずっとそうなのですが、男性はマジで単純です。
男の深層心理は、悟空やバキのまんま。
ただ、自分を強く見せるための武器としてのブランドです。
- 高スペック
- 希少性
- ステータス
が大好物。
ヴェブレン効果
心理学には、値段が高くなるほど売れる「ヴェブレン効果」というのがあります。
一見すると経済の原則に反するので、「人間は不合理だなぁ」と言われるのですが、まぁマヌケで浅い意見です。全く不合理じゃないですから。
だって、「高い値段でも買える俺つえー」って言えるじゃないですか。
男性の深層心理では特大のベネフィットよ?
まず、高いの良いことです。しかし、チプカシに100万円払ったら、ただのバカだと思われますね。高いことを正当化させる理由が必要です。
例えば、機械式時計には、三大複雑機構なる機能があります。
- ミニッツリピーター:音で現在時刻を知らせてくれるチャイム機能
- 永久カレンダー:月による日数の違いや閏年を自動調整したカレンダー機能
- トゥールビヨン:時計の内部機構ごと回転させて、地球の重力による「時間の狂い」を相殺する機能
トゥールビヨンとか、もはや何言ってるのかわかんね…!
スマートウォッチは全部クリアしている機能ですから、これらの機能欲しさに何百万円も払っているとは考えづらい。
そうではなく、高いだけの正当な理由に使っているだけです。
- こんな珍しい素材だから
- 1つ1つ手作りで工数がかかってるから
- 世界で作れる職人が数人しかいないから
「ほら、高いのはごもっともだろう?」と言いたいだけ。
プレミア価格
男性のブランドものにあって、女性のブランドものにはあまりないのが、プレミア価格。プレミアだろうがなんだろうが、高いことは良いことなのです。
プレミア価格が釣り上がるにつれて、欲求も高まります。
女性は、個人的な強さを求めていないので、高い買い物でマウント取る動機がありません。プレミア価格が高すぎると思えば、別のものを買います。
「高いから欲しい」は、男性的な現象なんだな
女性にとってのブランド
では、女性にとってのブランドとは、どんな意味を持っているでしょうか?
ステータスでマウントを取りたいわけじゃないのに、なぜブランドに高い値段を払うのでしょうか?
「安全」だからです。
みんなが認めているブランド、例えば「エルメス」としましょうか。
みんなが認めているエルメスを持てば、非難されません。そして、エルメスというブランドが持っている肯定感を、自分にインストールすることができます。
ある意味で、美人投票的なところがあります。
美人投票とは、1番多くの人が「美人」だと投票した候補者を選ぶと勝ちになるゲーム。自分の好みはさておき、「みんなが美人と思いそうな人」を選ぶゲームですね。
同じように、みんなが評価しているブランドにこそ意味があるわけです。
ハイブランド以外は?
上記の話は、主にハイブランドのことと思われたかもしれません。
そうでしょう?
いや。どんなブランドも同じだよ
- 「ハイブランド = 万人から肯定されるブランド」
- 「ニッチブランド = ニッチな界隈で肯定されるブランド」
自分らしいスタイルを選ぶ人は、万人から肯定されるよりも、界隈の同類から肯定されたいと思っています。
北欧風だろうが、ゴスロリだろうが、その世界のスタンダードなブランドはあるはず。中の人たちの需要は、やっぱりニッチ界隈の有名ブランドに集まるのです。
同じ構造じゃないですか?
ちょっと待って!
じゃあ、どの範囲を選んでも界隈の有名ブランドに勝つのは無理ってことじゃ!?
