現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
多くのハンドメイド作品は、工業製品に比べて繊細です。トラブルを防止するためにも、注意事項はしっかり書いておきたいところ。
しかし、ハンドメイド作家は、文章を書くのがとにかく苦手ですね。ウチの奥さんもそう。作るのが得意な人は、文字を書くのは得意じゃない傾向があるようです。
1文字目から、「いったい何を書けば…?」と、筆が止まっているのではないでしょうか?
あー、そうだよ。文章なんて思い浮かばないんだよ
大丈夫。この記事で、ハンドメイド作品の注意書きはバッチリだ!
注意事項に、文才はいりません。
ただ「何を書くべきか」さえ、押さえておけばOK。売り込み文句と違い、注意ごとを羅列するだけですから、ずっと簡単な話です。
なお一般的には、「トラブル防止のため」に、注意事項を書くと思われていますが、これは素人の考え方です。
注意書きの本分はちゃんと全うしつつ、売上までアップさせる書き方もできるのです。注意書きの「妙」をお教えしましょう。
例文も載せておくので、ぜひ参考にしてみてください。
注意書きの3つの役割
何事も、「やらなきゃいけないから、とりあえず整えとこう」という考え方はNG。「それは、何のために必要なのか?」から考えなければ、方向性を見誤ります。
回りくどくて恐縮ですが、まずは「何のために、作品の注意事項を書くのか?」を押さえるところから始めましょう。
役割1. お客さんに不利益を被らせないため
この話をすると、いの一番に挙げられるのが、「トラブルから我が身を守るため」です。もちろん実際にはその通りでしょう。
しかし、まず「自分の身かわいさ」が前面に出てしまっている時点で、ビジネスオーナーとしてはズレています。
真っ先に考えるべきは、「買ってくれたお客さんに、不利益や不満を与えないため」でしょう?
あー。言われてみれば、その発想はなかったかもなぁ…
ただの「気の持ちよう」に思われるかもしれませんが、この根本がズレている人と、先の選択を見誤るのです。
世の中には、「注意書きが多すぎると、返って面倒な印象を与えるから、最低限のことだけ書こう」なんて言う人もいます。
しかし、それは大きな間違え。いわゆる「テイカー思考」です。こういう考え方をしているうちは、お客さんから愛されません。
「面倒くさい作家と思われる」よりも、「知らずに買ったお客さんが不利益を被る」方が、よほど一大事です。
そう思って、「お客さんのために」注意事項を書くのです。まずはこれが出発点。
ちなみにこの話は、「道徳」として言っているのではない。「打算的」に、その方が売れるから言っている
というより、「道徳的に正しい行いをする人間ほど売れる」が真理。気になる人は、「論語と算盤」とか「GIVE&TAKE」って本を読んでみて
役割2. トラブルを未然に防止するため
ストレートに恩恵を受ける役割は、もちろんあなた自身の身を守るためにです。
トラブルやクレームは、金額的な被害はそれほど重要ではありません。甚大なのは、奪われる時間と精神的なダメージ。これを何としても避けたい。
トラブル・クレームに発展するような
- お客さんの認識相違
- 望ましくない使われ方
- 本来売るべきでないお客さん
を排除するために、キッチリと注意事項を記すのです。
役割3. 責任の所在をハッキリさせるため
ハンドメイド作家はあまり意識しませんが、ビジネス一般においては、「どこまでが売り手の責任で、どこからはお客さんの責任か」をハッキリと切り分けます。
IT業界では、「責任分界点」と呼ばれることが多いよ。覚えなくていいけどね
あなたが「鉄製」の花瓶を販売していたとしましょう。ステンレスでないただの鉄なら、水に濡れればサビてしまいますね。
お客さんは、その花瓶を玄関の外で使っていて、当たり前にサビてしまいました。お客さんは怒り心頭です。
さて、これはどちらの責任でしょうか?
