
現在、単価3,000円(材料原価は25%)で販売しています。
この度、パッケージをリッチ化して、作品にストーリーを加味する同梱物を追加しようと考えています。
リッチ化したパッケージと同梱物で、材料原価25%をキープすると、上代は4,000円になります。
ちょっと高いかな?と思いましたが、実際に新パッケージを手に取ってみたところ4,000円でもいいかな?と。
商品ページやInstagramを見ると、「うーん、やっぱり3,500円かな」とも思います。
どれくらいの値上げが適当でしょうか?あるいは、値上げしない方が良いでしょうか?

上記はボカしてるけど、実際にこの作家さんの作品を見た上で、回答してるよ
まずはクイックに結論から。
「パッケージや同梱物の原価アップは、価格に転嫁しづらい」です。
ただ、パッケージと同梱物をグレードアップしようとしているステージですから、それなりに数は売れています。売れてない状態では踏み切らないでしょうから。
そういう意味では、この作家さんの場合は、値上げをしても良いかもしれない頃合いだったのかもしれません。
ただそれは、「パッケージと同梱物のリッチ化によって値上げできる」ではなく、「需要があるので、いくらかの値上げ代がある」という意味で捉えた方が良いでしょう。
パッケージと同梱物は価格に転嫁しづらい
この作家さんの背景をもう少し共有しましょう。
- パッケージ
もともと簡素だった紙パッケージを、金属製でそのまま飾れるようなパッケージに、グレードアップしようとしている - 同梱物
作品と関連の深く、より作品の理解が深まるような気の利いた小物。関係ないオマケの類ではないが、これといった用途があるわけでもない
これらによって、300円弱ほど原価が上がる状況です。
お客さんへの訴求にはなりづらい
お洋服を買うときを想像してみてください。
- Tシャツ単体:3,000円
- Tシャツ+専用化粧箱+キーホルダー:4,000円
どちらを買うでしょう?
「3,000円でええわ」となる人がほとんどじゃないでしょうか?
お客さんは、あくまで、「着る」という目的のために「Tシャツ」を買います。その着る目的に関連がないと、そこに+αのお金を払う理由がありません。
パッケージや同梱物のリッチ化は、お客さんの買う理由には相当せず、お金を払わせるだけの価値にはつながりづらい。
よって、価格に転嫁しづらいと言えるでしょう。
価格に転嫁できるケースは?
ただし、杓子定規に、「パッケージや同梱物のリッチ化は価格転嫁できない!」と言い切るのも間違いです。
パッケージや同梱物が、お客さんの買う目的をより良く満たすなら、価格転嫁できます。
例えば、次のようなケースです。
- ギフト用の包装
包装なしでは、ギフトとしての用を満たせない - 商品を守る保存ケース
精密機械や、細かいパーツが多数ある場合、あつらえむきの保存ケースがあった方が便利 - お手入れ用の付属品
商品を主な用途で使用する上で、付随して使うことになるアイテム - コレクションアイテム
商品本体もそうだし、付属品もコレクションアイテムの扱いになっている
今回の作家さんの場合、これらのケースには該当しませんでした。
一応、パッケージに作品を入れて飾れる仕様ではあるのですが、作品は身につけるアイテムで、飾る必要性はありません。

なので、ちょっと価格転嫁はしづらいねって
パッケージや同梱物のリッチ化は意味がないのか?
ここまでの流れで、「じゃあ、パッケージや同梱物にこだわるのは、意味のない愚策なのか?」と思われたかもしれません。
そんなことはありません。これは、商品用途に対する価値とは、また別次元の話になってきます。

実際に、この作家さんの施策に「いいですね!」と返したよ
2度目の購入(リピート)を決意する瞬間
「SMOT(エスモット)」というマーケティング用語があります。「Second Moment of Truth」の略で、「2度目の購入(=リピート)を決意する瞬間」という意味。
で、その「SMOT」なる瞬間は、いつ訪れるのか?
商品を体験して、満足したときです。当たり前のことを述べた感じですが、この「満足したとき」というのがポイントになってきます。
脳は、過去の体験の「満足度」を、
- 「ピーク(もっとも感情が動いた)の瞬間」
- 「最後の瞬間」
の2点だけで判断します。

