ご質問いただきました!
minneとCreemaに出店しています。プロモーション(広告)を2ヶ月使ってみたのですが、予想していた結果になりませんでした 泣
minneとCreemaにそれぞれ、月5,000円ずつ、2ヶ月で計20,000円を投じて、結果はかろうじて1個売れただけです。
売れた数が少なすぎるのもショックですし、広告費の元を取るのも難しいと感じました。
わたしのやり方が悪かったのでしょうか?
販売プラットフォーム側で用意されている広告機能を使って、満足いく結果が出なかったようですね。
なぜそうなってしまったのか。カンタンな算数を使って解説しましょう。
いくつか横文字の専門用語が出てくるけど、大事な話だから覚えていってね!
まずクイックに結論から。
「少額の広告費で、効果を実感できることはない。かつ、販売単価が高くないと広告はペイしない」です。
クリック課金の仕組みを知ろう
minneもCreemaも、「クリック課金」の広告です。ネット広告では一般的で、インスタ広告やfacebook広告、Googleリスティング広告も同じ仕組みを採用しています。
クリック課金とは、1クリックあたりに、プラットフォーム側に支払う広告費を入札して、高い金額をつけているほど優先的に表示される広告形態です。
「クリック」とは、言い換えれば、商品ページが見られる「閲覧数」ですね。つまり、クリック課金広告は、「1回の閲覧をいくらで買いますか?」という話なのです。
極端な話、「1クリック:10,000円」で入札して、百万回表示されても、1度もクリックされなければ、実際に支払う広告費は0です。
ふんふん、ここまでは大丈夫だと思う!
「クリック単価」と「CVR」を押さえよう
「クリック単価」と「CVR(成約率)」があれば、ざっくりと広告の効果を計測することができます。
この2つの変数を確認していきましょう。
クリック単価
クリック単価は、広告出稿主(つまりあなた)が自由に設定します。
その上で、minneやCreemaの場合、広告用の設定画面で、オススメのクリック単価が見れるようになっています。
ボクの奥さんが売っている「ブーケ」では、モノによって開きはありますが、だいたい「30円」がクリック単価として推奨されていました。
この「1クリック(=1閲覧):30円」という数字を使って計算してみましょう。
CVR(成約率)
次に、「CVR(Conversion Rate = 成約率)」というもう1つの指標を使います。商品ページを閲覧した人のうち、何%が実際に購入するかという数字です。
WEBマーケティング界隈全般では、CVRはざっくり「1%(100人閲覧したら1人が購入)」が相場と言われています。が、実際にはシチュエーションによってかなり差が出ます。
また、広告経由のお客さんは、検索経由のそれより、CVRが低くなるのが普通です。
これは当たり前の話で、検索経由のお客さんは、欲しい商品をキーワードで検索をかけます。意図にマッチする商品をクリックするので、当然購入する確率は高くなります。
一方で、広告経由のお客さんは、半ば強引に、その商品ページを見させられたような格好になります。温度が低いお客さんなので、購入する確率は低くなります。
自分自身も、広告で買うことって滅多にないもんね
minne・Creemaの広告経由のCVRは、「0.3〜0.5%」くらいの感覚です。1%はなかなかいかないと思います。
ここでは、「CVR:0.5%」を基準に考えてみましょう。
「クリック単価」と「CVR」で広告効果を計算してみよう
CVRが「0.5%」ということは、「200回クリック(閲覧)」で、1つ売れるということになりますね。
クリック単価が「30円」なら、1つ売るためかかる広告費は、「30円 × 200回 = 6,000円」ということになります。
ちなみに広告用語では、1獲得あたりにかかる広告費を「CPA(Cost Per Acquisition)」と呼ぶ
このケースだと、「CPA = 6,000円」という言い方になるよ
このカンタンな算数で、わかってもらえたと思います。
要するに、6,000円分の広告費を溶かして、やっと1つ作品が売れるのです。
今回の質問のケースだと、月5,000円の広告費をかけているという話でしたね。それだと、1ヶ月に1つ売れるか売れないかくらいです。
少額な広告費では、広告の効果はほとんど実感できません。その10倍は広告費をかけないと、実感も湧かなければ、広告がうまく回っているか否かの傾向も掴めません。
販売単価が高くないとペイしない
作品を1つ売るために広告費が6,000円かかって、作品の価格が6,000円だったとしたら?
材料費や制作にかかったあなたの人件費の分、赤字になりますね。
6,000円分のコストを上増ししても、利益が残るような価格にしなければなりません。
ちょっと荒っぽい計算をしますが、例えば、
- 販売価格:12,000円
- 原価(材料費+人件費):6,000円
- 広告費:6,000円
で、ようやく「赤字0・利益0」のラインに乗ります。
このモデルケースで利益を手元に残すなら、少なくとも「12,000円以上」で売らなきゃいけません。
まとめると、まとまった広告費をかけ、かつ高単価で売らなければ、広告は成立しないよ
おー、数字で説明されると、難しさがよくわかるね
ハンドメイドと広告は相性が悪い?