「屋外での使用はお控えください」と書いてあったなら、お客さんに非があります。書いていなかったのなら、お客さんのクレームも一理あります。
注意書きしていれば全ての責任から逃れられるわけではありませんが、書いている以上は、100%あなたの責任とは言えないでしょう。
「書いておかなかった作家側が悪い!」という反論の余地を残さないためにも、注意事項はキッチリ書いておきましょう。
【おまけ】ちゃっかり売上アップ
書き方を工夫すると、注意事項なのに、お客さんの購買意欲を高めることもできます。
もはや、「注意事項の皮を被ったセールストーク」ですね。こういうテクニックも、したたかに使っていきましょう。
詳しくは、後半の方で解説するよ!お楽しみに!
注意書き4つの基本方針
「何のために注意事項を書くか」は、バッチリわかりましたね。1番は、「お客さんに不利益を被らせないため」ですね?
次は、全ての注意事項に共通する大方針を伝えます。
必ずこれらの方針に従ってください。
方針1. 書けることは全て書く
まず、お客さんの不利益になる可能性があることは、全て書いてください。
ポイントは、「これは当たり前だから、書かなくても良いだろう」とは思わないこと。
- 「突っ張り棒」に、ぶら下がらないでください。
- 「洗濯機」の中に、入って遊ばないでください。
って、バカみたいな注意書きですよね。
でも必要なんです。どんなバカなことでも。
ボクがサラリーマンで営業をやっていた頃、見積を書くことも多かったんですが、他社から貰うことも多かったんですね。
そのとき、注意事項がスカスカの業者はとても心配に思ったものです。
初見の取引先だと「仕事を任せて大丈夫な相手なんだろうか?」と不安になりました。実際にこういう業者は、想定外のミスを起こしがちです。
一方で、見積書の裏面まで細かく注意事項を書いてくる業者もいます。
こういう業者は、イメージ通り融通が効かないところもあります。しかし、発注した仕事はキッチリやってくれるんですよ。こっちの方が安心して任せられます。
何度もすみませんが、注意事項は、お客さんの不利益を潰すために書くものです。
世の中には、「長いと印象が悪いから、手短に書けばOK♪」と教える輩もいるかもしれません(というか、実際にいます)。
しかし、「印象が悪い」とは、何でしょう?「この作家さん、なんか面倒くさそう。やめとこっかな」と思われるってことですかね?
では、きっちり注意事項を書かないことで、不利益を被るお客さんのことはどう考えているのでしょうか?数が少ないからと、捨て置くのでしょうか?
そういう不義理な態度は、お客さんに見抜かれます。
本気でビジネスをやったこともない、不誠実な人間の言うことは、絶対に真に受けないで!
勘違いしてほしくないのですが、「長く書け」と言っているわけではありません。ダラダラ長いだけだと、「利用規約」のようにかえって読まれなくなってしまいます。
ボクが言っているのは、「必要なことは全て書け」です。もし全部必要な注意事項を書いているなら、どんなに長くなっても致し方ありません。
方針2. 不都合でも書く
「書けることは全て書く」ということは、作品の「メリットorデメリット」に関係なく伝えるということです。
「これを言っちゃったら、買わない人も出てくるだろうな…」という内容でも、絶対に書いてください。
ただ、その心配も杞憂です。デメリットは、むしろ語った方が売れますから。
ん?デメリットを語ったほうが売れる?どゆこと?