だから、「もっとニッチにせい」ってことよ
そういう意味では、ハイブランドを好む人は、特定のスタイルを持つグループに属していないのだろうと思います。普通の人ほど、ハイブランドを好みやすい。
ストリートとか、アウトドアとか、何か特定のスタイルを嗜好していて、そっちのコミュニティの方が大事な人は、ハイブランドよりもニッチブランドを選ぶわけです。
零細ブランドは、普通の人よりも、何か変わった属性を持っている人をターゲットにすべきですね。
男性向けマーケティングの4つのテコ

ここまでの話を敷衍して、ビジネス観点でも語っていきましょう。
まず男性から。
男性は単純です。
どれだけ「俺つえー」な自分を刺激できるかですから。詰まるところ、能力が誇示できれば良いのです。言ってて悲しくなってきますがね。
承認欲求の目線でのテコってことね
テコ1. ラグジュアリー
男の悲しい性ですが、まず優先されるのはラグジュアリーです。
もし相応の経済力があるなら、必ずと言って良いほど高いアイテムへとシフトしていきます。「それを手にできる俺すげー」だからです。
とはいえ、ジャラジャラとしたいやらしさを嫌う男性も多い。じゃあ、割合シンプルなアイテムをとなりますが、結局シンプルでも高いものを選ぶわけです。
もし、この世界で1番ハイグレードな車が500万円だったとしたら、700万円払える男性は、潜在的に700万円の車を求めています。
だから、車でも腕時計でも、際限なく「もっと高い」選択肢が登場するわけです。女性のブランドにはあまり見られない挙動です。
テコ2. 希少性/限定
「希少/限定」は、男女ともに財布の紐が緩くなります。
承認欲求とは別系統で、「今を逃すと手に入らないから、選択肢を潰される前に手に入れておこう」という心理になるから。「心理的リアクタンス」と呼ばれる現象です。
女性は、ただ心理的リアクタンスが発動するだけ。
男性は、その先で承認欲求も駆動します。
「希少 = 価値ある = 高い = ステータス」というロジックが成り立ちますからね。
加えて、希少な資源の獲得能力と解釈すると、「希少 = 競争 = 手に入れられる俺つえー」にもなります。
19世紀、当時の技術では精錬が難しかったアルミニウムは、金よりも高価な金属でした。ナポレオン3世は晩餐会で、高貴なゲストにアルミニウムの食器を出し、一般ゲストには金の食器を出したという逸話が残っています。
男性にとって、数が少ないこと自体が価値なのです。
テコ3. コスパ
際限なくお金を払える人はどんどん高いものを買えば良いのですが、ほとんどの庶民にその選択肢はありません。
1番上はムリとしても、同じ階級の中ではなるべく上に上がりたい。
武器のスペックは、一単位でも高い方が良いのです。
「コスパ = 安くてハイスペ」と捉えられがちですが、男性視点では、厳密にはちょっと違う。「コスパ = 予算内でもっともハイスペ」です。
- スタンダード10,000円 → スペック150
- ハイグレード15,000円 → スペック180
なら、「スタンダード」の方がコスパは良好です。
それでも予算が許すなら、ハイグレードに行くのが男の子
テコ4. その他の能力(主に高度な知識)
ここまで、札束で殴り合う感があって、1人の男として実に悲しい気持ちになりました。
現代社会の「強さ = ヒエラルキーの高さ」の尺度は「経済力」なので、社会構造上どうしてもこうなってしまう感は否めません。
しかし、何も社会で一目置かれるのは、お金だけではありません。
- プログラミングの技術
- 高度な専門知識
- 美しい歌声
も、社会には必要とされますから、相応にヒエラルキーは上がります。
割と汎用的に刺激されやすいのが、マニアックな専門知識。より深く排他的な知識を持っていることで、その狭い界隈での権威になれるからです。
ここで、女性の皆様には一切理解できない世界が繰り広げられることになります。
このロレックスのエクスプローラーは、1955年〜1958年にかけて製造された希少モデル。リファレンスナンバーは「Ref.6610」。経年変化でヴィンテージ感が出やすいミラーダイヤルが…
このA-2ジャケットは、1942年のエアロレザーの復刻。革は茶芯のホースハイド。台襟は省略。ジッパーは、タロン大戦モデルの復刻版「Talon M-41」で…
心の底からどうでも良いと思うでしょう。
同じ男だって、外部の人なら全くもってどうでも良い。
しかし、界隈の男たちにとっては、これが何より重要なことなのです。
「ウンチクを語れる」が、極めて強力なベネフィットになると覚えておきましょう。
冷静に考えるとギャグよな
レザーの種類とかどうでも良いよ。柔らかくて着やすいかだけ!
