現役専業ハンドメイド作家の奥さんのマーケティングやってます♪
「何とか売るために値引きしよう!」
「安くすれば誰か買ってくれるのでは?」
と頭をよぎったことはありますか?もしかしたら、すでにセールを実施しているかもしれませんね。
「安くすればモノは売れる」は、おそらくあなたが唯一学校で習ったビジネスの法則でしょう。
しかし、ハンドメイド作品をセールで売るのは愚の骨頂。ボクなら絶対にやりません。他の作家がやっていても、あなたは絶対にセールなどしてはいけません。
え!みんなセールしてるけどダメなの!?
- 「今だけ20%OFF!」
- 「今だけ送料無料!」
のような施策を打ってはいけないのです。(〇〇円以上購入で、送料無料の施策はOKです!)
この記事では、ハンドメイド作家が値引き販売する危険性について解説します。未来のあなたが、致命的なミスを犯す事態を未然に防げます。
ただ、「じゃあ、売れ残った作品はどう捌けばいいの?」という疑問も湧くと思います。この疑問へのアンサーも用意しています。
あなたの常識をひっくり返すよ!
ぜひ最後まで読んでみてね!
ハンドメイド作品を値引き/セールしてはいけない理由
ズバリ、次の理由からです。
ハンドメイド作品を値引き/セールしてはいけない理由
- セール以外で売れなくなるから
- 今すぐ買わない理由になるから
- 既存客を怒らせるから
- ブランドイメージを損ねるから
一つひとつ解説していきましょう。
値引きばかりが頭に浮かぶ人は、噛み締めて読んでいってください。
理由①:セール以外で売れなくなるから
楽天スーパーセールで50%OFFで買えるとわかっているモノを、セール期間外に正規の値段で買おうと思うでしょうか?
ボクだったら、正規の値段で買うのがバカらしく感じます。
「セールをする」ということは、「セール以外で売れづらくする」ということです。
セールをやってしまうと、結果的に「セール価格=通常価格」に近づいていきます。セールの頻度を増やすほど、セール価格に引っ張られます。
永遠に閉店セールをやってる商店は、セール価格が通常価格だよね
セールとは、言わばカンフル剤のようなもの。一時的に売上をブーストさせる効果はあるかもしれません。
しかし、長期の売上を犠牲にする副作用も認識しましょう。
理由②:今すぐ買わない理由になるから
世のマーケターが常に考えているのが、「いかにして今すぐ買わせるか」です。
人は欲しいと思っても、すぐに購入しません。お気に入り登録したり、カートに入れたりしたまま、その存在を忘れてしまうのです。いわゆる「カゴ落ち」ですね。
今すぐ買ってもらわなければ、何割かのお客さんは確実に脱落します。これは単純な算数の話です。
何年もお気に入りに埋もれてるヤツいるね
早めに購入の決断させないと、買われる確率がドンドン下がっていくんだ
ここで値引きする弊害について考えてみましょう。
値段が下がるとわかっていたら、お客さんは悠長に構えるでしょう。「下がるなら買わずに待てば良い」と。そのうちに、買おうと思っていたことすら忘れてしまうのです。
値引きは、短期では今すぐ買う理由になるものの、長期では今すぐ買わない理由を与えてしまうのです。こんな皮肉があるでしょうか?
値引きの機会損失にも目を向けるべきでしょう。
理由③:既存客を怒らせるから
企業は、よく値上げして謝っていますよね。そのせいか、「値上げはお客さんを怒らせる」というイメージが根強いです。
しかし実際は、値引きの方がお客さんを怒らせます。
冷静に考えてみてください。
あなたが5万円で買ったハンドバッグが、次の日セールで3万円に値下がりしたら、どう感じるでしょうか?
ボクだったら不快な気持ちになります。きっとあなたもそうでしょう。
これは行動経済学の「プロスペクト理論」が関係しています。カンタンに言えば、人間は損することが大っ嫌いなのです。
しょうがないとわかっているけど、ムカつく!