例えばですが、「紙で作られた和だんす」があったとしましょう(ホントにあるかは知りません。ただの例として受け取ってください)。
注意事項に何も書いていなければ、怖くて誰も買えません。
しかし、
- 主に観賞用です。撮影等にお使いいただくことを想定しています。
- 各引き出しの耐荷重は2kgです。
- 湿度の高いお部屋には置かないでください。
と注意事項が書いてあれば、納得する人は買っていくでしょう。
注意事項を読んで「買わない」と判断する人は、そもそも売ってはいけない相手です。
売るべき人でない人に売れば、クレームの可能性は格段に上がります。悪い評価をつけられて、本当に売るべきお客さんにネガティブな印象を与える可能性も高い。
むしろ、本来買うべきでない人に、購入を思い留まらせるくらいでちょうど良い。そう考えて、デメリットもしっかり伝えてください。
方針3. できれば美辞麗句を添える
注意事項に書く内容は、
- 「壊れやすい」とか
- 「水に濡らさないで」とか
デメリットと受け取られる内容が多いと思います。
前述の通り、それでも伝えた方が良いわけですが、テクニック次第で魅力的に伝えることもできます。
というのも、デメリットとは、何かのメリットを優先させてしまったが負の側面だからです。メリットとデメリットは、表裏一体なのです。
- 「青汁」は、マズいから体に良い
- 「激安のカニ」は、足が折れているから安い
- 「桜」は、すぐに散ってしまうから美しい
単に事実だけを、
「牛革を使用しているため、傷や血筋やシワがあります。」
と伝えるよりも、
「牛革を使用しているため、牛が生きていた際にできた傷や血筋やシワがあります。本物の革であることの証です。天然由来の個性としてお楽しみください。」
と伝えることで、魅力がプラスされます。
文才が必要と思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。ただ、デメリットの裏にある特徴を述べているだけですから。
方針4. 命令・禁止口調を避ける
「注意書きが細かいと印象が悪い」というイメージは、実はちょっと違うんですね。
厳密には、「細かさ」や「量の多さ」ではなく、「〇〇しろ!」「〇〇するな!」という命令・禁止の連発にイラッとくるのです。
人間の脳は、「行動の自由」を奪われることを嫌います。だから指図ばっかりしてくる人には、抵抗したくなってしまうんですね。
これは、心理学で「心理的リアクタンス」と呼ばれる現象
- 〇〇して下さい。
- 〇〇はご遠慮下さい。
- 〇〇はお控え下さい。
- 〇〇は致しかねますので、ご了承ください。
が続くと、脳は拒否反応を起こしてしまうのです。
少し語尾を変えるだけで、悪い印象はガラッと変わります。
- ご確認くださいませ。(ませをつけるだけ)
- ご理解お願いします。(命令ではなく、お願いベースに)
- 〇〇していただけます。(命令せず、相手の意思に委ねる)
- 〇〇が必要です。(命令せず、必要性だけ語る)
- 〇〇ではご使用いただけません。(禁止ではなく、事実だけ語る)
どうでしょう?柔らかい雰囲気になったように感じませんか?
おお!悪い印象はあんま感じなくなった!
ちなみにこれは、注意書きだけでなく、対人コミュニケーション全般で使えるテクニックです。ぜひ覚えておいてくださいね。
【作品・素材】に関する注意事項
ここからは、実際に網羅すべき注意事項の「型」を、順々に紹介していきます。
まずは、「作品そのもの」や「使われている素材」に関する注意事項から。
仕上がりのバラつき
ハンドメイド作品は手作りなので、均一な仕上がりにはなりません。コンピュータで制御された工業製品のように、カチッと全部同じにはならないのです。
1点ものとしてあつらえない限りは、
- 形のバラツキ
- 色のバラツキ
- サイズのバラツキ
といった個体差はつきもの。
「刺繍作家さん」なら、図案を作っておき、受注が入ったら同じ図案で繍うことになると思います。1つ1つ繍うわけですから、多少ズレや縫い目の数が違いは、当然出てくるでしょう。
洋服であれば、多少の寸法の違いは致し方ありません。ウチの奥さんはお花を使う作家なので、どうやっても同じにはなりません。
「写真と全く同じにならない場合もあるよ」と、断っておきましょう。
例文
- 手作りのため、作品の仕上がりには個体差があります。写真と実際の品が、若干異なる場合もございます。ハンドメイド特有の「表情」としてお楽しみください。
- 1つ1つ手作りで仕立てておりますので、表記の寸法から±1〜2cm程度の差が出る場合がございます。
素材のバラつき
- 天然石
- 木材
- 花・植物
- 動物の革
などの「天然由来」の素材は、1つ1つに微妙な違いがあります。
木材であれば、木目も違えば、色も違います。流木であれば、形も全然違います。動物の革であれば、傷や血筋があったりします。
また「アップサイクル」している作品にも、同じことが言えますね。アップサイクルとは、廃材を再利用して作品を作る手法です。
ボクが受験生の頃から愛用している「FREITAG」というバッグメーカーは、トラックの幌(ホロ)を再利用しています。
幌とは、積荷部分を覆っている、厚めの布みたいなやつですね。幌を切り取った部分が、そのままバッグの生地になります。
色は様々で、無地もあれば、何かのロゴの断片が入っていたり、文字が入っているものもあります。汚れがついていることもありますし、少し折れ目が残っているものもあります。
素材特性を理解しているお客さんにとっては、そういった違いも「味」に見えるもの。しかし、まだ理解していないお客さんにとっては、「歓迎しない個体差」です。
この素材特性ゆえのバラつきを、注意事項であると同時に、かけがえのない魅力として伝えましょう。
例文
- 天然木材を利用しているため、一点一点木目が異なります。木目は、その木の成長の軌跡。同じ人間が2人いないように、同じ木目は2つとありません。世界に1つだけの「表情」としてお楽しみください。
物は言いよう!天然素材の表情は、自然の織りなす造形だもんね!