女性向けマーケティングの5つのテコ

いやぁ、男ってバカですね。いつまで経っても男の子。
では、続いて女性の方を。
女性は、男性ほど単純ではありません。
テコ1. 愛されるわたし
女性向け訴求では、しばしば「愛され〇〇」というワードが使われます。「愛されボディ」みたいな。
この訴求は、男性向けにはない、女性向けマーケティング特有のもの。
- 化粧品
- 美容
- ファッション
などなど。
これらの真の訴求は、「もっと美しくなる」ではなく、「もっと愛されるわたしになる」です。女性誌は、「美人になる方法」を謳っているようで、実際には「愛される方法」を売っているんですね。
突き抜けて美人になるよりも、最大公約数から受け入れてもらえる方が重要なのです。
テコ2. 仲間に受け入れられるわたし
- みんな持っている
- みんな使っている
- 口コミ
- レビュー
- インフルエンサー
が購買に影響を与えやすいのも女性の方。
これらは一般に、「社会的証明」とか「バンドワゴン効果」と呼ばれていて、「みんなが持ってるから優れているはず」という心理が働きます。男女共通です。
男性の場合、商品の良し悪しを判断する材料として、社会的証明を利用しているに過ぎません。単に、ヘタな買い物をしたくないだけです。
同時に、「みんなが持っている」なら「横並びで上に立てない」という、負のベネフィットを背負うことにもなります。
「みんなが持ってる」は、男子の内心ではちょっとしたコンフリクトが
一方、女性の場合は、単なる社会的証明を超えて、「みんなが持っている」こと自体がベネフィットに昇華しています。
みんなが認めていて間違えようがないことが、女性にとっては価値あることなのです。
この辺りは、女性のトレンド感度とも共通するね
テコ3. 自分を大切にできるわたし
近年強い傾向かもしれません。
- セルフケア
- ご褒美消費
- ウェルネス
- リラクゼーション
自分で自分を大切にすることが、承認欲求とどう関係するか?
おそらくは、こういうことです。
髪ボサボサで、アカギレだらけの手だったら?
「わたし、大切にされてない…」と認めることになっちゃうじゃないですか。
それだけじゃないですよ。それを他人、しかも同じ女性に見られたら、「かわいそうに…。あの人、大切にされていないんだ」と見下される、と思ってしまうわけです。
おじさん芸人が集まってバカなことをしているバラエティ番組はたくさんあります。しかし、おばさん芸人のそれはありません。
奥さん曰く、「痛くて見てられない」からだそう。奥さんの妹も同じこと言ってたので、多分そういうことなんでしょう。
部屋を花やインテリアで飾ったり、たまには雰囲気の良い喫茶店でアフタヌーンティーを嗜んだりするのは、贅沢がしたいわけではありません。
ただ、自分が大切にされている存在だと確認したい。そういう動機なのです。
そうねぇ。丁寧に扱ってもらいたいのよね
身だしなみ意識の差にも
この辺りの意識は、やっぱり男性とは違います。
女性は、見られているのが誰であろうと、そこに「大切に扱われていないわたし」の姿を見てしまう。
これが耐えられない
女性はいくつになっても身だしなみを気にかけていますが、男性ときたら。一定年齢を過ぎたおっさんの2人に1人は鼻毛出てます。
動機が「よく見られたい」なら男女共通なんですけどね。
おっさんだって、相手によっては気をつけます。女の子のいる店に行くとか、高校時代の友達と会うとか。でも、見栄を気にする必要のない相手だと、本当にどうでも良くなります。
独身でまだギラギラする必要があるおじさんは、割とキレイにしています。
本当に気にしなくなるのは、妻子持ちで、子供も大きくなって、もう繁殖レースから降りたおとっつあん。生物的には、もう自分を良く見せる理由がなくなってますから。
テコ4. 誰かに価値を提供できるわたし
「誰かの役に立ちたい」という動機は、社会的動物のデフォルト。なので、男女ともに持っています。ただ、男女でいくらか差があります。
生物学的に考えると、他人に施してばかりで自分にリターンがなければ、収支マイナスで生存には不利。基本的には、「施し」と「返報」はセットになります。
男性もピュアに「他人の役に立ちたい」と、意識レベルでは思っています。しかし、無意識の深いところでは、見返りを期待した打算的な利他心なのです。
意識の上では本当に善意だから、嫌なヤツとは思わないでね
女性も基本は同じですが、見返りはなくても良い。
ただ、相手が「自分の存在を肯定的に認めてくれる」だけでも報酬になりますから。最悪、敵にならなければ、それでも報酬です。
- 料理
- 育児
- 贈り物
などを観察すると、やはり男と女ではモチベーションが違います。
男性は少々義務的というか、「やらなきゃいけないからやる」なところは正直あります。接待で大きなリターンが期待できるなら、裸踊りも辞さない覚悟です(←昭和)。
女性の利他心は、そういういやらしさがないですね。もっと純粋です。
贈り物を選ぶときも、本当に真剣です。男は、「これで良いんじゃね?」で済ませがちですが、女性は、本当に相手に喜んでもらいたいという気持ちがスゴい。
相手に喜んでもらうことで、承認欲求が刺激されるのは女性の方。
保育士や介護士などは、女性割合が大きい職場です。出だしで「女性の職場」というイメージがついてしまったことも理由でしょうが、それだけではないと思いますよ。
家族や友人を喜ばせることは、強いベネフィットになるってこったね
テコ5. 愛が深いわたし
男女共に、自分がどっぷりハマっている領域で、マニアックな方向へ傾倒する性質を持っています。
男性の場合は、主に「知識の深さ」をアピールすることで、その集団内でのヒエラルキーを上げたい動機があります。
女性がアピールしたいのは、「愛の深さ」です。愛とは、見返りを求めない利他精神のこと。自分が、どれだけ他人に尽くせる人間か。それを知ってほしいのです。
同じキャラクターの缶バッジをカバンにびっしり敷き詰めるのは、自分の愛がいかに深いかを物語りたいがゆえ。
わかってきたぞ!愛の深さを表現させてあげられる作品をってことだな!?