その負の感情が、あなたからのリピートを遠ざけるんだよ
逆に値上げは、世間が思うほどお客さんを怒らせません。「あぁ値上げかぁ」と思っても、「ふざけるな!」とはならないものです。
むしろ、欲しいモノがどんどん値上がりしていく様子は、購買を後押しします。「いま買わなきゃ、もっと高くなる!」と、思わせますからね。
理由④:ブランドイメージを損ねるから
ハイブランドは、基本的にセールはしません。
ハイブランドは、「高嶺の花」や「希少で手に入らない」というイメージを、お客さんに植え付けています。
安売りなどすれば、
- 「なんだ、思ったより安いブランドなんだ」
- 「なんだ、希少と思ってたけど、売れ残るんだ」
と、ブランドイメージを損ねるとわかっているからです。
ハンドメイド作品はハイブランドとは趣きが異なりますが、共通しているところもあります。
「単価を上げるのが、売上アップのメイン戦略」という共通点です。
ハンドメイドは生産できる数に限界があります。少し売れっ子になれば、すぐに生産数の天井に頭がついてしまうでしょう。
数を増やせない以上、売上を上げるためには、単価を上げるしかないのです。
- あなただけの独特のセンス
- 他所ではかけない手間暇
に、安いイメージを植え付けるべきではありません。
やっていいのは「送料無料」まで
日本のEC先駆者達は、まだネットでモノを買う習慣がなかった時代に、お客さんへの販促活動として、「送料無料」を使いました。
おかげさまで日本にECが普及しましたが、置き土産として「送料は無料で当たり前」という文化(もとい負の遺産)だけが残ることになりました。
デフォルトがタダなので、送料がかかることは「損」という捉え方になります。そして、人間の脳には、損を避ける性質が備わっているんですね。
そのため、「送料が有料であるために、買うこと躊躇するお客さんが一定数いる」という、ちょっと悩ましい実態があります。
飲食店のチャージ料金みたいなね。あると、入るかちょっと悩んじゃうんだよな
しかし送料は、作品そのものの代金ではありません。
- 値引きしてもブランドイメージは傷つかない
- 過去に送料を払って買った人も、後から送料無料になっても怒るほどではない
という特徴があります。値下げによる弊害は少なめな一方で、購買を後押しする効果はそこそこ期待できます。
送料を無料にすることは、理にかなった割引施策と言えるでしょう。
個人的には、積極的にオススメしているわけじゃないけどね
でも、論理的に考えれば、やって良い施策だよ
セールしても良い人とダメな人
「でも世の中には、セールで売ってる業者がいっぱいいるよね?」と疑問に思った人もいるでしょう。
- セールをしても良いビジネス
- セールをしてはいけないビジネス
の違いをハッキリしておきましょう。
次の条件に合致したら、セールもアリでしょう。
セールが正当化されるビジネスの条件
- 消耗品・日用品・食品
→安売り後に値段が戻っても、必要だから買ってもらえるから - 仕入れ販売
→売る本人のブランドに傷がつかないから - 家電などのスペックありきの製品
→スペックが見劣りした商品の値引きは、一般に受け入れられているから - シーズンで商品の入れ替えを行なっている
→入れ替わり値引きは、一般に受け入れられているから
ちなみに上記の条件を満たしたとしても、値引きの弊害はある。ただ影響が比較的小さいだけで
ハンドメイド作家の場合、いずれの条件にも該当しません。
だから値引きしてはいけないのです。
売れ残った作品をどう捌くか?
では、売れ残った作品はどうすれば良いのでしょうか?