アレルギー
使う素材によっては、アレルギーに該当するケースがあります。ハンドメイドの場合は、「金属アレルギー」に該当するケースが多いですね。
アレルギー体質のお客さんが買ってしまわないよう、注意書きが欠かせません。
なお、アレルギーになりにくい別の作品があるのであれば、そちらに誘導する一言を添えるとGoodです。
例文
- 本作品には、〇〇(素材名)を使用しています。ご購入いただく前に、該当アレルギーをお持ちでないかご確認くださいませ。なお、金属アレルギーが起きづらいチタン製のアクセサリーもご用意しております。作品一覧からご覧いただけます。
画面上の色味の違い
写真と実物で、ビミョーに色味に違いが出てしまうことがあります。
最近のスマホやパソコンだと影響は軽微ですが、スクリーンの性能によっても、若干色味に違いが出てしまうこともあります。
なるべく実物通りに写す努力はしているものの、ご理解いただくための一言は添えておきたいですね。
例文
- なるべく実物に近い色に写るよう撮影を心がけておりますが、端末や画面設定などにより、実物と若干色合いが変わって見える場合がございます。
付属するもの/しないもの
作品画像には、実際には提供しない「小物」が含まれていることがあります。
「リングケース」を販売するなら、使用感を伝えるために、リングを納めた状態の画像も用意するでしょう。しかし、そのリングはあくまで小物。提供物には含まれません。
どこまでが「提供範囲」で、どれは「対象外」なのか。明示的に線を引いてあげてください。
例文
- 画像に写っている指輪は、商品に含まれません。
しょうもない話だけど、こういうところも見落とさないように
【取り扱い】に関する注意事項
続いて、「作品の取り扱い方」についての注意事項です。
ここはお客さんに、
- 何かの行動をお願いしたり
- あるいは行動を制限したり
することになります。
先に解説した通り、お客さんに「命令」や「禁止」と受け取られないよう、語尾に気をつけましょう。
またもう1つ大事なポイントで、「なぜそうしなければならないのか?」「なぜダメなのか?」の解になる「理由」も添えましょう。
アダムとイブは、神様に「食べてはならない」と言われていた「知恵の木の実」を食べてしまいました。ちゃんと神様が理由を添えていれば、きっと食べなかったろうに。
使用環境について
「〇〇の環境では使用しないでください」は、何かとついて回る注意書き。
よくあるのは、
- 水に濡らさないでください
- 屋外では使用いただけません
- 高温多湿、直射日光は避けてください
などですね。
「なぜダメなのか?」の理由を添えるのを忘れないように。
例文
- 革製品は、水に濡れると変色や変形の恐れがあります。なるべく水に濡らさないようご配慮をお願いします。
- プリザーブドフラワーは、高温多湿環境や直射日光に弱く、変色や液だれの原因となります。日の当たらない、風通しの良いお部屋でお楽しみください。
理由がわかる→納得できる→素直に言う通りにする!