そそ。「わたしの愛は海よりも深い!」ってプラカードに書いて練り歩くわけにいかないからね
以前、すれ違った20代前半頃の女子2人の会話が耳に入りました。「金なさすぎて、和泉守兼定のクラファンに参加できなかったのが心残りで…」と。
ここで言われている「兼定」は、おそらく刀剣乱舞じゃなくて、本物の日本刀の方じゃないかと思います(セットで好きな可能性はありますが)。
愛の対象は、必ずしも「人」とは限らないようです。
「排他的集団への帰属」は男女ともに強い

男女共に狙えるのは、「排他的集団に帰属したい」という欲求です。
つまり、限られた人しか参加できない特別なグループの一員になりたいという欲求ですね。
例えば、「カエルモチーフ」のアクセサリーを考えてみましょう。
カエルの全身まんまだとギョッとしますね。「目だけ」とか「手のひらだけ」が良いかもしれませんが、その辺りのディテールは一旦無視します。
このとき、誰でも知っている「アマガエル」よりも、知る人ぞ知る「南米の毒ガエル」の方が良いわけです。
より特別なグループの一員になれるからか!
表面的には男女共通の挙動ですが、心理メカニズムは少し違っています。
- 男性は、「マニアックなカエルの知識をアピールできる」が価値
- 女性は、「同じカエル好きの仲間ができる」あるいは、「カエルへの愛の深さをアピールできる」が価値
両性の承認欲求が、「排他的集団への帰属」で一致するというわけです。
唯一違う点を挙げるとすれば、男性の方がエスカレートしがちで、女性は十分に絞られたらそこで止まります。
作品は参加証
そういう意味では、あなたが作る作品は、「特別なグループへの参加証」です。秘密俱楽部の会員バッジのようなものです。
男性がベンツを買うとしたら、「ベンツを乗り回したい」というよりも、「ベンツを持つ社会階級に仲間入りしたい」という動機が大きい。
ベンツの本質は、ベンツオーナーグループへの入会証です。車に乗るだけなら、ダイハツの軽でも良いわけですから。
フェラーリもハーレーも全く同じ。あのロゴが会員バッジなのよ
女性だって同じですよ。
女性向けブランドでちょうど良い例がパッと浮かびませんが、各界隈の定番ブランド・定番アイテムがありますね。
それらは、オーナーグループへの参加証になっているはずです。
な…ってるな!
確かにそうだ!
女性のShadowを考える

黎明期の心理学者ユングは、「Shadow(影)」という人格に言及しました。
影の自分、すなわち「裏の自分」ではあるのですが、「人に見せられないダーティーな一面」という意味ではありません。
真に意味するところは、「生きなかった自分の半面」ですね。現実の自分とは正反対の自分と言いましょうか。
抑圧されたShadowの反動
これまで述べてきた通り、女性は
- 「間違いたくない」
- 「除け者にされたくない」
- 「大丈夫って言って」
という心理が強く働いています。
そのため、どうしても他人に合わせる機会が多くなってしまいます。協調しがちな、「良い子ちゃん」になりがちなんですね。
その反対の人格が、女性が普遍的に持つShadowになっています。
女性ブランドの訴求で、「私らしく」とか「自分らしく」というフレーズをちょこちょこ目にします。抑圧されたShadowが漏れ出ているのがわかりますね。
別に悪い子になりたいわけではありません。ただ、「もっと自由で大胆なわたし」に、淡い憧れを持っているのです。
実際、男性ブランドで、「俺らしく」というフレーズは出てこない
Shadowを刺激する
Shadowは、満たされない潜在欲求。ここにビジネスチャンスが眠っています。
しかし、「古い自分におさらば!本当の自分を打ち出す旅にいざ!」ではダメ。あくまで主は、仲間との協調を重んじる女性性。これを捨てるなんて、抵抗が強過ぎます。
- 全く新しいスタイル100%
- 見たことのない珍品
- 既存の文脈無視
ではダメなのです。
- TPOのドレスコード
- みんなが認める定番
- トレンド
といった文脈は踏襲しなければなりません。
10割踏襲だと完全に没個性ですから、Shadowは満たされないまま。退屈なデザインです。
だから、8割(感覚値ですが)は踏襲しつつ、2割で外すわけですね。
「80%の安心」を提供しつつ、「20%の個性」も差し出すと
「個性化と所属の葛藤」を、うまい具合に満たすバランスが肝。つまり、「いつもの仲間にはちゃんと受け入れられつつも、わたしらしく輝ける」という絶妙なバランスです。
実際、売れる商品のほとんどは、「みんなが認める安心感」を土台にして、そこへ「ちょっとだけ冒険するわたし」を乗せています。
例外は、ほぼないと思いますよ?