行動経済学で、「ピーク・エンドの法則」と呼ばれる現象だ
最後の瞬間は、1番最近に商品やブランドと接したタイミングなので、日々更新されていきます。
ピークの瞬間は、商品が届いて開封する瞬間でしょう。基本、このタイミング一択だと思います。
荷を解いて、箱を開けて、作品を初めて生で見て、手触りを確認して、実際に使ってみる。この瞬間が、ピーク(最高潮)じゃないでしょうか?
ピークを底上げする舞台装置として
この開封のピークを底上げするために、パッケージや同梱物が効いてくるのです。
iPhoneの化粧箱は、紙とはいえ分厚くしっかりとしていて、高級感があります。スッと重みを感じるフタを開けて、美しい本体とお目見えする。
この瞬間の満足度を上げるために、わざわざコストをかけて立派な化粧箱をこしらえてるわけです。
その作品のストーリーが垣間見えるような同梱物にしても、やはり効くのは初っ端の開封のシーンでしょう。時が経つにつれて、感応度は鈍ります。
新鮮な反応が得られるこのタイミングで、お客さんが「うわぁ!」と圧倒するように畳み掛けるわけです。
つまり、パッケージも同梱物も、開封の瞬間の満足度をブーストする装置。そう、これらは、舞台の演出装置なんですね。
そうやってピーク(最高潮)を引き上げて、ファンにさせて、リピートを狙う。そういう効果が望める施策なんです。
価格に転嫁できないまでも、将来につながる投資としては機能します。長い目で見れば、効果のある施策だと思います。

ちまちま毎回ラッピングは、手間と時間の観点でオススメしないけど、お金をかけてリッチにするのは良いと思う!
一応、値上げ幅について
というわけで、パッケージや同梱物のリッチ化は、投資する価値はあるものの、そのまま価格転嫁するのは微妙です。
今回の作家さんの場合、もともと単価3,000円でした。+300円弱の材料原価を加えて、原価率を維持しようとすると、4,000円まで値上げすることになります。
現状の単価3,000円は、全く上げられないとは言わないものの、市場の相場からするとまずまず妥当なところ。
- +1,000円はどうだろう…?
- ちょっと苦戦するんじゃないかなぁ?
というのが、正直な感想でした。
段階を踏んで、少しずつ値上げしよう
とは言え、パッケージや同梱物にコストをかけようと思い立つ段階ですから、一定の数は売れています。値上げ余地はあると思われます。
今回のように、元の価格が安すぎたわけでないなら、値上げ幅を少しづつ刻んで、市場の反応を見るのが良いでしょう。ガツンと値上げは、大いに需要を落とすリスクがあるので。
感じ方に個人差はあると思いますが、「値頃感」というものがあります。
今回のケースに当てはめると、次のような感じでしょうか。
値頃感の段階 | 値幅 |
---|---|
3,000円弱 | 2,800〜2,999円 |
3,000円ちょい | 3,001〜3,299円 |
3,000円台前半 | 3,300〜3,399円 |
3,000円台中盤 | 3,400〜3,699円 |
3,000円台後半 | 3,700〜3,799円 |
4,000円弱 | 3,800〜3,999円 |
「3,000円」から「4,000円」は、かなりジャンプアップですよね。
一方で、「3,000円」から「3,280円」は、印象としてはあまり変わらないでしょう?
値頃感をジャンプアップさせず、まずは、300円弱の原価増分だけ上げるのが安牌だと思います。
また、仮に「4,000円」まで上げるときが来るとしても、「3,900円」で止めておくのと、4,000円台で位が1つ上がるのとでは、印象はかなり変わってきます。
一旦「3,900円」や「3,980円」で段階を踏むのが安牌でしょうね。
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