強度の弱い箇所
ハンドメイドの手仕事は、美しさゆえに、繊細な部分もありますね。
刺繍1つとっても、機械でガッチガチに縫い付けたものと比べ、手で刺した刺繍はずっと繊細でしょう。当然ながら、取り扱いにより慎重さが求められます。
例文
- 〇〇の部分は、繊細な作りになっております。強く触ると崩れてしまいますので、ご注意くださいませ。
- 〇〇の部分は壊れやすいので、極力手で触れないことをお勧めします。ホコリを払う際は、筆のような毛先の柔らかいものをお使いくださいませ。
意図していない使い方
禁止条項、いわゆる「ぶらさがらないでください」系の話です。
なお禁止の仕方には、
- ブラックリスト方式
- ホワイトリスト方式
の2種類あります。
ブラックリスト方式 | ホワイトリスト方式 |
---|---|
NGな行動をピンポイントで指定する | やっていい行動だけ決めて、それ以外の全てを禁止する |
例:このお皿は、電子レンジでは使わないでくれ | 例:iPhone用なので、それ以外の端末には使用しないでくれ |
どちらを使っても構いませんが、絶対にやって欲しくない行動があるなら、「ブラックリスト」でピンポイントに指定してください。
ここで気にして欲しいのは、「子供やペットの誤飲」です。大事な家族の健康や命に関わる話なので、ちゃんと伝えておきましょう。
例文
- 本作品は小さなパーツを使用しています。お子様が誤って飲み込んでしまう恐れがあるので、お子様の手の届かない場所でご使用くださいませ。
【取引】に関する注意事項
次は、「取引に関わる事務周り」の注意事項です。
トラブルに発展しやすい部分なので、くれぐれも足をすくわれないように。
連絡の取れる日時
お客さんからの問い合わせには、主にメッセージ機能を使うことになります。いつまで経っても返信が来ないと、お客さんは不安になってしまいますね。
あらかじめ、あなたが連絡が取れる日時を伝えておきましょう。
注意書き上は、余裕のある時間を提示しつつ、実際にはなるべく即レスするのがオススメです。
例文
- お問い合わせには、原則24時間以内に返信させていただきます。
- 土日祝は休業日となっております。お問い合わせいただいた際は、次の営業日にご返信させていただきます。
配送関連
配送関連で網羅しておきたいのは、
- 配送方法
- 配送事故時の責任の所在
- 送料(無料でも、無料じゃなくても)
- 発送までの納期
です。
配送方法についてですが、大きく「追跡の有無」「補償の有無」で分かれます。作品の大きさや単価によって、実際に採用されている配送方法はマチマチでしょう。
当サイトでは、高額作品を少量だけ売る「厚利少売(薄利多売の逆)」を基本としています。「追跡アリ」「補償アリ」の相応にグレードの高い配送方法をおすすめします。
補償があるので、配送中の破損が明らかな場合には、配送業者持ちにできるよ
また配送業者は、配送クオリティの高い「ヤマト運輸」をおすすめします。
例文
- 配送方法は、ヤマト運輸の「宅急便(小型の作品は宅急便コンパクト)」を使用します。
- 厳重に梱包いたしますが、配送中に作品が破損するケースが稀にございます。万が一、到着後に破損等があった場合は、写真付きでメッセージにてお知らせくださいませ。なお、外箱の状態によっては、配送業者の補償対象となります。外箱と送り状は、中身を確認するまで保管をお願いします。
- 送料は商品代金には含まれません。ただし、1回のご注文が「合計〇〇円以上」の場合は、送料無料となります。
- ご注文より3営業日以内に発送いたします(土日祝は休業につき、営業日にはカウントされません)。
返品・返金関連
返品・返金については、個人的には(というよりビジネス的には)、一定期間内は無条件で受けて良いと思っています。
しかし、minneやCeemaなどのプラットフォーム側の仕様で、返品・返金が難しいのが実態。作家側の瑕疵がない限り、返品・返金を受け付けないのが一般的です。
例文
- ご注文後のキャンセルは、受け付けておりません。また、当店側に瑕疵がある場合を除き、返品・返金は受け付けておりません。万が一、お届けした商品に不備や破損などがありましたら、商品到着後〇日以内に、メッセージにてご連絡をお願いします。