世界一のデザイナーだって、この法則には逆らえない
「外し」の理論を理解しよう

「定番から、少しはずす」という話をしました。
ここで、「外し」の理論についてもお伝えしておきましょう。
どのような「外し」が、最大限に承認欲求を満たすのか?
知りたい!
「主」の選択
主は、「定番」を選択しなければならないと話してきました。
そうすると、
- 世の中のトレンド
- 最大公約数が好むお決まりの型
から選ばなければならないのでしょうか?
個人で、いくらでも自由に作れるのに?
周りに合わせなきゃいけないの?
なんだかつまらない。
思った、思った
大丈夫。そうではない
ここでいう「主」とは、「集団の仲間が認めてくれるスタイル」という意味ですね。
「集団」の規模をどう設定するかです。
個人ブランドなら、ターゲットを絞って、集団の規模を小さくすれば良いんです。何も、広い世界の全員から好かれる必要はない。
- 北欧風
- ナチュラル系
- 韓国系
- モード系
- ロリータ
- 阪神ファン
その小さな集団内で、「界隈の仲間が認めてくれるスタイルを、まずは踏襲しましょうね」と言っているだけです。
なので、まず最初の商品設計は、「自分の作品を身につけるお客さんが、所属している(あるいは所属したい)集団はどこなのか?」を明確に線引きすること。
まずは、ターゲットの文化圏を特定しないとね
外す以前の土台を明確にっと
「外し」の設計
外しとは、高度なコミュニケーションです。
同じ集団に属する2人が見合っていると想像してください。
まず、定番の共通コードを確認します。
「よし、お互いコードに沿っているね。ちゃんと場をわきまえた仲間だね」という所属の確認が入ります。暗黙のドレスコードは、共通言語なのです。
その上で、お互いの外し箇所を確認し合って、
「この外しの意味わかるよね?」
「もちろん。そこを外すとは通だね」
という、わかる人にしかわからないコミュニケーションを楽しんでいるのです。
また、外しの距離感を見て、
「ギリギリ調和してておしゃれ!」
「それはやり過ぎ。アウト」
という相互確認も行なっています。
この感覚を、数字や言語で定義するのは難しい。共通言語を理解できる界隈の人間でないと、見極められないものです。
だからこそ、顧客理解が欠かせません。
もっと言えば、作家自身も界隈の人である方が都合が良い
男女の「外し」の違い
外しの構造自体、
- 所属
- コード共有
- 外し
- 評価
は男女で共通です。
外しの距離は、女性の方がやや控えめになるかもしれませんね。同調圧が強めにかかっているので。とはいえ、ことさら言及するほどではないでしょう。
より意識するのは、外しの方向性です。
男性向けの外し
男性向けの外しは、
- 「強さ」
- 「知識量」
- 「希少性」
- 「技術理解」
と、やっぱり「能力」に寄ってきます。
何年製の型番が何某とか、時計の複雑機構がどうとかいう部分に、心惹かれるもの。
かつ、これは競争なので、終わりはありません。上か横にライバルがいる限りは、どこまで追求しても需要があります。
能力を盛れる外しが効くわけですね。
女性向けの外し
女性向けの外しは競争ではないので、永遠にエスカレートし続けることはありません。
「なぜそれを合わせたの?」と聞かれて、歴史的由来を説明する女性もいません。
- 「センス」
- 「調和」
- 「空気感」
- 「世界観」
「なんか素敵」で良いのです。
能力でマウントを取りに行くという大方針がなく、「認められつつ、ちょっと個性が出せれば良い」なので、360°どこへでもいけてしまう感があります。
すごく感覚的よね〜
ヒントになるようもう少し言語化したいけど、ここが非常に難しい
男性は、「俺が強い」を示すのに対して、女性は、「わたしはこの場・文脈を理解している」を示すニュアンスでしょうか。
なので、
- いつ
- どこで
- 誰と
- 何をする
という文脈によって、方向性が変わってしまうのだと思います。
このニュアンスは、この後の章も使って触れていこう
アイテム別の外し加減
この「外し」というのは、アイテム単品の話ではなくて、本来的には、全身コーディネートの中での外し。
ハンドメイドジャンルで圧倒的に数が多いのはアクセサリー。これも必然です。
