ご質問いただきました!
マーケティングの勉強をちょっとかじってみて、ターゲットを絞る必要があることは理解できました。
そのターゲットを絞るにあたって、質問があります。
複数の作品ラインナップがある場合に、作品ごとにターゲットは違っても良いのでしょうか?
それとも、全ての作品でターゲットを揃えるべきなのでしょうか?
いやぁ、良い質問ですね!(←1回言ってみたかった)
よく勉強されて、行動に落とし込もうとしたときに、「はて?」と思ったのでしょう。
その疑問、きっちりお答えしましょう。
まず結論から。
「必ずしも全作品でターゲットが揃っている必要はない。しかし、揃えられるなら、揃っている方が売りやすい」です。
揃ってなくても問題ないが、…
作品ごとに、ターゲットがズレていても構わないと言いました。
ただ、点でバラバラのターゲットで良いかと聞かれれば、答えは「NO」。そのあたりニュアンスも含めて、解説しましょう。
個々のターゲットは異なっても問題ない
作品ごとに、別々のお客さんがターゲットになっていることは問題になりません。
例えば、ドイツ車の「メルセデスベンツ」を思い浮かべてみましょう。
車種によって、「セダン」もあれば、「SUV」もありますね。セダンは伝統的なカタチなので、車好きが好むかもしれません。一方で、ファミリーやアウトドア好きは、SUVの方に惹かれるでしょう。
という具合に、同じブランドの中で、ターゲットが異なることはよくあること。ハンドメイドであっても、特に問題はありません。
大枠のターゲットはブラさない
しかしですね、
- ベンツのセダンを買うお客さん
- ベンツのSUVを買うお客さん
は、全く違う層かと言えば、そうでもありません。
ベンツのSUVを愛用している人は、将来ライフステージが変わったら、夫婦2人乗りの小型車に乗り換えるかもしれません。それでも、やっぱりベンツを選ぶでしょう。
ベンツには、「高級感」や「頑丈さ」や「伝統」といった特徴があります。こういった特徴を好む人をターゲットにしています。
そのため、各車種のターゲットは、全く異なっているわけではありません。「もっと大きな塊のターゲットから、ターゲットが細分化されている」と言った方が正しいです。
故にベンツは、チープな車は発売できませんし、軽自動車みたいなペコペコの車も売れません。革新的なデザインの中にも、伝統的な雰囲気を漂わせなければなりません。
それが、ベンツというブランドだからです。それが、ベンツがお客さんと交わした約束だからです。
これは「ターゲティング」というよりは、「ブランディング」の話だね
ハンドメイドの文脈で考えてみましょう。
伝統的なヨーロッパ風の家具を作っているとして、
- 4人がけのダイニングテーブル
- コード用の穴が空いたスタンディングデスク
- 学習机
では、ターゲットが明らかに異なりますね。
しかし、全ての作品は、伝統的なヨーロッパテイストで統一されていなければなりません。ここで、アメリカンとか和風とかモダンな雰囲気を出してはいけないのです。
「伝統的なヨーロッパの雰囲気を好む人」という大枠のターゲットがあって、その中で、「ファミリー」とか「リモートワークしている」とかの属性で細分化されるということです。
大枠のターゲットは、絶対に統一していなければなりません。もし統一されていなければ、あなたが一体何屋さんなのかわからなくなってしまいます。
言われてみれば、当たり前の話だわな!
ペルソナ(1人のお客さん)をイメージしよう
こう考えてみましょう。
まず、1人の典型的なターゲット顧客(マーケティングでは「ペルソナ」と呼ぶ)を思い起こしてください。
ここでは厳密さは求めていないので、大体のイメージでも構いません。
その1人のお客さんが、「ライフステージや家庭環境が変われば、買ってもらえるようなラインナップで統一されているか?」を基準にすると良いでしょう。
ターゲットが完全に揃っていれば尚良し
というわけで、大枠のターゲットさえ統一されていれば、各作品のターゲットはバラバラになっても構いません。
しかし、全ての作品のターゲットを揃えられるなら、それに越したことはありません。
理由はシンプル。同じターゲットを狙った作品が複数あれば、効率よくリピート購入が狙えるからです。
「1対5の法則」を知ろう
ビジネスの世界では、「1対5の法則(通称、いちごの法則)」がよく知られています。
「新規のお客さんに買ってもらうのは、既存顧客にリピートしてもらう5倍大変だ」という意味です。
新規のお客さんは、
- あなたの存在を知ってもらうところからスタートし、
- あなたの作品が買う価値があることを理解してもらい、
- 他の作品よりも優れていると認めてもらい、
- やっと、重い腰を上げて購入に至ります。
これは、とーーーっても大変なプロセスです。ほとんどの見込み客は、購入まで辿り着かずに離脱していきます。
イメージ的には、SASUKEの全ステージクリアくらいの確率だと思ってください。100人に1人いるか、いないか。そのくらいのイメージです。
既存顧客は尊い存在
ところが、既存顧客はすでに、その途方もないプロセスを最低1回は通過しています。あの大変な道のりを渡りきり、一度はあなたと握手を交わしているわけです。
営業マンが接待のお店を探す際は、食べログと睨めっこして、予算や評価や個室の有無を見たりして吟味します。
失敗すれば、お客さんとの関係にヒビが入る上に、上司にこっ酷く叱られる。だから最初の1回は、とにかく慎重に選びます。ときには下見にランチを食べに行くこともあります。
しかし、一度接待で上手く行ってしまえば、そのお店を何度も使います。すでに目的が達成できるお店であることはわかっているので、気軽にリピートできます。
十分わかってもらえたと思います。
新規のお客さんよりも、既存のお客さんの方が、ずっと購入に近い場所にいるという事実が。
すっごく嫌な言い方をします。売上を上げるには、1人のお客さんを何度もしゃぶり尽くすのが、1番カンタンなのです。
全作品のターゲットが一致していれば、1人のお客さんから何度もリピート購入してもらえます。新規のお客さんを捕まえずとも、簡単に売上を上げられるでしょう。
思い返せば、Appleもそうですよね。1人のお客さんが、
- 「MacBook」も
- 「iPhone」も
- 「iPad」も
- 「AirPods」も
買っていきます。ビジネス的には、実に美味しい状況ですね。
1人のお客さんが何度も買ってくれたら、めっちゃ楽だわ〜
絶対ではないけど、ターゲットは揃えられたらベスト!
参考記事
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