なお、「お客さん都合の返品はダメよ」と書いても、中には返品を要求してくるお客さんもいます。
注意事項として明記しているわけですから、突っぱねることはできます。しかし、正義はあなたにあったとて、イチャモン対応に時間も心も奪われてしまうでしょう。
正義感とか道徳とかは脇に置いて、ここは返品に応じてしまったほうが楽です。ここは損して得を取りましょう。
注意事項はあくまで防波堤。乗り越えてやってきたモンスター客には、何をしてでも早々にお帰りいただくのが吉よ
【オーダーメイド】の注意事項
「オーダーメイド」は、作家とお客さんの間の「責任範囲」が曖昧になりやすいですね。それだけトラブルになりやすい販売形態と言えます。
オーダーメイド特有の注意事項があるので、該当する人は要チェックです。
お客さんが選べる範囲を明確に
「オーダーメイド=全てお客さんの思い通り」ではありません。
基本的には、部分的にお客さんに選ばせる「パターンオーダー」になるはずです。
イメージ的には、ラーメンチェーンの「一蘭」ですね。
- 「味の濃さ」
- 「油の量」
- 「麺の硬さ」
- 「ニンニクの有無」
などは、お客さんが選べます。
しかし、「どこの製麺所の麺」とか、「なんのダシ」を使うかまでは、口出しさせません。それはお店の領分ですからね。
言い換えれば、絶対に口出しさせたくない、作家側の「サンクチュアリ(聖域)」を、お客さんに理解してもらうということです。
ぜひ、「一蘭」を参考に、お客さんがどこまで選べるかをハッキリ線引きしましょう。
例文
- お客様がご指定いただけるのは、「サイズ(S/M/L)」「カラーパターン(8色)」「キャラクターモチーフ(3種類)」です。その他の仕様、作品の形やディティール等については、お選びいただけません。
決済後の作業開始
オーダー制作は、必ずお客さんが支払い終わってから開始としましょう。
先に制作してしまうと、気に入らなかった場合に「やっぱキャンセル!」と言われる余地を残すことになります。
支払いのトラブルは、トップクラスに心が痛む仕事。絶対に避けたいところです。
納期計算も、支払いが完了してから起算とします。もし納期が「7営業日」なら、「支払い完了から7営業日以内に発送」という計算になります。
例文
- 入金確認後に制作開始とさせていただきます。メッセージのやり取りだけでは作業は開始しませんので、ご注意くださいませ。
- 入金及び、ヒアリングが完了してから、7営業日以内に発送させていただきます(土日祝は休業につき、営業日にはカウントされません)。
手直しの回数制限
作風によっては、お客さんごとに、ある程度「個別仕様」を施すケースもあります(パターンオーダーでカッチリ仕様が決まる場合は、気にする必要はありません)。
ウチの奥さんはお花を扱う作家です。ブーケをオーダーメイドで作る際は、好きなお花や、好きな色、好みの雰囲気などから、個々にあつらえていくことになります。
そうすると、どうしても「こんな感じで仕上げました!いかがでしょう?」という確認ステップが入ってきます。
優柔不断なお客さんや、神経質なお客さんだと、何度も修正を依頼してきます。5回も6回も修正に答えていては、まともな値段じゃ割りに合いません。
ここは、よくデザイナーさんが使っているプラクティスを参考にしよう!
「修正は〇回まで承ります」と、先に釘を刺してしまうのです。せいぜい1回か2回でしょうね。
または、一度作ってしまうと、修正のしようがないケースもあるでしょう。キッパリと、「修正は全く受け付けない」と言い切るのも1つの手です。
例文
- 作品が仕上がりましたら、メッセージ内でお客様にご確認いただきます。修正については、1回まで対応させていただきます。また、修正対応にかかる期間は納期には含みませんので、ご了承お願いします。
- 完成したオーダー作品の修正依頼は承っておりません。あらかじめご了承お願いします。
【応用】攻めの注意事項
この章で紹介する注意事項は、「注意」と言いつつ、実際には「セールス」の側面が強いです。
そう。これを書くと、売上がアップするのです。
もう「書き得」と言って良いレベル。
教えている発信者はマジでいない内容。他の人には秘密だよ!