結局、支配面積の小さいアクセサリーは外しやすいんですね。アクセサリーの大きさなら、割とぶっ飛んだデザインでも許容されます。
服は文脈に合ったスタンダードで抑えつつ、アクセサリーだけ個性を出す作戦は、理に適っていますね。アクセサリーは、「文脈微調整ツール」として重宝します。
色んな種類のアクセサリーが市場から求められますし、1人あたりが購入する数も多くなります。アクセサリー市場が大きい理由は、こういう構造にあるんですね。
服やバッグとなると、支配面積が大きいので、はしゃぎ過ぎると越えちゃいけないラインを超えてしまう。ワンピースなんかは、特に面積が大きいですから、相当慎重に外さなければいけません。
つまり、比較的大きなアイテムは、1つの作品の中に、「スタンダード」と「外し」を最適バランスで盛り込まなきゃいけないわけです。
デザイン難易度が1段階高い。
小さいアクセサリーは無邪気にデザインできるけど、割合大きいアイテムは外し加減をよくよく考えよう
なるほど!これは参考になる!
男は漢詩、女は連歌

こういう表現もできるかもしれません。
- 男性型の承認欲求は、「漢詩」
- 女性型の承認欲求は、「連歌(れんが)」
どちらも優雅な文学という印象ですが、性格は結構異なります。
漢詩は格闘技
ときに、どういう漢詩が、「素晴らしい!雅!」と評価されると思いますか?
俳句のように、よく情景を表せたら?
それもあるでしょうが、1番ではないです。
もっとも評価される漢詩は、中国古典をうまい具合に引用した詩です。500年前の有名な詩を、うまい具合に自分の文脈に合わせて、詩に潜り込ませると。その巧妙さに酔うのです。
「漢詩に優れた人」というのは、すべからく「中国古典に精通した人」になります。つまり漢詩とは、教養を競う格闘技だったわけです。
この辺りに、ミリオタがフライトジャケットのコントラクターや年式をとやかく言う精神が表れています。
ラップバトルと本質は変わらんよ
確かに!
連歌は即興劇
連歌とは、みんなで歌う短歌です。
元々は、
- 上の句の「五・七・五」を、Aさんが詠んで
- 下の句の「七・七」を、Bさんが詠む
という2人で完成させる歌でした。
だんだん長くなって、「五・七・五」→「七・七」→「五・七・五」→「七・七」と、ずっと続くようになっていきました。例えば、これを100句続けるわけです。
重要なのは、前の人が読んだ句の文脈に合わせて、自分の句を差し込むこと。
マジカルバナナを想像してもらうと、イメージしやすいかな?
若い人は知らないんじゃ…
一応暗黙のルールみたいなのがあって、100句も続くわけですから、どんどんとストーリーを展開させなきゃいけない。なので、あんまり前の句に寄せ過ぎても都合が悪い。前の句を受けつつも、展開を転がしていかねばなりません。
また、前に読んだ句と同じ展開に戻すのも良くありません。マジカルバナナと同じで、前に言ったヤツはダメなのです。
「個人vs個人」の漢詩バトルとは、全く違っていますね。
戦ってない。みんなで1つの即興劇を作っているのです。教養を見せつけるとかじゃなくて、前の人から上手く受けて、後ろの人が展開しやすいように返す。
- 空気が読める
- 文脈を理解している
- 調和できる
- そんな中でも、適度に個性を出せる
という「関係調整能力」が評価される世界です。
「二人あやとり」や「アルプス一万尺の手遊び」みたいなものです(男の子はあまりやらない遊びですね)。
まずは、周りとの調和が第一。良かった、良かった、流れをぶった斬らずに済んだ、と。ここに、女性的な承認欲求のニュアンスがあります。
あるある。「場の流れとか空気を、ちゃんとわかってるわたし」でいたいのよね
その意識が強いから、女性の方がコミュ力高いんだろうね
服のレパートリーから男女の違いを考える

「間違えたくない」という圧が強い女性の方が、TPOを細かく気にする傾向があります。
男性脳は、「スーツ着とけば大丈夫っしょ?」です。逆説的に、「男はどこでもスーツでOK」なのは、男性がTPOに頓着しなかった結果とも言えるでしょう。
女性は及第点では満足せず、TPO毎に優等生を目指します。結果として、ドレスコードが細分化されているのではないでしょうか?