アパレル業界で、売れ残りが大量に廃棄されているニュースを見たことがあります。ですが、さすがに作品を廃棄するのは、あまりに忍びない。
- バラして素材を回収する
- 委託販売に出す
- イベント出展でアウトレットコーナーを設ける
のいずれかがオススメです。
バラして材料を回収する
ボクの奥さんはフラワーアイテムを製作しています。売れなかった作品は、バラして材料を回収し、新作に再利用しています。
製作にかかった時間分は赤字ですが、材料はムダになりません。
- サクッとバラせる
- 製作時間が長くない(1日以内で製作できるくらい)
なら、材料を回収してしまっても良いでしょう。
委託販売に出す
「売れる作品は自分で売って、売れ残ったら委託に出す」も1つの方法です。言い方はどうかと思いますが。
委託販売とは、店舗を持つ業者やカフェなどに、作品を置かせてもらう販売方法です。売れたら、40〜60%ほどマージンを差っ引かれて、売上金を受け取れるシステムです。
ハンドメイド作家とは違った販路を持っているので、ポンと売れてしまうこともしばしば。ただ半分くらいマージン取られるので、利益はほぼ残りません。
原価が回収できれば御の字かな
イベント出展でアウトレットコーナーを設ける
リアルイベントに出展して、売れ残り品をアウトレットで安く売っても良いですね。
「いや、値引きしてんじゃん!」という声が聞こえてきそうですが 笑
実のところ、問題になるのは、あなたのメインの売り場で安売りすることです。
人知れず、安く売り捌けるルートがあるなら、それで良いのです。ひょっとすると、ハイブランドもそういうルートを持っているのかもしれませんね。
ぶっちゃけ、知り合いに安く売れるならそれが一番だよ
(参考)オススメしない捌き方
- SNSプレゼント企画
- おまけとして同梱
は、積極的にオススメ出来ません。
「値引きするくらいなら、タダでくれてやったほうがいい」という意見には賛成なんですが、別の弊害を引き起こす可能性があるからです。
SNSプレゼント企画
SNSのプレゼント企画は、フォロワーを爆発的に増やすノウハウとして知られています。しかしボクはオススメしません。
「質は下がってもフォロワー数は正義」という考え方は禁物です。エンゲージメントの低い(あなたへの関心が薄い)フォロワーを集めてしまうからです。
ハンドメイドでメインになるInstagramでは、既存フォロワーの反応率が高いと、フォロワー外への露出を増やすアルゴリズムが組まれています。
エンゲージメントが低いフォロワーの割合が多いと、未来のお客さんの目に留まりづらくなってしまうのです。
おまけとして同梱
売れ残ったらおまけであげちゃうのも、一般的によく見られる手法です。
しかし、
- おまけをもらった人
- もらっていない人
で、不公平感が出てしまいます。
「おまけ貰っちゃった!」というクチコミがある中で、もらえなかったお客さんは、いい気持ちはしません。これをエサに、クレームを入れてくる人もいるかもしれません。
クーポン以外で既存客への特別対応する方法
クーポンも値引きの一種。お得意様だけに限定して配布するなら、害は少なめです。
ただこれまで解説してきた理由で、両手をあげてオススメはできません(ただし、送料無料クーポンは使っても良い)。
「あれもダメ、これもダメで、どうやってお得意様にアピールすればいいんだよ?」と思った人もいるかもしれませんね。
でもさ、冷静に考えてみて欲しいのよ
なぜ、お客さんへのアピールの方法が、「値引き」だけなのでしょうか?こう言っちゃ悪いですが、値引きしか頭に浮かばないなら、真面目に考えていない証拠ですよ?
ではどうやって、既存のお客さんを特別扱いして、次の購入につなげるか?
ズバリ、値引き以外の特典を提供すべきです。
- 新作の先行販売に招待する
- 限定オプションを選択可能にする
- オーダーメイドを受け付ける
といった具合ですね。
ボクは昔、NIKEのAir Force 1(定番モデルのスニーカー)をオーダーメイドで作ったことがあります。
当時の時点で、ユーザーが好きなデザインを選べるパターンオーダーみたいなサービスはありました。
しかし全色、全素材が使えて、Air Force 1が選べるのは、お得意様だけだったんですね。しかも原宿店限定のサービスだった記憶があります。
オプションモリモリで3万円越えましたが、満足度は高かったです。オーダーメイドサービスが終わってしまったのが悔やまれます。またやりたい!
これらはサッと考えられるアイデアです。扱う商材によって、提供できる特典は変わってくるでしょう。
要するに、「特別感があって、かつお客さんにとって嬉しい特典」であれば、なんだって機能するわけです。値引きに頼る必要は、これっぽっちもありません。
クーポンより特別扱いされてる気がする!
まとめ
値引きはダメ絶対!
ついつい「セールで売ろう」って誘惑があるけど、惑わされちゃいけないね
この記事をまとめます。
値引きがNGな理由
- セール以外で売れなくなるから
- 今すぐ買わない理由になるから
- 既存客を怒らせるから
- ブランドイメージを損ねるから
売れ残った作品の捌き方
- バラして素材を回収する
- 委託販売に出す
- イベント出展でアウトレットコーナーを設ける
割と真面目な話、安くしても売れないケースが多いと思います。
これがスーパーで売っている卵や米やトイレットペーパーなら、安くしたらよく売れるんですが。
ことハンドメイド作品は、「安くする=売れる商材」ではないんですね。安すぎると、「安かろう悪かろう」と思われて、かえって売れなくなってしまうからです。
むしろ、高く売ることを常に考えるべき。目線は上!
↓の記事を参考にしてみてください。
コメントを残す