転売防止
ハンドメイド作品は生産量に限りがあります。転売されてしまっては、本来のお客さんの手に届かなくなってしまうでしょう。
「PS5」は、販売開始の当初、転売ヤーの格好の餌食になりました。その結果、転売ヤーが在庫を抱えて、ゲームをプレイしたいファンの手には届かないという現象が起きました。
お客さんがハード本体を入手できなければ、ソフトや周辺アクセサリーも売れなくなります。そうなれば開発会社のやる気も削がれ、魅力的なソフトが出てこないくなる事態に。
これは一大事です。「PS5ビジネスの根幹を揺るがす!」という危機感から、メーカーは増産に踏み切った経緯があります。
作家からすると、「転売でもなんでも、買ってもらえれば良い」と思いがちですが、長い目で見ればファンを遠ざける結果にもなります。
そこで、「転売防止」の文言が必要になってくるわけです。
しかし、この「転売防止」の注意書きは、人気作家だけの特権ではありません。実際に転売されているかはさておき、とりあえず書くだけで売上UPが見込めるからです。
まず、「転売されるくらい人気」という印象そのものが、購買意欲を促進させます。これは、人気なものほど欲しくなる「バンドワゴン効果」による現象です。
「転売されるくらいだから、すぐに手に入らなくなるのでは?」というイメージも、購買を促す効果が期待できます。こちらは「希少性の原理」と呼ばれています。
なんつーか、アコギだな
ただ「転売防止」と言ってるだけで、実際に転売されているとは言ってない。別にウソはついてないよ
例文
- 本作品は、個人での使用を目的としています。転売目的のご購入はご遠慮ください。
偽物・類似品注意
「パチモンが横行しているほど人気なのか!」という印象が、購買意欲を促進します。「転売防止」の文言と同じく、「バンドワゴン効果」の恩恵ですね。
これも人気作家だけの特権ではなく、とりあえず「書き得」な注意書きです。
実際に偽物や類似品が存在しているかは、気にしなくてOK。あなたは紛れもなく本物を売っているわけですから、堂々と「偽物に注意して!」と言えば良いのです。
例文
- 当ブランド「〇〇(ブランド名)」の類似品にご注意ください。当店で販売してる作品は、作家本人が手作りした本物です。安心してご購入ください。
- 当店の作品に酷似した、粗悪な作品を販売している業者も見受けられます。くれぐれもご注意ください。
お1人○点まで
スーパーなどで見る「お一人さま〇点まで」は、購入制限しているように見せかけて、実際には購買促進が狙いです。あれは、「売り込み文句」なのです。
やはり、「人気」や「いま買わないと売り切れる」というイメージが、購買を後押しします。「バンドワゴン効果」と「希少性の原理」が、ここでも効いてきます。
加えて、「〇点」を複数にすると、むしろ購入点数を引き上げる効果もあります。
とある実験では、セールのスープ缶を「お一人さま12個まで」と制限した日は、客1人当たり平均7缶売れました。この数字は、制限しなかった日の約2倍でした。
例文
- 本作品は、お一人さま1点までご購入いただけます。
- 本作品は、お一人さま最大3点までご購入いただけます。
はぁー、色んなテクニックがあるんだなぁ
購入者を限定する
あえて、購入者を限定し、それ以外のお客さんを遠ざける書き方も有効です。
例えば、あなたが「豆柴」が大好きで、豆柴モチーフの作品を作っていたとしましょう。その場合は、「豆柴が好きじゃない人は買わないで!」と言ってしまうです。
一見すると、ライトな客層を自ら捨てる、マイナスにしかならない悪手です。自分で自分の首を絞めているように見えるでしょう。
でもこの一言が、本当にあなたの作品を買いたいお客さんを興奮させるのです。
そもそも論ですが、ハンドメイドは「量」を売れないビジネスです。
「投網」のように、広く浅い客層を、大量に仕留めるビジネスではありません。「一本釣り」のように、コアでフェチな客層だけを狙っていくものです。
そもそもライトな客などいらないのです。
そういう意味では、ライトな客を排除する文言に、実際のマイナス影響はほぼありません。ただ、本来のターゲットのお客さんを惹きつけるだけ。これも「書き得」です。
例文
- 本作品は、「〇〇」を愛する方を対象にしています。制作数に限りがありますので、「〇〇」をお好きでない方は、購入をご遠慮いただけますと幸いです。
- 本作品は、「素材の良さ」や「品質の高さ」に重きを置いています。とにかく安い品をお求めのお客様は、別のお店をご検討いただく方が良いかと存じます。
ちょっと勇気がいるけど、一度騙されたと思って試してみて!