女の方がレパートリーはずっと多いもんね
お化粧が半ば強制になったのも、TPOへの適応が加速しすぎた結果なんじゃないかね?
男は「一点豪華主義」
男性は、オンとオフの2種類くらいしかありません。
オンであれば、
- 内勤でも、
- 営業先でも、
- 出張でも、
- 入学式でも、
スーツしか着ません。
女は、もうちょっと使い分けるなぁ
男性のファッションは、「一点豪華主義」で、一つ一つのアイテムは目ん玉が飛び出るくらい高価なこともあります。その代わり、数は少なくて良い。
良いスーツ、良い革靴、良いベルト、良い腕時計。
それがあれば良いのです。TPOが許す限り、同じ戦闘服で出掛けていきます。
オフであれば、
- デートでも
- 美術館でも
- ハイキングでも
- 男友達との遊びでも
同じ服で行きます。
TPOの基準が「50点以下は失格」なら、51点取れる限り突っ張ります。だから、同じ服で行ける限りは行こうとするわけです。
ボクはアクセサリーはしない派ですが、持っている人でも、そうたくさんは持っていませんよ。指輪でもネックレスでも、1個とか2個とか、そんなもんじゃないでしょうか。
カバンだって、何個も持ちません。通勤用、出張用、オフのお出かけ用が大小で2つ。そのくらいでしょうね。
「あらゆるTPOで使える強い武器が1つあれば良い」は、男心をよく表しています。ロレックスのスポーツモデルは、まさにそういう武器になるから人気なのです。
結局、「能力」で戦ってるのであって、「場の理解力」では戦ってないのよ
女は「全方位型」
男の究極は、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグみたいに「毎日同じ服」で、それをちょっとカッコよくも思ってしまう。
女性にはあり得ないでしょう。女性は、もっと使い分けますよね。
TPOポイントが51点で及第点でも、80点、90点を狙いたい感覚なんだと想像します。
- 美術館に行くなら、美術館に合った
- ハイキングに行くなら、自然を散策するのに合った
- 夜景の見えるレストランに行くなら、それ相応の
- サッカー観戦に行くなら、サッカーシャツっぽい
格好で臨みたい。
目立ちたいわけじゃないですよ。
むしろ逆。その場の文脈にピッタリ馴染む装いをしたいのです。
ディズニーランドに行けば、ディズニーランドを歩くに相応しい装いを求めます。その欲求に応えているのが、あのカチューシャだったりするわけです。
うちの奥さんは、子供とアンパンマンショーに出かけたときは、子供にアンパンマンの服を着せて、是非ともアンパンマンのお人形を持たせようと張り切っていました。
え?それが普通じゃないの?
男はそこまで気にせんな
当然それに加えて、
- 色合わせもしたい!
- 柄合わせもしたい!
- 季節感も出したい!
女性のファッションは、「全方位型」で、値段は重要でない代わりに、TPOに則して多種のアイテムが必要になります。トータル出費は、こちらの方が嵩むかもしれません。
アパレルにしろアクセサリーにしろ、男性向けよりも女性向けの方が、圧倒的に種類豊富。その理由は、この辺りに見出せるでしょう。
勘所は真逆
男性的には、「これ1つで何でも対応できます」はありがたい。
安い出費で対応範囲が広いのですから、高コスパです。「オンオフ両用」と訴求する商品がしばしばありますが、どちらかというと男性向け。
一方で、女性に、「これ1つで何でも対応できます」は刺さりづらい(承認欲求の外で使う家電なんかは別ですが)。
文脈調整の放棄みたいになっちゃうからね
それ1つで、全ての文脈で80点90点出せるなら良いですけど。でも、そんなのあり得ないじゃないですか。無難に収めるだけです。
女性に響くのは、ピンポイントで高得点を叩き出せる「こんな場面のあなたにピッタリです」ではないでしょうか?