(ボクが未熟なだけかもしれませんが)ハンドメイド作品は、広告との相性が悪いと思っています。
ちょっと思い出してみてください。
よく見るネット広告って、どんなジャンルが多いでしょうか?
- 健康食品
- 化粧品
- 脱毛・美容サロン
- 住宅
- ローン
- 専門学校などのスクール
- 投資商品
- 転職
あたりじゃないですかね?
これらには、「顧客単価が高い」という共通点があります。
「住宅」や「スクール」や「人材紹介(転職)」などは、1発で高単価をもぎとります。健康食品や化粧品は、リピート利用によって、トータルで高い顧客単価になります。
しかも、いきなり本丸を買わせるのではなく、無料カウンセリングや試供品、資料請求といった段階を踏むのが一般的です。
これは、「2ステップマーケティング」と呼ばれる古典的な手法。1発目はハードルの低いフロント商材で釣って、リード(顧客候補のリスト)を集めているんですね。
言われてみると、そんなんばっかだよなぁ!
そのほうが結果的に成果を出しやすいというのが、WEBマーケティングの定説だからね
さて、ハンドメイドはどうでしょうか?
- さほど単価は高くない
- リピートも限定的
- ステップも踏ませにくい
ですよね。これは、WEB広告には向いていないということになるでしょう。
基本的には、ハンドメイドは、お金をかけない「オーガニック集客(検索やSNS)」の方が相性が良いと思います。
広告で効果を出すためにできること
というわけで、ハンドメイドと広告はイマイチ相性が良くありません。
しかし、ここで終わっては芸がないので、広告で効果を出すためのコツをお教えしましょう。コツというよりは、これが本質と言えるものです。
しかも、これは広告を出稿しなかったとしても、あなたの売上をアップさせる施策です。絶対にプラスのリターンになるので、ぜひ知っておいてください。
「作品名」と「トップ画像」を洗練させる
実はここまでで、はしょって説明してきたところがあります。改めて、広告の基本となる指標を解説しましょう。
- インプレッション(imp)
クリエイティブ(バナーやサムネイル)などが表示された回数 - クリック率(CTR)
表示されたクリエイティブがクリックされる確率=商品ページが見られる確率 - コンバージョン率(CVR)
閲覧された商品ページから成約する確率
の3つです。
さっきはCVRしか言わなかったけど、実際にはこの3つを押さえる必要があるよ!
まず、本来広告とは、インプレッション(露出)を買う行為です。
WEB広告の場合、課金単位がクリックなので、クリックに対してお金を払っているように見えますが、本質的には露出を買っているのです。
しかし、露出しただけでは、商品は売れません。クリックさせて、その先にある、商品ページを見てもらわなきゃ売れません。
そこで重要になってくる指標が、「CTR(クリック率)」です。
minneやCreemaの場合、一覧で見えているのは、「作品名」と「1枚目の画像」だけです。この2つの出来栄えだけで、クリック率は決まります。
YouTubeで言うところの、タイトルとサムネイルと同じだわな
作品名は、まず「ピアス」なのか「ブローチ」なのか、それが何なのかを伝える必要があります。その上で、魅力的なフレーズを添えましょう。
画像は、お客さんに、「その作品によってどんな素敵な未来が手に入るか」を想起させたいところ。身につける作品であれば、着画の方が伝わります。
CTR(クリック率)とアルゴリズムの関係
ここで勘の良いあなたは、こう思ったかもしれません。
- クリックに対してお金を払っているんだから、クリックされなかったらお金払わないだけでしょ?
- 別に、CTR(クリック率)なんか気にしなくても良いんじゃない?
と。
しかし、クリック率が低い広告は、アルゴリズムに嫌われてしまうんですね。
ふーん、そうなんだ…?
プラットフォーム側の立場になって考えてたらわかるよ
広告がクリックされなければ、プラットフォーム側は広告費を受け取れません。いくら高いクリック単価で入札されていても、クリックされないことには収益0です。
それならば、いくらかクリック単価が低かったとしても、ちゃんとクリックされる広告を表示した方が、プラットフォーム側は儲かるのです。
ということは、広告表示の優先順位は、単にクリック単価の大小だけではなく、クリック率も考慮されていることになります。
端的に言えば、クリック率が高い方が、低いクリック単価でも表示されやすくなるということです。
「商品ページ」を洗練させる
次に、クリックされた後の「商品ページ」で、もっと買ってもらえるような施策を打ちます。つまり、CVR(成約率)を上げようという話です。
- 画像を充実させる
- 作品の紹介文を充実させる
- 今すぐ買う理由を添える
といった点に取り組みます。
話し始めると長くなっちゃうので、ここでは端的なアドバイスに留めるね
何よりも意識して欲しいのは、「商品をまだ手にしていないお客さんに、あたかも手に取ってもらったかのような気にさせる」ことです。
画像と文字だけで、作品の全てを100%伝え切るのです。
売れない作家は、「実物を見て、手に取って貰えれば、良さがわかってもらえるんだけど…」などと言います。が、それはクソみたいな言い訳です。
画面越しで、全てを伝えてください。伝え切る努力をしてください。
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