非喫煙者です
メルカリとか暮らしのマーケットなんかでは、「非喫煙者です」の文言をよく目にします。タバコを吸わない人にとって、タバコの匂いは不快ですからね。
実際のところ、今日でハンドメイド作家でタバコを吸っている人は、かなり少数派だと思います。それでも、書いていないよりは、書いてあったほうが得です。
ちなみに、タバコだけでなく、匂いの強い「お香」や「ペット」なども同じです。
例文
- 当店の作家は非喫煙者です。喫煙者の同居もありません。また、匂いの強いお香や香水なども使用していません。
- ペットは飼っておりません。
重要ではないので、文字数に余裕があれば書くくらいの感覚で
それでも何を書くか迷ったら?
ここまでで、注意事項の「型」は伝え切りました。大分ヒントになったのではないでしょうか?
しかし、あくまで全てのハンドメイド作家に共通する「型」ですから、あなたの作品に合わせた文章に変換しなければなりませんね。
- 最初の一文は何を書き出そうか?
- あるいは、書き出してみたけど、抜け漏れはないか?
と思っている人へ、もう少しヒントを出しましょう。
素材の注意書きから引用する
ボクはサラリーマン時代、「システムインテグレーション」の営業もやっていました。
ここであなたに、「システムインテグレーションとは何か?」を理解してもらう必要は、一切ありません。
ポイントは、「仕入れたパーツを組み合わせて、1つの商品として売る」という商売の体系です。ハンドメイド作家と通ずるところがありますね?
「システムインテグレーション」とは?
ニュアンス的には、IT版の「建築業」といったところ。
システムを作って動かすために必要な、
- コンサルティング
- サーバー
- ルーター
- データセンター
- サーバーの中で動くソフトウェア
- 保守運用
などを、丸っと一式組み合わせて提供する商売。
お客さんが欲しいのは、「システム」であって、個々のパーツではない。だからプロが必要なパーツを見繕って、全てセットで提供する。という商売が成り立つ。
ボクは、パーツ会社の営業じゃないので、個々のパーツに精通しているわけではありません。それでも提案書には、細かい注意事項を全て伝えなきゃいけないわけです。
そんなときは、パーツ会社の営業がよこしてきた提案書に書いてある注意事項を、そのまま転記しちゃうんですね。これで万事OKです。
ハンドメイド作家も同じ手法が使えます。仕入れたパーツに、何かしら注意事項が書いてあれば、それをそのまま引用してしまいましょう。
おー、なるほど!それは間違いなく伝えるべきだ!
類似商品を参考にしよう
パーツの注意書きを転記しただけでは、足りないケースもあります。
例えば、布地で作った「ドール用のお洋服」に対し、「ドール用です。人間に着せないでください」と書けるのは、作家本人だけ。布地の注意事項には書いてありません。
それに、そもそもパーツに注意事項なんて書いてないこともあるでしょう。木材なんかは、イチイチ書いていないと思います。
こういうときは、同じ商品ジャンルの別商品を参考にします。ハンドメイド作品だけでなく、Amazonや楽天で売られている工業製品もチェックしておくと良いでしょう。
単にトラブル防止するだけなら、一般的な商品を真似するだけで、ほぼシャットアウトできるよ
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