これもめっちゃヒントだなぁ
身の回りの全てをキャンバスに
小学1年生の娘に、「今日電車乗るからマスクね」と渡したら、「お洋服が紫だから、マスクも紫が良い!」と。
おいおい。マスクまで色合わせかいな。
でも、まさに女性的です。
小学1年生でも、ちゃんと「女性」なんだよね
男性の承認欲求は、経済力や知識の深さを永久に掘り続けるもの。言うなれば、「縦方向」のベクトルですよね。
女性の承認欲求の向かう先は、「横方向」です。横に広げる分は、こちらも終わりがない。どこまでも細かく文脈調整を追求したい。
- ネイルでも
- カラコンでも
- マスクの色でも
ほんのちょっとでも調整できる余地がある限り、どこまでもバリエーションを持たせたい欲求があるわけです。
女子小学生の文房具へのこだわりは、男子にはない熱量ですね。世の中に「スマホ」が登場すれば、スマホも文脈に合わせて着飾る獲物にノミネートされます。
女性の承認欲求は、身の回りの全てをキャンバスにしたい。
髪も、耳も、首も、爪も、スマホも、筆箱の中身も。スマートグラスが流行ればそれも。メタバースが流行ればアバターも。全てキャンバスにしてしまいます。
色を塗り替えられる場所、チャームを飾れる場所、全てに市場性があるわけよ
おぉ!ポテンシャルはあちこちに転がってるな!
ミニマルデザインの今後を占う

- Timeless:時代に左右されない
- Ageless:年齢によらない
- Genderless:性別によらない
は、昨今のデザインのキーワード。
総じて言えば、「ミニマル」ですね。特徴を廃した結果、時代や年齢や性別によらないデザインになっていると。
一応、「トレンドに左右されない」というコンセプトですが、「トレンドに左右されない」という価値観自体がトレンドなので、現時点では文字通りの意味で受け取れません。
ミニマルな装いをすることが、トレンドに乗ることになってしまっています。
もし、ミニマルからトレンド性が抜けたら、どうなるのでしょうか?
ほう。興味ある!
男性的にはアリ
「ミニマルであることが格好いい」というコンセンサスが消失したら、ただのシンプル&ベーシックになります。
- 楽で
- 機能的で
- 合わせやすい
となると、男性的には使い勝手は良いんですね。
コスパが良いです。承認欲求は満たされていませんが、機能的にはアリ。
トレンドの下駄がない分、多少魅力は割り引かれますが、それでも需要は十分残るでしょうね。
女性的には微妙?
トレンドが消えたベーシックは、
- 無色
- 無文脈
- 無主張
となって、文脈理解度をアピールしたい女性にとっては、物足りません。
「これ1つで何でも対応できます」は、女性的にはイマイチなセールスポイント。どんな場面でも、「間違い」にはならないものの、「60〜70点」しか取れませんから。
「80〜90点」を目指したい女性には、退屈に感じるでしょう。せめて、形か色のどちらかは外してくれないと。
この先、もしミニマルがトレンドじゃなくなったら、女性需要は落ちるでしょうね。
ま、ただの妄想だけどな
「ミニマルなんてつまんね」って思ってる女性は一定数いるけどね
最後に
承認欲求にまつわる男女の機微を解説してきました。
どうでしょう?
「承認欲求」と一括りにするのは、ずいぶん乱暴な分類だと思いません?
解像度が低いのよ
男性型の承認欲求は…
- 「地位」「能力」を認められたい
- 尊敬されたい
- 他人より上でいたい、秀でていたい
- 目立ちたい
女性型の承認欲求は…
- 「存在」「所属」を認められたい
- 「大丈夫、間違ってないよ」と言ってもらいたい
- 大切に扱われることで、安全な立場を確認したい
- その場の雰囲気に溶け込みたい
- 目立ちたくはないけど、ちょっとした個性に気づいてほしい
両者は分けて考えた方が良いですね。
同じなのは、「他人から何かを認めてほしい」というところまで
認めてほしい内容は、全然違うわな
使い分けのヒント
男性にも女性性があり、女性にも男性性があります。ただ、割合はちょっと歪。
男性は、女性型の承認欲求はほぼ求めません。ずっとバキの精神です。
一方で、女性は、男性型の承認欲求もそこそこ持ち合わせています。競争心は控えめですが、ちゃんと社会で活躍して、尊敬されたい気持ちはあります。
サッチャーや百合子みたいな女傑は、男性型の承認欲求が強めなんだろうね
アマゾネスよろしく「1番強い女性」まで行くと外します。男性的過ぎるので。
「社会で活躍する自立した女性」という塩梅は、ちゃんと響くだろうと思います。1番であることは全く重要でありませんが、他人に貢献できることは重要ですから。
あなたは活かせる側?
ところで、本記事には顧客理解のヒントが凝縮されていますが、「あれをしなさい」「こうしなさい」というアクションは控えめでした。
- 重大な気づきで目が開いた作家さん
- 「ふーん、面白いね」で終わった作家さん
に分かれるでしょう。
ぜひ、活かす側に回ってほしいなと思います。

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